2023年9月5日(火)18時~、東京宝塚劇場B席
花組『鴛鴦歌合戦』『GRAND MIRAGE!』
杖使いながら無事に観劇。記憶が新鮮なうちに書くことができませんでしたが、頭を空っぽにして楽しめる二本立てでした。トップコンビが退団を発表したあとの東京公演、わたしは見納めになるであろうと思いながら観劇しました。公演デザートもいただきました。
オケピットの上の謎の蓋(と指揮者もオーケストラの方々もつぶやかれています)がなくなり、生演奏がダイレクトに響いてきました。こっちゃんが『1789バスティーユの恋人たち』のナウオンステージで蓋がなくなったことを喜んでいますが、謎の蓋、こんなにも舞台、客席とオケピットを隔てていたのだとわかりました。当たり前のように聴いていたつもりの音色がこれほどに力強いものだったのかと認識した次第。3,500円のチケット代でありがたいかぎり。泉まいらくん、お芝居には元気に出ていたのでこのあと全日程休演となり心配でした。はとバスのガイドで中学生の修学旅行が入っていました。少子化で二クラスでしょうか。先生は素顔、生徒たちは素顔だったりマスク顔だったり。はとバスのお姉さん3人ガッツリマスク。せっかくの笑顔がみえません。学生団体、批判の声もみかけますがこの中から舞台の仕事をしたいという子が現れるかもしれません。生産人口減少で宝塚も東宝も確実に人材は減るわけで限られたパイの中で優秀な人材の取り合いになります。興味を持ってもらう機会はとても大切だと思います。
プログラムの購入は我慢したのでTCA PRESS2023年9月号より、
「七夕の日に幕を開けた花組宝塚大劇場公演は、久方ぶりの日本物作品とネオ・ロマンチック・レビューの二本立てで賑わった。
チョンパと共に、色鮮やかな和傘の華が舞台に咲き揃ったのは、『鴛鴦歌合戦』。1939年公開の時代劇オペレッタ映画に様々なエピソードを加えた宝塚オリジナル傑作だ。
柚希光が扮したのは、長屋住まいの浪人・礼三郎。木刀削りをしながら気楽につましい暮らしを他の印出る。貧乏暮らしを嘆く隣家のお春に「世の中って、そういうもんさ」となだめる達観したところと、時折見せる翳りが女性たちの心をくすぐる。
そのお春には、星風まどか。傘張り職人の父親と暮らす娘で、勝気でさっぱりとした性格だが、礼三郎への好意だけは素直に告げられずにいる。花咲藩・藩主の丹波守に、永久輝せあ。藩の財政難には目もくれず骨董集めにうつつを抜かす能天気な若殿だ。その弟・秀千代には、聖乃あすかが配された。
礼三郎をめぐる恋の鞘当て、花咲藩の重宝「鴛鴦の香合」の行方捜しなどが、数々の明るい歌と共に煌びやかにドタバタとコミカルに繰り広げられる。終盤に礼三郎が放つキラリと光る真実の言葉、すかさず行動に移すお春の一本気に、微笑ましく温かな気持ちになることであろう。
”MIRAGE”を大いなる夢と捉えてつづるロマンチック・レビューシリーズ22作目の『GRAND MIRAGE』。男役は雄々しく凛々しく、娘役は可憐に美しくを極めたレビューは、淡く優しい色調の衣装で主題歌を歌い継ぐプロローグで幕を開ける。
次章では、探検隊から外れ、砂漠をさまよう中尉が美しい乙女と踊る幻影の世界を。続いてヴェニスの宮殿風のセットの中、カンツォーネが快活に展開。中詰はラテン「シボネー・コンチェルト」。花組生が勢揃いで華やかに烈しく歌い踊った。愛を求めて彷徨う男たちを描いたシーンに続き、ボレロの調べで踊る情熱的で荘厳な3組のデュエットダンス。故・羽山紀代美氏の振付が再現された。そして、フィナーレは永久輝が歌う花組ゆかりの曲「♪So in Love」に乗せ、純白の衣裳に身を包んだ柚香&星風の格調高く麗しいデュエットダンスが披露された。」
『鴛鴦歌合戦』
二階席後方、お芝居のワチャワチャしている時のフォーメーションがよくみえました。ごちゃごちゃ入り乱れているようでそれぞれの位置が決まっていてきれに動いているんだなあと。れいちゃん、トップスターとして安定の域、清々しい貧乏侍がよく似合っていました。まどかちゃん、『うたかたの恋』に続いて可愛いお尻を客席に向けていました。ちぇっ!が何回あったでしょうか、可愛すぎました。トップ娘役として貫禄の域なのにいつまでも新鮮な感、毎回新しいまどかちゃんと出会っているような感覚をもてます。花ちゃんのようになっていくのかなとも思っていましたがトップ娘役10年続けるということはもうないのでしょう。ひとこちゃんの能天気な殿様ぶりが絶妙、「丸みのある~」可愛かったですね。あすかちゃんが付き人と一緒にオケピットから顔を覗かせ銀橋に登場するところ、退団した春妃うららちゃんのあてがき?うらら姫もとてつもなく可愛くて最後に花でした。(星之あんりちゃんの妹だとインスタで知りびっくり)。骨董道楽の、まどかちゃんのお父さんを演じた和海しょうさん、骨董屋の航琉ひびきさんが男役集大成として渋い役どころでした。この公演のあと副組長となった紫門ゆりあさんも舞台を締めていました。京美沙さん、出番はわずかでしたがさすがの存在感。泉まいらクンが芝居では元気に出ていたのがこのあと全休演となり心配しました。
誰も死なない、まるっと大団円の楽しいひとときでした。みなさまが着こなす着物と舞台に並ぶ傘の色目が華やかな日本物。光ちゃんをトップにかなりいい感じで組がまとまっていると感じる舞台でした。
『GRAND MIRAGE』
テーマソングはちょっと苦手かもしれませんが宝塚らしい美しいショーでした。なによりも羽山紀代美さんがゆきちゃんと雪組のために振り付けた『ラ・ジュネス』のボレロの場面が再現されたのは胸あつでした。ゆきちゃんと花ちゃんが着用した衣装で踊るトップコンビのデュエットダンス、涙でした。
カンツォーネの場面で一ノ瀬航希くんがまどかちゃんを肩に乗せて登場した時は心の中でぶっ飛びました。乗ってるまどかちゃん、綺麗に足をそろえて流して重心をさがしておそらく相当な腹筋で維持しながらキラキラの笑顔。乗せている方もどちらも命がけでしょう。これを大劇場で一公演もトラブルなくやり通してきたのかと思うと、タカラジェンヌ凄すぎと感嘆しました。まどかちゃんが締まった腹筋を出す衣装は初めてだったかな。可愛かったですね、どの場面も可愛いですが特に可愛さがよりひきたっていました。全編見どころですが、光ちゃんの砂漠をさまよう中尉を演じた場面も特に素敵でした。帽子
の耳当てが実際砂漠の砂から守るためにデザインされているものというナウオンステージでの話。現実と夢の間の幻想的な仕上がりになっていたと思います。
かなりの時差でようやく備忘録、思い出し日記でした。