[↑ 命どぅ宝/沖縄を再び戦場にするな! (2022年05月15日、朝日新聞)] (2022年05月22日[日])
琉球新報の【<社説>行政協定「草案」公開 「対米従属」協定見直せ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1519219.html)。
《日米地位協定の前身となる、日米行政協定の外務省草案が公開された。日本国内で米軍の自由な移動を認めると、米国と戦争する「第三国」から無差別に攻撃されることを懸念し、対等な取り決めを求めていたことが明らかになった。実際に締結された行政協定は日本側の希望は通らず、現在の日米地位協定でも日本政府は米軍の自由な移動を認めている。行政協定締結から70年たっても不平等な協定を見直せないのは主権国家としてあるまじき姿であり、「対米従属」もはなはだしい》。
『●屋良朝苗氏は「基地のない平和の島としての復帰」を望んだ
…モノクロから「天然色」に変わっても現実は…』
『●《権力欲に駆られた政治家》アベ様やカースーオジサンによる《含羞》
なき、《廉恥》欠く、破廉恥な政権が8年8カ月も続いてしまった…』
《来年は沖縄の施政権返還(日本復帰)から50年の節目を迎える。
50年前の「沖縄国会」で、衆議院は在沖米軍基地の縮小決議を
全会一致で決議したが、いまだに実現していない。岸田首相に
国会決議を実現し、繰り返し民意が示された名護市辺野古の
新基地建設見直しを求める》
『●《沖縄が切り捨てられた日であり、名護市出身の女性が米軍属の男に
殺害された日でもある。いまも沖縄にとって「屈辱の日」は続いている》』
《72年の日本復帰後も沖縄の人々は基地の自由使用に抵抗し、抜本的な
整理縮小や日米地位協定の改定を求めてきた。その意思を尊重せず
「国益」や国策の名の下で沖縄を国防の道具にする日米政府の手法は
植民地主義だ。県内の主要選挙や県民投票で反対の意思を示しても
建設工事が強行される辺野古新基地は、沖縄の人々の自己決定権を
侵害する植民地主義の象徴である》
『●自公政権やお維に壊され行く沖縄: 沖縄「屈辱の日」を「主権回復の
日」と言う元首相、沖縄の戦後史を知らないという元最低の官房長官…』
《72年5月15日の日本復帰記念式典で屋良朝苗知事は「沖縄がその
歴史上、常に手段として利用されてきたことを排除」すると述べた。
日本復帰から半世紀。日米に利用されてきた立場に終止符を打つ時期が
来ているのではないか。》
『●来年の「5・15」で50年…屋良朝苗氏は「基地のない平和の島としての
復帰」を望んだ…モノクロから「天然色」に変わっても現実は…』
『●<金口木舌>《コロナ感染再拡大後も米軍は詳細を説明せず、米兵は
基地の街をマスクをせず闊歩している。これが復帰から半世紀の沖縄》』
《2022年を迎えた。今年は沖縄の施政権返還(日本復帰)から
50年の節目に当たる。半世紀前に琉球政府が日本政府と国会に求めた
のは、自己決定権の確立であり、民意を尊重することであった》
『●「思いやり予算」として小さく生んで、いまや「同盟強靱化予算」
として大きく育った番犬様の「お財布」、とっても気前の良いニッポン』
《▼沖縄は来年日本復帰50年を迎えるのに、過重な基地負担と沖縄戦や
米軍統治下から続く特殊事情に今も苦しんでいる。思いやりなどなく
札束で頬をたたくような政府を想像すれば、予算の増減に一喜一憂せず、
新時代を自ら切り開く県民の気概を見せたい。(吉川毅)》
『●長周新聞《まるで地獄の沙汰もカネ次第 名護市を丸ごと買収する国
ミサイルの標的と引き換えの「繁栄」》…渡具知武豊名護市長再選の闇』
《今年で復帰50年を迎えるが、なんのための日本復帰だったのか。
ドルが円に変わっただけではないか。いまだに米軍の統治下に置かれ、
問答無用で踏み台にされていると思わざるを得ない。人殺しの基地の島
ではなく、人を生かす島にならなければならないし、そのために
もたらされる豊かさは砂上の楼閣でしかない」と憤りを込めて話した》
『●ニッポン〝復帰〟50年…《沖縄の自然が破壊され、民意が踏みにじら
られて軍事基地ができていく現実》、辺野古は単なる破壊「損」な現実』
『●番犬様のものじゃない…《基地負担の軽減は遠く、米軍は今も島全体を
自由使用する。よもや「返したけれど俺のもの」と思ってはいまいか》』
『●《元山仁士郎さん…「半世紀たっても、米軍基地の押しつけは変わって
いない」…言葉には、沖縄にずっとのしかかる負担の重さがにじむ》』
『●(沖縄タイムス)《軍事的な必要性が全てにおいて優先…沖縄は憲法が
適用されない「軍事植民地」だった》…50年経っても変わらない』
『●《迷惑施設が自分の家の近くに来るのは嫌だという日本本土のNIMBY
(Not In My Back Yard = ニンビー) …沖縄には基地を押し付け》』
《主権国家としてあるまじき姿であり、「対米従属」もはなはだしい》…ウヨクの皆さんや、ホシュを自認する皆さん、いいのこれで? 《日米地位協定の前身となる、日米行政協定…自由党の中曽根康弘氏(後の防衛庁長官、首相)が外務省を訪れ「この協定は日本をアメリカの植民地化するもの」と語った逸話も記されている》そうですよ、ホシュの皆さんの大好きな中曽根康弘氏がですよ。
沖縄〝復帰〟50年…《日米行政協定締結から70年》…アベ様・カースーオジサン・キシダメ氏にその気が全くないという悲劇なニッポン…。
『●「日米安保の根幹を成す地位協定の不平等性を
そのままにしておいて、もう一方の9条だけをいじり…」』
《日米地位協定は日本における米軍兵士やその家族(軍属)、
軍関連業者などの法的な地位を定めた日米両国間の協定だが、敗戦後
間もない1952年に締結された日米行政協定から実質的に一度も
改正されていないこともあり、いかにも戦勝国が敗戦国に要求する
無理難題が羅列された条文がそのまま残っている。地位協定の下では、
米軍関係者には事実上の治外法権が認められ、パスポートもビザもなく
日本国内を自由に出入りできるほか、「公務中」の刑事裁判権も
日本側にはない。この協定の下では、アメリカは日本の好きなところに
好きなだけ基地の提供を要求できるし、日本の広大な空域が米軍に
よって支配され、民間航空機はその合間を縫うような難しい飛行を
強いられる等々、おおよそ現在の国際基準では考えられないような
不平等な内容のままになっている。
2004年、普天間基地に隣接する沖縄国際大学キャンパスに
米軍のヘリが墜落した時、武装した米軍兵が普天間基地の柵を
乗り越えて勝手に大学のキャンパスに侵入し、大学そのものを封鎖
してしまった。その瞬間に…》
『●「日米地位協定が米軍に“特権”を与えているからだ。
「半分主権国家」…編集者で作家の矢部宏治氏」』
《(著書で日本の歪んだ現実を指摘した矢部宏治氏…)…
――最悪な時期に、独立の交渉をしていたのですね。
旧安保条約や行政協定(現・地位協定)は、朝鮮戦争で苦境に立った
アメリカの軍部が、日本に独立後も全面的な戦争協力をさせるため、
自分で条文を書いた取り決めなのです。たとえば旧安保条約の
原案には、「日本軍が創設された場合、国外で戦争はできない。
ただし米軍の司令官の指揮による場合はその例外とする」
と書かれています》
『●在りもしない特権には大騒ぎするくせに、明確に存在する #在日米軍
