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たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『エリザベート』プレビュー初日(3)

2015年06月14日 21時32分14秒 | ミュージカル・舞台・映画
雪組初演の頃に買ったマリールイーゼ・フォン・インゲンハイム著
『皇妃エリザベート』を19年ぶりに読んでいます。

訳者があとがきで、必ずしも史実に忠実ではない。
一種の宮廷のホームドラマとして読んでほしいと書かれています。

根っからの自由人シシィをなんとかウィーン宮廷になじませようと、皇妃らしくしつけようと必死になればなるほどシシィの反感をかい、大帝国を守るためには対立せざるを得なくなった皇太后ゾフィ。
こんなゾフィ像がタータンさん(香寿たつきさん)ゾフィにはにじみ出ていたのかもしれません。若いシシィには、ゾフィの思いは伝わりませんでした。
こんな見方もあるのかな、と思う一冊です。

「暗殺者のルイジ・ルケーニは犯行後も悪びれることなく、昂然としていたが、1910年牢獄で自殺した。すでに20世紀になっていたが、1917年にはロシア革命が起り、ロマノフ王朝一家は惨殺され、亡命し、同時にハプスブルク王朝も700年近い栄華の後に、地上から消えた。二十世紀は血なまぐさい階級闘争の時代に突入していった。そのあとにスターリン、ヒトラーが続く。

 こうして見ると、エリザベートの暗殺は20世紀の荒々しい時代の予兆ともいうことができよう。エリザベートに突然訪れた暗殺というドラマはあまりにもドラマティックで、なにか歴史の運命の力だったようにも思える。」

(2000年の東宝公演プログラムより)


 宝塚版ではデフォルメされているルキーニの自殺の場面が東宝版ではリリカルになっています。私のような立場の者には何回観てもそこだけはだめですね。
前回までは幕開きと同時に登場する高嶋さんルキーニのその姿に音楽と共に観る度にどきっとして目をそらしていました。
今回は演じる人が変わったし、演出も変わっているのでそこまではどきっとしないかな。
最後にシシィがトートに招かれて神に召されていこうとしているのと同時に、
ルキーニも自ら神に召されていく演出になっているので目をそらすわけにはいかない。
でもやっぱりどきっとして山崎さんルキーニの最期から目をそらしてしまった気がします。
2012年の『ルドルフザラストキス』の時には坂元さんが歌っている間中舞台から目をそらすしかなかった場面がありました。
物語を観客に伝えていくためには演出として必要ですものね。仕方ないかな。
それでも音楽の世界観に惹きつけられて何度でも観たい作品です。

雪組初演の轟さんルキーニがあまりにも役者さん本来の持ち味にあいすぎていて秀逸でした。インパクトがありすぎました。
物語の狂言回し、進行役として舞台に出ずっぱり。
囚人服の着たきりすずめで、その上にエプロンつけたり、帽子かぶったり、カメラを持って写真撮ったり。
高嶋さんルキーニは、轟さんがつくり上げたルキーニ像を踏襲し、さらに男性が演じることで骨太なルキーニになっていたかなと思います。
宝塚では削られているナチスドイツが台頭してくる様子が描かれる場面で、東宝版ではルキーニが最後にヒトラーになります。
高嶋さんルキーニのヒトラーはインパクトがありました。

山崎さんルキーニは線が細くて、かなり雰囲気が違ったかなと感じました。
軽やかに、気がついたら、あの場面にもこの場面にも、シシィが慰問する精神病院の場面にもいるという感じで、歌い方も場面によって色々だったと思います。
『レディベス』とも『モーツアルト』ともたぶん歌い方が違ったし、こんなに歌い分けられるんだっていう感じだったでしょうか。

トートダンサーのみなさんも背が高くて細い方ばかりなのかな。
振付も前回と違っていて、美しいダンスだったと思います。
全体的にたしかに役者さんたちが若くなって美しい系の方が多い舞台でした。
初日前記者会見の動画をみると、年齢の話になった時の花ちゃんがかわいいですね。
仲間にいれてくれないの、って。

苦悩しながらも自分で人生を切り開いていこうとする「わたしだけに」に、心のエルぎーをもらいたいです。
次回の観劇までに、少しは私自身も切り開いていくことができるのかな。
自信喪失状態なので、今は全くわかりません。

一年前の今頃は、三回『レディベス』を観て心がかなり救われました。
井上さんが日経トレンディの記事の中で話されているように、舞台をみることはアナログな行為。
生の舞台との出会いも、人との出会いも一期一会。
心のエネルギーを満たしてくれるものにたくさん出会っていきたいです。
すり減っている身に消耗させられるものは、しばらく遠ざけた方がいいですね。
ここしばらくは、『エリザベート』が大きな心の糧になりそうです。

携帯で撮った写真があるのに、SDカードからコピーするのがなかなかやれません。
心のエネルギーチャージを求めて清史郎君の舞台を観に行った時の写真も
ためこんでいます。

皇妃エリザベート (集英社文庫)
マリールイーゼ・フォン インゲンハイム
集英社