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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・04.02】:南海トラフ被害 京滋でも備えを確実に

2025-04-02 16:05:50 | 【地震列島・防災庁・減災と防災・南海トラフ地震・富士山噴火・避難マップ・

【社説①・04.02】:南海トラフ被害 京滋でも備えを確実に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.02】:南海トラフ被害 京滋でも備えを確実に 

 京都、滋賀は太平洋から遠いからと、人ごとのように考えてはなるまい。両府県とも未曽有の犠牲者が出る恐れを真剣に受け止め、対策を進める必要がある。

 東海沖から九州沖に延びる南海トラフで巨大地震が発生した場合の新たな被害想定を、政府の作業部会が発表した。 

 マグニチュード(M)9級の地震が起きると、大津波などで、全国で最大29万8千人が死亡すると想定した。

 前回2012年の被害想定で死者32万人超とした推計よりも約1割減った。だが10年間で8割減らすとした目標に遠く及ばない。

 住宅の耐震化や堤防、津波避難施設などの整備が進んだ半面、地形データの見直しで浸水地域が3割拡大し、効果が減じた形だ。

 京都府では「冬の夕方」の発生で最大約1600人が死亡すると試算された。前回から700人増えた。内訳は火災による死者が千人と前回の5倍に増え、最多を占める。建物の倒壊件数や、それによる死者が減ったのと対照的だ。

 滋賀県は最大で死者約400人と前回より100人減少した。一方、建物の全壊・焼失は最大約1万6千棟と前回より増えた。

 京都府は「より大きな被害が出る花折断層帯地震をベースに対策を考えており、大きな見直しはない」という。ただ、南海トラフは、戦後日本が未経験の「超広域的」な災害規模になる。外部からの応援が後回しになるなどの想定も含め、対応を点検したい。

 全国的にも南海トラフへの備えは不十分な段階にある。減災の対策を加速せねばならない。

 鍵を握るのは、犠牲者の7割を占めるとされる津波からの早期避難と、さらなる耐震化だ。

 加えて、地震で助かった命が、避難生活に伴う体調悪化などで失われる事態をどう防ぐかが大きな課題となる。

 今回の想定は、能登半島地震や熊本地震でも相次いだ「災害関連死」の発生を初めて試算し、全国で最大5万2千人に上るとした。

 不衛生なトイレなど劣悪な避難所の環境改善はもとより、避難者の受け入れや応援職員の派遣などに関し、自治体間の援助協定や訓練をより広域的に行うことが重要だ。

 経済被害は、交通寸断の影響も含め最大292兆円に上り、国家予算2年分を上回る。莫大(ばくだい)な復旧費用が必要になる。

 政府には、自治体や住民に備えを促すだけでなく、自らも放漫財政を早急に改め、平時から財政余力を高める姿勢を求めたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月02日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・04.02】:フジテレビ問題 性暴力生んだ企業体質

2025-04-02 16:05:40 | 【魂の殺人と呼ばれ、繰り返される性暴力の現状・ジャニーズ事務所が抱える性加害の闇

【社説②・04.02】:フジテレビ問題 性暴力生んだ企業体質

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.02】:フジテレビ問題 性暴力生んだ企業体質 

 芸能界と放送業界のゆがんだ関係の根深さが、またも浮き彫りになったといえよう。

 元タレント中居正広氏と女性とのトラブルに端を発するフジテレビの問題は、「業務の延長線上における性暴力で、重大な人権侵害」と第三者委員会が認定した。

 フジが1月に設けた外部弁護士による第三者委は、200人超の関係者聞き取りや社内アンケートなどで調査した。報告書によると、同社アナウンサーの女性が中居氏の自宅で2人だけの食事会に呼び出され、性暴力被害を受けた。

 その2日前、女性はフジ編成局幹部の誘いで、中居氏の自宅で開かれた複数人の食事会に参加。「大物タレントでフジの有力な取引先」だった中居氏と、入社数年の女性とは「圧倒的な権力格差」があり、他のメンバーや飲食店を探すふりをして密室での食事に持ち込んだ中居氏の誘いを、断れない状況に追い込まれたという。

 心身とも傷ついた女性に対し、社長(1月に辞任)や専務(現・関西テレビ社長)ら幹部は「プライベートな男女間のトラブルと即断」した。第三者委は「性暴力への無理解と人権意識の低さ」を指摘し、同局で中居氏の番組を継続したことなども「二次加害行為にあたる」と断じた。

 女性は「会社は守ってくれない」と感じ、退職せざるを得なかったという。

 報告書は、フジが有力取引先と良好な関係を築くため、会合で若いアナウンサーや社員を利用した▽報道局社員が後輩女性にセクハラをしたが処分もなく、役員に昇格し、報道番組キャスターで出演している―といった事例を挙げ、「全社的にハラスメント被害が蔓延(まんえん)」「セクハラに非常に寛容な企業体質」と切り込んでいる。

