築地七丁目あたりをぶらぶら歩いていたら、築地本願寺の屋根の一部が通りの先の方に見えていた。
築地七丁目から築地本願寺
Photo 2006.7.23
ある程度、東京の建物のことを知っている人なら、築地近辺で東洋的な建物が見えたら、それが築地本願寺であるだろうと推測できる。近代建築を知っている人なら、伊東忠太の名が思い浮かぶ。遠くからでも見分けられるカタチ、それは言い換えればかなりアクの強いデザインでもある。知らずに夜などに通りかかったら、ハッとしてしまうかもしれないし、ちょっと気味が悪いと思う人もいるかもしれない。でも私はこの屋根が遠くに見えるとうれしい。東洋的な怪しいデザインなのかもしれないが、築地本願寺は見えてうれしいランドマークだ。
ちょっと前には、同じ中央区の入船のあたりから、明石町の聖路加病院の塔が見えてハッとしたこともある。最近も、勤め先の早稲田鶴巻町の低地から、目白台の上、文京区関口の東京カテドラル(丹下健三氏設計)の鐘塔が見えることに気づいてうれしくなった。帰宅後に地図で確認すると、実は大した距離ではなかったりするのだが、軸線が通っていることがあまり多くない東京の街で、しかも計画的でなく偶然という感じで見えていたりすると、ちょっと得した気分になる。
中央区入船三丁目から聖路加国際病院のチャペル
Photo 2006.4.7
見えてうれしいヴィスタ景は誰かに教えたくなる。「あのね、○○のあたりから△△の建物が見えるんだよ、意外でしょ!」という感じ。喫茶店で話しているときなど、一人がそういう知識を披瀝すると、他の人も、あそこからは何が見えて驚いたとか、感動したとか、言い出して、さながら景色自慢大会のような状態になることもある。
一方で、見えてうれしくない場合も、そのストレスを解消するかのように「いやぁ参っちゃったよ。●●から■■がバーンて見えちゃってるんだよねー」てな具合に、あちこちで毒づいてしまう。こちらの方は決まって、何とかしないといけないと思うんだよねー、全く・・・、という感じで次第に暗くなってしまって、精神的にもあまり宜しくない。
千代田区神田神保町1丁目から文京区役所
Photo 1995.7.22
神保町のとある通りからも、文京区役所が遠くに見えるのだが、これはなぜかあまりうれしくない。遠くからなので、圧迫感があるとかいうことはないのだけれど。
今回は図らずも、ちょっと裏通りからの偶然のヴィスタ景について見ることになったが、こうしてみると、つくづく電線・電柱が多いなぁと思う。東京では表通りは徐々に電線の地中化がされてきたので、建物を撮って電線が入ることは確かに少しは減っている。しかし裏通りで、遠くの視対象を写すと、途中にあるたくさんの電線や電柱が全部写り込んでしまう。なんだかなぁ。
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