Mooの雑記帳

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7月12日(水) どうする、池田町の農業

2023-07-12 19:21:26 | 日記

「第6回池田町農業振興協議会」が開かれるというので、傍聴に出かけてきました。
この協議会は昨年8月に設置されたもので、年内に5回の協議を行って町に中山間地の農地問題を中心とする農業振興に関する中間答申を出しました。

池田町には中山間地に比較的広い、もともとは桑畑であった遊休農地があり、県営事業で畑地にしたものの当初の計画通りの作付けができず、最近では耕作者の高齢化が進んで、補助金の耕作条件である令和8年度までいかないうちに耕作者である法人団体から耕作できないとの申し出を受け、ではどうするかというので、この協議会が設置されたものです。

中間答申では、池田町が出資する公社をつくり、新たに農業法人を設立して、その法人が多額の資金を借り入れ、観光農園の観点も取り入れつつ、ブドウ、桃、リンゴ、ヒマワリなどを植えて収益を確保するとの計画が盛り込まれています。

今日の会合では、まず県、町双方から中間答申のおさらいをしたうえで、中間答申以後の町の取り組みについての報告などがありました。
宮澤会長(県議)からは、今後の補助金の関係から8末末までに計画を出さなければ来年度の事業には間に合わないことや、これまで県が出してきた資金からいえば、この中間答申の計画を速やかに実施しなければならない、待ったなしの状況に至っているとの認識が示されました。
一方、町長は、法人化は極めて難しいこと、法人といってもその中心となる人物が見つからない。また対象地域を耕作する農業者もいないこと。
そのために、今年度から若い地域協力隊員を募集し、3人が確定、あと1人面接の段階となっている。さらに若手の担い手を見つけていく・・・という、「弱々しい」発言。

会長は、業を煮やした感じで、「町長からはやるという話は何もでてこない、協議会と町との認識がどうやら違うようだ、協力隊員は若手担い手ではない、やってもらえる人をみつけ、足を踏み出してもらわないと困る」「これほど認識が違っていては話の進めようがない」と強い口調で町長の姿勢を正す。

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と、まあ、ここまでは協議の模様の公式的なまとめ。実は、会議時間2時間強の半分(以上?)は会長が発言し、1/4は県の職員が報告やら発言をし、残りのわずかな時間で町の職員と他の委員が短く発言をして終わり。かみ合った議論は一切なしです。一体これは何の会議なのか、そもそも「協議」になっていないのですが、どうも場を仕切る会長はそのことがお分かりではないようでした。自分たちがせっかく作った計画も町にはやる気が全然ない。これでは補助金も返還してもらわなければならなくなる、やるのか、やらないのか・・・という迫り方ですね。

県議が苛ついたり、会議が県議の独壇場になっていることは大いに問題ではあるにしても、そもそもからいえば、安易に補助金が付くからと中山間地の開発を手がけた過去の町の姿勢が根底に横たわっている。私からいえば、山の中腹に作る必要もないコンクリート道路を通してみたり、鳥獣の多い桑畑を耕作地にしてみたりと、将来の見通しを欠いた農業政策が現在まで尾を引いているのです。

町の2度の計画も、実際には耕作者がいないことを最大の要因として行き詰まっているのですから、今回もこの問題が最も大きな問題であることは明らかです。それを強引に「見つけろ、見つけられないのは、やる気がないからだ」とばかりに町をたきつけるのはいかがなものか。

耕作者をどうするのかに結論を出さない限り、恐らく(十中八九)誰かが貧乏くじを引いて引き受けたとしても、最終的には失敗の憂き目をみることになるでしょう。まして、地域協力隊員にすべてを押しつけて、その力の無さを嘆いたとしても詮無いこと。応募した協力隊員が可哀想であり、それ以上に隊員に失礼です。

町長は、自分としては何とかしたいという気持ちはあるのでしょうが、担当課を始め町の農業者からは一向にいい返事がないわけですから、気持ちも萎えているのかも知れません。

では、どうするか。この協議会の方針は中間答申で留めていったん棚上げし、現在別のプランを提示している団体に10年程度の耕作を依頼すること。その間に、協力隊員や町の若手を中心として10名以上の耕作者を十分に育て、町の農業の中核にしていくこと。
何よりも、今問題になっている中山間地の農地をどうするのかではなく、池田町の農業全体をどう立て直すのかの基本方針をしっかり立てて、その中に現在問題になっている土地も含めること、それしかないでしょう。(最終答申を出すのであれば、百歩譲って両論併記の答申とすることじゃないですかね)

町の基本方針を明確にしそのための財政基盤をつくることが絶対に必要です。農業で高収入を得られる見通しが本当に立つのであれば、若手もどんどん参入するでしょうし、新しい農業のあり方も生み出していけるはずです。町もそれだけの資金を投入する財政計画を立てて、今から蓄えるべきです。例えば、特定目的基金として目標10億円くらいの「農業振興基金」を創設してもおかしくない。

現在の協議会のあり方は、必要性しかみていません。必要性と現実性は違うのです。必要性を現実性に転化させるにはそれだけの条件がいる。それを混同し、必要だからやるしかないというのは全くの誤りであり、農業のあり方だけではなく町政全般で気をつけなければならないことです。

***

ところで、会長は冒頭発言で「行革委の会長は大学の先生で有識者だった。しかしこの協議会は当事者ばかりだ」と、まるで有識者で占められているような言い方でした。いやいやそうではなく、会長は有識者、オレは当事者と言いたかったのか。たとえそうでも、これは聞き捨てならないとんでも発言であり、会長や委員に対して大変無礼です

行革委員会は、確かに大学の「有識者」は確かに入っていましたが、いずれも地方自治に詳しく各地の行革に関わってきた方です。それ以外の8人は町民、圧倒的多数はまさしく当事者です。
1回1回の会議は部会で十分に準備を行い、かつ委員会では各委員会から活発な意見が述べられ、答申も練りに練って作り上げられたものです。しかも、各会の詳細な議事録や資料もすべて公開されている。

それに対して、この協議会は、半分が県議と県職員で占められているのです。補助金を出す側だから当事者だといえばそうなのでしょうが、池田町の農業をどうするのかという点からいえば、それを協議する条件をほとんど欠いています。
そして、この協議会の運営は、すべて県議と県のペース。県が計画の詳細を書き、町にこれでどうかと示す。補助金を受けている町は、いわば「弱者」です。ダメですといえる立場ではない。本来残しておくべき議事録すら作ることは不可能ではないですか。
そんな会議の中で、どうやって池田町の農業全体の振興策の方針を出すのか。このまま、このような会議が続けば池田町は完全に壊れてしまいますね。どこかで根を断たなければいけません。

一つ付け加えれば、答申は答申、答申は当然ながら尊重されなければならないけれど、町長の決断で、すぐにはできないこともある。事実、いくつも答申を受け止めtないことがありました。町長の立場からは、答申は答申、尊重はするが、当面このようにしたいと決断することはいくらでも可能なのです

議会もこれまでは、ある意味補助金での事業に賛成してきたわけですから、物をいうことはまず無理だった。しかし、今回は明確にその見解を出すべきです。

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