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【妄言】EPA妥結―東アジア共同体への一歩【和文/朝日社説】

http://www.asahi.com/paper/editorial20071120.html#syasetu1

 夢物語と見られてきた「東アジア経済共同体」の構想が、将来の目標へと姿を変えてきた。

 日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)がきのう妥結した経済連携協定(EPA)には、長い目でみれば、そんな大きな意味がある。

 関税の撤廃・削減を進める自由貿易協定(FTA)に、サービス貿易や投資分野も含めた協定がEPAである。

 今回の特徴は、ASEAN10カ国という「面」と結ばれる点だ。日本はこれまでASEAN内の6カ国と個別にEPAを結んできたが、これで二国間の「線」の関係が「面」へ発展する。

 ASEANとの間では、中国と韓国がすでにそれぞれFTAを結んでいる。遅まきながら、日本もこれに加わることが決まったわけだ。

 その結果、ASEANが車輪の中心部(ハブ)のような存在となって、日中韓との間で経済圏をつくることになる。これに加えて日中、日韓、そして中韓が互いにFTAを結べば、東アジア経済共同体へ向けての骨組みができる。

 もちろん、そこに至るのは簡単ではない。日韓FTA交渉は、日本のコメ市場開放に加え歴史問題もあって3年間も中断したままだ。日中にいたっては、まだ交渉入りのムードさえない。

 これを機会に、ASEANというハブを生かして前向きに動くべきだ。

 東アジアの各国が力強い発展軌道に乗り、世界経済の成長センターになっている。経済共同体をめざして連携を強めていけば、各国にとって大きな果実を生み出すはずである。

 その利益を今回の協定でみると、輸入額の9割前後の関税が段階的に撤廃される。たとえば、日本から液晶パネルをマレーシアへ輸出し、そこでテレビに組み立てて、フィリピンへ輸出したとしよう。いまは国境を越えるごとに関税がかかるが、協定で無税となる。

 協定には不十分な点もある。日本は農業を守るためにコメや乳製品を対象から除外し、タイやベトナムは自動車を除いた。日本には国内市場を率先して開き、連携を進化させる責任がある。

 一方で、現在進められている世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉も、もちろん大切だ。ただ、150もの参加国の利害が絡み合って立ち往生している。日本はこれからもWTOとFTAの両輪で走らざるを得ないだろう。

 ASEANは創設40周年を迎えた。ベトナム戦争の悲惨な戦場から、共通の市場をめざして一歩ずつ進んできた。10年前のアジア通貨危機も克服し、経済が発展している。共同体へ向けて歩み出すところまで来たことは感慨深い。

 ASEANはきょうの首脳会議で、共同体創設への基本となる憲章を採択する。欧州連合(EU)をお手本としたこれからの歩みが順調に進むよう、日本も側面から関与していきたい。


 読み込むと何が言いたいのか分からなくなってくる文学的な難文、典型的な朝日社説ともいえる。
 レトリックを分析すると、冒頭で「遅まきながら、日本もこれに加わることが決まった」と、日本とASEANとの結びつきの薄さを認識するような事を書いておきながら、後の方では「日本には国内市場を率先して開き、連携を進化させる責任がある」とまるで日本がASEANの主役であるかのような書き方をする。このように、微妙に前提をずらされると、読まされる方は混乱するしかない。
 丁度神経症を患った人と会話するとこのような感じになる。まさか大新聞社が社員の神経症を放置するわけはないから、書いているうちに興奮してきたのだろうと思われるが、どちらにしてもはた迷惑ではある。

 東アジア経済共同体について述べると、あくまでも日本とASEANがEPAを締結しただけなのに、ASEAN+日中韓の枠組みまで広げるのはとばし過ぎだといえる。そもそも主役は時間をかけて地域経済を展開してきたASEANであり、それ以外の三カ国がただ乗りすることは許されない。
 更にいえば、ASEAN諸国と中国はアウトソーシング先における競合であるので、下手に一くくりにすると日本の商売がややこしくなる。
 その視点から見ると、うえの前提ずらしは「東アジア経済共同体」なるものが自分にとって都合のよい人々、の代弁ではなかろうかとも思える。

 もっとも、ここは「大東亜共栄圏復活ですか?」の一言で済むだろう。

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