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公園に車椅子にのった白人の爺さんを連れた、髪が金髪
なブラックのアジャコングみたいな姉さんと、
その爺さんのつれの婆さんがヨチヨチと公園にやってきた。
ベンチに腰かけていた私の隣のベンチに車椅子を近づけ、
その車椅子とは反対側の端っこにアジャが座った。
「あんたは亭主の横に座りなさい」とアジャは命令口調で
婆さんに告げた。婆さんは、それに口答えしたらしく
「あんたのラブリーな亭主が外へ出たいっていうから、外へ
出てきたのよ、私があんたの亭主をうばうわけないでしょ。
車椅子を毎日おして生活するなんて、まっぴらだわ」
婆さんの言った言葉が聞こえなかったので、どうしてこんな鬼
のようにアジャが怒ってるのかわからないけど、婆さんは
それでもグズグズ言っていた。
「だからぁ~、あんたの亭主をどうして私が取らなきゃならないの?
だまって隣に座ってなさいよ」
婆さんは、しぶしぶ爺さんの隣へ腰かけた。
「私は介護をやめるって言ってるわけじゃないのよ、ただ
あんたが大切な爺さんにヤキモチやくのはわかるけど、
私が疑われるのはごめんだわ。あんた精神的におかしいん
じゃない?病院に行ったほうがいいわよ」
きっと爺さんの面倒をみるために、雇われてるんだと思うけど、
金もらって、この横柄な態度はすごい。私だったら一発で
クビにするけどな。
アジャは言い終えることなくタバコを吸いながらも文句
タラタラだったので、私は、いたたまれなくなってベンチを退いた。
老人問題って、お金では片付かないんだなぁ~と痛感したのだった。
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