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福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

来たぁ! カルロス・クライバーのベートーヴェン・ボックス 3LP

2015-04-01 00:04:58 | レコード、オーディオ



当初、見送るつもりだったカルロス・クライバーのベートーヴェン・ボックス。盤友の煽りに乗せられて、ついつい注文してしまった。

躊躇した理由は、既に「4番」はアナログ化されていること。「田園」の音源がカセットテープとのことで音質に期待がもてないこと。その二点であったが、突如沸き起こった「7番」を聴きたい誘惑に抗うことは出来なかったのである。

そして、「7番」を聴き終えた今、無駄な抵抗はするものではないことを、興奮とともに改めて感じ入っているところ。

まさに天才の業。
狂気と紙一重の一期一会の芸術が、アナログ化によってズシリと重たいものとして心にの襲いかかってくる。

音質も、これまでに知るオルフェオとは一線を画す。

「4番」など初出盤と較べると、中域から低域の情報が増えているだけでなく、奥行きの深さや空間の大きさが感じられるなど、全体に立体感が増していているのが嬉しい。

「6番」は、元がカセットテープ音源とのことで、かつてCDで聴いたときは全く感心できなかったが、今回は期待を遙かに上回った。古い海賊盤CDを聴くことを思えば、それよりは条件が良いので、これもありだろう。

「4番」「7番」のセットに、ボーナス盤が付いたと考えれば、これほどのお宝はないとも言える。

ベートーヴェン:
● 交響曲第4番変ロ長調 op.60(録音時期:1982年5月3日)
 LP1 A面:第1楽章、第2楽章/B面:第3楽章、第4楽章

● 交響曲第6番ヘ長調 op.68『田園』(録音時期:1983年11月7日)
 LP2 A面:第1楽章、第2楽章/B面:第3楽章、第4楽章、第5楽章

● 交響曲第7番イ長調 Op.92(録音:1982年5月3日)
 LP3 A面:第1楽章、第2楽章/B面:第3楽章、第4楽章

 バイエルン国立管弦楽団

 録音場所:ミュンヘン、国立劇場(第4番、第7番) 国立歌劇場(第6番)
 録音方式:ステレオ(ライヴ)

 3 LP
 プレス工場:P + O Compact Disc(ディープホルツ、ドイツ)
 180グラム重量盤

 


村上春樹さんの至言

2015-03-23 10:25:31 | レコード、オーディオ
以下、Facebookで知った村上春樹さんの人生相談。

期間限定公開とのこと。
取り返しのつかない事態に陥る前に是非ともお読みください。

しかし、既に嵌まってしまった人には何と言ってくださるのだろう?

お悔やみだっりして(笑)。

レコード体験には十分ご注意ください - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト


大原コレクション ~ SPレコード編!

2015-03-22 17:13:36 | レコード、オーディオ
本日の女声合唱団 KIBIのレッスンは、いつもの新倉敷から場を移し、美観地区に位置する倉敷公民館にて。



三階のレッスン会場の隣の部屋が音楽室となっており、何やらよい空気が漂っているので覗いてみると、実に壮観でした!





大原コレクションのSPレコードがズラリと並び、蓄音機も鎮座しておりました。スピーカーはB&W(これは新しいもの)。大原美術館の収蔵品ほどの価値はないでしょうが、嬉しいですね。

リクエストすれば、コレクションの中から10分ほど試聴させて頂けるとのこと。本日はレッスンのため叶わなかったけれど次の機会が楽しみになりました。





なお、レッスン室の隅には、誰にも使われている形跡のないワーフェデール(写真下)が寂しげに置かれていました。かつて、どんな美音を鳴らしていてくれたのでしょうか?



レコード手放し難し

2015-03-11 01:11:48 | レコード、オーディオ

反断捨離連盟名誉会員のわたしではあるが、そろそろレコードの一部を処分をしないことには家での暮らしが立ちゆかなくなってきた。

しかし、いざ処分候補の盤を聴いてしまうと手放し難くなってしまうのは人情だ。

たとえば、同じ指揮者のベートーヴェン交響曲全集でも「テスト・プレス」盤と正規発売盤では、微妙に音質が違って、どちらかを選べなくなってしまう。

数時間かけて、あれこれ聴き較べて、結局2組とも棚に戻してしまうのだから、始末に負えない。

また、明らかにテスト盤の方が音が生々しいのに、そのうちの1枚のコンディションが悪いがゆえに、もう一組を残さざるを得ないというケースもある。

困ったものだ。

桜の咲く頃までには、ある程度の目処は立つのだろうか?