 その上で経営トップを歴任し、社内の8割が「人事権を掌握している」と答えた日枝久取締役相談役が「組織風土に与えた影響も大きい」と名指しした。日枝氏は先週退任したが、公共の電波を担う企業中枢に40年以上いた責任者として、自らの言葉で語るべきだ。

 役員を入れ替えただけでは、地に落ちたフジの信頼回復はおぼつかない。報告書を吟味し、さらなる説明や被害者救済、抜本的な再発防止策を講じる必要がある。

 一昨年発覚した旧ジャニーズ事務所創業者の性暴力でも、被害を助長した放送局の見て見ぬふり、人権意識の欠如が問題になった。芸能界とメディアの関係正常化へ業界の取り組みも問われる。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月02日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・04.01】:2025年度予算の成立 財源なき歳出拡大、憂慮する

2025-04-02 16:05:30 | 【政策・閣議決定・財政・予算・地方創生・優生訴訟・年収「103万円」の壁】

【社説①・04.01】:2025年度予算の成立 財源なき歳出拡大、憂慮する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.01】:2025年度予算の成立 財源なき歳出拡大、憂慮する 

 少数与党の石破茂政権が初めて臨んだ通常国会は、2025年度予算を年度内ぎりぎりで成立させた。野党の協力を得る「数合わせ」が目立ち、今後の財源なき歳出拡大に道を開いた点は大きな問題である。

 予算案を巡っては、衆院で日本維新の会が求めた高校授業料無償化や、国民民主党が主張した「年収103万円の壁」の見直しを反映させるために修正。参院でも立憲民主党などが求めた高額療養費制度引き上げの全面凍結に応じ、再修正する異例の展開となった。

 数の力で押し通した「自民1強」時代と比べ、与野党で浮上した問題点が修正されたのは大きな変化だろう。衆院の「省庁別審査」導入も意義はある。

 だが、石破氏が掲げた「熟議の国会」とは程遠く、その場しのぎの感が否めない。

 無償化では財源確保の見通しや教育効果も不明確なまま、維新取り込みのための結論ありきに終始した。私立高まで所得制限なく公費で支援する施策の優先度に疑問の声は多く、先週の共同通信の世論調査では反対が6割近くに上っている。

 一般会計の歳出総額は115兆円と過去最大を更新する。国債の新規発行額は28・6兆円で歳入の4分の1を占める。財源が限られる中、8・7兆円に上る防衛費など中身の精査や、金利上昇の影響が増す財政の健全化への議論は深まらなかった。

 政権発足からきょうで半年。浮き彫りとなったのは首相の危機感の欠如と迷走ぶりだ。

 高額療養費制度では方針が二転三転した。重度患者を狙い打ちした強引な負担増策の経緯と中身をみれば、衆院段階で転換できたはずではないか。

 自民裏金事件を受けた政治改革が国会の焦点になっているのに、石破氏は新人議員に違法寄付が疑われる商品券を配布した。予算成立前にもかかわらず、新たな物価高対策を検討する考えを示し、謝罪に追い込まれた。

 内閣支持率は3割を切り、早くも「危険水域」に入っている。

 野党の姿勢も疑問が多い。

 夏の参院選を意識し、維新や国民は少数与党を助け、成果争いが目につく。

 後半国会へ議論がずれ込んだ企業・団体献金の在り方を巡っては、存続を主張する自民の法案に対し、立民と維新は禁止法案を提出し対立する。一方、国民は与党・公明党と組んで献金存続を前提に規制強化で法案をまとめた。

 中途半端な妥協策では、不祥事が繰り返されてきた「抜け穴」はふさげないのは明らかだ。同じく後半の焦点となる選択的夫婦別姓の導入を含め、立民は野党第1党としての主導力が問われよう。

 与野党は党利党略に走るのではなく、伯仲国会で積年の懸案に真摯(しんし)に向き合うべきだ。建設的な議論を重ね、踏み込んだ決断を求めたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月01日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・04.02》:25年度予算成立 「熟議の国会」はまだ遠い

2025-04-02 09:31:55 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・04.02》:25年度予算成立 「熟議の国会」はまだ遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・04.02》:25年度予算成立 「熟議の国会」はまだ遠い 

 熟議の結果とは言えないだろう。

 2025年度予算が成立した。衆院で少数与党となった石破政権は、野党の要求を踏まえて、衆院に続いて参院でも予算案を修正した。

 参院で修正された予算案が衆院の同意を得て成立するのは、現行憲法になって初めてだ。異例の展開である。

 石破茂首相はきのうの記者会見で「党派を超えた協議の成果を取り入れ、成案が得られた。熟議の国会の成果」と強調している。

 実態は異なる。非公開の与野党協議が水面下で進み、政策決定の不透明さが際立った。高校授業料無償化などの審議では踏み込み不足が明らかだ。高額療養費制度を巡っては政権が迷走した。

