日米共同声明でTPP交渉の参加にあたって「関税撤廃」を強制されない、選挙で約束した「聖域を設けない関税撤廃を前提とするTPPには参加しないことが確認された」と言い放った安倍首相でした。トンチンカンぶりを如何なく発揮してマスコミの質問を視ていただければと思います。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/naigai.html
またTPP参加を煽る全国紙は、この言葉をそのまま垂れ流しました。これについては、以下の記事を掲載しました。
対米従属を卑屈なまでに露わにした安倍首相と全国紙社説、政権公約違反の声に晒して内閣打倒を!
http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/54513b753ac6e24defa3a8333533d745
自由と民主主義はお坊ちゃまに全てお任せで決着したデタラメ声明=TPP参加決定は国民との矛盾拡大で・・・!
http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/f10c42afd5d638d2e89f296fe19ba0f5
昨日自民党のTPP対策委員会(西川公也委員長)は総会で交渉参加の容認を決めました。
自民、交渉容認へ 慎重派にも配慮2013.3.13 21:04
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130313/stt13031321050005-n1.htm
自民反対派、あっさり了承 TPP交渉 2013年3月14日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013031402000128.html
…カナダ、メキシコ両国が昨年交渉参加した際、既に参加していた米国など九カ国から不利な条件の受け入れを求められたことや、米側が日本との事前協議で自動車や保険に関して「あまりに不公平」(民主党の前原誠司衆院議員)な要求をしていたことが明らかになった。日米政府間の事前協議で、コメなどの農産品の関税維持はこれまで議題にせず、今後も議題として取り上げないことも分かった。TPP参加が国民生活に大きな影響を与えないのか、分からないままだ。首相は決議にあるように、十分な情報を国民に提示し、戦略的方針を確立することが求められる。(引用ここまで)
TPP 米、車・保険で譲歩要求2013年3月12日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013031202000130.html
民主党の前原誠司衆院議員は十一日の衆院予算委員会で、環太平洋連携協定(TPP)の事前協議で、米側が自動車の安全審査の除外やかんぽ生命の学資保険の内容変更などを交渉参加入りの条件として民主党政権当時の日本政府に要求していたと明らかにした。安倍晋三首相は近く交渉参加表明する意向だが、米側は安倍政権にも同様の要求をしている可能性が高い。 前原氏は、米政府が野田政権当時の日本政府に、TPPの事前協議で(1)米国が輸入乗用車に2・5%、トラックに25%を課している関税撤廃に猶予期間を設ける(2)米国の安全基準を満たした車は日本の安全審査なしとする輸入枠を米韓自由貿易協定(FTA)と同様に設ける(3)かんぽ生命の学資保険の内容変更-を要求したと説明した。 前原氏は、これらの要求について「米政府が、これらを武装解除しなければ(日本がTPP交渉に参加するために必要な)米議会への通告をしない、と言っていた」と指摘。「われわれは、あまりに日本に不公平だったので妥協しなかった。安倍政権は妥協して交渉参加表明することはないですね」と譲歩しないよう迫った。 首相は「交渉していることをいちいち外に出していたら交渉にならない」と明確には答えず、「守るべき国益は守っていきたい」と述べるにとどめた。 首相は、事前交渉の内容について「(当時の政府関係者として)守秘義務がかかっているはずだ」と前原氏をけん制したが、前原氏は「本当に国益にかなうか、(首相が)見切り発車をしないために言った」と反論した。 前原氏は野田政権で民主党政調会長を務め、昨年十月から衆院解散までの三カ月間は、TPP交渉問題を担当する国家戦略担当相だった。 衆院予算委では民主党の玉木雄一郎氏が、首相がオバマ米大統領との日米首脳会談で確認した日米共同声明で自動車や保険部門が懸念事項として明示されたことを追及。「譲歩を具体的に行わなければ交渉参加できないのではないかと言われているが、門前払いを約束したものになっていないか」と指摘した。(引用ここまで)
