http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2008/08/20080807s01.htm
中国のあの会社の冷凍ギョーザを、日本での事件の後に食べた中国の人が中毒になり、あの殺虫剤が検出された。
事態の新しい展開だと、誰だって思う。しかも、あの中国政府が自ら連絡してきた。これだって大きな変化だ。日本政府が現時点で掌握している事実の中身、日中両政府間のやりとりの詳細はまだ分からない。しかし、きのう、はっきりしたことが一つある。
日本政府はこの情報を公表しなかった。被害者も含めて国民に伝えようとせず、隠した。なぜか。福田康夫首相はきのう「捜査上の問題」と答えたが、この情報の概要を公表することが捜査に重大な支障を及ぼすとは思えない。
五輪を控え、何かにつけて治安情報に神経質になっている中国に気を使ったのだろうか。それは違うと言うのであれば、きちんと説明してほしい。政府が中国と足並みをそろえて、情報を隠そうと決めた。この事実は重いと思う。決定に誰が、どう関与したか。しっかり検証されなければならない。
中国製ギョーザによる中毒事件が1月に発覚し、製造元の天洋食品(中国河北省)は中国国内の冷凍ギョーザを回収した。これがなぜか出回り、6月中旬、中毒患者が出て、殺虫剤の「メタミドホス」が検出された。中国はこの事実を7月の北海道洞爺湖サミット前、日本に連絡した。きのう明らかになったのは、こんな経緯だ。警察庁は殺虫剤が中国で混入されたのは確定的だとの見解を既に2月に中国に伝えている。今回の中毒情報は、これを裏付ける重要な手掛かりになる。
半面、実行犯の特定やその動静の把握に直接影響するわけではない。公表しない理由として「捜査上の問題」を挙げるのは的外れだ。中国は中国国内での殺虫剤混入を否定してきた。自国内での中毒発生は、その主張を撤回せざるを得ない出来事になる。しかも五輪開幕が迫っている。食の安全への不信を一層膨らませる事態はできれば避けたい。
それでも中国政府は日本への連絡を選択した。その後のサミット中の日中首脳会談で胡錦濤主席は、関係部門に「捜査の加速」を指示していると述べている。今なら自国での中毒発生を前提にした発言とも読める。問われるべきなのは日本の対応だ。外務省や警察庁、首相官邸で公表、非公表の得失についてどんな意見が交わされたのか。「機密」とすべき意味合いを、どの程度、吟味したのか。
中国側から非公表の要請があったと想定してみる。「情報公開の基準が違う。政府と報道機関の関係も違う。速やかに連絡してきたことを公表すれば、マイナスにはならない。首脳会談で早期解決への連携を強調しよう」。そんなふうに反論できなかったものか。消費者庁新設を打ち出した福田政権が、食の安全にかかわる情報を隠した。日本の国民の知る権利が、結果的に中国と同じレベルで扱われた。経緯と訳をはっきり説明すべきだ。
地方紙の社説なのだが、概要のまとめかたといい、問題意識といい、これ以上筆者が付け加えることはなにもない。
>政府が中国と足並みをそろえて、情報を隠そうと決めた。
明快なこの一文には、喝采させ上げたくなる。
個人のブログである事を踏まえ、敢えて蛇に足を書き加えるとすれば、首相がカレではなににつけても中国有利、つまり日本の国益を損なう結果にしかならないという事を肝に銘じておくことだ。
それにしても、チベット鎮圧-四川地震の後始末の最中、これからオリンピックを迎えるという、7月のタイミングで「白状」した意図が分からない。
アメリカが中国に対して、なにやらちょっかいを出し始めているようなので↓
・「ビザ取り消しの撤回を」 米、人権活動家訪中でhttp://sankei.jp.msn.com/world/america/080807/amr0808071211011-n1.htm
・米大統領、中国とミャンマーの人権状況を強く批判http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080807-OYT1T00420.htm?from=main3
バランスをとる形で日本に譲歩し始めている、と見るのはあまりにも表面的な気がする。
恐らく、首相官邸はまだまだなにか隠しているのだろう。
私見を述べると、どのような経緯であれ、支那と係わり合いになると最後にはロクなことがないので、日本は距離をおかなければならない。
ああ、オリンピックは明日からだったか、理由は分からないが、筆者には「北京でオリンピックが行われる」という実感が全くわかない。このような離人感は、天安門事件で命からがら北京を脱出して以来だ。
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