 恒久財源の確保を先送りして予備費に頼ったことも、責任ある政党の姿勢ではない。夏の参院選を控えて、主要野党がそれぞれ目玉とする政策をアピールすることを優先した結果である。

 衆院での修正は、高校授業料無償化と、所得税が生じる「年収103万円の壁」の160万円への引き上げだ。さらに参院送付後、石破首相が高額療養費制度の自己負担額上限引き上げについて全面凍結を表明し、再修正した。

 与野党協議は細部まで議論が尽くされなかった。高校授業料無償化は都市部に恩恵が集中し、公立離れが加速する懸念が拭えない。

 年収の壁見直しは、減税効果を幅広い層にもたらす一方、歳入減を抑えるため制度が複雑化した。高額療養費制度では政府が当初、批判を受け止めず、結果的に3度にわたって方針を転換した。

 財源も問題だ。高校授業料無償化では1064億円、高額療養費制度関連では160億円が必要になった。年収の壁引き上げでは税収が6210億円減った。

 いずれも恒久財源が必要なのに、25年度予算は一般予備費などを活用して穴を埋めた。26年度から始まる高校授業料無償化の私立加算引き上げの財源は未定のままだ。熟議不足は明らかである。

 とはいえ、少数与党が野党の主張を取り入れ予算案を修正したことは、あるべき国会運営の一端を示した面もある。自民党1強時代に国会軽視が目に余ったことを顧みれば、民主主義の熟成に向けた一歩ととらえたい。

 後半国会では、与野党で主張が大きく異なる企業・団体献金の在り方や、選択的夫婦別姓制度などが焦点になる。公開の場で与野党が議論を尽くし、国民が納得できる結論を出さなければならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月02日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・04.02》:フジテレビ 信頼回復の道は険しい

2025-04-02 09:31:50 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・NHKの功罪・マスコミ・雑誌・著作権】

《社説②・04.02》:フジテレビ 信頼回復の道は険しい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・04.02》:フジテレビ 信頼回復の道は険しい 

 フジテレビの一連の問題を調査した第三者委員会が、報告書をまとめた。元フジアナウンサーの女性が元タレント中居正広氏から受けた被害は、業務の延長線上における性暴力で、重大な人権侵害であると認定した。

 浮かび上がったのは、全社的にハラスメント被害がまん延していた実態だ。メディアとして視聴者の信頼を取り戻せるのか。道は相当に険しい。

 報告書では、当時入社数年目のアナウンサーだった女性が、人気タレントである中居氏との「圧倒的な権力格差」の下、食事の誘いを断り切れず性被害に遭った過程が明らかにされた。

 当時の港浩一社長らフジ幹部は「プライベートな事案」だとしてコンプライアンス部門と共有しなかった。驚くのは、被害を受けた社員を守るどころか、中居氏の側に立ったことだ。幹部が中居氏に代わって女性に見舞金名目で現金100万円を届けた。中居氏に弁護士を紹介し、番組への起用も継続した。第三者委は「二次加害行為にあたる」と指摘した。

 なぜここまで性暴力に無理解なのか。調査から見えてきたのは、幹部の人権意識が希薄で、ハラスメントを容認する企業体質だ。

 複数の類似事案が確認されている。フジは有力な取引先の歓心を得るため、番組出演者の男性などとの会食に「性別・年齢・容姿などに着目して」女性のアナウンサーや社員を呼んでいた。その場でも被害が起きている。

 社内の事案も複数あった。フジの元取締役男性は、社が問題を把握した後も懲戒処分されずに昇進し、ニュース番組のキャスターを務めている。加害者がとがめられずに昇進する組織では、被害者の声が封じられてしまう。

 報告書は、問題の原因として、長年にわたり権力中枢にいた日枝久氏の「組織風土の醸成に与えた影響は大きい」としつつ、全取締役の機能不全の責任を指摘。再発防止に向け、ハラスメント被害の救済と、リスク管理体制の見直しなどを提言している。

 フジは提言を具体化し、抜本的な改革を急がなくてはならない。組織のあしき慣習を変えるのは、なまなかな覚悟ではできない。

 報告書は、社内外の力関係から起きる性暴力やハラスメントはメディア・エンタメ業界の構造的な課題とも指摘している。女性を見た目や年齢で評価し、ハラスメントにも見て見ぬふり―。これはフジだけの問題なのか。一人一人が働く場を省みる機会としたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月02日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・04.01》:日米防衛相会談 想定超える役割を危ぶむ

2025-04-02 09:31:45 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

《社説①・04.01》:日米防衛相会談 想定超える役割を危ぶむ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・04.01》:日米防衛相会談 想定超える役割を危ぶむ 

