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私の視点 小泉氏の辞任劇

2008-09-26 08:34:46 | Weblog
 小泉純一郎氏が引退を表明した。次回の総選挙に出馬しないと言うのだ。

 それに対して、マスコミの論調に「引き際が良い」「英断」といった評価が多く見られる。だが果たしてそうだろうか。辞任劇の裏で何があったのか。

 見方は二つに分かれると思う。

 一つは、森喜朗元首相の書いたシナリオに小泉氏が反旗を翻したとの見方だ。

 森氏については、首相在任中は散々な評価しか得られなかったのになぜあんなに党内で力があるのかと思われようが、旧森派(現町村派。またの名を清和政策研究会)は長年、自民党内の最大派閥であり続けるだけでなく、自身を含めて4代連続(森→小泉→安倍→福田)で首相を輩出している。若い頃から「永田町の寝業師」と異名を取る森氏だが、最大派閥と言うだけでなく、首相経験者の地位と人気者・小泉氏の後見人という立場を巧みに利用して、党内で影響力を増大させて今ではキングメイカーと言われるまでになった。

 安倍、福田両氏をトップの座に就かせたのも森氏だが、今回の福田氏の辞任から麻生氏の圧勝というシナリオを書いたのも森氏と見て間違いはないだろう。

 かつては親密な仲にあった森氏と小泉氏だが、両者の関係は小泉氏の首相在任中にこじれて今では良好とは言いがたい。形の上では、旧森派で長きに渡って世話になってきただけに、小泉氏も一応の礼儀は欠かさないようだが、腹を割って話すことはない。

 今回の森氏による「自民党再生プラン」の中核は、小泉色の払拭であったように思われる。「次は麻生しかない」と言う森氏に対して、小泉氏は中川秀直元幹事長と共に小池百合子氏を擁立する動きを見せてけん制したが、森氏の猛烈な攻勢を受けて中川氏は萎縮してしまった。ちなみに、4氏とも清和政策研究会(小泉氏は首相在任中に離脱したまま)のメンバーだ。

 中川氏の心変わりに小池氏は悪戦苦闘。総裁選に手を挙げる資格を得るのに必要な20人の国会議員を集めることさえ困難を極めた。小泉氏も小池支持を打ち出したものの首相在任中の元気は何処へやら。小声でささやくに留めた。

 自民党総裁選は、森氏の画策したように麻生氏の圧勝。直後に発表された閣僚名簿には、なんと小泉氏が忌み嫌い離党までさせたはずの野田聖子氏の名前が入っていた。

 これは、森氏の小泉氏への強烈な制裁メッセージととることができる。次の選挙では、「小泉劇場」を閉館させるぞと言われたようなものだ。

 そこで、小泉氏は麻生氏就任直後に引退を明らかにして揺さぶりをかけたのではないかと見る。森氏に対して「次の選挙には出ない。まだ政治活動は止めない。国会活動をしないだけだ」と伝えたと言われるが、それは、「事と次第によっては、再出動しますよ」というメッセージ性の高いものと私は理解する。つまりは、政界再編があれば、私も黙っちゃあいませんよ、ということではないか。

 もう一つの見方は、昨日も書いたが、世襲の話だ。

 一時期、マスコミを通して伝わってきた小泉純一郎像と私が小泉氏に親しい人から聞いた小泉純一郎像とは若干違う点がある。

 それは家族や親しい友人に対する彼の姿勢だ。彼らによると、伝えられている「家族にさえ冷たい人だ」といった評伝とは違い、意外や意外、とても熱いというのだ。彼の高校時代からの親友が他界した時も駆けつけて熱い涙を流して別れを惜しんでくれたと、その親友の妻から聞いたことがある。また、親友の結婚式で無礼で不快な発言をした妻の上司に怒り、退席したこともあるという。離婚した子供に関しても、一部マスコミでは「冷たい父親」と書かれていたが、離婚してからも子供たちには愛情を注いでいたという。その辺りは、長男のタレント・孝太郎氏がマスコミでも話しているらしい。

 だからであろう。次男の進次郎氏は成人すると父親の元で秘書をやってきた。伝えられるところでは、小泉氏は、引退を表明すると同時に、その進次郎氏を後継者に指名したという。

 と言うことは、森氏との水面下でのバトルで負けた今、自分の影響力が十分あるうちに自分の地盤を継がせようとしたのではないか、という見方が出来る。進次郎氏はまだ27歳だが、小泉ブランドの折り紙をつければ、難なく次回の衆院選に当選するだろう。

 小泉純一郎氏には自分が父親の急逝に伴なって行なわれた初めての選挙で負けた苦い思いが今もトラウマとして残っているのではないか。息子に同じ悔しい思いをさせたくないという親心があるのではないかと、私は見るのだ。 

 いずれにしても、今回の小泉氏の辞任劇、このまま小泉氏が舞台から姿を消したまま大人しくするとは思えない。

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2 コメント

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Unknown (隠れファン)
2008-09-27 01:28:03
こんばんは 下でも書きましたが 浅井さんの記事 とても興味を持って読ませていただいています
更新 有難うございます

現状のマスコミ報道には 信を置いていない(置けない)私としては 浅井さんのブログが楽しみです



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コメントに対して (浅井)
2008-09-27 07:26:27
読者よりさん、隠れファンさん

激励のコメント、ありがとうございます。私はどんなことがあっても筆を曲げることはありませんのでご心配なく。

Unknownさん

自演とはまたひねりにひねって考えましたね。私は直球勝負が売りの人生を送ってきています。もう少し見方を変えて読んでもらえると嬉しいですね。
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