特権 には沈黙する…《米軍の在日特権こそ問題にすべき》(長周新聞)』
《さらに米軍の地位について「行政協定に代わる別個の協定及び
合意される他の取極(とりきめ)により規律される」と記述した。
この「別個の協定」こそ日米地位協定だった。
そもそも行政協定は占領軍の特権をちりばめた協定であり、その
精神を受け継ぐ日米地位協定は「在日米軍に多様な特権を認める協定」
にほかならない。日米地位協定は、最初から日本国民を守るために
つくられた協定ではなかった》
『●《日米地位協定…あからさまに主権を踏みにじられても、岸田首相は
「現実的に最善の方法を考えていく」とゴマカし、改定に後ろ向き》』
《(沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛氏…)…
――18年の国会審議で野党から追及された河野外相は「適切な取り
組みを通じて解決する」、岩屋防衛相は「外相に聞いて」と逃げました。
羹に懲りて膾を吹きまくるのが自民党なんです。もちろん、旧民主党
にも言えることですが。主権を侵害する地位協定がなぜ全く改定され
ないのか。戦後体制はサンフランシスコ講和条約、旧安保条約、
地位協定の前身にあたる日米行政協定の締結から始まりました。米側の
狙いは旧安保によって日本全土を潜在的基地とし、行政協定で具体的な
運用を担保することだった。講和条約を立案した国務省顧問ダレスの
「われわれが望む数の兵力を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる
権利を確保すること」という発言が知られていますが、その思惑通りに
全土基地方式を盛り込んだのが大きな特徴なのです。だから米軍が
必要だと主張すれば、どこでも自由に演習ができる。新安保、
地位協定でもそれは変わりません。ダレスの補佐官だったアリソンが
「安保条約が署名されたら、日本側代表団の少なくともひとりは帰国後
暗殺されるだろう」と口にしたほど売国的な取り決めなのです》
琉球新報のコラム【<金口木舌>「残念では済まない」】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1519859.html)によると、《▼そんな「一方的な義務ばかり」を負担し、日本の主権を阻む駐留米軍への特権条項が今もほぼ温存されている。沖縄だけの課題のごとく、矮小化されて「残念」と言われては困る》。
《故・翁長雄志前沖縄県知事の次男で同県議の雄治さん(34)…こんな子どもが日本のどこにいるのか。…諦めさせる政治で良いのか、自民党国会議員の皆さん、2年くらい普天間や嘉手納の周りに住み、考えてください》。
目取真俊さん《「日本復帰」50年というのに、新たな米軍基地が造られつつあるのが沖縄の現実》。在りもしない《在日特権》にはバカ騒ぎする人々は、明確に存在する〝在日米軍特権〟には沈黙する卑怯者。
《沖縄にずっとのしかかる負担の重さ》。元山仁士郎さん「半世紀たっても、米軍基地の押しつけは変わっていない」
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【https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1519219.html】
<社説>行政協定「草案」公開 「対米従属」協定見直せ
2022年5月19日 05:00
日米地位協定の前身となる、日米行政協定の外務省草案が公開された。
日本国内で米軍の自由な移動を認めると、米国と戦争する「第三国」から無差別に攻撃されることを懸念し、対等な取り決めを求めていたことが明らかになった。実際に締結された行政協定は日本側の希望は通らず、現在の日米地位協定でも日本政府は米軍の自由な移動を認めている。
行政協定締結から70年たっても不平等な協定を見直せないのは主権国家としてあるまじき姿であり、「対米従属」もはなはだしい。地位協定の抜本的見直しを改めて求める。
日本がサンフランシスコ講和条約発効(1952年)によって主権を回復する際、日本に米軍を駐留させる根拠として日米安全保障条約と、米軍の地位を定めた日米行政協定も発効した。
行政協定交渉に際し、50年12月に外務省が草案をまとめた。今回公開された「軍隊駐在に関する技術的問題の研究」である。
主な例として1点目に、日本側は米軍の航空機や車両、船舶が自由に日本国内を移動することを認めると、米国と戦争する「第三国」から日本の米軍駐留区域以外も無差別に攻撃される可能性が増すと懸念を示している。そこで、米軍の移動は「最小限にとどめる方針」とし、合意された経路に限定することを明記していた。
しかし、米側から受け入れられなかった。現在の日米地位協定も実弾射撃訓練などを除けば提供施設・区域の外でも訓練が認められるとの立場だ。ことし3月、米海軍が提供施設外の名護湾でヘリコプターによるつり下げ訓練を実施した。県民の安全よりも、米軍の権利を優先する協定は容認できない。
2点目として行政協定には、米軍が駐留している区域の外で米軍が訓練や演習をする際に、その場所や範囲、期間について日本側と事前協議をすることも盛り込んでいる。しかし、実現しなかった。
3点目に、刑事裁判について、日本側に裁判権のある事件では、提供区域内で「ひ護しないよう」求め、米側が容疑者を発見した場合も要求に応じて引き渡しを義務付けようとしていた。だが現協定も容疑者の身柄が米側にあるときは日本側が起訴するまで米側が拘束する。
行政協定の交渉経過を記録した外交文書がある。行政協定は「必ずしもすべてがわが方の所期したとおりにならなかった」と結んでいる。自由党の中曽根康弘氏(後の防衛庁長官、首相)が外務省を訪れ「この協定は日本をアメリカの植民地化するもの」と語った逸話も記されている。
外務省の草案通りに地位協定が見直されれば、沖縄側が求める課題は改善されるだろう。70年前、あるべき姿を模索した気概を今こそ発揮すべきだ。
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【https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1519859.html】
<金口木舌>「残念では済まない」
2022年5月20日 05:00
金口木舌 復帰50
日本復帰50年の東京式典に出席した与党議員がインターネット上の投稿サイト(SNS)に書き込んでいる。「日本全体でお祝いする意味を込めて努力してきたことから、残念に思いました」
▼残念だったのはテレビ放送を見てのことであるそうだ。「沖縄復帰50年など祝いたくない」「日米地位協定が見直されたら祝う」。そんな県民の声に「残念」という
▼施政権返還という政治の捉え方に賛否あるのは健全な民主主義の現れだろう。日米地位協定については、その「不平等」の痛みを県民の負うケースが多いのはあえて差し置くとしても、協定の適用範囲は国全域だ。改定は国民課題ではないか
▼1951年に締結された旧安保条約と行政協定(地位協定の前身)の交渉に臨んだ外務省の担当者も当時の米側草案を読んで、後に感想を記す。その不平等さに「一読不快」と
▼そんな「一方的な義務ばかり」を負担し、日本の主権を阻む駐留米軍への特権条項が今もほぼ温存されている。沖縄だけの課題のごとく、矮小化されて「残念」と言われては困る。