 抑止力強化という名目で、戦争に近づいている懸念が拭えない。

 中谷元・防衛相とヘグセス米国防長官が初会談した。ヘグセス氏は軍事力を増強させる中国に対応するため、抑止力強化へ役割を果たすよう日本に要請。具体額は示さなかったものの、防衛費増にも期待感を示した。

 中国の武力行使を抑止する上で、日本を不可欠のパートナーと言及。日本との連携を重視する姿勢を鮮明にした形である。

 ヘグセス氏は会見で、在日米軍指令部の「統合軍司令部」への移行開始も表明した。日本が発足させた「統合作戦指令部」のカウンターパートになり、軍事情報を得る窓口にもなる。日米軍事一体化がさらに進むことは確実だ。

 注視するべきは、ヘグセス氏が会見で、台湾有事を想定して「西太平洋のあらゆる不測の事態で、日本は最前線になる」と指摘したことだ。中国が台湾に武力侵攻した際には、安保関連法に基づいて米軍の後方支援などが可能になる。ヘグセス氏の発言は、これまでの想定を超えた役割を日本に求めていないか。

 中谷防衛相は会見で台湾有事が発生した場合は「国際法や国内法令に従って具体的な対応を実施する」と述べるにとどめた。要求の具体性は不明だが、米側の思惑に注視しなければならない。

 当面焦点になるのは、防衛費の増額要求だろう。

 ヘグセス氏は「平和を求めるなら戦争の準備をする必要がある」と強調。防衛費について「どのような能力が必要か、日本が正しく判断すると信じる」と述べた。

 トランプ政権内には防衛費も国内総生産(GDP)比3%への増額を求める声が根強い。政府支出削減策の一環として、在日米軍強化の停止を検討しているとも報じられている。その一方で米と中国の戦力差が縮小し、米国の優位が揺らいでいるという危機感も背景にあるだろう。

 石破政権内には2023~27年度の防衛費総額を約43兆円とした安保関連3文書の改定論も浮上している。防衛費を上積みする構想で「日本の主体的な姿勢をアピールする」のが狙いだ。

 約43兆円の使途も不明確で、財源の一つとする所得税増税の開始時期も決まっていない。抑止力強化を掲げても国民の理解を得られる状況ではないだろう。

 圧力強化を続ければ双方の疑念と緊張が高まり、偶発的であれ、武力衝突を招く恐れがあることを見過ごしてはならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月01日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・04.01》:ミャンマー大地震 国際支援行き渡らせねば

2025-04-02 09:31:40 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

《社説②・04.01》:ミャンマー大地震 国際支援行き渡らせねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・04.01》:ミャンマー大地震 国際支援行き渡らせねば 

 ミャンマー中部を震源に発生した大地震の被害が、日を追って拡大している。

 依然として多くの人々が倒壊した建物の中に取り残されているとみられる。がれきを取り除く重機などが不足し、猛暑のなか、救出活動は困難を極めている。

 軍事政権によると死者が2056人、負傷者は3900人を超えた。被害地域は耐震化が進んでおらず、死者が1万人を超えるとの海外研究機関の予測もある。救出にあらゆる手を尽くす時だ。

 各国政府や国際機関から、支援の申し出や救助隊を派遣する動きが相次いでいる。2021年2月のクーデターによって政権を握った国軍は、市民への弾圧を続け国際社会の批判を浴びてきた。だが今回の大地震では、支援を歓迎する姿勢を示している。

 軍政は過去の災害で、実態を隠し他国の干渉を避ける対応がみられた。23年にサイクロンの襲来を受けた時がそうだ。国連人道問題調整室(OCHA)によると、軍政は人道支援活動に必要な許可を停止し、支援を阻害した。

 地震被害の深刻さを踏まえ、軍政も国際協調に活路を見いだそうとしているのだろうか。友好関係にあるロシアと中国がいち早く救助隊の活動を本格化させた。

 今後、救出活動に続いて医療や福祉など幅広い支援が必要になってくる。友好国以外からも積極的に受け入れてほしい。日本からの働きかけを強めたい。

 心配なのは、クーデター以来続いている内戦の動向だ。国軍が、大地震が発生した後も敵対する民主派の支配地域への攻撃を続けたとも伝えられている。

 ミャンマーでは地震が起きる前から、内戦に伴う避難民が350万人にも上る。一刻も早く停戦に持ち込み、民主派の支配地域も含め人道支援に本腰を入れられるようにしなければならない。

 同国を南北に走る約千キロの「ザガイン断層」のうち約200キロが動いたのが今回の地震だ。マグニチュードは7・7。断層のひずみはまだ残っているとみられ、しばらくは地震が続く可能性が高い。注意しながらの救出が続く。

 過去をさかのぼると地震を繰り返してきた断層だ。長期的には耐震化などの支援も課題となる。

 今回の大地震では、震源から千キロ以上離れた隣国タイの首都バンコクで、建設中の高層ビルが倒壊する事態となった。長周期の地震波が、軟弱な地盤で増幅した影響とみられる。長周期の地震波の怖さを再認識する必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月01日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・03.31》:オンラインカジノ 違法性と危うさの周知を

