徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

大正・昭和の風景版画家 川瀬巴水展(後期)

2006-09-05 | 美術
大正・昭和の風景版画家 川瀬巴水展
2006年7月25日から9月3日
8月15日から9月3日(後期)
ニューオータニ美術館

千葉市美術館の記事は、こちら
前期の記事は、こちら

前期に引き続いて、後期も川瀬巴水展に行ってきました。2度目ともなると(千葉市美術館もいれると3度目ですが)、すこし順を時間順に鑑賞できるようになってきます。やはり震災前が個性があっていいですね。北斎のような構図を楽しんだ作品や、夕暮れや夜更けの世界を描いた作品もいいですが、「日本風景選集」や「旅みやげ第三集」も、カラフルで、技術が完成している、遊び心があっていいですね。でも意外にも、日本風景選集も旅みやげ第三集については、今回は展示されていない作品が多かった。是非、震災前の作品すべてを拝見したいものです。

初期の版画
初めの3点の版画のうち、今回展示されていたのは、《塩原おかね路》(1918)

旅みやげ第一集 全16図(今展覧会では12図を展示)(1919-20)
《陸奥蔦沼》翠と藍の濃さに吸い込まれるよう
《房州岩井の浜》前景が浜、遠景に半島、中景は海。2つの海岸線が斜めになっている構図。泡立つ波際の表現、そして海岸を歩く牛が旅情を誘う。
《金沢ながれのくるわ》月の光が細かい波間に浮かぶ。

東京十二題(1919-1921)
視点は北斎で、大正期の東京の風景を描くシリーズ。夕暮れの風景も多い。
なお、東京国立近代美術館の「平成18年度第2回所蔵作品展」でも《深川上の橋》と《木場の夕暮》の2点が展示されていた。(9月3日)

東京十二ヶ月(1920-1921);トンド形式

旅みやげ第二集 全28図(今展覧会では13図を展示)(1919-20)
《奈良二月堂》;晴れの二月堂と《雨の清水寺》と並べて見たかった。
《新潟五菜堀》;真っ暗な月明かりが堀に
《月明りの加茂湖(佐渡)》;薄明かりを表す舟の影。ここまでも闇のような薄明かりを描こうとする画家は居たでしょうか?
《越後のうら浜》北斎神奈川沖浪裏 巴水越後版

日本風景選集 全36図を予定5図残して中断(今展覧会では12図を展示)(1922-23)
カラフルなシリーズ。光と影も明瞭に描かれる。
《鹿児島桜島》桜色にそまる桜島

旅みやげ第三集 全26図を予定5図残して中断(今展覧会では6図を展示)(1924-28)
こちらもカラフルなシリーズ。
《出雲松江》は3種類が図録に採録されている。千葉市美術館でも《出雲松江(曇り日)》は気にいった作品だった。今回は前期も後期にも展示されず残念。

ここから震災後の作品。
東京二十景(1925-1930)
《馬込の月》;こちらは今回の展覧会のポスターにもなっている作品。青い闇夜と黒い木の影。技量と遊び心が掛け合わさった作品。他の作品は一寸平凡な風景写真的。

東海道風景選集全26図(1931-1947)
《東海道原の富士》など今回は富士を描く作品が目に付きました。やはり戦時中ですね。富士の表現はリアルです。

(18日)

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3 コメント

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川瀬巴水のすべて (とら)
2006-09-05 08:02:22
lysanderさん

今年の夏は偶然が重なって巴水を沢山観ましたね。

彼の全作品を一堂に集め、集別に並べた回顧展を観てみたいと思います。
返信する
Unknown (はろるど)
2006-09-05 22:37:19
ak96さん、こんばんは。

どれも情緒ある作品ばかりですが、

やはり震災前のものが特に良かったですよね。



>青い闇夜



水辺の景色もそうですが、

この青には惹かれました。
返信する
失礼しました (とら)
2006-09-06 08:50:22
ak96さん

お名前を間違えてコメントしたようで大変失礼しました。やはり車「寅」次郎ですね。
返信する

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