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[↑ 辺野古破壊反対広告 (2021年06月06日、朝日新聞)] (2022年02月20日[日])
日刊ゲンダイのインタビュー記事【注目の人 直撃インタビュー/基地問題に詳しい沖縄国際大大学院・前泊博盛教授「『領域主権論』で日米地位協定は改定できる」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/301188)。
《新型コロナウイルス第6波は、戦後77年を迎えるこの国のありようをまざまざと見せつけた。在日米軍基地の7割が集中する沖縄県で感染拡大が先行。日米地位協定によって「国内法不適用」の特権を持つ米軍が日本の水際対策を無視し、検査せずに基地入りしていたためだ。あからさまに主権を踏みにじられても、岸田首相は「現実的に最善の方法を考えていく」とゴマカし、改定に後ろ向き。なぜドイツやイタリアにならわないのか、ならおうとしないのか。いまだ返還の道筋がつかない普天間飛行場に隣接するキャンパスで教壇に立つ専門家に聞いた》
『●《日本全土を米軍の鉄砲玉として…》…【解決策ない辺野古の軟弱地盤
できもせぬ基地建設で翻弄する一方、日本全土の基地化が進行】』
『●《沖大東島での実弾射撃、宮古島のミサイル部隊による対艦攻撃、
電子戦部隊配備計画がある与那国島での電子戦などの各訓練が展開》』
『●《SACO合意とは、事件に対する沖縄県民の怒りをはぐらかし、沖縄の
中で基地をたらいまわしする欺瞞でしかなかった》(目取真俊さん)』
『●本土と沖縄を一緒にするなとでも? 《…燃料タンクと数十センチの
水筒という落下物によって事故の重大性を比較するのは無意味だ》』
『●《メディアが名実ともに戦争の道具にされていく》…《日本全土を米軍の
鉄砲玉として…日本全土の基地化が進行》黙殺する《全国紙やテレビ》』
『●<金口木舌>《コロナ感染再拡大後も米軍は詳細を説明せず、米兵は
基地の街をマスクをせず闊歩している。これが復帰から半世紀の沖縄》』
『●無謀な辺野古破壊開始から3年…たとえ万に一つも新基地が完成しても、
普天間飛行場は返還されることは無く、辺野古は単なる破壊「損」』
『●沖縄タイムス《自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した新たな日米共同
作戦計画の原案を策定…南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点を置く…》』
『●「思いやり予算」として小さく生んで、いまや「同盟強靱化予算」
として大きく育った番犬様の「お財布」、とっても気前の良いニッポン』
『●日刊ゲンダイ【卑劣すぎる! 玉城知事憎しの岸田政権「沖縄振興予算」
330億円削減の非情】…破壊「損」な辺野古にはドブガネしつつ…』
『●在りもしない特権には大騒ぎするくせに、明確に存在する #在日米軍特権
には沈黙する…《米軍の在日特権こそ問題にすべき》(長周新聞)』
『●《「本土復帰50年に予算の大幅減額とは驚いた。政府は…県内選挙を
優位に進めるために『与党が勝てば予算はつく』という兵糧攻め》』
『●長周新聞《まるで地獄の沙汰もカネ次第 名護市を丸ごと買収する国
ミサイルの標的と引き換えの「繁栄」》…渡具知武豊名護市長再選の闇』
《日米地位協定によって「国内法不適用」の特権を持つ米軍…あからさまに主権を踏みにじられても、岸田首相は「現実的に最善の方法を考えていく」とゴマカし、改定に後ろ向き。なぜドイツやイタリアにならわないのか、ならおうとしないのか》…キシダメ氏にその気が全くないという悲劇なニッポン。前泊博盛さん《岸田首相に地位協定を変える力は全くないでしょう》、と同時に、その気が全くない…。《主権国家としてのプライドのなさ、政府や外務省の力量のなさ、そして国民の無知と無関心がなせる業なのです》。さらに、戦争できる国にしたくて仕方ないらしい、《いまや日本は空母4隻体制を敷き、敵基地攻撃能力の保有まで前のめりで議論されている。専守防衛をかなぐり捨て、米国に言われるまま双務性で参戦する国に変わろうとしています。NATOのように米国と団体交渉はできない。周辺国に仲間もつくれなかった。孤立した日本は日米安保という神話にしがみつき、軍拡に突き進んでいるのが現実なのです》。
『●日本は独立国なの? 岸田文雄首相は「在日米軍が原因と断定する
のは難しい」と…正気? どう見ても、またしても番犬様が《震源地》化』
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/301188】
注目の人 直撃インタビュー
基地問題に詳しい沖縄国際大大学院・前泊博盛教授「『領域主権論』で日米地位協定は改定できる」
公開日:2022/02/14 06:00 更新日:2022/02/14 07:13
(沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛氏(C)日刊ゲンダイ)
新型コロナウイルス第6波は、戦後77年を迎えるこの国のありようをまざまざと見せつけた。在日米軍基地の7割が集中する沖縄県で感染拡大が先行。日米地位協定によって「国内法不適用」の特権を持つ米軍が日本の水際対策を無視し、検査せずに基地入りしていたためだ。あからさまに主権を踏みにじられても、岸田首相は「現実的に最善の方法を考えていく」とゴマカし、改定に後ろ向き。なぜドイツやイタリアにならわないのか、ならおうとしないのか。いまだ返還の道筋がつかない普天間飛行場に隣接するキャンパスで教壇に立つ専門家に聞いた。
■米軍は「持ち込んでも持ち帰らない」を徹底
ーー米軍は昨年9月から検査を免除。海兵隊基地のキャンプ・ハンセンでのクラスター発生が12月に判明し、林外相から対応を要請されるまで日本側に通知しなかったとされています。「運用改善」後も、日本の検疫で採用されていない抗原定性検査を認めるなど、食い違いは解消されません。
オミクロン株による感染拡大は沖縄、広島、山口など米軍基地を抱える地域で急速に広がりました。米国では一時、新規感染者数が100万人を超えていた。米軍とフェンス1枚隔てただけの暮らしがいかに危険か。皮肉ではありますが、コロナによって全国的に実感が湧いたと思います。米軍関係者に聞くと、「コロナは風邪程度」の認識。米軍内で重症者が出ていないこともあり、ノーマスクで訓練し、イベントにも参加しています。ただし、「持ち込んでも持ち帰らない」のは徹底していて、本国帰還にあたっては出国72時間前のPCR検査を実施している。かたや、在韓米軍は出国時と入国時検査に加え、隔離終了前に韓国側がPCR検査を行う。物を言えない日本と口うるさい韓国とで、二重基準がまかり通っています。
■岸田政調会長は米兵に相手にされなかった
ーー地位協定(9条)で米軍関係者は日本の入管法適用や検疫を免除されているため、基地から直接出入国できる。岸田首相が自信を見せていた水際対策に大穴が開いていたことが露見し、改定を求める機運が再び高まっています。
