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【妄言】「きぼう」―1兆円を生かせるか【和文/朝日社説】

http://www.asahi.com/paper/editorial20080309.html#syasetu2

 宇宙飛行士の土井隆雄さんを乗せた米国のスペースシャトル・エンデバーが宇宙へ旅立った。

 積み荷は、国際宇宙ステーションに取り付ける日本の実験棟「きぼう」の一部だ。土井さんの言葉によれば、きぼうは日本にとって宇宙の「小さな家」である。今回運ぶのは、いわば物置で、今後2回の飛行で建物本体とテラスを運び、来年完成する。

 宇宙で人間が活動できる施設を持っているのは、長い間米国とロシアだけだった。欧州と並んで日本も加わることになった意味は大きい。

 しかし、肝心なのは、そこをどう使い、どう生かしていくかだ。

 きぼうの建設費は約5500億円、物資の輸送など運用に今後、毎年約400億円かかる。準備段階も含めれば合計1兆円に達する巨大プロジェクトである。どのようにして巨額の投資に見合う成果を上げるのかが問われている。

 国際宇宙ステーションは1984年、旧ソ連に対抗して西側の結束を示す目的でレーガン米大統領が提唱したのが始まりだ。日本や欧州が参加し、92年に完成する予定だった。

 ところが、旧ソ連が崩壊し、宇宙技術を持つロシアは一転、欠かせないパートナーとなった。そのロシアの経済難やスペースシャトル事故のあおりで計画は大幅に遅れた。きぼうにとっても予定より20年近く遅れての旅立ちである。

 この間に宇宙実験の意味合いが薄れた。無重量状態で純粋な物質を作って解析すれば、新薬などの開発に役立つと期待されていたが、コンピューター技術の進歩などで地上でも同じような結果が得られるようになったのだ。

 いまのところ、きぼうでは無重量状態で生物の育ち方がどう変わるかを調べたり、たんぱく質のきれいな結晶をつくったりする実験が計画されている。

 きぼうは米国や欧州の実験棟よりもはるかに大きい。外で宇宙線の影響を調べることのできるテラスもある。そのような特徴を生かし、斬新な実験や活動をするよう知恵を絞ってもらいたい。

 アジアで唯一の宇宙の家として有効に使うことも大切だ。たとえば、アジアの若者や子どもたちから幅広く実験のアイデアを募ってはどうか。

 宇宙ステーション計画の先のことも考えておかなければならない。

 米国は10年にステーションを完成させ、同時にスペースシャトルを退役させて月面活動に重点を移す計画だ。ロシアのソユーズ宇宙船を使って、15年まではステーションを運用するが、その後どうするかは決まっていない。

 日本の有人の宇宙開発計画はこれまで米国に振り回されながらも、米国に従ってきた。それではすまない時期がすぐそこに来ている。

 日本として何をめざすのか。今こそ、しっかりした計画が必要なときだ。


 思いついた事をただ書き連ねた社説。
 毎度のことだが、論説委員が宇宙ステーション建設をどう考えているかまったく分からない。無定見にも係らず、時事ネタをテーマにしようとするからこうなる。

 唯一提案しているように読めるのが
>アジアで唯一の宇宙の家として有効に使うことも大切だ。たとえば、アジアの若者や子どもたちから幅広く実験のアイデアを募ってはどうか。
というのでは論説委員の知識が知れる。
 第一、「アジア(笑)の若者や子どもたちから幅広く実験のアイデアを募る」と一兆円が生かされるのかどうか、全く提示さえしていない。
 金を取って実験を請け負うという意味なのだろうか?国際常識的には、アイデアを出した方がお金をもらえるものなのだが。

 まあ、ソ連は跡形もなく、中国は国際宇宙ステーションに混ぜて貰えぬでは、愚痴の一つも言いたくなるのはわかる。

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【雑感】ハワイから西は中国、東は米で? 中国軍幹部が提案【和文/朝日】

http://www.asahi.com/international/update/0312/TKY200803120386.html

 「空母を開発するから、太平洋のハワイから東部を米国がとり、西部を中国がとるというのはどうか」――。米太平洋軍のキーティング司令官は11日の上院軍事委員会で、中国軍幹部からこんな「提案」があったことを明らかにした。キーティング氏は「冗談とはいえ、中国軍の戦略的考え方を示唆している」と語った。

