福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

ゼンパーオパーの「こうもり」

2018-01-12 23:10:32 | コンサート


やはり上演のある日とない日では、ゼンパーオパーから発せられるオーラが違う。





さて、今宵の「こうもり」。我が座席は2列目中央なれど、1列目を潰して花道を作っているため、実質には最前列。
上の写真は第3幕前の休憩時間から酔っ払い牢番フロッシュの役に入るヴォルフガング・シュトンフ。ドイツでは著名な役者とのことで、ムチャクチャ芝居が上手い。その神憑った演技(即興を含む)に聴衆は吉本新喜劇の客のように爆笑につぐ爆笑。他の歌手を完全に喰ってしまうほどの喝采を浴びる。

それはともかく、この目線、この距離感で観劇できたのは、最高の贅沢であった。



序曲が終わると、劇場支配人らしき男が現れて口上をはじめるのだが、いきなり「リヒャルト・シュトラウスの『こうもり』へようこそ」などと、大ボケをかました上、「テノール歌手がまだ家にいるから開演できない」などと小芝居を打ったりする。

本編は文句なしに楽しかった。
指揮者こそ力み勝ちで、外面的なところもあったけれど、経験豊かなオーケストラがそれを柔らかな音楽に転換し、ほぼすべての歌手の歌と芝居も堂に入っていた。
オルロフスキー公爵が吸血鬼ドラキュラの出で立ちで、さらに第2幕後半には、タキシードの上を脱ぎ捨て下着一枚となって、女性を強調するという色っぽい場面もあり。

キャストは以下。

Musikalische Leitung
 Marius Stieghorst

Inszenierung
 Günter Krämer

Bühnenbild
 Gisbert Jäkel

Kostüme
 Falk Bauer

Licht
 Jan Seeger

Choreografie
 Otto Pichler

Chor
 Cornelius Volke

Gabriel von Eisenstein
 Hans-Joachim Ketelsen

Rosalinde
 Hulkar Sabirova

Alfred
 Mert Süngü

Prinz Orlofsky
 Jelena Kordić

Adele
 Carolina Ullrich

Dr. Falke
 Sebastian Wartig

Frank
 Michael Eder

Dr. Blind
 Gerald Hupach

Ida
Andrea Schubert

Froschさ
 Wolfgang Stumph

Sächsischer Staatsopernchor Dresden
Sächsische Staatskapelle Dresden





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ティーレマン「リング」チケット引き取り完了

2018-01-12 11:13:02 | コンサート


今朝は、午前10時のオープンを待って、ゼンパーオパーのチケットビュローに赴き、予約していた公演のチケットを引き取ってきました。

昨夜予定されていた「魔笛」は、15日に延期されており、「その日には来られないのでキャンセルしたい」と申し出ると、先方は内輪で何だかんだドイツ語で揉めながらも(当たり前)、最終的には認められ返金して貰いました。
窓口の女性に深く感謝の言葉を述べると「仕事ですから」と返すあたり、とても素敵です。

今宵は「こうもり」(写真上)。
実は、生で観劇するのははじめての演目。ウィーン風とはどんなに違うザクセン風「こうもり」となるでしょう?

さて、メインのティーレマン「リング」の第1ツィクルスも無事ピックアップ。スケジュールは以下。

13日(土)「ラインの黄金」
14日(日)「ワルキューレ」
18日(木)「ジークフリート」
20日(土)「神々の黄昏」





平戸間後方(上から3番目のカテゴリー)、4演目合計で381.5ユーロというのは、あまりにもお得です。後方といはいえ、全部で19列しかないのですから、平戸間丸ごと、実質的にはS席のようなものでしょう。

仮に日本で引越公演があるとしたら、どんなプライスとなることか。時間さえ何とかなれば、渡航・滞在費を使って訪れる価値はありそうです。

月並みながら、この我が儘を見過ごしてくれた家族と各合唱団には感謝あるのみ。



このほか、ゼンパーオパーでは、日本でEチケットを入手済みのコルンゴルト「死の都」(21日)も楽しみなところ。

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ああ非情。幻となった「魔笛」

2018-01-11 19:52:22 | コンサート


アムステルダムのザ・コンサートホテルを発ってから9時間超。フランクフルト経由でようやく辿り着いた麗しのゼンパーオパーは、非情にも固く扉が閉ざされていた。

なんと、今宵は上演がない!

11日「魔笛」を予約したメールの写し(日付は昨年5月)は持っているし、ネットで検索すると今も下のように表示されるところをみると、何らかの事情で予定が変更されたのだろう。上演中止の案内メールを見落としていたのかな?