2025-04-02 09:31:35 | 【IR推進法・カジノを含む統合型施設・ネットカジノ・ギャンブル依存症対策・賭博】

《社説①・03.31》:オンラインカジノ 違法性と危うさの周知を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・03.31》:オンラインカジノ 違法性と危うさの周知を 

 いつでも、どこでも賭けられるオンラインカジノの経験者が国内で推計337万人に上るという。警察庁の初の調査でわかった。

 賭け金の総額は年間1兆2千億円を超え、1人当たり63万円ほどになるという。調査対象者の半数近くは、利用するために借金をした経験があった。軽い気持ちでアクセスした人たちが、巨額のお金を巻き上げられている現状が浮かぶ。

 オンラインカジノはれっきとした犯罪だ。刑法の賭博罪に当たり、50万円以下の罰金や、常習だと3年以下の懲役にも問われる。

 サイトの多くは海外で運営されている。それぞれの国で事業許可を得ていたとしても、日本からアクセスして賭ければ罪になることを忘れないようにしたい。

 怖いのは、スマホなどで賭けられるため、周りから行為が見えにくいことだ。有名選手や芸能人にも広がり、その影響で始める人もいる。若手を中心に利用年代は幅広く、未経験者を含め4割超には違法との認識がなかった。

 日本語で利用できる40サイトを調査で抽出・分析したところ、所在地は、中米、アフリカ、地中海などのタックスヘイブン(租税回避地)とされる島々だった。アクセスのほとんどが日本からというサイトが目立つ。

 憂慮すべき状況である。オンラインカジノのサイトを利用しない、できない仕組みづくりを急がねばならない。

 政府は「ギャンブル依存症対策推進基本計画」を閣議決定した。違法性の周知や、賭博にかかわる運営側の取り締まりが柱だ。

 賭け金や配当を仲介する決済代行業者、SNSなどを介して利用者を誘導する「アフィリエイター」は賭博ほう助罪に触れる可能性があり、摘発を強化する。

 通信事業者にもサイトの広告表示をさせないよう働きかけ、クレジットカード会社には賭け金などの決済に使われないよう注意喚起していくという。それぞれ着実に進めてもらいたい。

 一方、総務省は、通信事業者がサイト接続を強制的に止めるブロッキングの導入を検討するという。憲法が保障する「通信の秘密」を侵害しないよう、根拠や範囲の慎重な見極めが要る。

 24時間賭けられるオンラインカジノは依存症につながりやすい。今回の調査でも、対象者の6割に自覚があった。競馬や競艇といった公営ギャンブルでもオンライン化が進んでいる。依存症対策の強化は待ったなしだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月31日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・03.31》:年収103万円の壁 多くの課題残る引き上げ

2025-04-02 09:31:30 | 【税制・納税・減税・消費税・ガソリン減税・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

《社説②・03.31》:年収103万円の壁 多くの課題残る引き上げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・03.31》:年収103万円の壁 多くの課題残る引き上げ 

 所得税が生じる「年収103万円の壁」を最大で160万円に引き上げる所得税法改正案などが、今国会で成立する見通しだ。

 衆院選の与党過半数割れを受けて国民民主と自民、公明で協議を開始。昨年末に基礎控除(48万円)と給与所得控除の最低額(55万円)を10万円ずつ引き上げて123万円とする政府案が決まった。178万円への拡充を求める国民民主と与党が折り合わず、与党案で決着した。

 法案は、政府案を土台に減税措置を拡充。具体的には年収850万円以下の人を対象に基礎控除をさらに4段階で上乗せする。

 ここからがややこしい。年収200万円以下は恒久的に37万円増額し160万円に引き上げる。同475万円以下は30万円、同665万円以下は10万円、同850万円以下には5万円を上乗せ。ただし年収200万円超~850万円以下の上乗せは2年間限定だ。

 基礎控除とは、最低限の生活費には課税しない考え方に基づく。物価高が進む中、国民の可処分所得が増える意味は大きい。物価上昇率などを勘案すると、123万円への引き上げもうなずける。

 一方で、課題も多い。

 全体の減税額は1・2兆円規模となるが、税収減を補う安定財源の確保は見通せない。協議がこじれた結果、減税策は複雑になり、税の簡素の原則に逆行している。

 協議は引き上げ幅の駆け引きに終始した。基幹税である所得税をいじるなら、税制全体を視野に長期的な視点で議論すべきだった。

 「年収の壁」問題の核心は、既婚女性の就労調整にある。減税の側面ばかりがアピールされ、後景に追いやられたのが残念だ。

 会社員の夫に扶養されてパートなどで働く妻は、税や社会保険料の負担を避けるため労働時間を抑えている。103万円の壁と並び立つのが、社会保険の「130万円の壁」だ。超えると扶養から外れて国民年金や健康保険、介護保険の保険料の負担が生じる。