岸田首相に地位協定を変える力は全くないでしょう。風当たりが強くなると、「改定は考えていない」と即座に否定した。うかつに踏み込んでしくじれば、沽券に関わる。恥をさらさないためには、触らないのが一番だと判断したのでしょう。5年ほど前にこんなことがありました。2017年10月、普天間飛行場所属の大型輸送ヘリCH53が東村高江で墜落炎上する事故が発生。衆院選の公示翌日でした。自民党の政調会長だった岸田首相は選挙応援で沖縄入りしていて、日程を切り替えて現場にスッ飛んで行った。ところが、規制ラインを管理する米兵に追い払われた。戦後最長の外相を務めた政治家が、政権与党の政調会長が乗り込んだのにですよ。その後、岸田政調会長は(在沖米軍トップの)四軍調整官と在沖米総領事を呼び出そうとしましたが、米側は応じなかった。結局、岸田政調会長は「不誠実で大変残念だ」とコメントを残して沖縄を発ちました。
ーー政治家としての力量をうかがわせるエピソードですね。
04年に自民党の議員連盟「日米地位協定の改定を実現し、日米の真のパートナーシップを確立する会」が国務省と国防総省に改定案を提出し、取り組みを要請したこともありました。議連の当時の幹事長は後に外相や防衛相を務めた河野太郎氏、副会長も防衛相となった岩屋毅氏。やはり米側は取り合いませんでしたが、議連の改定案には米軍の訓練は提供施設区域内の実施を原則とし、国内の港湾空港を使用する際は国内法令に従うとしたほか、「人、及び動植物の検疫に関しては日本の国内法を適用する」という条文もあった。検疫の見直しが実現していれば、第6波の様相は異なっていたかもしれません。
ーー18年の国会審議で野党から追及された河野外相は「適切な取り組みを通じて解決する」、岩屋防衛相は「外相に聞いて」と逃げました。
羹に懲りて膾を吹きまくるのが自民党なんです。もちろん、旧民主党にも言えることですが。主権を侵害する地位協定がなぜ全く改定されないのか。戦後体制はサンフランシスコ講和条約、旧安保条約、地位協定の前身にあたる日米行政協定の締結から始まりました。米側の狙いは旧安保によって日本全土を潜在的基地とし、行政協定で具体的な運用を担保することだった。講和条約を立案した国務省顧問ダレスの「われわれが望む数の兵力を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を確保すること」という発言が知られていますが、その思惑通りに全土基地方式を盛り込んだのが大きな特徴なのです。だから米軍が必要だと主張すれば、どこでも自由に演習ができる。新安保、地位協定でもそれは変わりません。ダレスの補佐官だったアリソンが「安保条約が署名されたら、日本側代表団の少なくともひとりは帰国後暗殺されるだろう」と口にしたほど売国的な取り決めなのです。
■「全土基地方式」「国内法不適用」を認める異常
(真後ろが普天間基地。戦闘機やオスプレイの爆音が
響く(前泊氏)/(C)日刊ゲンダイ)
ーー米国は100カ国以上と安全保障関係にありますが、「全土基地方式」「国内法不適用」を認める日本のようなケースはないそうですね。
沖縄県が「他国地位協定調査」をまとめていて、その違いは浮き彫りです。NATO(北大西洋条約機構)の軍地位協定は米軍にも各国の国内法を適用し、飛行などを規制している。同じ敗戦国のドイツとイタリアでは、米軍が起こした事故に怒った世論に押され、見直しが進みました。例えば基地管理権。ドイツは立ち入り権を明記し、イタリアでは軍司令部下に置かれている。訓練や演習にはいずれも承認が必要で、事故処理についても当局に捜査権がある。日本とはまるで違います。最低安全高度を規定する航空法が適用されない米軍は飛び放題、事故に至っても日本側は捜索すらできない。米兵や軍属が事件を引き起こしても、基地内に逃げ込まれれば身柄を取れない。普天間や嘉手納基地周辺の水源が有機フッ素化合物(PFOS)などで汚染され、住民は健康被害にも不安を募らせています。基地が汚染源なのは疑いようがないのに、国や県が立ち入り調査を求めても米軍に退けられたままです。
ーー米軍がノーと言えば手も足も出ない。
地位協定を改定し、従来の「旗国法原理=属人主義」を他国同様の「領域主権論=属地主義」に変える必要があります。つまり、郷に入れば郷に従えということ。そもそも、国務省も国防総省も特別な取り決めがない限り、受け入れ国の法律が適用されるとの認識です。国務省がまとめた「地位協定に関する報告書」(2015年)には、〈一般的には、その国が自国の裁判権についてある種の制限を設けることに同意していない限り、その国にいる人はその国の法律が適用されることが国際法上のルールであることが認められている〉と明記されている。米軍のマニュアルなどにも同様の記載がある。日本が「制限に同意」していることが米軍をめぐる問題の本質です。主権国家としてのプライドのなさ、政府や外務省の力量のなさ、そして国民の無知と無関心がなせる業なのです。
ーー日米安保は「平和と安定の礎」「有事には米国が守ってくれる」と刷り込まれ、国民に多大な犠牲を強いる不平等な地位協定の改定を求める声は押し潰されてきました。
石原慎太郎さんが運輸相時代、演習中の米海軍が海上保安庁の巡視船に至近弾を撃って大騒ぎになったことがあった。巡視船を標的代わりにしたことが分かり、激怒した石原さんが「番犬どころか狂犬だ」と言って物議を醸しましたが、石原発言が一部で支持された背景には、「在日米軍はわれわれが雇っている」「米兵がいれば日本の若者は血を流さないで済むのだからカネくらい出してやれ」という日本側の論理があった。しかし、片務性は日本にとって非常に効率がいいとする右側の論理は、トランプ前大統領の露骨な不満によって吹き飛ばされました。いまや日本は空母4隻体制を敷き、敵基地攻撃能力の保有まで前のめりで議論されている。専守防衛をかなぐり捨て、米国に言われるまま双務性で参戦する国に変わろうとしています。NATOのように米国と団体交渉はできない。周辺国に仲間もつくれなかった。孤立した日本は日米安保という神話にしがみつき、軍拡に突き進んでいるのが現実なのです。
(聞き手=坂本千晶/日刊ゲンダイ)
▽前泊博盛(まえどまり・ひろもり)1960年、沖縄県宮古島市生まれ。駒沢大法学部卒、明治大大学院博士前期課程修了(経済学修士)。84年、琉球新報社入社。外務省の機密文書「日米地位協定の考え方」をスクープし、「地位協定取材班」として2004年にJCJ(日本ジャーナリスト会議)大賞や石橋湛山記念・早稲田ジャーナリズム大賞などを受賞。論説委員長を経て、現職。「沖縄と米軍基地」「本当は憲法より大切な『日米地位協定入門』」「外務省機密文書 日米地位協定の考え方」など著書多数。
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[三上智恵監督『標的の島 風かたか』公式ページ(http://hyotekinoshima.com)より↑]
琉球新報の【<社説>4・28「屈辱の日」 自己決定権の確立急務だ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1114148.html)。
《68年前のきょう、日本が独立した一方で、沖縄、奄美、小笠原は切り離された。日本の独立と引き換えに沖縄を米国に差し出した「屈辱の日」である。1952年4月28日発効のサンフランシスコ講和条約第3条が分離の根拠となった。これにより米国は日本の同意の下で、他国に介入されることなく軍事基地を自由に使うようになった。米軍は「銃剣とブルドーザー」で農地を奪うなど、沖縄住民の基本的人権を無視した統治を敷いた》。
