【社説②】:高齢期を元気に 健康で生き生きと暮らすには
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:高齢期を元気に 健康で生き生きと暮らすには
人生100年時代。高齢期を元気に過ごすことは、本人だけでなく家族や社会にとっても関心事だ。コロナ禍で崩れた健康習慣を取り戻し、生き生きと過ごしたい。
日常生活を問題なく送れる期間は「健康寿命」と呼ばれる。2019年時点で男性が72・68歳、女性が75・38歳だ。平均寿命は男性81・41歳、女性87・45歳とされ、健康寿命との差が、寝たきりや介護が必要な期間に当たる。
高齢化が進む日本にとって、この期間をできるだけ短くすることが課題になる。長く健康でいられれば、本人は生きがいを持って暮らせるし、医療や介護の財政負担も抑えることができる。
元気な高齢者は、地域の行事やボランティア活動に貢献する人材としても期待できるだろう。
厚生労働省が約10年ごとにまとめている健康づくり計画「健康日本21」は、健康寿命を延ばすための目標を掲げており、生活習慣病の予防や、健康的な食事と運動を心がけるよう求めている。
来年度から始まる第3次計画の柱は、十分な睡眠時間をとることだ。厚労省が作成した健康な睡眠の指針では、適度な運動で眠りを促し、朝食をしっかりとって目覚めをよくするなど、健康な睡眠のコツを示している。
食事については、塩分の摂取量を現在の1日平均約10グラムから7グラム未満に減らすことなどに重点を置いた。健康づくりを支援する飲食店を認定し、塩分を控えたメニューの提供を促すキャンペーンを展開している地域もある。
これらの例も参考に、各地域の実情に合った健康づくりに取り組んでほしい。国や自治体だけでなく企業も参加し、高齢者が楽しみながら体を動かせるイベントなども拡充してもらいたい。
人とのつながりを持つことも、健康には欠かせない。
健康寿命が19年に男性1位、女性4位だった大分県は、高齢者が気軽に立ち寄れるタイプの地域活動を増やして参加率を高めた。介護予防のために考案した体操も楽しんでもらっているという。
心配なのはコロナ禍の影響だ。21年の平均寿命は、10年ぶりに前年を下回った。コロナによる死亡者数の増加が要因とみられる。
健康寿命にも、コロナ禍のしわ寄せが及んでいるのではないか。外出自粛で体力や気力が低下した高齢者は多い。これからは、コロナの感染対策に気を配りながら、いかに健康習慣を取り戻していくかが大切になる。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年06月11日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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