 実際、既婚女性の給与年収の分布を見ると103万円をピークにその先が大きく減る。130万円を超えるとさらに減る。

 既婚女性の賃金の低さは、老後の低年金に直結する。非正規労働者全体の賃金水準の抑制につながっている点も見過ごせない。

 今回の非課税枠の引き上げが、既婚女性の働き方に及ぼす影響は限定的だ。130万円の壁の見直しが欠かせない。控除や扶養のあり方など、制度の抜本的な改革をためらってはならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月31日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・03.29》:80年談話見送り 平和国家の使命放棄だ

2025-04-02 09:31:25 | 【第二次世界大戦・軍部の功罪・戦後80周年・東京大空襲他・犠牲者へ無補償

《社説①・03.29》:80年談話見送り 平和国家の使命放棄だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・03.29》:80年談話見送り 平和国家の使命放棄だ 

 党内力学を優先して見送るのは、平和国家の使命の放棄である。

 閣議決定による戦後80年の「首相談話」の策定だ。石破茂首相が見送る意向を固めた。

 戦後の首相談話はこれまで、50、60、70年と10年ごとに発表してきている。石破首相も歴代内閣の立場を全体として引き継ぎ、歴史認識や平和国家としての決意を示す談話を公表する方向だった。

 ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエルのガザ攻撃などで国際情勢が緊迫化し、核による威嚇も起きている。台湾有事もささやかれる。再び惨禍を起こさないため、悲惨な結果を招いた先の大戦を検証し、新たな見解を示す必要があるとの判断だった。

 唯一の被爆国として、国際社会に平和の尊さを訴える意義も大きいはずである。

 それなのに、自民党内の保守派を中心に根強い異論が噴出した。

 戦後50年の村山首相談話と60年の小泉首相談話は、アジアの国々に対する「植民地支配」や「侵略」を認め、「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明した。

 これに対し、70年の安倍首相談話は四つのキーワードを入れた上で、将来の世代に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」とも主張した。党内保守派には、安倍首相談話で「謝罪外交」に区切りがついているとして、新たな談話は不要との意見が根強くある。

 石破首相は最終的に、首相談話を出すことで歴史認識を巡る論争が再燃し、党内基盤が揺らぐことを恐れたとみられる。高額療養費制度の見直し凍結に至る迷走や、商品券配布問題で、内閣支持率が急落していることも理由だろう。

 代替案として、首相の私的諮問機関で先の大戦を検証し、記者会見などで首相が個人的な見解を表明することを検討する。教訓を共有し、平和国家としての決意を示すというものの、歴史認識には踏み込まない見通しだ。より「穏便」な形を模索するという。

 重視すべきは、党内への配慮や政権基盤の維持といった内向きな志向ではない。国際社会の中で、日本が平和国家としての役割をどう果たすか―の表明である。

 侵略と植民地支配に対する反省が薄らげば、平和への決意を示しても中国などアジア諸国の疑念を生み、説得力も失われよう。

 緊迫化する国際情勢の中で、日本が歴史を直視し、力による現状変更の危険性を世界に訴える意義は大きい。この10年の情勢を踏まえ、平和を希求する「首相談話」を出すべきである。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月29日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・03.29》:トルコ政治混乱 一線越す強権化を危ぶ

2025-04-02 09:31:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説②・03.29》:トルコ政治混乱 一線越す強権化を危ぶ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・03.29》:トルコ政治混乱 一線越す強権化を危ぶ

 トルコで最大都市イスタンブールの市長が逮捕され、政治の混乱が続いている。

 国政最大野党共和人民党(CHP)の次期大統領選候補で2期目のイマモール氏だ。与党公正発展党(AKP)を率いるエルドアン大統領の最大の政敵とされる。

 2028年大統領選の候補を選ぶ党内手続きの直前に汚職容疑で拘束、逮捕された。全面的に否認している。

 野党は「政治的クーデター」だとして反発を強め、各地に大規模な抗議デモが拡大している。地域大国トルコの政情不安は国際情勢にも影響を与えかねない。

 政敵を追い落とす思惑があるなら、エルドアン氏の強権的な政治手法は一線を越えている。民主主義を損ない、専制主義へ一段と傾斜する危うさがある。

 CHPは国是である政教分離の世俗主義を掲げ、都市部で支持が厚い。野党や市民は司法当局が政権の影響下にあるとみて、不当逮捕だとしてデモを続ける。

 エルドアン政権は20年以上の長期に及び、イスラム色の濃い政策を進めてきた。憲法改正を繰り返して自身に権限を集中させ、強権体制を確立した。

 トルコを地域大国に押し上げた強い指導者像が評価される半面、野党やメディアを弾圧する独裁的な政治手法や物価高騰への不満は根強い。支持するか否かでトルコ社会は二分されてきた。