『●沖縄の「屈辱の日」を祝う神経』
『●巨大新基地建設による辺野古破壊…
プーチン氏に《主権を行使できていない実例》と指摘されてしまう始末』
『●前那覇市長・翁長雄志氏「(安倍首相の言う)
『日本を取り戻す』の中に間違いなく沖縄は入っていない」』
《沖縄にとっては、祖国から切り離された「屈辱の日」なのだから
▼「憲法改正よりも日米地位協定を改定することが主権回復だ」。保守系の
翁長雄志那覇市長が語っていた。こうした正論は安倍晋三首相の耳には
聞こえないようだ》
《米国は日本の同意の下で、他国に介入されることなく軍事基地を自由に使うようになった。米軍は「銃剣とブルドーザー」で農地を奪うなど、沖縄住民の基本的人権を無視した統治を敷いた》…この《差別的な構造は…今なお続く》。
『●前那覇市長・翁長雄志氏「(安倍首相の言う)『日本を取り戻す』
の中に間違いなく沖縄は入っていない」』
《「憲法改正よりも日米地位協定を改定することが主権回復だ」。保守系の
翁長雄志那覇市長が語っていた。こうした正論は安倍晋三首相の耳には
聞こえないようだ▼講和条約と同時に結ばれた日米安保条約の下で
沖縄の人々が強いられてきた犠牲は、本土のメディアや国民の無関心に
よって一層強められた。「屈辱の日」に立ち上る声に耳を澄ませたい》
沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]4.28】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/565368)によると、《▼68年前のきょうも、記憶に刻まなければならない。サンフランシスコ講和条約の発効で沖縄が日本から切り離され、米国の施政権下に置かれた。憲法は適用されず、「銃剣とブルドーザー」で土地を奪われた。基地の過重負担の原点 ▼差別的な構造は戦後75年、復帰48年の今なお続く。普天間飛行場から大量の泡消火剤が漏れた事故で、米軍は基地内の土壌採取を拒んだ。有害な有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)を含むのに、汚染の状況が調べられない異常さ》。
目取真俊さんのブログ【海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより…目取真俊/羽地内海のランプウェイ台船/沖縄県議会議員選挙と工事再開のタイミング】(https://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/3cfdebe50cbc0784da9d1dd63ab34173)によると、《予定では、5月29日(金)告示、6月7日(日)投開票となっている。5月6日からわずか1か月で投開票日を迎える。予定通りに行われるなら、選挙のあり方、運動方法がこれまでにない形となる。日本政府・沖縄防衛局は4月21日に、大浦湾の軟弱地盤に関して設計変更の申請を沖縄県に行った。それを含めて、辺野古新基地建設問題が今回の選挙でも大きな争点となる。日本政府にとって、県議会で与野党逆転を実現できれば、玉城県政を追いつめ、新基地建設を進める弾みとなる。…今日4月28日はサンフランシスコ講和条約が発効し、沖縄が切り捨てられて日であり、名護市出身の女性が米軍属の男に殺害された日でもある。いまも沖縄にとって「屈辱の日」は続いている。日米の支配という屈辱が。1日も早く、それを晴らしたい》。
沖縄県議会議員選挙…「本土」では、無為無策な内閣の支持率が未だ4割という意味不明な政治状況。そして、米軍属女性暴行殺人から4年…何が変わった? むしろ後退? 折角、玉城県政に代わっても、アベ様独裁政権・人事主義王国が続く限り、沖縄では《「屈辱の日」は続いている。日米の支配という屈辱》が。さらに、《県内の主要選挙や県民投票で反対の意思を示しても建設工事が強行される辺野古新基地は、沖縄の人々の自己決定権を侵害する植民地主義の象徴である》。
『●「沖縄の施政権を日本から分断した4・28」から66年、
米軍属女性暴行殺人から2年…何が変わった?』
さらに、大変に恐ろしいことに、《メディアコントロール》の完成形は近い。
アベ様を批判することもできなくなっている。給付・休業補償もなく自粛だけが押し付けられ、一方、報道統制・メディア統制の惨状。…
稲垣太郎記者による、東京新聞による記事【「バリバラ『桜を見る会』」再放送差し替え NHKは圧力に屈したか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202004/CK2020042902100028.html)によると、《差し替えられたのは「桜を見る会」の痛烈なパロディーで、二十三日の初回放送時から安倍政権支持者らが猛反発していた。NHKは「圧力はまったくなかった」としているが、本当か。(稲垣太郎)…現在、大阪日日新聞記者の相沢さんは「放送する番組を差し替えるなら、とっくの昔に判断して周知していなければならない。疑念を招かないようにしなければならない」と指摘した上で、「NHKは報道機関として取材相手に説明責任を求めるのだから、視聴者にも納得する説明責任を果たす義務がある」と話した。市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表で、東京大名誉教授(会計学)の醍醐聡氏は「これまで番組を改ざんしたり、取材や制作したのに放送してこなかったこともある。大災害が起きたわけでもないのに直前に番組を差し替えるのは不自然。政権の圧力に屈した可能性は十分ある」とした》。
斎藤美奈子さんは、《行動は自粛しても批判は自粛しちゃだめだ。緊急事態宣言の発令を歓迎している場合じゃない。ひるまず「マジか!」を続けよう》と。
『●《行動は自粛しても批判は自粛しちゃだめだ。緊急事態宣言の発令を
歓迎している場合じゃない。ひるまず「マジか!」を続けよう》』
『●《新型コロナウイルス禍の対応に尽力している政府は絶対の正義で、
社会防衛の前には人一人の命ごとき取るに足らないとでも言いたげ…》』
『●ドサクサ壊憲…《殺し合いを強いられる側が狂った火事場泥棒のシナリオ
に乗ってしまったら、取り返しのつかないことに》(斎藤貴男さん)』
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【https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1114148.html】
<社説>4・28「屈辱の日」 自己決定権の確立急務だ
2020年4月28日 06:01
68年前のきょう、日本が独立した一方で、沖縄、奄美、小笠原は切り離された。日本の独立と引き換えに沖縄を米国に差し出した「屈辱の日」である。
1952年4月28日発効のサンフランシスコ講和条約第3条が分離の根拠となった。これにより米国は日本の同意の下で、他国に介入されることなく軍事基地を自由に使うようになった。米軍は「銃剣とブルドーザー」で農地を奪うなど、沖縄住民の基本的人権を無視した統治を敷いた。
