都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

パレット玩具店

2023-05-06 | 宮城県・福島県
パレット玩具店
所在地:宮城県柴田町 西船迫2-2-2
構造・階数:S・1
設計 :石山修武+ダムダン空間工作室
建設年:1988(昭和63)
解体年:2021(令和3)
Photo 1991.9.14

 宮城県南部の柴田町、国道4号線バイパス沿いにあったおもちゃ店。早大の教授だった石山修武先生が設計したもの。学生時代に石山先生の講義も受けていたので、学会の帰りに研究室のメンバーと訪れた。

 入口の前にドーナツ型の庇があり、その中を貫いて鉄骨製の斜めな塔が建っているのが目を引く。
 塔やドーナツ型の庇は、おもちゃを売ることにはほぼ関係がなく、幹線道路沿いで目立つための広告塔的なもの。ただ、それを普通の広告塔にはしなかったところがミソで、通り掛かる人々にあれはなんだ?と思わせる仕掛け。子供だけでなく大人もなんだろう?と思ってしまい、おもちゃ店として記憶に残るものになっていた。

 塔を思いきり斜めにしたことで、見る向きによってかなり印象が変わるあたりもおもしろい。

 内部は一転して簡素で倉庫のようなつくりだが、天窓があって明るい。天井が高いので開放感があり、空中に吊り物を出すこともできるようになっていた。
 通路もゆったりして気持ちよい空間。ただ、大量のおもちゃが所狭しと並んでいてどれにしようか迷うという、おもちゃ店にありがちな迷宮的な感じではなかった。妙に見通しがよいので、少し歩き回ると全体像が把握できてしまう。それが良いことだったのかどうかは、ちょっと微妙な感じではあった。

 その後、ここを訪れたことはない。最近になってネットで調べたところ、2002時点ではカラオケ店になっていたという。Googleストリートビューでも、2019年6月時点でカラオケ店だったことが確認できるが、ドーナツ型の庇や斜めの塔はなくなっており、その外観はかなり替えられていた(もう一つの塔は残っていた)。この内部空間をどうやってカラオケボックス化していたのかも気になるところではあったが。。

 更にその後、2021年4月のストリートビュー画像では解体中で、2022年3月時点では更地になっていた。いわゆるポストモダン建築と称されるタイプの建物は短命なものが残念ながら多いが、この建物も築30年あまりで失われてしまったのだった。

PALETTE TOYSHOP
新建築1989年1月号
パレット玩具店-石山修武
パレット玩具店 宮城県柴田郡柴田町 | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター

日本国内の建物や街並み
#失われた建物 宮城県  #商業系  #現代建築  #ポストモダン  #石山修武 
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