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福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

驚異のワンポイント録音 愛知祝祭のブルックナー8

2015-08-01 13:44:21 | レコード、オーディオ



愛知祝祭管のBlu-rayディスクを鑑賞しながら、強烈に感動した場面のひとつがこれ。

トロンボーン奏者×3 + テューバ奏者、そしてオーボエ&ファゴット隊の勇姿ももちろんだが、その手前、空中に浮かぶ謎の物体に注目して欲しい。アクロバット飛行中のUFOではない。これこそ2014年10月24日に行われた愛知祝祭管コンサートのすべての音を捉えた三点吊りのワンポイントマイクなのである。

ワーグナー~バッハ~ブルックナーと編成も大きさも異なる3つのプログラムを補助マイクなしのワンポイントで録るというのは、大きな挑戦ではあるが、仕込みと撤収の時間が僅かしかない、という条件から、唯一の選択肢だった。そして、この背水の陣は見事な結果を生み出した。

オーケストラだけの録音でも高い技術とセンスの要求される場面、P席=ステージ後方の高所からのコーラス、パイプオルガン、ステージ前方のヴァイオリン独奏も含めて、すべてを理想に近い録音を成し遂げたエンジニアの小伏和宏氏(ワオンレコード)に、改めて敬意を表したい。



以下、ワオンレコードのホームページに掲載されている録音データとエンジニア小伏和宏氏のコメントを転載する。

CDをお買い求めの方、これから求められる方には、以下をお読み頂くことで、より深く味わいつつ演奏をお楽しみ頂けるはずだ。


タワーレコード オンライン http://tower.jp/item/3776402/ブルックナー:-交響曲第8番(ハース版),-他

HMV オンライン http://www.hmv.co.jp/artist_ブルックナー-1824-1896_000000000019429/item_ブルックナー:交響曲第8番、バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲、他 福島章恭&愛知祝祭管、古井麻美子、清水里佳子(2CD)_6146347


かもっくすレーベル OAF-1410
(2015年1月25日リリース) 税別¥2,778

録音日:2014年10月26日
場所:愛知県芸術劇場コンサートホール

Recording, Edit:小伏和宏
Cover design:小伏和宏

《DSD recording》
Microphone:MBHO MBP604/KA100DK
Method:OSS (Buffled stereo)
Pre-amp:Grace Design model 201
Recorder:KORG MR-1000 with Power supply:FSP 150W+Capacitor
Monitor:Grace Design m902B + Sennheiser HD580
《96kHz 24bit PCM editing》
DDC:Weiss Saracon-DSD
Audio-I/O:Weiss AFI1
Monitor:Waon Reference Monitor


■録音のこだわり
事前の下見がかなわなかった上に、仕込に許された時間が1時間しかなく、しかも舞台転換も超短時間、完全撤収も30分(結局伸ばしてもらえましたが…)の予定だったので、舞台上にスポットマイクを置くことが困難で、三点吊りのマイクだけで収録せざるを得ない状況でした。さらにフルオーケストラだけでなく、パイプオルガン、オルガンギャラリーの合唱団もそのマイクセットで収録しなければならなかったのです。音場再現だけを考えれば単一指向性マイクを使ったORTF法が適応できそうですが、この方法は低音が減衰してしまいせっかくのブルックナーのシンフォニーやパイプオルガンの迫力に水を差します。低音までフラットに録るには無指向性のマイクを使わなくてはなりません。舞台配置の関係でマイクから見た音源が左右それぞれ80°つまり左右見開き160°ほどにも広がっていましたので、140°までならリニアな音場再現ができるA-B法ではやや苦しい。マイク四本でPhilips方式も考えましたが、仕込時間が充分にありません。結局悪あがきはやめて、こういう状況での収録も視野に考案されたOSS(Optimal Stereo Signal)法を採用してマイク2本だけで録ることにしました。マイクにはMBHO社製高域補正型の無指向性マイクを、バッフルには不要な櫛形干渉が起きないSchneider Disc(やはりMBHO社製)を使用しました。結果的にこれが大当たりで、音質・音場再現ともに充分満足できる録音が出来たと思います。とても協力的な愛知県芸術劇場の舞台スタッフのおかげもあって、熱のこもった名演をなんとかお届けすることが出来ました。ぜひお楽しみください。


レコードを磨いて1日が終わる

2015-07-29 00:01:21 | レコード、オーディオ

厚木~大阪~倉敷~名古屋という、週末の無茶なスケジュールが祟ったのか、些か疲れが出て、今日は何をする気力も湧かず。

久しぶりの完全オフ日だというのに、レコードを磨いただけで終わってしまった。

本来は、26日に聴いた愛知祝祭管のマーラー「嘆きの歌」(初稿)についても書くべきなのだが、どうにもならない。

明日は長岡帰りに温泉宿に泊まる予定。英気を養い、復活したい。


コルトレーンを聴け! と呼ぶ声あり

2015-07-10 22:44:13 | レコード、オーディオ



ジャスには疎い。
少し前まで何を聴いても同じに聴こえたものだ。
即興演奏は凄いと思うけれど、どれもパターンが似ていて、ベートーヴェンの緻密さには敵うまい、とは今でも思う。
もっとも、ジャズ愛好家からすれば、ブルックナーの交響曲だってどれも同じに聴こえるに違いないから、お互い様だ。
それでも、時々マイルス・デイヴィスを聴くのは中山康樹が「マイルスを聴け!」と言ったからに他ならない(笑)。