 政権側は抗議デモの制圧を図り、1400人以上を拘束。エルドアン氏は「街頭テロ」と非難して態度を硬化させており、強権化が一段と進む恐れがある。通貨リラや株価も急落している。政治や経済の混迷は深刻だ。

 トルコは欧州と中東を結ぶ要衝に位置する。戦火を交えるロシア、ウクライナ両国とは良好な関係を維持し、ロシアが封鎖した黒海からのウクライナ産穀物輸出の再開に向けて両国を仲介したことがある。この先の和平交渉への関与にも意欲を示しており、欧州側はウクライナ支援でトルコとの連携を模索している。

 だが、足元が揺らぐ中でトルコが役割を果たすことは期待できるだろうか。

 加盟を目指している欧州連合(EU)はかねて強権的な姿勢に懸念を示し、今回も「長い民主主義の伝統を守っているか疑問を生じさせる」との声明を出した。

 エルドアン氏は、このままでは社会の分断を深めるばかりか、国際的な信用も失いかねないことを理解すべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月29日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・04.02】:南海トラフ被害 対策促す想定にせねば

2025-04-02 08:04:50 | 【地震列島・防災庁・減災と防災・南海トラフ地震・富士山噴火・避難マップ・

【社説①・04.02】:南海トラフ被害 対策促す想定にせねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.02】:南海トラフ被害 対策促す想定にせねば 

 南海トラフ地震の新しい被害想定を政府の作業部会が発表した。死者は全国で最大29万8千人。前回2012年の想定32万3千人より減ったものの、10年間で8割減らすとの目標に届かなかった。
 前回の想定より大きく増加した自治体もあり、厳しい数字に戸惑いも広がる。どのような対策を講じれば被害を減らせるのか、政府は明確な根拠を示すべきだ。
 新しい被害想定によると、建物の耐震化や津波避難施設の増設などの対策により全体の死者が減少する一方、詳細な地形データを用いて津波被害を再計算したところ浸水地域が広がり、全体では2万5千人の減少にとどまった。
 仮に対策の効果のみ反映すると死者は26万4千人に減るが、それでも減少は2割程度だ。
 ただ、作業部会の被害想定は広域的な被害状況の把握を重視し、地域ごとの分析はしていない。
 例えば、津波の人的被害は、地震発生後すぐに避難を始める人の割合を地域を問わず一律に20%または70%などと仮定して計算しており、自治体が住民の避難意識向上に力を入れても反映されにくい算出方法が採られている。
 各自治体は、政府の被害想定や基本計画を基に、地域の防災対策を進めるが、どのような対策をどの程度進めれば被害を減らせるのか、その関係が曖昧なままでは、新しい想定が公表されても、防災対策を詳細に議論することは難しいのではないか。
 実際、作業部会の検討過程では対策の効果を被害想定に反映できないことが課題だとする意見や、被害想定が大きいため、防災対策が行き詰まったり、諦めが生じたりする悪影響も見られるとの指摘があったという。
 新しい被害想定は、地形データを精緻に取り入れる一方、避難意識が高い人の割合を全国一律で設定するなど、いびつな構造だ。
 防災の担い手である自治体がいくら対策を進めたり、住民の意識向上に努めたりしても、想定に反映されなければ、防災現場の閉塞(へいそく)感は強まるばかりだろう。
 南海トラフ地震の被害を可能な限り減らすためにも、自治体が防災対策の効果を実感できるような被害想定にする必要がある。対策の進捗(しんちょく)状況をきめ細かく被害想定に反映できるよう計算式を改めるなど、不断の見直しにより防災対策を促すよう求めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月02日  08:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・04.02】:企業・団体献金 温存図る危機感の欠如

2025-04-02 08:04:40 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説②・04.02】:企業・団体献金 温存図る危機感の欠如