沖縄の地位は植民地よりひどかった。3条は、国連に信託統治を提案し承認されるまで、米国は奄美以南の南西諸島で全権を行使できるとした。信託統治は、旧植民地などの地域の自治や独立に向け、国連の信託を受けた国が施政を行う制度で、人権や基本的自由の尊重も奨励している。
しかし沖縄は適用されなかった。このため米国は国連の定期視察を受けることなく軍事基地を拡大し、住民の人権より軍事を優先する施策を展開した。日本国憲法も適用されなかった沖縄では、住民の権利は大きく制限された。
その背景には、ダレス米国務長官が53年に宣言したブルースカイ・ポリシーがある。「東アジアの空に雲一つなく、平和と安全にいかなる脅威もなくなるまで沖縄は返還されない」という内容だ。
その後、国連が60年に植民地独立付与宣言を採択したことで状況が変わる。滅び行く信託統治制度の沖縄適用を前提とする3条は死文化したとの議論が起きる。米国が沖縄を支配する国際法上の根拠は失われ、この宣言を基に沖縄を無条件で解放すべきだという主張だ。
しかし65年、当時の佐藤栄作首相は、3条は暫定的なものではなく、米国は国際法上、沖縄を無期限に支配できるとの見解を示した。米国のブルーススカイ・ポリシーを事実上支持した姿勢で沖縄返還交渉に臨んだ結果、返還後も基地の自由使用は貫かれた。
72年の日本復帰後も沖縄の人々は基地の自由使用に抵抗し、抜本的な整理縮小や日米地位協定の改定を求めてきた。その意思を尊重せず「国益」や国策の名の下で沖縄を国防の道具にする日米政府の手法は植民地主義だ。県内の主要選挙や県民投票で反対の意思を示しても建設工事が強行される辺野古新基地は、沖縄の人々の自己決定権を侵害する植民地主義の象徴である。
近年の書籍などでは、沖縄は復帰まで米国の信託統治下に置かれていたという誤った記述も散見される。「屈辱の日」にはどんな意味があり、それが今も続いていることを、もっと県外へ発信する必要がある。
基地があるため有事の際には標的になり命が脅かされ、平時は事件事故などで人権が侵害されている沖縄の今を方向付けた4・28を忘れてはならない。この状態を脱するには自己決定権の確立が急務だ。
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nikkan-gendaiの記事【「安保条約読み直せ」 石破氏“トランプに嫌み”で恥さらし】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/180943)。
《日本は米軍駐留経費の74・5%を背負い、韓国の40・0%やドイツの32.6%とは比較にならない…トランプに対し、〈われわれはカネを出さない。どうぞ米軍は撤退してください〉と堂々と言い渡すべき》。
「番犬様」への「思いやり」の実情。ニッポンは、一体何をどれ程「思いやらされている」? 真の「右翼」の皆さんはそれでいいの?
《安保条約で米国は日本防衛の義務を何ら負っていない》し、《日米地位協定24条で経費負担は米国がする》と決まっているし、《24条が日本に求めているのは基地の無償提供だけ》のはずなのに、アベ様らの歴代自民党政権は気前のいいことだ。つくづく、「思いやる」先を間違っていると思う。来る2016年夏の参院選で、自公お維大地の議員に投票し、「ネジレ」が取り戻せなければ、「20XX年、再び戦争が始まった…」は必至。
『●番犬様の(ウラアリな)オモテナシは随分とお高い』
『●沖縄県「子どもを育てている県内世帯の3分の1以上が貧困」
…アベ様らは「思いやる」先を間違ている』
『●現実路線に転じ、暴言を撤回する「ト」な米大統領候補
…アベ様同様、選挙が終われば豹変するに決まってる』
『●沖縄差別:目取真俊さん「多くの日本人が
その嘘っぱちを信じている、というよりも、信じたいんでしょう」』
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【http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/180943】
「安保条約読み直せ」 石破氏“トランプに嫌み”で恥さらし
2016年5月9日
(石破地方創生相(都内で)/(C)日刊ゲンダイ)
「米国が日本を守っているのだから、その経費を負担すべきだという文脈で言っているなら、日米安保条約をもう一度よくお読みいただきたい」
訪米先のシンポジウムで石破茂地方創生相が米大統領選の共和党候補指名が確実になったドナルド・トランプをこうクサしていたが、お門違いもいいところだ。
4日に放送された米CNNのインタビューで、トランプが米軍駐留経費について「米軍を受け入れている国々が全額負担すべきだ」と持論をエスカレートさせたことで、軍事オタクの血が騒いだのかもしれないが、その言葉をそっくりお返ししたい。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。
「認識が欠けているのは石破大臣も同じです。米軍の駐留で
日本の平和と安全が保たれるかのようなロジックがまかり通って
いますが、米軍が居座るのは米国の利益のため。1951年に
日米安保条約をまとめた米側責任者のダレス元国務長官は
〈安保条約で米国は日本防衛の義務を何ら負っていない〉
と明言していますし、武力行使には議会の承認が必要です。
そもそも、思いやり予算(在日米軍駐留経費負担)を支払うのも
筋違いで、日米地位協定24条で経費負担は米国がする
と定めています」
■駐留経費負担率は韓国、ドイツの2倍
24条が日本に求めているのは基地の無償提供だけ。にもかかわらず、思いやり予算はどんどん増額され、米国のATM扱いはひどくなる一方だ。
光熱費や基地従業員の人件費まで押し付けられ、16年度からの5年間で総額9465億円(年平均1893億円)。用地借り上げや周辺対策費などを含めた15年度の関連経費は5778億円に上り、米軍再編経費なども合わせると7200億円を超える。日本の高負担率は関係各国の中でも突出。米国防総省が04年にまとめた報告書によると、日本は米軍駐留経費の74・5%を背負い、韓国の40・0%やドイツの32.6%とは比較にならない。
「石破大臣も安倍首相も安保条約を読み直した方がいい。
トランプに対し、〈われわれはカネを出さない。
どうぞ米軍は撤退してください〉と堂々と言い渡すべきでしょう」
(前出の孫崎享氏)
大体、石破大臣の所管は地方創生。被災地をほったらかして海外まで出張って、とんだ恥さらしだ。
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沖縄の人々にとっての「屈辱の日」について、東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013042802000135.html)とコラム「筆洗」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013042802000132.html)、そして、CMLの記事(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-April/023793.html)。
衆院選での自公政権復権で浮かれている。当初は「安全運転」するつもりだったらしいが、どんどんと箍が緩んできている。自公(や元両〝ト〟知事のトンデモ党)に投票した人たちや、支持者の人達は何も感じないのでしょうかね?
