goo blog サービス終了のお知らせ 

たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『エリザベート』の思い出(8)

2015年06月07日 22時47分56秒 | ミュージカル・舞台・映画
「1953年にできた米国映画「ローマの休日」のオードリー・ヘップバーン演ずる王女はなんとなくエリザベートを思い出させる。すらりとして上品で美しく、自由になって一人ローマの街を遊ぶが、最後は王家の「籠の鳥」になっていくヒロインの哀愁と悲しみをたたえた瞳は、エリザベートの人生そのものだった。エリザベートが死後百年以上たって今なお世界中で語られるのは、50年近く前の「ローマの休日」が主演女優亡き後も世界中から親しまれているのと同じように、美しさとロマンティシズムと哀愁を帯びたドラマティックな人生だったからだろう。」

(2000年東宝初演『エリザベート』プログラムより)


ずっと先だと思っていた新生『エリザベート』プレビュー初日まであと三日。そこをひとつの気持ちの区切りとしたいと自分の中で決めたので、今はそこをめざしています。その後なにがあるでなし。何のあてもないけれど、少しの時間でいいのでからっぽになって心から休みたいです。今は何の評価もされず批判もされず、安心してただこのままの自分で居られる場所はないので孤独な放浪の日々。立ち直っていくためにこの丸ごとの私で、安心して相談できる場所もまた社会の中にはなさそうだと分かりました。自分の感性を信じてみる気持ちしかないです。

初舞台から見続けてきた花ちゃんシシィは、雪組初演コンビだった一路さんの舞台を観るのと同じに、勝手に懐かしい人に会いに行く感覚です。でも新しい『エリザベート』。

精神病院を訪問したシシィは、自分を皇妃エリザベートだと信じきっているヴィンデッシュ嬢と出会い、「代わってもいいのよ、このわたしの孤独に耐えられるなら」と語りかけます。
宝塚版ではデフォルメされた感のある場面ですが、東宝版ではよりリリカルに
ヴィンデッシュ嬢の狂気とシシィの孤独が伝わってきます。
初演の時には若かった花ちゃんが、黒ずくめのドレスに扇子で顔を隠して旅を続ける中で
精神病院を訪問したシシィの背中をよく表現していたと思います。
新生『エリザベート』では、どんな演出になり、花ちゃんがどんなふうにシシィの背中を
演じてみせてくれるのか。
マリー・アントワネットが神に召されるために階段を上がっていく、その背中を演じきったあとの花ちゃんなので楽しみの一つです。(花ちゃんが、宝塚時代『ベルばら』でアントワネットを演じたのは、シシィを二度演じた後でした。)

人はみんな孤独なもの。
この舞台を観るとそんな安心感を得られるのかもしれません。

あと三日で『エリザベート』はまた帝劇に旅の足をとめます。

写真は2012年東宝公演の稽古場で、清史郎君ルドルフとマテさんトート。
げきぴあより転用しています。
これだけでは、ほとんど『エリザベート』だとはわかりませんが清史郎君に
癒されるので載せています。