 

 

 


内田光子のモーツァルト・ソナタ全集より

2015-03-09 09:44:57 | レコード、オーディオ


カードリッジ再復活後、最初に鳴らしたレコードはこれ。

内田光子によるモーツァルト ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331「トルコ行進曲つき」。
第12番へ長調K.332、幻想曲ニ短調K.397がカップリングされている。

ピアノものにしたのは、大音量のオーケストラものにすると、届くはずの宅配便のベルが聞こえなくなるから、という消極的な理由だったが、そんなことはどうでもよい。改めて素晴らしい演奏であり、録音である。

内田光子のモーツァルトといえば、テイトと共演したコンチェルトばかりに人気が集まり勝ちだが、なかなかどうして、ソナタも超一級の名演奏だ。

内田光子のソナタ全集が、コンチェルトに較べ、いまひとつ人気の出なかった理由は、奔放さの抑制された内面的なパフォーマンスにあるのかも知れないが、ここに広がる内的な宇宙こそ無限ではなかろうか?

タッチの煌めく美しさ、千変万化の音色の移ろいやモーツァルトと一体化する呼吸を、何者にも邪魔されず堪能できるのだから、このソナタ全集こそ、わたしにとって大きな宝である。

深遠をのぞきこむような幻想曲K.397とともに我が魂は、彼岸を逍遙する。というけで、2枚目のレコードは幻想曲 ハ短調K.475~ソナタ第14番ハ短調K.457を収めた第4集としよう。

それにしても、いつもながら、内田光子の楽器のコンディションは最上で、録音もとびきりに美しい。この極限の美の再生はアナログ盤ならではの歓びと言えるだろう。



さて、前回とはカードリッジが替わった。ZYX LIVE18である。リード線は光悦(現行版)。

最初、LYRA Titanに組み合わせていたZYXであるが、再生を重ねるうちに高音の強さが気になりはじめ、Titanは神木の木製カードリッジに戻し、これを持ってきたのである。

接続部の誘電性エポキシ(銀入り)は、まだ乾燥しきっていないが、今のところ音質に問題はない。

午前4時の復活

2015-03-09 04:10:51 | レコード、オーディオ

前の記事に書いた緊急課題とは何か。

先日、復活を歓んだばかりのカートリッジが突然、沈黙してしまったのである。

これはもう、最初に端子が折れたとき以上のショックで、コンサートの感想どころではなく、音を出すまでは眠るわけにもいかない。

溜まっている譜読みや勉強も明日以降にスライドだ。

原因は予想の通り、単純な接触不良。

技術系だったり、手先の器用な人間なら、一発で綺麗に決めていたのだろうけど、どちらにも該当しない我が不器用さゆえに処置が甘かった。

前回塗布した二種の瞬間接着剤を剥がし、さらに接触部を磨いて接続しては通電テストの繰り返し。

もはやダメかと諦めかけたとき、ようやく音が出てくれた。万歳と言うよりは、やれやれ・・・。

時計の針は午前4時過ぎを回っている。

しかし、よかった!

接着剤の剥がされた痕で、見てくれをさらに醜くしながら、愛機は再びの復活を遂げた。

不思議なもので、壊してしまう以前より愛着が増している。

さあ、寝よう。目覚めたら、どのレコードを聴いて、祝おうかな?


新譜に針を降ろす歓び

2015-03-07 09:35:13 | レコード、オーディオ


カードリッジのセルフ修理の成功に自己満足したわたしは、いろいろのレコードを再生しては悦に入っていたのだが、その中でも新鮮な感動を得たのが、メータ&ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート2015(3LP)である。

つい先日のライヴが、CDやDVDならいざ知らず、こんなにも短期間にLP化されるというのは驚異だ。関係者の努力に頭が下がる。そして、演奏にも音にも満足した。

アナログは、どうしても昔の名盤の再生が中心となるが、かつては毎月の新譜にワクワク、ドキドキした時代があったわけで、こういう「いま生まれた」レコードを聴く歓びは格別だ。

ついでに、2014年のバレンボイムも聴いたが、わたしにはメータが好みかな。2013年のヴェルザー=メスト盤も持っていたのだが、心に響くところ少なく処分してしまった。後から感想が変わることもままあるので、早まったか?