ところで、今日、ボクがジョン・コルトレーンを聴いたのは、米CLASSIC RECORDS社による復刻レコードと出会ってしまったからだ。他に何ひとつ理由はない。同社のアンセルメ指揮のロイヤル・バレエ・ガラ復刻盤の超弩級の音に衝撃を受けてからは、ジャンルを問わず、この45回転片面プレス透明盤によるシリーズ(赤箱)を収集することに決めたのである。急いで集めるにはワケがある。米CLASSIC RECORDS社は、もう解散してしまっているので、日に日に市場から消えてゆく、或いは価格が高騰していくのだ。そのふたつとの追いかけっこである。

というわけで、コルトレーンについては、恥ずかしながら、まだウィキペディア程度の知識しかないのだが、何の先入観もないままに針を降ろしたこのアルバムには心奪われた。この演奏を批評することはおろか、自分の心の動きすら説明する力は今のボクにはないけれど、徐々に認識を深めていきたいと思う。

因みに、下の写真。
レコード盤にコルトレーンの透かしが入っているわけではなく、盤をジャケットの上に置いて撮影したまでのことである。

<John Coltrane / Blue Train>

1. Blue Train
2. Moment's Notice
3. Locomotion
4. I'm Old Fashioned
5. Lazy Bird

JOHN COLTRANE: Tenor Saxophone
LEE MORGAN: Trumpet
CURTIS FULLER: Trombone
KENNY DREW: Piano
PAUL CHAMBERS: Bass
PHILLY JOE JONES: Drums



 

因みに、昔、こんな記事も書いていたのを思い出したので、リンクを貼っておく。ご参考までに。

http://blog.goo.ne.jp/akicicci/e/68d40fc7fb5ac76a5685866bfcd6dcc8


片付け ~ 無制限一本勝負

2015-07-10 12:13:21 | レコード、オーディオ

仕事部屋の片付けをしている。レコードやCDが床を埋め尽くしており、収拾のつかない状況なのだ。

今日1日でどうにもなる筈もないが、途方に暮れてばかりもおれず、目の前の何点かを仕分けては棚に戻したり、ダンボールに収めたりしている。

BGMは、いずれもアナログ盤で、ラトル&ベルリン・フィル、
およびハイティンク&コンセルトヘボウのシューマン交響曲全集、レイボヴィッツ&ロイヤル・フィルのベートーヴェン「1番」「7番」など。

ラトルのシューマンについては、いずれじっくり向き合うつもり。



時間を惜しみ、昼飯は中村屋のレトルトカレーに目玉焼きとキムチを添えるという乱暴なもの。普段は納豆を添えるのだが、たまたま切らしていたので、遊び心から。

悪くはないが、カレーの風味がキムチに負けてしまうのは惜しい。これからは納豆を切らさないようにしよう。


エリシュカ先生 札響定期初日

2015-06-19 22:36:57 | レコード、オーディオ


実に素晴らしい演奏だった。
特にブラームス!

端正でありながら、内に熱い情熱を秘め、自然な呼吸から生まれる必然的なテンポ設定。そして、円熟の極みにありながらも、枯れたところのない若々しいエネルギー!

これは、明日の公演も楽しみ。

終演後、楽屋を訪ねると再び熱い抱擁(笑)。エリシュカ先生からはわたし宛てにお手紙まで頂戴し、これに勝る光栄はなし。帰宅したら世界堂に直行し額装しなくては! まさに家宝。

マエストロご夫妻には、家内の手による「さをり織り」のストールをプレゼント。喜んで頂けたのは何より。

かくも素敵なご縁を与えてくださった大阪フィルハーモニー交響楽団&合唱団にも感謝しなくては。


東条碩夫先生の日記

2015-06-12 13:51:08 | レコード、オーディオ

東条碩夫先生のコンサート日記に、エリシュカ&大阪フィル ドヴォルザーク「スターバト・マーテル」初日が採り上げられました。

大阪フィル合唱団への評価が高く、ホッとしています。

今後への励みとなりますね。

しかし、できることなら、2日目も聴いて頂きたかったものです。

東条碩夫のコンサート日記 http://concertdiary.blog118.fc2.com/blog-entry-2181.html

 「だが何といっても、今夜の演奏でオーケストラとともに光ったのは、合唱団だろう。120人以上の大編成だが、きわめてバランスの良い響きで、ふくらみがある。テナーの高音にちょっと粗いところはあったものの、それはほんのわずかの瑕疵に過ぎない。」