 米中は軍事交流に取り組んでいるが、キーティング氏は「ビールをちょっと一杯という感じでは全くない」と言及。中国軍幹部に「電話番号を聞いても教えてもらえない」として、日本や韓国との緊密な協力関係にはほど遠いとも語った。

 中台衝突の可能性については「非常に低い」とする一方、「中国は65隻の潜水艦を保有しており、米軍が太平洋に展開する潜水艦の2.5倍近い」と中国の軍事力強化に懸念を表明。また、米中の軍事ホットラインが2カ月以内に開設されるとの見通しも示した。


中国海軍高官、太平洋の東西分割管理を米に「私的提案」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080312-OYT1T00600.htm

中国、露骨な野心 「太平洋分割管理」提案
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080312/amr0803122304014-n1.htm


 米中による太平洋分割案、について日本各紙ともとりげてきた。
 この物騒な笑えない冗談にたいする筆者の意見は昨日書いた通り。
 13日現在、どのようなリアクションを中南海がとってくるか、に興味が移っている。
例1「事実無根の捏造、妄言であり受け入れなれない」
例2「中国は一環して、良好な米中関係と地域と世界の平和を希望している」

 ところが、朝日まで報道しているのに新華社は無反応、明日の外交部定例記者会見まで沈黙するつもりだろうか。
 まあ、外交部には受け流されて終わりだろう。

 敢えて想像をたくましくするなら、2桁台/年の軍事増強で、無駄に自信をつけた軍部の軍閥化が垣間見えたといえなくもない。


 一方、下記記事は、この発言のバタフライ効果と呼ぶには、あまりにも直接的すぎる。

「台湾有事は日本の問題」防衛政策局長、自民調査会で発言【和文/読売】

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080313-OYT1T00423.htm?from=navr

 防衛省の高見沢将林防衛政策局長は13日午前の自民党安全保障調査会で、台湾海峡で有事の場合の対応について、「わが国にとって大変な事態なので、周辺事態とするかどうかの前に、自衛隊としては当然、警戒監視を高めたい。日米安保の問題ではなく、日本の安全保障の問題だ」との認識を示した。

 台湾有事を「日本の問題」として防衛省幹部が公式の場で発言するのは珍しく、今後、論議を呼ぶ可能性がある。

 中国と台湾で軍事的緊張が高まった場合、周辺事態にあたるのか、との自民党議員の質問に答えた。

 周辺事態の対象をめぐっては、台湾有事への日米などの介入を警戒する中国に配慮し、政府は「地理的概念ではない」としてあいまいにしている。高見沢局長の発言は「中国の人に尋ねられて答える場合」との前提で、周辺事態をめぐる直接の議論を避ける狙いがあると見られる。

(2008年3月13日14時43分  読売新聞)


 以下私見。
 腐っても鯛、軍事費で抜かれても日本海軍、と言いたいところだが。
 隣接海域、しかもシーレーンの緊張が高まれば、それに迅速に対処するのは政府として納税者に対する当然の責任であり、それをそのまま述べただけにすぎない。
 まあ、素直過ぎるというか、国際政治というものが、外交にせよ経済にせよ軍事にせよ、所詮は力関係で決まっている以上、日中台の関係を考えれば論議を呼ぶのは当然。「中国の人に対する回答」として敢えてこう発言するあたり、海軍国気取りの大陸国に対する伝統的な海洋国家の態度、と呼ぶべきものなのだろう。
 むしろ、中国には食いついてきてもらったほうが、「首相が親中的発言を繰り返し、靖国には参拝しないなど中国に対して卑屈に気を遣っても」一度甘い汁の味を覚えたタカリの態度は変わるものではない、と国民の認識が高まっていいとさえ思える。


 ちなみにこのニュースも、見新華社はざっと見沈黙中。「参院、武藤総裁案を否決」http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-03/12/content_7772726.htmなどというニュースはつたえているので、政治的な理由で報道管制しているのはあきらかである。

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