TPP 首相「熟慮の時間ない」2013年3月9日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030902000258.html
安倍晋三首相は九日午前、BS朝日の番組に出演し、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題で、米国が年内妥結を目指していることについて「判断、熟慮する時間が限られてしまっているのは事実だ」と、日本にとって厳しい状況にあるとの見解を示した。 首相は、先に交渉を始めた米国など九カ国が後発組に不利な条件を課していることに関し「最初に入った人たちは、自分たちの議論を覆されたら困ると思うだろう」と指摘。「ただ、われわれも参加の判断をしたら、きっちり主張していきたい。強い交渉力を持って結果を出していく責任を背負っている」と強調した。(引用ここまで)
TPP不利な条件 首相、事実説明を拒否 照会の有無も答えず2013年3月8日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030802000256.html
安倍晋三首相は八日午前の衆院予算委員会で、環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加に関連し、カナダ・メキシコ両国が交渉参加に際し、既に交渉を始めていた九カ国から不利な追加条件の受け入れを求められていたことを民主党政権時代に日本政府が把握し、両国に問い合わせをした事実について「相手国に問い合わせをしたかどうかも、この場で言うことは今後の情報収集に大きな影響がある」と、明らかにしなかった。 不利な追加条件については、カナダ・メキシコ両国の交渉参加が決まった二〇一二年六月までに日本政府が把握し、両国政府に「こんな条件を受け入れるのか」と問い合わせをしていたことを、野田前政権の関係者が認めている。
首相は、不利な追加条件を政府が把握していたかどうかについても「参加国同士のやりとりは当然、(参加国に)守秘義務がかかっている。私たちはコメントするべきではない」と答弁を拒否した。 その上で、参加条件も含めた関係国間のやりとりについて「TPP交渉にまだ参加していないから、情報収集は難しい」と釈明した。 岸田文雄外相は「少なくともわが国には、そうした条件の提示は全くない。引き続き情報収集に全力を挙げる」と述べた。 岸田氏は、関係国からの情報収集では日本など遅れて参加を希望している国に(1)包括的で高いレベルの貿易自由化を約束する(2)交渉進展を遅らせない-などの要求があることを示した。 質問した日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長は「政府が交渉参加のルールを探って議会に説明するのは当然の責任だ」と批判した。(引用ここまで)
極秘条件 6月には把握 TPP 政府公表せず 2013年3月8日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030802000116.html
図は省略
環太平洋連携協定(TPP)交渉参加をめぐり、先に交渉を始めた米国など九カ国が遅れて交渉参加したカナダとメキシコに交渉権を著しく制限した条件を課した事実に関し、民主党政権時代に日本政府が把握しながら公表しなかったことが新たに分かった。安倍晋三首相は、近く日本の交渉参加を正式表明する方針だが、国民生活に重大な影響が及ぶ可能性が高いTPP問題で、現政権が説明責任を求められるのは確実だ。 一連の事実は、複数の日本政府関係者や外交関係筋への取材で明らかになった。 TPPをめぐっては、九カ国は二〇一〇年までに交渉入り。九カ国は、一一年十一月に参加の意向を表明したカナダとメキシコ両国に対し、すでに合意した条文は後発の参加国は原則として受け入れ、交渉を打ち切る終結権もなく、再協議も要求できないなどの不利な条件を提示。両国は受け入れ、念書(レター)も交わしたが、極秘扱いにしている。 当時の野田政権は、この事実をカナダとメキシコの参加意向表明後に把握。著しく不利なため、両国政府に水面下で「こんな条件を受け入れるのか」と問い合わせたが、両国は受け入れを決めた。