整体師との会話

2015-06-02 22:44:42 | レコード、オーディオ
身体のケアをして頂いているリエール整体院・津端先生と本日交わされた会話。

津「この後もお忙しいんですか?」
福「ええ、年内いっぱいは身動き取れないんですよ」
津「もし、3日間、仕事しなくていい、と言われたら、何をなさりたいですか?」
福「そうてすね。レコード屋に行ったり、レコード聴いたりしてますね」
津「・・・」(しばし、絶句)
福「昔、バックハウスという巨匠ピアニストが居て、余暇に何をするか?と訊かれたら、ピアノを弾いてます、と答えたと言いますけど、音楽家なんて、みんなそうなんじゃないですかね?」
津「はあ・・・」

ウルズラ・フート ブルックナー「交響曲第6番」

2015-06-02 10:34:27 | レコード、オーディオ

ウルズラ・フート(Ursula Huth)というガラス・アーティストに魅せられている。

わたしより10歳年長、ウルム生まれのドイツ人だ。

(少し前まで、ウルスラ・フースと表記されていたようで、その方が検索には引っ掛かる)

最近になって知った名前だが、調べてみると清里・清泉寮新館(KEEP国際研修交流センター)チャペルのステンドグラスや十字架などを作成しており、写真を観ると胸に突き刺さるように美しい。

写真はブルックナー「交響曲第6番」というシルクスクリーン。

内的宇宙へと誘われる青、ザンクト・フローリアンを想起させる緑(或いは、地球か?)など、まこと、ブルックナーに相応しい美しさ。

フート女史による一連の「シンフォニーシリーズ」(2002年)のひとつで、他に、「シベリウス 交響曲第1番」「マーラー 交響曲第5番」「オルフ カルミナ・ブラーナ」「バルトーク 管弦楽のための協奏曲」「バルトーク 弦、打楽器、チェレスタのための音楽」「ファリャ 三角帽子 第2組曲」「ホルスト 惑星」「ウォルトン パルティータ」「黛敏郎 オペラ古事記」などかあるという。

うち、「マーラー 交響曲第5番」は、東京交響楽団定期演奏プログラム「SYMPHONY」の表紙を飾ったこともあるらしい。いつの号だろうか?

それにしても、ブルックナーの「4番」でも「7番」でもない「6番」というのが、心爽やかではないか。シベリウスは「1番」より「3番」以降にして欲しかった、というのは贅沢な要求だな。

女史HPのmomentsという頁を訪ねると、同シリーズより7点の飾られた写真(Galerie Kuenstlerbund 13.09. - 11.10.2014)もあった。

追記

その後、調べてると、英語読みとチャンポンのウルスラ・フースの名で、多くのシルクスクリーン作品がセレスティンホテルの廊下や客室に飾られていることを発見。

ここに宿泊すれば、「ブルックナー 交響曲第6番」ほかを拝むことが出来る。

セレスティンと言えば、篤姫が過ごした薩摩藩上屋敷跡に建つホテルであり、我が両親の生まれ育った鹿児島との繋りもある。それが、この上もなく嬉しい。

 

ウルズラ・フート女史 HP: http://ursulahuth.de/index.php/herzlich-willkommen/

ギャラリー仲摩HP より: http://www.nakama.co.jp/huth.html

 

 


MERCURY LIVING PRESENCE コレクターボックス(Analog) 揃い踏み!

2015-05-11 23:24:15 | レコード、オーディオ


超絶な優秀録音を誇るMERCURY LIVING PRESENCEのコレクターボックス全3集(各6LP)。この度、入手し損ねていた第1集の中古を適価にて入手。Amazonなどで法外な値段に吊り上げられていて、一時は諦めていただけに嬉しい。

復刻盤ながらと言うべきか、復刻ゆえと呼ぶべきか、どの1枚を聴いても音の鮮烈さ、生々しさに驚愕するほかないが、第1集のドラティ指揮のチャイコフスキー「1812年」も、大砲有り、鐘有りの豪快な録音。しかし、要である演奏そのものがしっかりしているので、その効果音ばかりが浮き立つこともない。

ドヴォルザーク: チェロ協奏曲も、ドラティ指揮による明快にして音楽的なロンドン響とシュタルケルの剛毅なソロによる相乗効果で類い希な名演となっている。

いずれも、オリジナル盤は所有していないが、これだけ凄まじい音であれば、復刻盤だけでも十分かな。




クライバーのトリスタン 1976

2015-05-07 13:07:01 | レコード、オーディオ



先日都内で手に入れたカルロス・クライバー指揮「トリスタンとイゾルデ」の1976年バイロイト・ライヴに針を降ろしてみた。

お店で試聴したときの印象は、「エアチェック由来の海賊盤としては、なかなか!」というものだったが、我が家のシステムではなんとも聴くに耐えない音質でちょっとガッカリ。

少年時代、ラジカセで楽しんでいたカセットテープをメイン・システムで鳴らして失望した感覚に似ている


演奏は間違いなく第一級であり、リゲンツァの歌う「愛の死」を、正規音源で聴いてみたいものだ。