力士の世界 (文春新書 603) 価格:¥ 746(税込) 発売日:2007-11-16 |
昨日から、貴乃花親方の理事選逆転勝利が、情報番組などを賑わしています。
まさか勝利すると思わなかったので驚きましたが、個人的には嬉しいです。
貴乃花親方って、失礼を承知でいえば、“ちょっとヘンな人だよなぁ……”と思う部分もあるのですが、真面目な方だし、なにより相撲に対する愛は本物だと思うので。
(ちなみに、エネファームのCMの、景子夫人の“やめて下さい、弟子が見てるでしょう”という冷たい言い方は妙に好きです)
私自身は、両国国技館で相撲を観たことが2回だけあります。
最初は2階の椅子席、2回目は奮発して升席でした。
(でも、当時20代だったし、升席は贅沢だったかも……。嬉しかったけど嬉しすぎて落ち着かなかった。椅子席でも十分楽しかった)
ちょうど若貴全盛期、相撲ブームの頃でした。したがって、女性ファンもたくさんいたはずですが、それでも、“両国に相撲観に行くんだ”というと、“えーっ、変わってるね”と言われたものです。
“変わってないやい!相撲は国技だぞ”と当時は思ったものです。(でも口に出す勇気はなかった)
今も付き合いのある、一緒に行った当時の同僚は、その頃佐渡ヶ嶽部屋の後援会に入っていたので、そのことを言ったら驚かれたことがあるようです。(驚かれるような事でもないよねえ……)
今はその頃に比べればトーンダウンしましたが、相撲はやっぱり好きです。
上にあげた本は、図書館で借りたものなのですけれどでも本当に素敵なエッセイ(というか随筆?)で、相撲に興味のある女性の方にも、絶対のおススメです。
相撲は神事、というけれど、どういう歴史があるのか、それぞれの所作にはどんな意味があるのか。そういうことをしっかり教えてくれて、古代へと通じる一筋の糸を感じさせてくれます。
古墳(古代の有力者の墓)の周りに並べられる埴輪(ものや動物や人物などを象った、古代の素焼きの焼き物)のなかにも、すでに力士を表現したものがあるのです。つまり1500年以上の歴史があるということ。
そういうことが平易な文章で読みやすく書いて下さっていて、しかも、相撲への愛にあふれてる。
ただ、気になるところもありました。昨今の相撲界の騒動にも通じるものだと思うのですが……
場所が終わった後、締めくくりの儀式の一つとして、土俵の上で親方衆を胴上げする、というものがあったそうです。
けれど、身体の大きい親方衆は、胴上げを嫌がる方が多かったらしく、あるときから、かわりに行司さんを胴上げすることに変えてしまったそうです。
著者の33代木村庄之助氏は、“何百年も続けてきたしきたりを、変えていいものでしょうか”と抗議したそうですが、結局押し切られたとか。
相撲は神事、といいます。力士、特に横綱は、品格がなければいけないと言います。
もちろん、それはその通りです。暴力事件など、とんでもありません。
けれど、親方衆のすべてが、それを胸を張って言えるほど御自分を律しているのだろうか。
そう、つい思ってしまうのです。