福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

大阪フィル500回定期に向けて

2016-03-14 06:16:36 | コーラス、オーケストラ


昨日は久し振りの大阪フィル合唱団の稽古。時間帯が聖トーマス教会&ゲヴァントハウス管の「マタイ」西宮公演と重なっていたので、そちらに行った団員さんも居たようだが、基本はNGとはいえ、今回に限ってはいろいろ感じて貰うのも悪くはないだろう。

本年の聖トーマス教会聖歌隊来日公演について、わたしの周辺にも好意的な感想は多々あり、それはそれで良いと思っている。それこそ、音楽に求めるものは聴き手の数だけあってよいのだから。

わたしには、どうやら大多数の人が気にもしないことを重大に捉える傾向があるようだ。それゆえに他の人にはない着眼点から個性的な(或いは抜本的な)音楽づくりが出来るのでは?と自認している。
他者の「マタイ」については、自分の思い入れが強いだけに、見えなくてよいことも見えすぎてしまったり、多くを求めすぎてしまうのかも知れない。
一方、シュヴァルツ氏の指揮を、聖トーマス教会の礼拝堂に座して聴くなら、別の感想も生まれる可能性もある。

実は、先日観た新国立劇場のヤナーチェク「イェヌーファ」(千秋楽)についても、音楽と台本の素晴らしさ、歌手の声に感嘆しつつも、オーケストラの色彩感やリズム感に違和感(平板に思えてならなかった)を持った。しかし、そんなことを言ってるのはわたしくらいのもので、殆どの批評はオーケストラを絶賛している。どうもわたしの価値基準や美意識は、世間の大半とは別のところにあるようだ。まあ、自分はその感性を武器に音楽づくりに邁進するしかない。たとえ、圧倒的大多数に支持されなくとも、一握りの深い共鳴者のために・・。

さて、大阪フィル会館で見つけたチラシである。演目は、バカロフの「ミサ・タンゴ」とベートーヴェン「エロイカ」。指揮は、もちろん、我らがマエストロ井上道義。

記念すべき500回定期演奏会に、大阪フィル合唱団を起用して頂けるというのは、なんと光栄なことだろう。ミサ・タンゴは、文字通りバンドネオンを従えた異色のタンゴ・ミサで、ラテン語ではなくスペイン語による歌唱。まさに抜群のセンスを備えた井上先生の個性にピッタリの音楽だが、普段タンゴにもスペイン語にも馴染みの薄いわたしにはひとつの挑戦となる。精一杯尽くしたい。

休憩後のベートーヴェン「エロイカ」は、創設者である朝比奈先生の十八番。500回定期という節目に、敢えて、ド真ん中直球勝負の選曲のなされたことに、井上先生と大阪フィルの心意気を感じるではないか。本年7月21日(木)、22日(金) フェスティバルホール。大いに期待したい。


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