「「うまれて はじめての なつやすみなんだぞ。」
ゆうたは、うみに むかって むねを はります。
「くすくす、くすくす、くすくす・・・。」
「じゃあ、きょねんの なつは、うまれてなかったの?」
「うまれてたよ。でも ぼく、ことし 1ねんせいに なったんだ。だから、はじめての なつやすみ。」
「はじめてって、すてきな ことよね。」
なみが、また うれしそうに わらいます。
「すてきで きもちが いい ことだよ。 なにもかも あたらしんだもの。あたらしい なつやすみ、あたらしい すいえいパンツ、あたらしい ぼうし。」
「あかい ぼうしね。ゆうやけいろね。」
「はじめての なつやすみに よく にあう ぼうしね。」
くすくす、くすくす、くすくす・・・。
なみは、ますます うれしそうに わらって、ゆうたの あしを くすぐりました。
うみに はいると、なみは、ざっぷん、ざっぷん、とっぷん、ちゃぽんと ゆれました。つめたくて、いい きもちです。
「あ、みきちゃん・・・。」
なみうちぎわに たって いるのは、きょうしつで、となりの せきに すわって いる おんなのこです。
「おいでよ、みきちゃん。いっしょに およごうよ。」
ゆうたが さそっても、みきちゃんは しょんぼりして います。
「どう したの? はじめての なつやすみなのに、うれしく ないの?」
「だって・・・。」
みきちゃんは、 したを むいて いいました。
「わたしの ぼうし、きいろいんだもの。あかい くつと おそろいの、あたらしい ぼうしが ほしかったのに・・・。」
「とりかえっこしようよ。みきちゃんの ぼうしと ぼくの ぼうし。」
ゆうたが あかい ぼうしを もって くると、みきちゃんは めを まるく しました。
「わたしが ほしかった ぼうしよ。ほんとに とりかえっこしてくれるの?」
「うん。ぼく、きいろい ぼうしの ほうが すきだもの。」
みきちゃんの ぼうしは、ひまわりの きいろです。
「かぶって ごらんよ。」
ゆうたは、あかい ぼうしを みきちゃんの あたまに のせました。
「ゆうたくんの においが する。それから、うみの においも。」
みきちゃんは、ありがとうと いって、うれしそうに わらいました。
あかい ぼうしの みきちゃんと、きいろい ぼうしの ゆうたは ちからを あわせて、おおきな すなやまを つくりました。
うまれて はじめて、ふたりで つくった すなやまでした。
あかい ぼうしを かぶった みきちゃんは、すてきな おんなのひとに なったみたいでし。」
はじめて海をみたのは小学校低学年の頃だったでしょうか、波が不思議でした。夏休みだったかどうかわかりませんが、父親の運転する車に乗り家族5人で出かけたのだろうと思います。亡くなった母親も、母親に似た私も乗り物酔いがひどい体質で、車でお出かけ、近くても遠くても大変でした。(統合失調症を発症してからの母はそのことも妄想につながってしまいました。)この時買ってもらった貝殻の置物、長らく家の床の間に飾られていましたがしばらく前にお別れ、家族が幸せなものだと信じて疑ったことなどなかった頃の幸せの記憶は心の引き出しへ・・・。
無事に引っ越しは終わりました。来週また面接の連絡、ハードだとわかっていても、お給料安いとわかっていても進んでいくしかないです。
ゆうたは、うみに むかって むねを はります。
「くすくす、くすくす、くすくす・・・。」
「じゃあ、きょねんの なつは、うまれてなかったの?」
「うまれてたよ。でも ぼく、ことし 1ねんせいに なったんだ。だから、はじめての なつやすみ。」
「はじめてって、すてきな ことよね。」
なみが、また うれしそうに わらいます。
「すてきで きもちが いい ことだよ。 なにもかも あたらしんだもの。あたらしい なつやすみ、あたらしい すいえいパンツ、あたらしい ぼうし。」
「あかい ぼうしね。ゆうやけいろね。」
「はじめての なつやすみに よく にあう ぼうしね。」
くすくす、くすくす、くすくす・・・。
なみは、ますます うれしそうに わらって、ゆうたの あしを くすぐりました。
うみに はいると、なみは、ざっぷん、ざっぷん、とっぷん、ちゃぽんと ゆれました。つめたくて、いい きもちです。
「あ、みきちゃん・・・。」
なみうちぎわに たって いるのは、きょうしつで、となりの せきに すわって いる おんなのこです。
「おいでよ、みきちゃん。いっしょに およごうよ。」
ゆうたが さそっても、みきちゃんは しょんぼりして います。
「どう したの? はじめての なつやすみなのに、うれしく ないの?」
「だって・・・。」
みきちゃんは、 したを むいて いいました。
「わたしの ぼうし、きいろいんだもの。あかい くつと おそろいの、あたらしい ぼうしが ほしかったのに・・・。」
「とりかえっこしようよ。みきちゃんの ぼうしと ぼくの ぼうし。」
ゆうたが あかい ぼうしを もって くると、みきちゃんは めを まるく しました。
「わたしが ほしかった ぼうしよ。ほんとに とりかえっこしてくれるの?」
「うん。ぼく、きいろい ぼうしの ほうが すきだもの。」
みきちゃんの ぼうしは、ひまわりの きいろです。
「かぶって ごらんよ。」
ゆうたは、あかい ぼうしを みきちゃんの あたまに のせました。
「ゆうたくんの においが する。それから、うみの においも。」
みきちゃんは、ありがとうと いって、うれしそうに わらいました。
あかい ぼうしの みきちゃんと、きいろい ぼうしの ゆうたは ちからを あわせて、おおきな すなやまを つくりました。
うまれて はじめて、ふたりで つくった すなやまでした。
あかい ぼうしを かぶった みきちゃんは、すてきな おんなのひとに なったみたいでし。」
はじめて海をみたのは小学校低学年の頃だったでしょうか、波が不思議でした。夏休みだったかどうかわかりませんが、父親の運転する車に乗り家族5人で出かけたのだろうと思います。亡くなった母親も、母親に似た私も乗り物酔いがひどい体質で、車でお出かけ、近くても遠くても大変でした。(統合失調症を発症してからの母はそのことも妄想につながってしまいました。)この時買ってもらった貝殻の置物、長らく家の床の間に飾られていましたがしばらく前にお別れ、家族が幸せなものだと信じて疑ったことなどなかった頃の幸せの記憶は心の引き出しへ・・・。
無事に引っ越しは終わりました。来週また面接の連絡、ハードだとわかっていても、お給料安いとわかっていても進んでいくしかないです。