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.02】:企業・団体献金 温存図る危機感の欠如 

 企業・団体献金見直しを巡り、与野党は期限としていた3月末までに結論を得られなかった。国民との約束でもある公党間の合意を軽く見てはいないか。企業・団体献金は金権腐敗の元凶とされてきた。抜本見直しの実現に向けて早期に結論を得るよう求める。
 昨年の臨時国会では、自民党派閥の裏金事件を受け、立憲民主党が企業・団体献金を禁じる政治資金規正法改正案を提出したのに対し、自民党は存続を主張した。
 双方の主張は根幹部分で相いれず、合意期限を今年3月末に設定したが結局、守られなかった。
 自民党総裁の石破茂首相は企業・団体献金について「禁止より公開」と繰り返すだけで、合意に向けた指導力を発揮したとは言い難い。期限内に結論を出す決意があったのかも疑わしい。
 自民党が今国会に提出した「公開強化法案」は党本部や支部への献金総額が1千万円超の企業名を公開すると定めるが、対象支部は5・6%にとどまる。この程度では公開強化と言えず、どの党の賛同も得られなかったのは当然だ。
 これに対し、立民、日本維新の会など野党5党派は企業・団体献金の禁止法案を今国会に共同提出した。名を連ねていないれいわ新選組、共産党も禁止には賛同している。衆院の過半数に届かないとはいえ、幅広い党派が結束したことは一歩前進といえる。
 国民民主、公明両党は企業・団体献金の規制強化案をまとめたが法案として国会に提出したわけではない。当初案では党本部と都道府県組織に限っていた献金の受け皿についても、自民党に譲歩して党支部を容認した。
 当初案なら、野党側が全面禁止に向けた経過措置と理解して受け入れる余地もあったが、企業・団体献金を温存する内容では野党側の賛同を得ることは難しい。
 自民党は企業・団体献金を温存しても、国民の理解を得られると考えるのか。危機感を欠く。
 企業・団体献金見直しの起点は裏金事件で露呈したカネをかける政治への不信だ。先の衆院選で自民党を少数与党に転落させた国民の選択を軽視すべきではない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月02日  08:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗・04.02】:模擬試験の合否判定でおよそ合格困難な「F」を突きつけられた…

2025-04-02 08:04:30 | 【地震列島・防災庁・減災と防災・南海トラフ地震・富士山噴火・避難マップ・

【筆洗・04.02】:模擬試験の合否判定でおよそ合格困難な「F」を突きつけられた…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・04.02】:模擬試験の合否判定でおよそ合格困難な「F」を突きつけられた… 

 模擬試験の合否判定でおよそ合格困難な「F」を突きつけられた気分になる。このままでは残念ながら合格は望めない。受験なら志望校を変更するしかないが、やっかいなことに生命のかかった「減災」という目標は決してあきらめるわけにはいかないのである
 ▼政府が発表した南海トラフ巨大地震が発生した場合の新たな被害想定に、出来の悪い「模試」の成績を連想する。想定死者数は最大で29万8千人。下がらない冷酷な数字にうろたえる
 ▼前回2012年の想定死者数は32万3千人。そこから約10年、目標の死者数8割減に向け、津波に備えた堤防整備や住宅の耐震化率の向上などにねじり鉢巻きで取り組...、

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 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2025年04月02日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・04.01】:フジ性暴力調査 組織の病弊は明らかだ

2025-04-02 08:02:50 | 【魂の殺人と呼ばれ、繰り返される性暴力の現状・ジャニーズ事務所が抱える性加害の闇

【社説①・04.01】:フジ性暴力調査 組織の病弊は明らかだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.01】:フジ性暴力調査 組織の病弊は明らかだ 

 元タレントの中居正広氏による女性トラブル問題を巡り、フジテレビの第三者委員会が調査報告書を公表。「女性が中居氏に性暴力の被害を受けた」と認定した上で「(行為は)業務の延長線上だ」と指摘した。
 フジは業務の延長線上で起きた重大な人権侵害を、外部の報道があるまで隠蔽(いんぺい)しており、企業統治が根底から崩れていたと言わざるを得ない。
 報告書は、トラブルが起きた当時の港浩一社長ら経営幹部が「人権リスクの認識を誤り危機管理としての対処をしなかった」と断定した上で「経営の体をなしていない」「被害者ケア、救済からの観点からも不十分な対応だった」と厳しく指摘した。
 フジは社内で問題把握後も中居氏のレギュラー出演番組の放映を続けた。社員の人権よりも番組存続を優先したことは明白だ。
 報告書は「ハラスメントは全社的にまん延している」と指摘し、今回のトラブルに限らず、人権を侵害された社員らが他にも多数いることは想像に難くない。倫理観が欠如した会社全体の病弊には言葉を失う。
 フジは中居氏の依頼で女性に100万円を見舞金名目で届けた上で弁護士を紹介していた。報告書は「フジの幹部は中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のための行動は女性への二次加害行為に評価し得る」と指摘した。社員を守らないばかりか、実質的に加害者を支援していたのであれば組織ぐるみで性加害に加担したと批判されても否定できまい。
 フジは報告書の公表直前、親会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)を含めて人事を刷新し、人事権を含む経営の決定権を事実上握っていた日枝久氏の取締役相談役の退任を発表した。
 日枝氏は、深刻な人権侵害の温床となった企業風土の形成に大きな影響を及ぼしており、説明しないまま退くことは許されない。
 日枝体制で引き上げられた清水賢治フジ社長(フジHD社長兼務予定)と同HD社長から会長となる予定の金光修氏が引き続き経営に携わることも受け入れ難い。
 報告書はBS報道番組キャスターを務める前取締役のハラスメントも指摘した。経営陣を総入れ替えして生まれ変わらない限り、公共性を有する放送会社として存続することは厳しいのではないか。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月01日  07:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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