『●改憲などしている場合か? ~壊憲派に勝たせてはならない~』
『●トンデモな両元〝ト〟知事がリーダーの「維新」を支持する価値はあるのか?』
『●橋下元大阪〝ト〟知事の問題というよりも、投票者・支持者の問題?』
『●来るところまできた原発推進、
3.11東京電力原発人災は一体何の教訓をもたらしたのか?』
『●東京電力原発人災、大熊町双葉病院の患者遺族が東電を提訴』
『●元大阪〝ト〟知事は単なる目立ちたがり屋!? 「あざとい」・・・』
『●民意薄き圧勝: 原発推進してきた自民党』
コラム「筆洗」の云う「仲井真弘多沖縄県知事は欠席する。当然だ。沖縄にとっては、祖国から切り離された「屈辱の日」なのだから▼「憲法改正よりも日米地位協定を改定することが主権回復だ」。保守系の翁長雄志那覇市長が語っていた。こうした正論は安倍晋三首相の耳には聞こえないようだ」、に全く同感。
「屈辱の日」を祝う神経を疑う。
「安倍政権を礼賛している右寄りの人たちは、実は自分たちも切り捨てられる側にいることに気づいていない」、これってハシズムを大絶賛している人たちにも言えます。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013042802000135.html】
【社説】
週のはじめに考える 日本の真の独立を思う
2013年4月28日
きょう二十八日は主権回復の日。天皇、皇后両陛下も出席されての初の式典開催ですが、沖縄の当然ともいえる反発があっては虚心にはなれません。
サンフランシスコ講和条約が発効した一九五二年四月二十八日はどんな日だったか。データベースを検索して当時の新聞各紙を読み比べると、歓喜と不安が交錯する日だったことがわかります。
六年八カ月の軍事占領からの解放。中日新聞(当時中部日本新聞)は一面に「雲ひらく」と題した横山大観画伯の大きな多色刷り富士山頂図を奮発しています。
◆歓喜と不安交錯の記念日
朝日新聞は天声人語の「二つの日本に分割されなかった幸い」や「有史以来初の主権在民の独立国になったのである」に高揚感を漂わせます。「自主独立が外交の基本」-夕刊紙だった東京新聞はこの朝の吉田茂首相と内閣記者団との一問一答を掲載しています。
不安は東西冷戦に由来します。五〇年六月、北朝鮮軍の砲撃から始まった朝鮮戦争は、死者四百万~五百万人、その大半が一般市民という凄惨(せいさん)な事態となりますが、まだ休戦に至っていません。講和も旧ソ連や大陸の中国との締結のない単独講和でした。
中日新聞に「独立に想(おも)う」を寄稿した社会学の清水幾太郎は「アメリカのソ連包囲網の一環になったまでのこと。新しい大戦の危険は大きい」と不気味な予言。「八千五百万人の日本人が独立の気力をもって現実に働きかければ」と期待しました。「共産主義が歴史の必然」ともいわれた時代。世界の行方などわからないものです。
講和条約と同時に発効した日米安全保障条約によって、西側陣営に立ち、反共の砦(とりで)の役割を担うことになった日本。戦後社会をけん引したのは吉田首相の軽武装・経済重視の「吉田ドクトリン」路線でしたが、最近の昭和史研究や豊下楢彦前関西学院大教授の「昭和天皇・マッカーサー会見」(岩波現代文庫)は、外交、防衛、安全保障面で昭和天皇の果たした役割の大きさを明らかにしています。昭和天皇の沖縄メッセージや講和条約交渉への天皇の介入は、沖縄の運命や日本の防衛や安全保障に決定的だったように見えます。
◆沖縄の犠牲に支えられて
沖縄メッセージは四七年九月、天皇御用掛の寺崎英成氏が連合国マッカーサー総司令部に伝えた極秘メッセージ。天皇が米軍の沖縄占領継続を希望し、占領は長期租借(二十五年ないし五十年、あるいはそれ以上)で-などの内容。七九年の文書発掘は沖縄に衝撃を与え、その後、入江侍従長の日記で内容がほぼ事実と確認されたことで、沖縄の人々は大きく傷ついたといわれます。
豊下前教授はダレス米国務省顧問を相手にした講和条約、安保条約交渉でも、吉田首相と昭和天皇の二重外交があったことを論証しています。当時の天皇にとっての脅威は朝鮮半島にまで迫った共産主義でした。共産主義から天皇制を守ることは日本を守ることでもあったのでしょう。戦争放棄の憲法と非武装となった日本で天皇が頼ったのは米軍、それが沖縄占領継続の希望や基地提供でした。
そこにはパワーポリティクスや外交的駆け引きの余地はなく、ダレスに対日交渉での当初からの目論見(もくろみ)「望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利の確保」を勝ち取らせることになってしまいました。およそ独立にふさわしくないこの条約は、今も日米地位協定の不平等のなかに潜まされ、変えられていません。
講和条約三条で沖縄は本土から分離され米国の施政権下に移されました。講和条約や安保条約の成立過程の検証は、本土の独立が沖縄の一方的犠牲の上に築かれていることを教えます。
沖縄への理不尽は、世界一危険な普天間飛行場移転問題に集約的に現れます。沖縄の四十一全市町村長の反対にもかかわらず、政府は県内の辺野古移転を変えません。米軍の移転候補基地の比較衡量で満点は「本土の自衛隊基地」。辺野古への固執は本土移転回避の政治的理由としか思えません。
日米安保の重要性は否定できません。それなら負担は国民が等しく、本土でも米軍基地を引き受けていくべきです。憲法改正に声高な政府や政治家が日米地位協定改定には及び腰なのはなぜか。国民のために当たり前のことを主張し要求していくのが独立国の政府、正しいことに勇気をもって立ち向かうのが独立国の国民。
◆日本全体で考える
昭和を継いだ今上天皇の沖縄への思いはことに深いようです。昨年十二月の七十九歳の誕生日のお言葉は「日本全体の人が沖縄の人々の苦労を考えていくことが大事」でした。沖縄こそ真の主権回復の一歩にしたいものです。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013042802000132.html】
【コラム】
筆洗
2013年4月28日
<パスポート笈(おい)底深く復帰の日>。『南島俳句歳時記』(瀬底月城著)から志多伯得壽さんの句を引いた。笈とは背負って歩く木製の箱。沖縄が復帰するまでの間、本土への渡航に必要だったパスポートをしまい込んだ感慨を詠んだのだろうか▼一九五八年、夏の全国高校野球大会に沖縄代表として初出場した首里高校の選手もパスポートを携えて渡航した。甲子園のグラウンドから土を持ち帰ろうとすると、検疫で「外国の土」とみなされ、那覇港で廃棄させられた▼五二年四月二十八日、サンフランシスコ講和条約が発効し、連合国軍総司令部(GHQ)の占領が終わった。沖縄にとってはさらに二十年間に及ぶ米軍統治の始まりだった。米軍基地はそっくり残り、再び本土の「捨て石」にされたのである▼政府はきょう、主権回復を記念する式典を開く。仲井真弘多沖縄県知事は欠席する。当然だ。沖縄にとっては、祖国から切り離された「屈辱の日」なのだから▼「憲法改正よりも日米地位協定を改定することが主権回復だ」。保守系の翁長雄志那覇市長が語っていた。こうした正論は安倍晋三首相の耳には聞こえないようだ▼講和条約と同時に結ばれた日米安保条約の下で沖縄の人々が強いられてきた犠牲は、本土のメディアや国民の無関心によって一層強められた。「屈辱の日」に立ち上る声に耳を澄ませたい。