両国の交渉参加が決まったのは昨年六月、実際の参加は同十月で、野田政権は昨年六月までには念書の存在を把握していた。 野田政権は両国の参加国入り後も、新たな後発国が九カ国の決めたルールを守る義務があるのかを探った。両国と同様、後発国は再協議できないとの情報を得たが、事実関係を詰める前に十二月の衆院選で下野した。 先発組と後発組を分けるルールの有無に関し、安倍首相は七日の衆院予算委員会で「判然としない部分もある。参加表明していないから十分に情報が取れていない」と否定しなかった。 菅義偉官房長官は記者会見で「わが国としてメキシコ、カナダのTPP交渉国とのやりとりの内容は掌握していない」と述べたが、政府関係者は本紙の取材に「九カ国が合意したものは再協議できないとの話は聞いたことがある」と認めた。 カナダとメキシコの事例では、秘密の念書は交渉参加の正式表明後に届く。安倍首相はオバマ米大統領との会談を受け「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」と強調しているが、野田政権の政務三役経験者は「カナダとメキシコが条件をのんだことで、日本も約束させられる危険性がある」と指摘する。 オバマ氏は先月の一般教書演説で、TPP交渉妥結を目指す考えを明言し、米政府は年内決着を目標に掲げた。九カ国が交渉終結権を握れば、年内という限られた期間に、日本はなし崩しに農業など各分野で譲歩を迫られる可能性もある。(引用ここまで)
TPP「聖域」守れない=交渉参加に不当な条件
http://www.kasai-akira.jp/news/130309-111813.html
<TPP問題>実際に守ってるのは米国益/日の丸に頭下げさせ国を売る/新顔は蒸し返すなという交渉
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/826.html
TPP参加に極秘条件あり!後発国、再交渉できず!
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-d101.html
以上、「東京」を中心にTPP交渉参加のウソとペテンぶりをみてみました。こうした諸事実が判っているにもかかわらず、「交渉に参加してみなければ判らない」「聖域を撤廃されないよう交渉力を高め強く交渉していく」「輸出業はプラス」「今のままでは農業もつぶれる、それよりも競争力をつけて対抗して」「聖域が守れなければ交渉から抜ければ良い」などとアチコチで扇動して交渉参加を正当化しているのです。その典型が昨日の自民党のTPP対策委員会でした。
これを視て、これほど有権者をバカにした話はないと思いました。
先の総選挙でTPP交渉参加に反対を表明して当選した議員たちは、「公約違反」問題は、「次の総選挙までは時間があるので、有権者も忘れるだろう」程度のことしか考えていないのでしょう。問題は7月の参議院選挙です。彼らの心配は切実です。だから、パフォーマンスを演出し、演じました。
「静かにしろ!!」「声を張り上げるな!」 TPPめぐり、自民会合であわや乱闘騒ぎ 013.3.11 19:43
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130311/stt13031119450000-n1.htm
だからこそ、時間稼ぎをしたのです。ウソと判っていることなのに、自民党は先送りをすることで、有権者をごまかそうとしたのです。こうした手法が自民党を追い込めていくのか、TPPに参加することで「主権国家」としての機能をかなぐり捨てていくのか、今後のたたかいの成否にかかっているでしょう。
その際の最大の問題は、マスゴミです。これだけの「公約違反」問題を、民主党時代の、普天間・消費税のようには取り上げないのです。「東京」でさえも、「首相は決議にあるように、十分な情報を国民に提示し、戦略的方針を確立することが求められる」と述べているのです。「戦略的方針の確立」とは何か?です。これまた追認と茶番以外の何物でもありません。
安倍首相の「戦略的方針」とは「日米同盟の深化」と「憲法9条の改悪」なのです。それを「確立することを求め」ているのですから、呆れます。「比較的まともな『東京』にして」こうなのです。日本のマスコミ・メディアの退廃ぶりには怒りが湧いてきます。今日の「東京」の「筆洗」は以下のように述べているのです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013031402000132.html
