日々の泡

こころに浮かんでは消え、消えては浮かぶ
日常のありふれた風景をスケッチ

ファウスト

2012-11-10 11:49:23 | 映画・音楽
昔は結構、本を読んだものだけど、最近はさっぱり。
ゲーテ・・・とりあえず有名どころは読んだはず、だけど。。。なんせ読んだ時の精神年齢が幼すぎてて、ね~(ほんと、文字を追ってただけだったな。分厚い本を最後まで読み通した、という達成感がほしかったみたいに?)
「ファウスト」どんな話だっけ、悪魔に魂売る話?新聞でも「ファウスト」の文字をみつけて気になってた時に、映画が山形でも上映されるという(!)
本を読むより楽そうだから、これは観に行かなければと!(笑)

で、行きましたよ。とにかく、久しぶりに観た、圧倒的なスケールの映画作品に打ちのめされたあ。
ソクーロフ、ロシアの監督って、感覚がはんぱない感じがあります。アメリカ、フランス、日本などとは全く違う。
別にいい、という意味ではないんだけど、現実、環境が厳しい中で生み出されたアートの方が、絶対的に人間の心に迫ってくるものがある、とワタシは思うのです。
多少制限があるけれども、まあ自由っていう中で作られたものより、ぎりぎりまで追いつめられてる状況の中で本能的に誕生したものの方が力を持つ、というのは自然といえば自然、ですから。ソクーロフ監督の作品は、長いこと公開が認められなかった作品も多かった、と記憶しています。
ファウスト
上映時間も比較的長かったにもかかわらず、ひきこまれて、あっという間でした。映像が素晴らしいの。
すべての学問を極めたファウスト博士でも、「人生ってなんだかわからない。魂はどこに存在するのかわからない。自分はこれだけ学問を追求してきたのに、ちっとも利口になった気がしない。」って。そこに、悪魔(高利貸し)がきて、ファウストに囁く「人生を教えてあげましょう」って。そして、それとひきかえに・・・・。

わたしたちの日常でも感じることは多いと思う。物事って、実はとてもシンプルなのに、なんだかわからないけれど(難しい方がえらいような気がするのかな?)必要ないものが、ごまんとひっついたり、ねじまげられて解釈されたり、イメージや先入観が歪みをうんだり、とても悲しくなる場面に、よく遭遇するんだよね。文豪ゲーテだからこそ、本質をありのままに示してくれたのかな?ソクーロフ「ファウスト」のラストは美しかった。とても希望が持てた。「わたしたちは、何も持たずに生まれて来たんだ。」って言葉に、はっ、とさせられましたぜ。そうそう、忘れないように。