昨日に引き続き、七人の左官工が新築物件に現れました。(ま、知ってましたけど)
今日から下塗りを施して参ります、担当サクラ左官さん御一同。
20㎝前後の鏝を使い、手の届く範囲である1m四方の面積を少しずつ広げ、壁一面を平滑に仕上げます。
平滑を目指す・・・と言うのがしっくりきますかね。
人の手で柔らかく練った左官材を撫でつけていくので、どうしたって真っ平らには仕上がりません。
敢えて鏝波を出す仕上げや、刷毛や櫛を引いて模様を付ける仕様などがあるのも、如何に平らに仕上げるのが難しいかというのを物語っているように思います。
仕上げの難しさに並んで、左官工の永遠のテーマがもう一つ・・・
塗り壁の割れ対策です。
人の肌と同じく、乾燥すれば割れが出ますし、潤いすぎれば腐れや苔生す環境を生み出す。
湿気を排出し、ある程度の潤いを維持させるため、壁体内の通気工法が一役買ってくれますが、割れ対策にもう一手欲しい所。
写真の網は樹脂製のネットです。
メタルのラス網に、モルタルを鏝で撫でつけ、生乾きの状態で更に樹脂ネットを撫でつけます。
モルタルの深層部はメタルの網が割れに耐え、表層部はこの樹脂製ネットが割れを食い止めます。
更に乾燥期間を置いて、モルタルを上塗りして最後に可塑性の高い左官材で仕上げます。
可塑性とは、簡単にいえば粘性。
引っ張りや折れ、所謂外部圧力に対して硬化せずに柔軟に力を分散させる事です。
カチカチに固めて外部圧力に耐えようとすれば、耐えきれなくなった時に必ず割れが出ます。
ある程度の柔らかさを保持した仕上げ材を使用して圧力を分散させます。
・・・ま、これだけやっても割れるときは割れるんですけどね
左官屋さんの腕が悪いわけでも、工務店の施工が悪いわけでもなく(要因の一つにある可能性は否定できませんけども)
例えば気候風土、土地の条件、近隣の状況等々様々なことが考えられます。
大事な事は現状の施工方法で満足せず、更にクオリティを上げる方法を模索する事です。
重要なのは全員で考える事、各担当者に依存せずあらゆる方向性を考えて試していくことでリスクは減らせるはずです。
さ、力説した所で持ち場に戻りま~す
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