見捨てられたカードリッジの復活!

2015-03-05 20:18:56 | レコード、オーディオ
リード線交換の際、うっかり端子を折ってしまった(というか、根元から引っこ抜いてしまった)アナログ盤再生用のカードリッジ。



販売店に問い合わせたたころ、「製作者によれば、この製品は一体型で分解できないため、部品の修理、交換は不可能。お気の毒ながら諦めて頂くより他ありません」との悲しいお返事が届いた。茫然自失とはこのこと。

しかし、このまま、打ち捨てるには余りに惜しい逸品。なんとか蘇らせることはできないか? ということで、閃いたのが「通電する瞬間接着剤があれば、修復できるのではないか?」という我ながら秀逸なアイデアだ。

早速、検索すると、あるではないか! 銀の混ぜ込まれた誘電性エポキシ接着剤が。しかも、微量で事足りるため、お値段は1,000円未満! これで直れば、しめたものである。

というわけで、その場でネット注文。本日、修復を試みたところ、これが大成功。音質的にも全く問題なしに再生できているのである。販売店や製作者にまで見捨てられた愛機が蘇生したのだから、こんなに嬉しいことはない。



ただし、直径1ミリにも満たない端子なので、接着面があまりに小さ過ぎる。そこで、銀入りエポキシがある程度固まったところで、その上から通常の強力タイプの瞬間接着剤でコーティングして補強を図った。それでも、強度が最低限なのは致し方ない。もう、二度とリード線の交換のできないものとなってしまったが、それでもゼロとは大違い。ああ、本当によかった。

追記
おっと、写真で気付いた。シェルの指かけが逆さまだ。湾曲方向が変。余程切羽詰まっていたんだな。お恥ずかしい。後で直さなくては(笑)。












レコード棚の補修 ~ 業務停止中

2015-03-03 11:55:03 | レコード、オーディオ


レコード棚の棚板がレコードの重さに耐えきれずにしなり、ダボから外れかけて、崩壊の一歩手前。

これは危険というわけで、ご近所のホームセンターで、L字型の金具を買ってきて補修することに。



そもそも、レコード専用の棚、または造り付けの棚をはじめから設置していたなら、こんなことは起きなかったのだけど、この規模となるとどちらも予算的に厳しく、IKEAで一番頑丈そうは本棚を買ってきて据え付けたというもの。

しかし、この棚を運ぶのに車で何往復もしては、ひとり組み立てるのは大変だったなぁ。当時はオデッセイに乗っていたから何とか運べたが、いまの小ぶりの車ではとても不可能だ。

今回は、金具を付ける作業よりもレコードを移動させるのに往生している。これだけの重さなら、棚板が悲鳴を上げるのも仕方ない、と妙に納得。



楽しいとは言えない作業の心を励まし、盛り立ててくれるBGMは、シノーポリの「蝶々夫人」。LP最末期の1987録音。シノーポリの音楽設計も見事でフレーニ、カレーラス、ベルガンサも名唱。しばらくは、このレコードにはまりそうな予感。


齋藤秀雄の「田園」に平伏す

2015-03-01 10:10:23 | レコード、オーディオ


齋藤秀雄の芸術 Ⅰ、Ⅱ(ビクター)
各3CD + 特典盤1

昨日、第2集をようやくゲット。
桐朋学園卒業生の端くれ(劣等生)として、これは聴かねばならぬ!

しかし、ミケランジェロ弦楽四重奏団を聴いたその日に50年以上昔の今井信子のソロ(モーツァルト: 協奏交響曲)を収めたCDに出会うとは! なんという巡り合わせだろう。

いま、冒頭のベートーヴェン「田園」1973年ライヴを聴いたが、これは古今東西、数ある録音の中でも特筆すべき最上級の名演だ!

当時の桐朋学園オーケストラの上手さにも舌を巻くが、それ以上に齋藤秀雄の知的な、しかし人間味溢れる音楽に心揺さぶられる。

第1楽章後半のサプライズは、シューリヒトすら思わせる。ある意味、シェルヘンより個性的だけど、決して邪道ではない王道!!

もはや平伏すのみ。恐れ入りました。