◆NHK総合 2005.12.22 07:44JST
ロシア非常事態省によりますと、先月、中国で起きた化学工場の爆発事故に伴って大量の有害物質ニトロベンゼンが流れ出した問題で、汚染された水が、22日朝、ロシア極東のハバロフスクに到達したものとみられます。現場周辺では、アメリカなどの飲料水の安全基準の10倍を上回る1リットル当たり0.18ミリグラムと、高い濃度のニトロベンゼンが検出されています。しかし、地元当局は、検出されたニトロベンゼンの濃度はロシアの水質基準では基準の範囲内だとして、当面、アムール川からの取水制限も行わない方針です。しかし、有害物質で汚染された水がハバロフスク市内を完全に通過するには、相当な日数がかかるとみられるうえ、完全に凍りついた川が解ける来年の春まで有害物質がとどまるおそれも指摘されていることから、市民の間では不安が広がっています。
地元当局がいうとおり、0.18mg/Lだと直接的な害はないと思いますが「アメリカなどの飲料水の安全基準の10倍を上回る」「高い濃度の」などという刺激的な枕詞をつけてテレビで放映されると、市民の間に不安が広がりそう。まだ日本海云々まで触れないだけいいのだろうか。
旧態依然の公害報道は、そろそろやめてほしい。
上はまだ毒性の低いニトロベンゼンですが、広州ではカドミウムが流出していました。
◆在広州総領事館 2005.12.21
◆共同通信 2005.12.21 12:38JST
◆朝日新聞 2005.12.21 12:44JST
◆毎日新聞 2005.12.21 17:48JST
◆読売新聞 2005.12.21 22:00JST
◆時事通信 2005.12.22 00:25
◆産経新聞 2005.12.22 02:47JST
◆共同通信 2005.12.22 09:57JST
各公館、各社とも共通しているのが
・15日に発覚
・広州の北江が汚染
・下流住民10万人に影響
・基準の10倍近い高濃度の汚染
・猛毒のカドミウム
になります。
一応、今回流出したカドミウムについて。
毒性症状:吸入、他の投与、摂取によりヒトに対し毒性あり。経口摂取、腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内投与で毒性を示す。飲み込むと急性胃腸炎の症状をきたす。粉じんやヒュームを吸入すると、せき、胸痛、呼吸困難をきたす。慢性毒性あり。OSHAPEL:TWA0.1mg(Cd)/m3、CL0.6mg(Cd)/m3(fume)、発ガン性、DFGBAT:血1.5μg/dL、尿15μg/dL
急性毒性:
対象動物種 投与経路 試験時間 毒性数値種類 毒性数値
ラット 経口 TDL0 220mg/kg
ラット 経口 TDL0 23mg/kg
ラット 静脈内注射 14日 TDL0 1250ug/kg
ラット 腹腔内注射 LD50 4mg/kg
ラット 皮下注射 LD50 9mg/kg
ラット 静脈内注射 LD50 1800ug/kg
マウス 経口 LD50 70mg/kg
ウサギ 経口 LDL0 6mg/kg
ウサギ 皮下注射 LDL0 5mg/kg
ラット 経口 LD50 225mg/kg
(神奈川県環境科学センターkis-netによる)
まあ、猛毒としか言いようがないですね。
では高濃度とはどの程度のものか。
カドミウムの環境基準:0.1mg/L
(財団法人 国際環境技術移転研究センター『工場排水に対する汚水総合排出基準 (GB8978-88)1989年施行』)
計算上環境基準の丁度10倍の濃度のカドミウムが検出されたとする。
0.1mg/L×10=1.0mg/L
体重1kgのウサギに6L飲ませたら死に出す、という数値。実は1.68mg/kg程度までなら1988年に日本国内でも観測されていたりする。
とはいうものの、長期の微量経口暴露はイタイイタイ病を引き合いに出すまでもなく、骨軟化症になるので。これに関しては、直接毒性をどうのこうのしてもあまり意味がない。広州在住の方は、水道水を炊事に使わない方が無難かも。
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