アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

指紋とオウム真理教

2017年12月13日 | 生活
指紋ってほんと特異な性質を持っていて、違う人の指紋は違うし(一卵性双生児ですら異なる)、一生涯変わらない。仮に事故や故意で指の皮をはいでも、また皮膚が再生したときは同じ指紋。

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この指紋が犯罪捜査に使われていたということは、もう私の子どものころからずっと聞いてた話だから、昔の鑑定が怪しいといって再鑑定が必要になるDNAとかと違って、シンプルに頼りになる、自動的(機械的?)に判定できる紛れも悩みもないもののような気がしていた。

しかし今朝電車の中で読んでた「指紋捜査官」(堀ノ内雅一)によれば話はそんな単純なものではなく、第一、他の警察官たちに指紋などを掻き壊されないようにすることや、指紋で明らかになった結果を信用してもらうことすらなかなか最初は一筋縄でいっていない。

この本は塚本宇兵という「神レベル」指紋捜査官のインタビューから構成したものだが、彼の「一生の悔い」は三億円事件だそうで、かの有名な事件は私が幼児のころ…まだ科学捜査のステイタスがたいしたことなくて、聞き込みなどの捜査でらちが明かず、塚本氏にお鉢が回ってきたのは事件後三年目。しかも特に重要な指紋はこれだという提言をしたのに聞き入れてもらえず…結果は迷宮入りだったわけだが。

そこから時が流れて「指紋」その他科学鑑定のステイタスも上がり、オウム真理教が世間を騒がせ始めたころ、「仮谷さん拉致事件」の依頼が来る。指揮命令系統がハッキリした警察組織では異例のことに、上司にも内緒にして少数のプロジェクトチームを作り、犯罪に使われたらしきワゴン車を丸ごと調べてほしいというリクエストだった。

このワゴン車はレンタカーで、足がつかないようオウム真理教の知力を結集して(?)始末されたものであったため、指紋はたくさんあっても事件関係のものは見つからず、ただし目立たないかすかなシミが椅子にあって、それを調べると血液反応が出て、拭き取ったあとだと判明した。血液をもちかえり(椅子ごと…)鑑定すると被害者のものとわかったので事件に関係する車両であることは決定。

そしてレンタカー会社に残っていた申込書から、ほんとに「ひとつだけ」指紋が出て、それがオウム真理教の人(松本)のものだった。

当然、指紋を残さないことに細心の注意を払っていたんだけれど、申込書を書くのに手袋ってのもいちいち不審だし、だから手袋はしないで、指紋を残さないように(べたっとさわらないように)慎重に書いたらしい。けれど偽名を書いたりとかほかにも注意を払わなければいけない点が多いので、人間の集中力で完璧なケアは難しかったというわけ。

オウム真理教は、優秀な人がいっぱい集まっていろいろ考えているので、そういう点についても指導はしていたらしく、ほかの事件では、レンタカーの申込書を書くのにあまりに不自然な手つきで記入していたために不審に思われて通報されたことすらあったとか(これはウマシカかも)

さらには指紋を消す試みをいろいろしている。早川と村井は「焼いたフライパンに指を押し付ける」という原始的な方法でいったんやったあと(痛そう…)、それではうまく消えなくて(そりゃそうだ)教団で指紋消去手術を受けている。これは電気メスで傷をつけるような方法で(またまた痛そう…)実際、中心部の指紋は消えており、それによって当初のコンピュータ照合ではひっかからない状態になっていたとか。

でもベテランの目にかかると、中心部を削り取ってもほかの部分の特徴点がいろいろあって(掌紋というのもある)照合はできるし、それどころか人工的に手を入れたことによる特徴が見やすいので他の人の指紋とかと区別つきやすくてよかったとか。

さて、レンタカー申込書から指紋とられてしまった松本だが、彼に対しては早川村井よりもっと念入りに指紋を消す手術が行われた。二の腕から皮膚をとって移植するというもので…でも限られた設備と技術で無理やりやったので、手術跡は赤く腫れ、痛々しいものだったそうである。

そこまでしても掌紋は残っているし、結局追い詰められ逮捕されてしまったし、指紋がない手(痛い上につるつる)では一生、モノを持つにも不便。

教団に心も身も捧げて自分をなくすってそういうことなんだね。千と千尋じゃないけど「名をなくす(ホーリーネームで呼称される)」のも、からめとられる仕組みの大きなポイントだけど、指紋までなくすのはもう…


去年のニュースでは、アレフの資産が9億円を超えて云々、というのがあった。今でもアレフに儲けさせてる人って誰? オウムを知らない若者が入っちゃったりするとかほんと?? 大学のときのクラスメイトはたぶん指紋もなくさず(実行係じゃないから)元気に今でもアレフ幹部やってると思うんだけど、もう一生俗世には帰ってこないのかなぁ。儲かってたら教団なくならないものね。

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6 コメント

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Unknown (ねこぴあの)
2017-12-14 19:16:35
興味深く読みました。こういう記事すき。
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> ねこぴあのさんへ (アンダンテ)
2017-12-15 10:09:39
あ、お好きですかこういうの(^^;;
こういう駄記事(本の感想というか印象に残ったところのメモ)書くの好きなんですよ。書いておかないと忘れるし

ほんとはピアノブログと読書ブログを別に持って毎日書きたいくらい(笑)定年後はそうしよう
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Unknown (mokobon)
2017-12-15 17:21:56
私もアンダンテさんの、こういう文章好きです。
もちろんピアノの話も楽しませていただいていますが、時々はこちら方面もよろしくお願いします(^^)
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Unknown (Nekoushi)
2017-12-16 00:50:27
私も、アンダンテさんのピアノ以外の記事好きです。楽しく読ませていただいてます。
社会問題的なことでも、さらっと書いてらっしゃって、ピアノブログの中で浮いた存在になってないバランス感が素敵だと思いますヽ(^○^)ノ
あと、翌日付けの記事のような、ピアノの物理学的な話も好きです。
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> mokobonさんへ (アンダンテ)
2017-12-18 23:05:19
おっなんと!!
与太記事案外人気ありますねっ
今後も書きますよ~
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> Nekoushiさんへ (アンダンテ)
2017-12-18 23:06:39
浮いてないかどうかよくわかんないけどね…
もともとごちゃまぜだし!!
というか私はわりと何の話をしててもピアノのこと考えてたりするんだけどね(笑)
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