有田芳生の『酔醒漫録』

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年金制度の崩壊

2007-05-24 08:11:36 | 立腹

 5月23日(水)年金を払いながら「宙に浮いた」ケースが5095万1103件もあることが政治問題となっている。問題を指摘された安倍総理は「不安を煽るな」と国会で答弁した。深刻な過失を指摘したことが間違っているとでも言いたげな馬鹿げた発言だ。賃金のなかから保険料を支払ってきた人たちへの詐欺行為だと断言していい。97年に厚生年金と国民年金を基礎年金番号として一元化したとき、加入者に葉書を送り、そこで返信のなかったケースで問題が生じたのだと思っていた。ところがそうではなかった。国会の参考人として怒りの発言をした谷澤忠彦弁護士が「ザ・ワイド」に出演されたので、控室で疑問点を聞いてみた。すると97年どころか、はるか昔に問題が起きていたという。80年から85年にコンピユーターによる記録がはじまったが、その時点から誤記があったという。さらには手書きのときから問題があったとなれば、四半世紀前から年金制度は崩れていたということだ。柳沢厚生労働大臣は「申請制度」だから、問題があると思ったひとは年金を支払ったという領収書を提出せよという。誰がそこまでさかのぼって保管しているだろうか。年金を支払っていない対象者には督促状を送るだけでなく、自宅まで訪問している。そこまで強制するなら、自分たちの誤りはきちんと精算しろと思うのだ。5000万件を調べるには4兆円がかかるからできないという。この国は相当に腐っている。国会で問題となったため、社会保険庁の事務所のなかには出入りを閉ざしたところもあるという。谷澤弁護士が出向いたところ「何のご用ですか」と入れてくれなかったそうだ。

 「ザ・ワイド」が終わり雑用が終ったところで長男に電話。飯田橋にいるというので神保町で待ち合せ。「家康」で飲みながら親爺と雑談しばし。この店にはじめて来たのは長男が2歳ぐらいのとき。わたしは編集者をしていた。あれからいろんなことがあったなあ。お勘定をしたときそんな話題となり、時間なんてあっという間だとしみじみ感じるのだった。「北京亭」に行くかと思ったものの、変更して「人魚の嘆き」。日本酒で作った梅酒を飲む。常連は読売新聞グループ。なにしろ狭いカウンターのこと。中上だ、小林だ、中原だ、などという威勢いい会話が聞こえてきた。人間の評価って面白いなと思うのだった。他者を厳しく批判しつつ、自分の評価などには無関心。やれやれだ。自宅に戻ると木村佳乃さんを描いた「AERA」の「現代の肖像」のゲラが届いていた。ここに書くのは服部真澄さんが新田次郎新人賞を獲得したとき以来のこと。人物を書く面白さと難しさをまたしても思うのだった。人生の年輪を他者がどこまで理解できるのか。これまでに取り上げたのは阿木耀子、花田凱紀、服部真澄、そして木村佳乃だ。作家の須賀敦子さんを提案したときにはデスクに「誰ですか」と驚くような返事をもらった。それから「現代の肖像」への情熱は失せてしまった。ある女性テニスプレイヤーを書きませんかと言われたときには関心がないのでお断りした。次には誰をいつ書くことになるのだろうか。