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ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バドカン関連のアルバム・レビュー(16)

2005年12月02日 | CD紹介(P・ロジャース)
ザ・ファームも尻すぼみ、続く「ザ・ロウ」(元フェイセズのドラマー、ケニー・ジョーンズとの双頭バンド)もアルバム1枚出して解散・・・と、
パッとしない80年代~90年代初頭を送ったロジャース先生が、「原点回帰」を図ってカッ飛ばした起死回生のカヴァー・アルバム。

それが「マディ・ウォーター・ブルース」。

60年代デビューのミュージシャンの大半がリスペクトするブルースの巨人「故・マディー・ウォーターズ」。

パープルで台頭してきたD・カヴァデイルが「あんた、P・ロジャースに歌い方似てるね」と言われて発した言葉が「ルーツが同じだから。僕もマディ・ウォーターズなどの影響受けてるからね」なんて言ってて「ウソつきやがれ!」と思ったものだが(いや、デビカヴァさんも嫌いじゃないんですがね)。

そのくらい、マディの名前は轟いてるのだが。その巨人へのリスペクトを、そのまま1枚のアルバムとして発表したのが、このアルバム。



――で、
ロジャースさん「原点回帰」を果たすに当たり、色々なギタリストに声を掛けたんですな(フリー解散後の一時期、ギター弾きながら歌ったが、上手く行かなかった教訓が残ってたか?)。

そして、誘いに乗ったギタリストはキラ星のような面々で。
ブルースロックの原点に戻ったロジャース先生に、ジェフ・ベックなどのギタリストが脇を固めたら鬼に金棒!古くからのファンを歓喜させ、ギタリスト好きも飛び付く好盤となり。

この後のツアーでは、アルバム参加のニール・ショーンを引き連れて世界を回り(米国ではスラッシュなども飛び入り参加)、感動の日本公演も実現したのでした。

さらに、名ギタリストが次々と登場する同アルバムの形態は、ギターイベントの興行主から好まれ。
ギブソンやフェンダーのイベントに、ヴォーカリストでありながら引っ張りダコとなる副産物まで生み出すのでした(最後は全員出演で「クロスロード」演奏したりして、盛り上がるのよ)。

そこでブライアン・メイとの親交も暖まり・・・ってのは余談でありますなぁ。

――以下、収録曲と参加ギタリスト。

【Paul Rodgers / Muddy Waters Blues】(1993発表)

1:Muddy water blues/buddy guy
2:Louisiana blues/trevor rabin
3:Can't be satisfied/brian setzer
4:Rollin' stone/jeff beck
5:Good morning little school girl/jeff beck
6:Hoochie coochie man/steve miller
7:She's alright/trevor rabin
8:Standing around crying/david gilmour
9:The hunter/slash
10:She moves me/gary moore
11:I'm ready/brian may
12:I just want to make love to you/jeff beck
13:Born under a bad sign/neal schon
14:Good morning little school girl/richie sambora
15:Muddy water blues/neal schon

――このアルバムは、かなり売れ。
'93年以降暫くはロジャース先生、復活の狼煙を上げて世界中を駆け回る事になったのでした。



ま、現役バリバリの黒人ブルースマンのBUDDY GUYさんの参加もハクを付けてたし(お礼にロジャース先生、ガイ師匠のアルバムに協力)。

イエスのTREVOR RABIN、ストレイ・キャッツのBRIAN SETZER、スティーヴ・ミラー・バンドのSTEVE MILLER、ピンクフロイドDAVID GILMOUR・・・なんて意外なメンツな気もするが、みんな元々は黒人音楽の影響下にあった人だし。

そして、ガンズのSLASH、GARY MOORE、クイーンのBRIAN MAY、ジャーニーのNEAL SCHON、ボンジョビのRICHIE SAMBORAなども楽しげにギターを奏で。

圧巻は、JEFF BECK・・・。
この人のキレあるギターの功績は大きすぎ。
見事に、このアルバムを「90年代のブルースロック・アルバム」に仕立ているのでした。
この人「他にも弾かせろ」って乗り気だったが、人の良いロジャースさんは「みんな声掛けに応じてくれてるからさ」と、やんわり却下。
勿体無い!!・・・と、「以前、ベック・ボガード&アピスにロジャースが参加する話もあった」なんてネタを信じる者に地団駄踏ませてくれたのでした・・・。

ま、こんなメンツが集まったのも、ロジャース先生の人徳だろうし、多くのミュージシャンが彼のキャリアに対して敬意を払っているって事でしょうな。

ギターだけが注目されてる気もするが、このアルバム成功の理由は「曲の良さ」「アレンジの良さ」にもあり。

カヴァーなれど、そこは「90年代のブルースロック」に仕上げてあり、「ルイジアナ・ブルース」などフリー時代を思わせる曲調で、古くからのファンは狂喜したモノです。

「先人と同じ事しても仕方ないだろ?」ってロジャース先生の言葉が聞こえてくるような。
そんな気がする復活作。

フリー、バドカン以降、やっと「ファンが求めるもの」と「ミュージシャンが呈示したもの」が一致する好盤を物にしたロジャース先生なのでした。


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