オバマ米大統領との首脳会談で「聖域」を勝ち取ったというパフォーマンスを演じた安倍晋三首相にだまされたふりをしているのか、環太平洋連携協定(TPP)反対を公約して当選した自民党の衆院議員が静かだ▼事実上、交渉参加を容認する党の決議案をきのう了承。これを受けて、首相はあすにも交渉参加を正式表明する。選挙前にあれだけ激しく反対していた人たちの驚くような豹変(ひょうへん)ぶりだ▼民主党政権時代から、政府は大事なことを隠している印象を持っていたが、極めて重要なことが分かってきた。交渉の根幹にかかわる内容である▼遅れて交渉参加を表明したカナダとメキシコは、既に交渉を始めていた米国などから「交渉を打ち切る権利は九カ国のみにある」「現在の参加国間で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できない」などと極めて不利な条件をのまされ、その念書を両国は極秘扱いにしていた▼交渉参加を正式に表明しても、参加国と認められるまで三カ月以上、日本政府は協定条文の素案や交渉経過を閲覧できない。これでは、日本側がルールづくりに主張を反映させる余地が乏しいのは明らかだ▼支持率の高い首相には勝てないという判断なのか。死守できる聖域は果たしてどれぐらいあると、自民党の議員の皆さんは考えているのだろう。有権者への背信とは思わないのですか。(引用ここまで)
どうでしょうか?ま逆のことを同じ紙面で書いているのです。「自由」と言えば聞こえは良いでしょうが、こうした「論評」が国民にどのような影響を与えているか。そうして決定された政策が国民生活にどのような災厄をもたらしてきたか。小泉構造改革礼賛報道で結論は見えています。
それでは何故、このようなウソとペテンがまかりとおっていくか。それは対等な「日米同盟」を求めた民主党ではなく、従属の「日米同盟」への復帰を自民党政権に委ねるための一つひとつの布石だったのです。安倍首相の「共同声明」と全国紙の評価と安倍内閣の支持率はそのことを象徴しています。
その芝居は、実は、赤木昭夫「日本財政の結末 ジャパノミクスとポピュリズム」(『世界』4月号)に解明されています。以下要点を掲載しておきます。
「政権を取れば、物価上昇率が三%になるまで無制限の金融緩和(継続的な国債買い入れ)を日銀に求めると言明」した安倍首相の発言は、実は「財務省の見えない網」によって仕組まれたものであり、その後、この「網」が「政党間に張り巡らされてい」く「舞台裏」の話を検証しています。そうして「財務省、学者、自民党政調部会、超党派議員連盟へと賛同の輪を広げ、記者クラブを通じてマスコミも使って、政策を浸透させ、実現させていく政治手続き、いわゆる根回し、『空気』の醸成が、官僚と政党の間で日常的に繰り広げられている」という指摘です。これは消費税増税への布石としてのアベノミクスの話ですが、政策のあらゆる分野で官僚主導の「政府」の「政策」実現パターンを指摘しているだろうと思います。(引用ここまで)
ところが、まともなメディアもあります。
TPP参加は売国の所業 株高の裏で進むこの国の破滅(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/13/senkyo145/msg/172.html
「TPP参加」大合唱 大新聞テレビの身勝手大追跡 2013/3/14 07:00 - 日刊ゲンダイ
http://netallica.yahoo.co.jp/news/20130314-00000003-a_aaac
日刊ゲンダイ記事「スッパ抜きTPP日本支配草案」
http://richardkoshimizu.at.webry.info/201303/article_38.html
アメリカ市民団体がTPPについて報道した驚異の内容とは
http://www.youtube.com/watch?v=HLVKAalmD48&feature=youtu.be
その他『世界』4月号に、参考になる論文を紹介しておきます。
鈴木宣弘「許しがたい背信行為 この国に未来はあるのか」
孫崎享「国家主権投げ捨てる安倍政権」
孫崎氏は今朝のテレビ朝日モーニングバードに出演し解説しました。コメンテーターは言葉を失っていました。当然です。そういう意味ではアッパレ!です。国民世論を反映したのでしょうか?こういう番組が繰り返されていったら、どうなるか。明らかです。