あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

ファーストコンタクトのジレンマ 『アバター』

2010-02-02 00:15:30 | 映画

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発売日:2002-12-16

先日、話題の映画、『アバター』を観てきました。

どうせだったら3D版(吹替版)と思っていきましたが、平日モーニングショーにもかかわらず、満席状態になってびっくり!

列に並んで待っているとき、後ろの女性二人が、たぶん違う映画を観に来たらしいのですが『アバター』もすでに観たようで、“眼鏡をかけて観るの疲れる!長いし!終わった時は、やっと終わったと思った”といっていたのでドキドキ。

けれど、私は眼鏡にもすぐ慣れ、長さもあまり感じなくて、それほど疲れなかったのでホッとしました。

ストーリーはシンプルですけれど、映像はやはり迫力があって、《初めてのものを観た》、という感動もありました。

ただ、結局のところ武力で解決するのには、仕方ないのだろうけど、“平和的解決っていうのは夢物語なのかな~”と、残念な気持ちも少し、ありました。

自分たちの欲しいものを手に入れるために異星人は排除する、というのはあまりに乱暴だし、ナビたち異星の生物が対抗して地球人側と戦うのは無理からぬことですが。

全然似てないけど、異星とのファーストコンタクト、というと、私は上にあげた『惑星ソラリス』を連想してしまうのですが、この物語も、『アバター』も、結局他の星に足を踏み入れるべきではない、といっているようで、もの悲しい気持ちになるのでした。

“もっと遠くへ行きたい”と思い、ようやく他の生命体に接触しても、結局、共存できない、ということを知るだけなんて、なんて悲しいジレンマかなぁ、と。

主人公は異星人たちと生きる道を選ぶけれど、あれは特異な例で、“異星人たちと仲良く暮らしました、めでたしめでたし”というような単純なハッピーエンドではない気がして。

あと、異星人たちをみてネイティヴ・アメリカンの人々やヤノマミ族の人々を連想したのは私だけではないのかな、と思いましたが、話はちょっと脱線しますが、ネイティヴ・アメリカンの最後の族長の演説についてご存知の方はいないでしょうか。

白人たちに制圧され、自分たちの土地を去らなくてはいけないとき、“でも、人間は大地から離れては生きられない、自然とともに生きなければならない”ということを言った演説だと思うのですが、内容と、できれば全文が知りたくて……。

閑話休題(それはさておき)。ストーリーはシンプルだと書きましたが、私は楽しめたし、映像の美しさ、今までにない迫力だけでも、一見の価値はある映画だと思います。

コメント (6)
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笑いと悲しみは、コインの表裏 『なくもんか』

2009-12-03 23:47:22 | 映画

子どもの頃から、主人公が窮地に陥る物語が苦手でした。

主人公がひどい目に合うようなシーンがドラマで出てくると、逃げ出したりしたことがあるくらい。

だから、この映画を観はじめてものの10分も経ったところで、これはエライところに来てしまったぞ、と思いました。

笑える映画だと思っていたのです。もともと自分で選ぶタイプの映画ではなく、友達に誘われて観たのだったし。(とはいえ好奇心旺盛な方なので嫌ではなかったが)

いや、笑える部分はあります。どころか、まわりの観客の人たちはかなり笑っていた。

でも、これってすごく、怖ろしい話なんです。私は驚いてしまった。

お互いの顔も知らない、生き別れの兄弟が物語の中心です。それが、阿部サダヲと瑛太が演じる二人。彼らの半生は、本当に悲惨なものです。しかも、怒涛のように悲しいこと、嫌なこと、やりきれないことが襲ってくる。

お笑い芸人になった弟(瑛太)に、相方となる青年が言った台詞がありました。

“笑いのパターンは7つしかない。その中でも一番すごいもの、それは不幸だ”と。

けれど、私はもう一つあるな、と思った。それは、恐怖。本当に恐ろしいと、なんだか笑えてしまう。いや、恐怖の一つの形が不幸なのかな、不幸、というのが恐怖の最大のものなのかな……などと考えましたが、この映画はそういう“笑い”に満ちているのです。