こうなると明日の「こうもり」も心配になるが、それはあるようで一安心。チケットはソールド・アウト、人気も高そうだ。あとは、肝腎の入場券をチケットビュローでピックアップできるか否か。実は少し心配だったりする。



とにかく、長い1日だった。
疲れたには違いないけれど、突如見舞われたトラブルを克服してゆくのも旅の醍醐味。済んでみると、スリリングでなかなか楽しかった。

明朝10時には、ゼンパーオパーのオフィスが開くというから、目が覚めたら行ってみよう。
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欠航の儀

2018-01-11 13:43:52 | 旅行


本日は、アムステルダムからドレスデン入りし、夜にはゼンパーオパーにて「魔笛」を鑑賞する予定であった。13:50にはドレスデン空港着予定だから、余裕である。しかし、その素晴らしい計画が俄かに暗雲に覆われた。

スキポール空港に向かうバスの車中で受け取ったのは、KLMよりの「アムステルダム~ドレスデン便の欠航」の知らせ。自動的に割り振られた便が15:15発チューリッヒ経由でドレスデン空港着が19:10だという。これでは、19:00の開演に間に合わないではないか!



そこで、ダメ元で、空港のKLMサービスカウンターを訪ね、「これでは遅過ぎる。ほかのフライトはないか?」と訴えると、14:25発フランクフルト経由のルフトハンザ便はどうか? という。ドレスデン空港着が18:10というから、もちろん承諾。タクシーで劇場に直行すれば開演に間に合うかも知れない。大きなスーツケースもあるし、本当はホテルにチェックインしたいのだけれど。



まだ、予約票のチケットへの引き換えが済んでいないので、時間のロスも発生するが、最善を尽くすのみ。

ドタバタが一段落したら急に空腹を覚え、搭乗口近くのカフェにて、ハムサンドイッチを頬張ったところ。

追記
いま、フランクフルト行きか20分遅れにて到着。出発は14:45に変更された。フランクフルトからのフライトが定刻であることを祈るのみ。



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ダニエル・ガッティ&コンセルトヘボウ管 マーラー「巨人」

2018-01-10 22:35:48 | コンサート


はじめてのコンセルトヘボウ。
この指揮台にマーラー、メンゲルベルク、モントゥー、ベイヌムらが立っていたと思うと感動もひとしお。座席は平土間の18列目やや右寄り。

"GATTI MEETS JANSEN"
と題された今宵の定期演奏会。
まずは、ユトレヒト生まれのジャニーヌ・ヤンセンを迎えてのブルッフのヴァイオリン協奏曲。



瑞々しく、ひたむきなヴァイオリン。第1楽章前半こそ、楽器の温まりきっていないのか、力で鳴らそうとする場面もあったものの、徐々に楽器も鳴ってきて、最後は満員の聴衆より熱烈なスタンディングオベーションを受けていた。地元オランダの演奏家として、愛されている様を目の当たりにして感動した次第。

休憩を挟んで、メインはマーラー「巨人」。ブルッフまでは快調だったわたしが、不覚にも第1楽章から睡魔に襲われたため、その演奏を100%享受することはできなかったが、素晴らしいパフォーマンスであったことは間違いない。

ガッティのバトンテクニックが巧みであることは、これまでに観た映像から知っていたことだが、ときに「棒が上手すぎる」と感じてしまうこともあった。しかし、生で接すると、そのテクニックの悉くが音楽性に結び付いていることが分かる。隅々まで計算されつつも、熱い血潮の湧き上がる立派なマーラーだった(と思う)。

コンセルトヘボウというホールの響きは魅惑的で癖になりそうだ。想像以上に直接音より間接音が勝りながらも、曖昧さはない。舞台の奥行きの深さ故か、手前から弦、木管、金管や打楽器と並ぶ距離の違いがはっきりして、重層的なサウンドとなるのも美しい。

改めて、コンセルトヘボウ管の音は、このホールとセットなのだな、ということも分かった。これまで、サントリーホール、人見記念講堂、愛知県芸で聴いた音とはまるで違う。それは明らかに指揮者の違いというには止まらない、ひとつのオーケストラにとって、もっとも根源的な何かとでも言おうか。

マーラー終演後も聴衆の熱狂は凄まじいものがあった。もしかすると、このコンセルトヘボウの客席に集った人々は、たんなる聴衆ではなく、この歴史あるオーケストラの熱烈なサポーターなのではないか?
ともに立ち上がって拍手を送る感覚が、贔屓のプロ野球チームの4番打者が逆転ホームランを打ったときの興奮にどこか似ている気がしたのである。



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人生初のアムステルダム

2018-01-10 17:49:07 | 旅行


アムステルダムの空港の外に降り立つのは人生初。オランダ語はまったく解さず、人々の喋る言葉が全く分からない、というのは辛いものがありますね。

今回はドレスデンのゼンパーオパーにて、ティーレマン指揮の「ニーベルングの指環」全曲のチクルスを聴くためのひとり旅ですが、前後と合間にアムステルダムに立ち寄りコンセルトヘボウにて開催されるコンサートを聴こうという寸法です。



先ほど、コンセルトヘボウ近くの宿に辿り着き、いまは部屋で寛いでいるところ。バスの運転手に、どうやって代金を払うのか尋ねたら、「いまシステムが故障しているからフリーでいい」と言われ、空港から美術館広場まで、ただ乗りしてきました(笑)。運がよいのか悪いのか?



