あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

古代へとつながる扉 『力士の世界』

2010-02-02 22:53:02 | 本(エッセイ・ノンフィクション他)

力士の世界 (文春新書 603) 力士の世界 (文春新書 603)
価格:¥ 746(税込)
発売日:2007-11-16

昨日から、貴乃花親方の理事選逆転勝利が、情報番組などを賑わしています。

まさか勝利すると思わなかったので驚きましたが、個人的には嬉しいです。

貴乃花親方って、失礼を承知でいえば、“ちょっとヘンな人だよなぁ……”と思う部分もあるのですが、真面目な方だし、なにより相撲に対する愛は本物だと思うので。

(ちなみに、エネファームのCMの、景子夫人の“やめて下さい、弟子が見てるでしょう”という冷たい言い方は妙に好きです)

私自身は、両国国技館で相撲を観たことが2回だけあります。

最初は2階の椅子席、2回目は奮発して升席でした。

(でも、当時20代だったし、升席は贅沢だったかも……。嬉しかったけど嬉しすぎて落ち着かなかった。椅子席でも十分楽しかった)

ちょうど若貴全盛期、相撲ブームの頃でした。したがって、女性ファンもたくさんいたはずですが、それでも、“両国に相撲観に行くんだ”というと、“えーっ、変わってるね”と言われたものです。

“変わってないやい!相撲は国技だぞ”と当時は思ったものです。(でも口に出す勇気はなかった)

今も付き合いのある、一緒に行った当時の同僚は、その頃佐渡ヶ嶽部屋の後援会に入っていたので、そのことを言ったら驚かれたことがあるようです。(驚かれるような事でもないよねえ……)

今はその頃に比べればトーンダウンしましたが、相撲はやっぱり好きです。

上にあげた本は、図書館で借りたものなのですけれどでも本当に素敵なエッセイ(というか随筆?)で、相撲に興味のある女性の方にも、絶対のおススメです。

相撲は神事、というけれど、どういう歴史があるのか、それぞれの所作にはどんな意味があるのか。そういうことをしっかり教えてくれて、古代へと通じる一筋の糸を感じさせてくれます。

古墳(古代の有力者の墓)の周りに並べられる埴輪(ものや動物や人物などを象った、古代の素焼きの焼き物)のなかにも、すでに力士を表現したものがあるのです。つまり1500年以上の歴史があるということ。

そういうことが平易な文章で読みやすく書いて下さっていて、しかも、相撲への愛にあふれてる。

ただ、気になるところもありました。昨今の相撲界の騒動にも通じるものだと思うのですが……

場所が終わった後、締めくくりの儀式の一つとして、土俵の上で親方衆を胴上げする、というものがあったそうです。

けれど、身体の大きい親方衆は、胴上げを嫌がる方が多かったらしく、あるときから、かわりに行司さんを胴上げすることに変えてしまったそうです。

著者の33代木村庄之助氏は、“何百年も続けてきたしきたりを、変えていいものでしょうか”と抗議したそうですが、結局押し切られたとか。

相撲は神事、といいます。力士、特に横綱は、品格がなければいけないと言います。

もちろん、それはその通りです。暴力事件など、とんでもありません。

けれど、親方衆のすべてが、それを胸を張って言えるほど御自分を律しているのだろうか。

そう、つい思ってしまうのです。

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ファーストコンタクトのジレンマ 『アバター』

2010-02-02 00:15:30 | 映画

惑星ソラリス [DVD] 惑星ソラリス [DVD]
価格:¥ 6,090(税込)
発売日:2002-12-16

先日、話題の映画、『アバター』を観てきました。

どうせだったら3D版(吹替版)と思っていきましたが、平日モーニングショーにもかかわらず、満席状態になってびっくり!

列に並んで待っているとき、後ろの女性二人が、たぶん違う映画を観に来たらしいのですが『アバター』もすでに観たようで、“眼鏡をかけて観るの疲れる!長いし!終わった時は、やっと終わったと思った”といっていたのでドキドキ。

けれど、私は眼鏡にもすぐ慣れ、長さもあまり感じなくて、それほど疲れなかったのでホッとしました。

ストーリーはシンプルですけれど、映像はやはり迫力があって、《初めてのものを観た》、という感動もありました。

ただ、結局のところ武力で解決するのには、仕方ないのだろうけど、“平和的解決っていうのは夢物語なのかな~”と、残念な気持ちも少し、ありました。

自分たちの欲しいものを手に入れるために異星人は排除する、というのはあまりに乱暴だし、ナビたち異星の生物が対抗して地球人側と戦うのは無理からぬことですが。

全然似てないけど、異星とのファーストコンタクト、というと、私は上にあげた『惑星ソラリス』を連想してしまうのですが、この物語も、『アバター』も、結局他の星に足を踏み入れるべきではない、といっているようで、もの悲しい気持ちになるのでした。

“もっと遠くへ行きたい”と思い、ようやく他の生命体に接触しても、結局、共存できない、ということを知るだけなんて、なんて悲しいジレンマかなぁ、と。

主人公は異星人たちと生きる道を選ぶけれど、あれは特異な例で、“異星人たちと仲良く暮らしました、めでたしめでたし”というような単純なハッピーエンドではない気がして。

あと、異星人たちをみてネイティヴ・アメリカンの人々やヤノマミ族の人々を連想したのは私だけではないのかな、と思いましたが、話はちょっと脱線しますが、ネイティヴ・アメリカンの最後の族長の演説についてご存知の方はいないでしょうか。

白人たちに制圧され、自分たちの土地を去らなくてはいけないとき、“でも、人間は大地から離れては生きられない、自然とともに生きなければならない”ということを言った演説だと思うのですが、内容と、できれば全文が知りたくて……。

閑話休題(それはさておき)。ストーリーはシンプルだと書きましたが、私は楽しめたし、映像の美しさ、今までにない迫力だけでも、一見の価値はある映画だと思います。

コメント (6)
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