岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

二子沼から松代登山道尾根に抜ける(2)

2010-03-09 05:16:22 | Weblog
 (今日の写真も「二子沼」から松代登山道尾根に抜けるブナ林だ。
 3月5日の午後1時過ぎに撮ったものだ。位置的には低い「切り通し」状の数10年も前のものであろう古い「林道」よりも上部である。
 このブナ林に沿ってほぼ真っ直ぐに登ると、やがて左岸尾根に「カラマツ」の植林地が出てくる。そのカラマツ林の上端から大白沢上部を跨ぐようにして対岸尾根に取り付くと、そこが「松代登山尾根の右岸となる。その右岸もまた「カラマツ」林だ。
 昭和40年代に「林野庁」は徹底して「ブナ」を伐りまくった。そして、その伐採地にカラマツやスギを植えた。「数10年も前のものであろう古い林道」は、その頃、伐採と植林のために造られたものである。
 果たして、そのカラマツ林に接する下部は「スギ」の植林地となっていた。古い林道はそのスギ植林地へと斜めに山側に下っていた。積雪があと1m多ければ完全にこの「古い林道」跡は見えない。
 また、その積雪は垂れ下がったスギの枝を取り込んで「閂(かんぬき)」状に行く手を阻む。どんなことをしても「楽」には進めるものではない。それは、背丈が低いからである。
 スギ林は枝打ちなどの「手入れ」をして育てないと大きくはならない。この「林道」跡も、そのための作業道として使われていたものであろう。しかし、林野庁は植林した「スギ」林を10数年前から完全に「放置、放棄」している。
 その所為だけではないが、この「スギもカラマツ」も非常に背丈が低い。成長していないのだ。
 このスギ林もカラマツ林も、かつては今日の写真のようなブナ林だった。伐らなければ、「今日の写真」そのものなのである。植えたものの「育たない」
し「育て」ない。これでは、責任放棄である。
 林野庁は私企業ではない。国民の税金で事業をしている国家の機関である。たとえ、私企業であっても「自然」に関わることには責任があるというのに、国家の機関がこの無責任さだ。
 どだい、植えた場所の標高が高すぎる。位置としては岩木山の北西面である。これだと、「冷涼」過ぎて樹木の生育は緩慢になる。中には枯死するものもある。
 カラマツ林内にはところどころに、ひこばえや実生から育った「ブナ」が生えている。何とそれが、「植えられたカラマツ」よりも大きく育っているのだ。自然のものが「人工的」に植えられたものよりも丈夫に育ち、大きくなっているのだ。「ブナ」が5m程度とすれば「カラマツ」は3m程だろうか。) 

◇◇ 二子沼から松代登山道尾根に抜ける(2) ◇◇

 私たちは、少ない「積雪」によって阻まれないスギ林の中を進むことにした。沢左岸斜面に広がるスギ林の中を「降りる」ように斜めに進む。だが、これは決して下っていることではない。登っているのである。
 「マーキング」の話しをしよう。私は時々、「カラ-表示-黄」とある塗装用の「エアゾールペイント」を持ち歩くことがある。
 それは、踏み跡道などで、消えかかっている赤いマーキング部分を発見しては、それになぞって「黄色のペイント」を吹き付け、「マーキング」を再生させるためである。
 山では、黄色の「マーキング」は少量でもよく目立つ。背景になる部分が圧倒的に、暖色系だからだ。樹木の肌は明るいもので灰色、暗いものだと褐色や黒、葉や草の茎は緑、岩肌は総じて暗色だからだ。
 これだから、臙脂系の赤では映えない。逆に吸収されてしまうというものだ。これらのことを考慮に入れてのことだろうか、他県でも近いところの早池峰山や秋田駒、それに岩手山の一部では黄色の「マーキング」を採用している。
 今回の山行にも「黄色のエアゾールスプレー」を持った。古いものもあったが「残量」が少なかったので、新品を買ったものだ。これはノントルエン、ノンキシレン、ノンフロンで、しかも鉛成分の入っていない環境に優しいという「ラッカースプレー」である。
 重さは容器も入れると500gほどになるだろう。もちろん、背負っているのは、主体的に「マーキングする」相棒さんだ。
 今回の山行の「チーフリーダー」は相棒さんだった。ルートファインデングも出来るだけ相棒さんに任せることにしたし、次回のことも考えてのことだろうか相棒さんは、積極的に「マーキング」をしていた。
 私がこの「黄色のエアゾールスプレー」使っているのは、別に他の山での使用例を真似をしたわけではない。少量で目立つという効率を考えてのことである。
 ちなみに岩木山の百沢登山道、それにつながる岳登山道、弥生や赤倉登山道のマーキングはすべて臙脂系の赤である。もちろん、西岩木山林道終点から、松代登山道尾根に続いている古いものも「赤」だ。
                      (明日に続く)      

 字数の関係で、「ひな祭りに関して(7)」は休載して、明日書くことにする。