有田芳生の『酔醒漫録』

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スーパーマンは自殺したのか?

2007-05-16 07:33:47 | 映画

 5月15日(火)毎日新聞の夕刊に鈴木琢磨さんが「今夜も赤ちょうちん」という連載コラムで京都の居酒屋「神馬」を紹介していた。うまくまとめるものだなと感嘆。たとえばこんなくだり。「レジのそばにははるみさんのスナップ写真。その隣は有田さん。同志みたいな2人のほろ酔い姿をながめていて、うらやましくなった」。鈴木さんのお顔はまさに飲兵衛。文体まで味がある。六本木のブエナビスタで「ハリウッドランド」の試写を見る。いち早く会場に入ったので、政治記事を読んでいたら眠たくなってきた。上映時間までうとうと。眼を開けたところで前の席に座る女性が声をかけてきた。芦川よしみさんだった。「眠たくって」と言ったところ右隣の女性が「そうなんだー」という。眼鏡を外していたので誰だかわからない。上映前に携帯の電源をお切りください、メールのチェックもご遠慮くださいとの注意があった。映画を見に行ったとき、とくにマスコミ試写でモラルの崩壊を感じていたから、これで改善されればいいなと思った。映画がはじまった。時代は1959年。スーパーマン役だったジョージ?リーブスが銃弾で亡くなる。捜査当局は自殺だと断定。しかし数々の謎があるのだった。そんなストーリーがはじまったところでわたしの左手補助席に男性が座った。そしてすぐに携帯電話のメールを確認しはじめた。男性はすぐ退席した。何か急用でもできたのだろうと思い映画に集中する。やがて大きな影がスクリーンを横切った。さらに逆方向に影が動く。わたしの横にその男性が再び座った。演劇でも映画でもそうだが、気持ちをそらされることほど不快なことはない。

 その男性は辛口といいつつ身内にだけは大甘の服飾評論家(優しいピーコさんではない)であった。「ああまたか」と呆れる。映画はハリウッドの暗部を示唆するものの、実際の事件の真相はわからないままに終る。灯が点り会場を出るとき、芦川さんといっしょにいたのが高見恭子さんだったとわかる。「最後がわからないわね。でも自殺じゃないのかなあ」と感想。同感。物語の構成に「見せる」うまさがある。地下鉄で銀座。プランタンの「ビゴの店」でパンを買い、神保町。「家康」の親爺(先日「店主」と書いたことが不満らしい)が『酔醒漫録』6冊にサインと落款を押すように言うので、カウンターでビールを飲みつつ作業。城山三郎さんが特攻隊を取材したテレビ番組のビデオを借りた。戦争が終った日の夕方に特攻攻撃した22歳の若者を追うドキュメンタリーだ。おそらく城山さんがテレビに出た最後の番組だろう。国民投票法案が成立したということは、自衛隊が自衛軍になる可能性が出てきたということだ。そのことに対する国民のなかの「何とはなく不安な気持ち」が広がっていることを安倍晋三首相は気付いていないようだ。自民党の改憲案を読めば、そこにあるものは「美しい国」などから遥かに離れていることがわかる。理想もなければ文章も美しくない。国民投票を成立させるには、やはり最低8割ぐらいの国民の支持があることが理想的だ。そこまでは現実性がないというのなら、せめて投票率が8割を超えたフランスの大統領選挙ぐらいの投票率は必要だと思う。