レスリー・チャンへのオマージュが・・・「2046」 随想 (長いです)

王家衛監督の話題の映画2046 を観た。
事前に、予習して行ったほうがよい という巷の声を参考に
何回観たかわからない欲望の翼 ブエノスアイレス そして花様年華 を
忙しいのにDVD鑑賞し、おまけに「ザビア・クガ-ト」のCDを聴き、
3作品のパンフレットをまた読んで、我ながら完璧な「予習」をしていった。

でもね、映画始まってしばらくしたら、なんとももの悲しい気分になって
そしてレスリーのカーウァイ監督作品を思い出させるシーンやせりふが
思った以上に多くて不覚にも落涙。
おとなりは30代ミセス2人連れで、多分ちょっとキム好き、な感じだったので
(2人とも静かに鑑賞してくれてたけど
       ???マークがいっぱいでよくわからなかったようだった)
いかん、こんなシーンで泣いてたら何と思われるか・・・
と、涙を思わずぬぐってしまう。

以下、作品の映画としての出来は別として(爆)
私の極私的なレスリー迷としての2046 随想

カーウァイ監督の2046 はレスリーへのオマージュ作品、というインタビュー
(by TVTaro10月号))を読んでもいたが
この映画、レスリーが亡くなったことでより監督の強いイメージを
投影させた映画となったのではないか。
欲望の翼 以来、カーウァイ監督は監督の意識する(執着していると言い換えてもいいほどの)
額縁に切り取られた時間(数字)と記憶と場所を、ずっと追い求めてきたように思える。
そして監督の好きな香港の60年代のカルチャー(インテリア・ファッション・生活のすべて)と音楽。
いつも明星(スター)を多用し、それぞれの思い(愛情)が交錯したりすれ違ったりするストーリー。
そしてひとつの想いが途切れたことに監督は強いショックを受けて
この映画を完成させたのではないか、と思わせてしまう。
もう二度と交錯することのないレスリーへの想いをこの映画に託して。

そしてレスリーファンとしても
失われた者の存在があまりにも大きくて、
改めて、悲しくせつなくなる映画でありました。
だって求めている人がそこにはいないんですもの。(泣)

以下、ストーリー、キャラクターに多少ネタバレ有りです。

作家チャウ(トニー・レオン)はヨディのように愛を求め
女ギャンブラーのスー・リーチェン(コン・リー)には拒絶される。
花様年華 で愛したスー・リーチェン(マギー・チャン)のように。
近づいてこようとする愛バイ・リン(チャン・ツィイー)は拒絶する。

ダンサーのルル/ミミ(カリーナ・ラウ)は昔分かれた恋人が忘れられず
よく似た若い恋人を「脚のない小鳥」と呼ぶ。
彼女は嫉妬から恋人(チャン・チェン)に刺されてしまう。
チャウとルルの再会してチャウがルルの昔の恋人の話をするシーンで
2人とも眼がうるうるしてたように感じたのは私だけ?

チャウの借りた宿屋の娘ジンウェン(フェイ・ウォン)には
日本人の恋人(木村拓哉)がいる。
彼女はチャウの小説の執筆を手助けするようになる。
花様年華 のスーのように・・・

チャウは大切な記憶は暗い穴の中に封印して誰にも明かさず、
そしてその忘れられない記憶(想い)のために
時空を超えてさすらう旅人を幻想(小説として)する。
2047号室から2046号室を覗き見ながら、
この部屋に出入りする人物たちを小説の中に登場させる。
小説では2046 は時間であり、場所であり、そして
小説家の理想である。
2046 を目指して人は流れ、彷徨い、邂逅し、そして別れていく。
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