お部屋は質素ながら清潔でよい感じ。暖房は壁の小さなオイルヒーターのみ。やや非力なので、朝方は冷えるかも知れない。



いまは天気も悪くて寒いけれど、季節がよければ、ドアを開いて、庭にでるのも素敵でしょう。



今宵のコンサートは、約2時間後の20:15開演。時差ボケで睡魔に襲われませんように!
かといって、いま昼寝をすると熟睡してしまって寝過ごす恐れ大。うーん、どうしようかな?


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肥薩線 嘉例川駅

2018-01-03 21:02:09 | 旅行


昨年の疲れが一気に出たのか、大晦日に鹿児島に着いたものの、起き上がることもやっとという体たらく。

本日になり、ようやく買い物やら温泉に出掛ける元気が蘇ってきたため、鹿児島空港から妙見温泉への途上にある日の出温泉きのこの里までドライブすることに。



余談だが、今回のレンタカーは走行距離9万5千キロ超えのスズキ「スウィフト」。10月以来、色々乗ったコンパクトカーの中では、一番しっくりくる走り。



道中、肥薩線の「嘉例川駅はこちら」という看板に誘われ、木造駅舎で有名な嘉例川駅へ。





明治36年(1903)年1月15日に開業以来の木造駅舎は国の登録文化財だという。歳月の重みと趣がありますね。

無人駅ながら特急「はやとの風」が停車するというのも異例とのこと。次の「はやとの風」到着まで45分ほど時間があったので、後ろ髪引かれつつ駅を後にしましたが、寄り道した甲斐はありました。

わたしは「テツ」ではありませんが、せっかく鹿児島にご縁のある身なので、肥薩線の旅はしてみたいものです。

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マエストロ道義 鹿児島にて発見!

2018-01-03 12:01:03 | コーラス、オーケストラ


イオンタウン姶良にて、父・妹と新春の買い物中、井上道義先生の御顔が視界に飛び込んできてドッキリ! 予期せずこの顔が目の前に現れたら驚きますよ(笑)。

日フィルさんとの九州ツアーなんですね。桜島の噴火に負けず劣らず迫力のあるベートーヴェンが鳴り響くことでしょう。

たまたま、鹿児島に居たら絶対聴きに行くのだけれど惜しいな。

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2017年を振り返る

2018-01-02 22:38:08 | コーラス、オーケストラ



激動の2017年が終わり、2018年の幕が開きました。振り返るに実に濃密な日々でありました。

①自分の指揮によるコンサート
1月
富士ベートーヴェンコーラス演奏会
ブラームス「ドイツ・レクイエム」、高田三郎「啄木短歌集」
ピアノ:杉山倍美、小沢さち

3月
長岡リリックホールに於けるモーツァルト「ジュピター」&「レクイエム」

4月
リスト十字架合唱団によるリスト「十字架の道行き」
オルガン:小沢さち

8月
女声合唱団スウィング ロビン第3回コンサート
ピアノ&オルガン:古門由美子

9月
大阪クラシックに於ける大阪フィル合唱団との高田三郎「水のいのち」
ピアノ:尾崎克典

11月
東京オペラシティ・タケミツメモリアルに於ける壮行演奏会
モーツァルト「レクイエム」「40番」「魔笛」序曲

12月
・ウィーン シュテファン大聖堂に於けるモーツァルト追悼「レクイエム」
・ウィーン カプツィーナ教会に於けるハプスブルク家に捧げるモーツァルト「レクイエム」オルガン:小沢さち

②大阪フィル合唱団の合唱指揮者として
1月
ニューイヤーコンサート
円光寺雅彦指揮

4月
オルフ「カルミナ・ブラーナ」大植英次指揮

7月
バーンスタイン「ミサ曲」井上道義指揮

10月
ドヴォルザーク「テ・デウム」ラドミル・エリシュカ指揮

12月
「躍動の第九」 井上道義指揮
「第9シンフォニーの夕べ」 尾高忠明指揮

それぞれ忘れがたいコンサートですが、自分の指揮によるものでは、母の死の4日後=11月16日東京オペラシティに於ける壮行演奏会から、12月5日、6日につづく、ウィーンのシュテファン大聖堂&カプツィーナ教会に於けるモーツァルト「レクイエム」公演がクライマックスであったことは間違いありません。自分の音楽人生に於いて忘れられない日々となることでしょう。

学友・崔文洙さんをコンサートマスターに、さらにフルート高野成之さんを管楽器のリーダーとして結成した東京ヴェリタス交響楽団とのモーツァルト「魔笛」序曲と「40番」も、実に美しい指揮体験でありました。

大阪フィル合唱団とのお仕事では、大植先生との「カルミナ・ブラーナ」、井上道義先生とのバーンスタイン「ミサ曲」、エリシュカ先生とのドヴォルザーク「テ・デウム」など、どれも意義のある印象深い演奏会でしたが、次期音楽監督・尾高忠明先生との「第九」では、大阪フィル合唱団とともに、これまで積み上げてきたことが、ひとつ花開いたような確かな手応えを覚えました。
これから、マエストロ尾高と、どのような作品をご一緒できるのか、本当に楽しみとなったところです。

そのほか、ラフォルジュルネ参加のため、バカロフ「ミサ・タンゴ」および「第九」を東響コーラスさんとレッスンできたことは大きな歓びでありました。またの共演を待望しております。





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