ロシアによるウクライナ侵攻の動きが加速している。そこで、日本の主な政党のウクライナ情勢についての主張、ニュースなどを見てみた。
自民党
2月16日の「緊迫するウクライナ情勢について連日議論 党外交部会・国防部会」というニュースで「侵攻が起こった場合の出国支援といった邦人保護体制に万全を期すよう政府に求める声が多く上がっています」とだけ述べて、ロシアの侵略的な行為については、その後何も述べていない。
公明党
2月7日の主張で、緊迫する状況をうけて「外交努力を粘り強く重ね、軍事衝突という最悪の事態だけは何としても避けるべきだ。ただ、万が一の事態にも備えておく必要がある」「日本は、ウクライナ情勢が急変した場合、在留邦人を退避させるための航空機を即座に派遣できるようにするなどの準備に万全を期すことが重要である」「突発的に事態が悪化する可能性があり、日本政府は注意深く情報の分析を進めるべきだ」と、ロシアの国際法を無視した軍事侵攻については何も書いていない。
政府・自民党との会談でも、「不測の事態に備え、邦人の安全確保など万全の対応を期してもらいたい」と訴えたと書いているに過ぎない。
立憲民主党
2月22日 小川淳也政調会長の談話
ロシアがウクライナの親露派支配地域の独立を一方的に承認、軍の派遣を指示したことは「ウクライナの主権と領土の一体性を侵害する、武力による威嚇も用いた現状変更の試みであり、国際的な原則に反するもので、強く非難する」と強い調子で批判。同時に、「アメリカ、フランスを始めとする諸国の事態の収拾、平和的解決のための外交努力を引き続き支持するとともに、日本政府がロシアに対して、制裁を含む一致した行動をとることを支持していく」と、欧米の動きを指示する立場を明らかにしている。
維新の会
2月22日付けの産経新聞記事
を引用し、馬場伸幸維新の会共同代表がツイッターで「この問題は単にロシアとウクライナ間の問題ではありません。明日は我が身という感覚で「備え」を議論する事が肝要です」と書いているだけ。
れいわ新選組
国会決議に反対する理由を2月7日に書いているだけ。
「とにかく大きな紛争につながらないよう、どこか特定の国を非難するのではなく、関係各国に自制を求めることだ」と主張。決議は、明らかにロシア非難決議であり、「中立の立場から自制を求めたり交渉役を担うことが出来なくなる」というのがその理由とされている。
社民党
2月7日 服部良一幹事長談話
「米ロ両国をはじめとする関係各国・機関に対し、最後まで対話による交渉によって対立を解消するよう強く求める」ことを主張する一方で、アメリカ側もロシアの懸念に一切耳を傾けていないとして、「米・英両政府が続けているウクライナ軍への膨大な軍事支援は緊張を激化させるだけであり、中止しなければならない」と書いている。
このほかにも、耳を傾けるべき主張など6項目。
日本共産党
2月22日 志位和夫委員長声明
2月23日 主張
この党は、相次いでロシアの暴挙を糾弾している。
志位声明は、「今回の行動は、国連加盟国の主権、独立、領土保全の尊重、武力による威嚇禁止を明記している国連憲章、国際法の基本原則に反した侵略行為そのものである。わが党は、この暴挙を断固糾弾するとともに、『独立』承認と派兵指令のすみやかな撤回を強く求める」とし、プーチン大統領は侵攻をウクライナのNATO加盟がロシアの脅威になるとしているが、「いかなる理由をもってしても国連憲章に違反する覇権主義的行動を正当化することはできない」「紛争の平和的解決を定めた国連憲章と国際法に基づき、ウクライナの主権尊重の原則に立った外交・政治的な事態打開の努力を急ぐよう、強く呼びかける」と述べている。ロシアの行為が何故に侵略的であり、それを解決する道がどこにあるのかを整然と主張しており、他党とは一線を画している。
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アメリカが、大国丸出しで他国を従属国のように扱うことは、よくわかっているが、問題は、独立国に対する武力介入、侵略行為に対してどのような態度を取るかだ。
共産党は、委員長声明を直ちに関係国、機関に届けたとしているが、他党はどうなのか。具体的にどう行動するのか、どれだけ声を広げてロシアの手を縛るのかが大事だが、日本の政府も、共産党以外の党も直接関係国にアクションを起こしたというニュースをついぞ聞いたことがない。