この物語ってどう着地するの、いったい私はどこに連れて行かれるの……と心配しましたが、最後はほんのりと温かいラストを迎えてホッとしました。

もちろん、普通に(?)笑える部分もあるし、役者さんもいいし、この映画もおススメではあるのですが、なんとなく宮藤官九郎の暗黒面を見た気もしました

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犯人は戦後という時代 『ゼロの焦点』

2009-12-03 23:00:11 | 映画

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09秋の映画について少し。

まずは先月半ば、母と観に行ったこの映画を。

乱読な私はミステリーはジャンルを問いませんが、社会派・および松本清張はとくに好きで、なのでかなり楽しみにして観に行きました。

そして、結論から言えば私としては満足。ザ・松本清張、という感じの冬の日本海の雰囲気もハマるし、伏線の活かし方もいいと思いました。

キャスティングもあって、犯人はたぶんすぐに予測がつくと思いますが、それでも十分楽しめるし、犯人を突き動かした恐怖についても考えさせられる。

現代だったら果たしてあれほどの連続殺人になったかな、という部分もあり、戦争とその後の過酷な時代こそが殺人者だという気持ちにもなり、新妻の悲しみにも同情するけれど、犯人も完全には憎めない気がしました。

私の松本清張映画のベストはやはり『砂の器』なのですけれど、この作品もかなりおススメです。

ちなみに、母とは観終わった後、食事をしながら“女優さん綺麗だったね~”“西島くんは女を不幸にする男を演じさせたら天下一品だね~”などと勝手なことを言っていました

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リメイク『隠し砦の三悪人』を観てしまったけれど。

2009-10-30 23:30:47 | 映画

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う~む。

単品で見たら、まぁまぁ、面白いのかもしれないけれど。

どうしてもオールドファンは、オリジナルと比べてしまいますね。

スターウォーズのロボット2体のモデルにもなった、竹蔵と新八はもちろんオリジナルでは三枚目。

でも、一人をイケメンにすると、自然姫君とロマンスが芽生えるのか……((+_+))

でも、ロマンスなしでもオリジナルは面白かったし、ラストも清々しいと思いませんか?

……と、言っても、若い人には通じない……(T_T)

(と、いうか、私の年代でもたいてい通じない(-_-;)まだ20代の時分、友達に「一番好きな映画って何?」ときかれて、「うーん、黒澤明の『天国と地獄』かな」と言ってちょびっと引かれたことがある)

“裏切り御免!”という台詞も、そおいう使い方じゃないんだぁ~(>_<)と思ってしまったりして。

それに、長澤まさみちゃんは思ったより良かったけど、松本くんのイイところをいまひとつ引き出せていないような……(・_・;)

そして、やはりプリンセスと平民の恋は、『ローマの休日』の例の通り、洋の東西を問わず結ばれないことに決まっているのですね。

別れのシーンは、もう少し情緒があっても良かったかも。

馬を疾走させつつ戦う場面は、ショーン・コネリーが『風とライオン』(だったと思う^_^;)でそっくり再現したことでも知られる名シーンですが、オリジナルもあらためて観かえしたくなりました。

松本潤くんめあてで観た若い人にも、ぜひこの機会にオリジナルを観て欲しい!です。

(ちなみに件のシーンをどう撮ったかについては、北村薫氏のエッセイに謎ときがありましたが、本の題名を忘れてしまいました(T_T)分かったらまた書きます)

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フランソワ・ヴィヨンってだれ? その2

2009-10-23 23:59:40 | 映画

ヴィヨンについての謎、少し解けました。

と、いうのも。

すこし話は脱線しますが、私、小学校から中学にかけて、よく図書館の本を書き写しておりました。

まだ、気軽にコンビニでコピーを取る、という時代じゃなかったし、(コンビニがフツーになったのは、住んでるとこが田舎なのもありますが、高校生以降^_^;)ひたすら写していました。

小学生の頃は雑学的なことが多かったのですが、中学生になると、好きな詩や、小説の一節(短い童話などは全文写したことも(^^ゞ)を大学ノートに書き写しました。

小学生の頃のノートは父に捨てられてしまったけれど(T_T)中学の頃のものはだいたい残っていて、ただ、2Bから4Bの鉛筆で書きなぐっていたので(少しでも早く写すため)、二十歳ごろ、ベネトンのミニノートに少しきれいに写し直しました。

その中にあったのです。ヴィヨンの詩が。

写したのは小6か、中1だったと思うので、表記に間違いがあるかもしれないし、最後の一節かも知れませんが、こんな詩でした。

 わが君よ その美しき姫たちの

 いまはいずこにいますやと

 言問うなかれ

 曲なしや ただいたずらに

 ルフランをくりかえすのみ

 さはれ さはれ

 去年(こぞ)の雪 いまはいずこ

ローティーンの私がなにをもってこの詩を書き留めようと思ったかは謎ですが(・_・;)最後の一行が記憶に残っていましたから、たぶん、その部分が気に入ったのでしょう。

謎の一端が少しほどけて、ほっといたしました(^_^)

コメント (2)
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