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【http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-April/023793.html】
[CML 023924] 主権と回復 慶応大学教授・片山杜秀さん
BARA ・・・・・・
2013年 4月 27日 (土) 11:28:10 JST
新聞記事
朝日新聞2013.4.27朝刊
http://digital.asahi.com/articles/TKY201304260492.html?ref=comkiji_redirect
4月28日、安倍政権は「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開き、天皇、皇后両陛下も出席する。
閣僚の靖国神社参拝などと相まって国家主義的な動きが強まっているように見えるが、政治思想史家の片山杜秀さんは「国民国家が崩壊過程にあるからこそ起きる現象だ」と語る。
いったいどういうことなのだろうか。
――「主権回復の日」をどうみますか。
「実に『安上がり』な国民統合の仕掛けですね。安倍政権が主権や国防軍、日の丸、君が代といったナショナルなシンボルをやたらと強調するのは『もう国は国民の面倒はみない。それぞれ勝手に生きてくれ』という、政権の新自由主義的なスタンスと表裏の関係にあります」
「日本という国は明治以来、天皇の下で国民統合が図られてきました。革命が起きて天皇制がつぶれたり、共和国になったりすることをずっと怖がってきて、社会主義や共産主義を抑圧しようと幸徳秋水を殺し、大杉栄を殺し、治安維持法を制定し、その一方で国民に不満を持たせないように、食わせるための努力をしてきた。社会党や共産党よりも天皇を仰ぐ私たち保守の方が皆さんを食わせることができますよと、実際に札ビラを見せながらやってきたのが戦後自民党で、池田勇人の所得倍増計画はその典型です。しかし今の安倍政権はそういう保守ではもはやない。税金や徴兵など国民に犠牲を強いるかわりに後々までちゃんと面倒みるよ、というのが国民国家ですが、安倍政権の国家観はすでにそこからズレていっています。そのことをまずは深く認識すべきです」
――どういうことでしょうか。
「例えば自民党の改憲草案では、わざわざ条項を新設し、『家族は、互いに助け合わなければならない』とうたっています。オールド左翼は『天皇を家長とする家族主義的国家の復活だ』といった方向から批判をしていますが、全くピントがずれている。これは自助努力の文脈で捉えなければなりません。家族で助け合ってくれれば安上がりですから」
「草案には天皇の元首化や国防軍の創設なども盛り込まれているため『右傾化』『軍国主義』といった枠組みで批判されがちですが、問題の本質を見誤っています。安倍政権の特質をひとことで言うなら『安上がり』です。国民の面倒はみない、でも文句を言わせないための安上がりな仕掛けをたくさん作っておこうというのが安倍政権の改憲路線です。国民皆兵にして海外で戦争を……なんて考えているわけがない。面倒なことは少しでもやりたくないというのが新自由主義ですから」
「ただ、面倒をみなければ当然、国家としての凝集力は弱まります。富裕層は国外に流出するかもしれないし、貧乏人は暴動を起こすかもしれない。さあどうするか。以前のようにお金をバラまけないのなら、とりあえずは精神で統合をはかるしかありません。日の丸。君が代。靖国神社。主権回復の日。あるいは国民栄誉賞もそうかもしれませんが、『俺たちは日本人だ』という雰囲気を盛り上げ、つらい目にあっている人ほど持っている『連帯したい』という感情を糾合し、文句を言わせないようにしようと。安倍政権を礼賛している右寄りの人たちは、実は自分たちも切り捨てられる側にいることに気づいていないし、左の人たちは批判のポイントを間違っていて、その意味では両方ともうまくごまかされてしまっています」
■ ■
――確かに、式典を批判する側の足場は「沖縄の心」に偏っていて、どうにも心もとない感じです。
「サンフランシスコ講和条約と同時に日米安保条約が結ばれたことによって、主権とアメリカ、どちらを立たすか難しい『二頭立て』の状態が現在も続いています。沖縄にとって4・28が『屈辱の日』であるのはその通りで、それを祝うなんて沖縄に失礼だ、申し訳ないというのはひとつの正しいロジックです。ただそれは逆にいうと、沖縄を犠牲にして本土はいい思いをしたということを裏で認めることになる。真っ先に語られるべきは、4・28は日米安保とセットだったということで、『沖縄が怒っている』ではない。沖縄に極端に出ている問題を本土もまた抱えているのだという視点を強調せずに、沖縄に寄りかかって批判していると、筋がズレてしまいます」
――式典には天皇も出席します。
「『最低価格』での連帯感の維持を考えた時、最も有効なのは天皇を政治的に利用することです。天皇が来なければ、せっかくの式典の価値が減じます。国歌や国旗と違って、天皇は生身ですから。お言葉を発したり歌を詠んだりすれば、別に懐は温まらなくても『日本人でよかった』という連帯心が醸成される。日本に天皇がいなかったら、国民統合にかかるコストは今とは比較にならないくらい高くついたでしょう」
「今上天皇はまさにアメリカが占領時代に日本に植えつけた民主主義的な価値観を、ある意味最も体現している人物でもある。もし自らの意見を表明することが許されるなら……。一番よくわかっておられる。そう信じています」
――安く上げるために、利用価値があるものは何でも利用すると。まさに新自由主義的ですね。
「安倍政権が戦後の保守とは質を違えていることはまさに、4・28で歴史に線をひくという発想に現れています。軍国主義から平和主義へ。天皇主権から国民主権へ。天皇のいる民主主義国家をつくり、守っていくための仕掛けは、占領時代、日米の絶妙な政治的駆け引きによって生まれ、だからこそ自民党の長期政権も可能になったのです。4・28以前の日本は占領軍に手足を縛られ、何も思うようにできなかったかのごとく言うのは、歴史の歪曲(わいきょく)であり、戦後保守の自己否定です」
「さらに占領期のネガティブな面を強調し、4・28を一種の解放記念日のように位置づけることは、反米ナショナリズムに火をつけ、自主防衛、日米安保破棄論につながりかねません。反米世論を抑え、アメリカを『番犬』にしながら日本を豊かにして国民に分け前を与えるというのが戦後保守の王道なのに、下手をするとその構図を壊しかねません」
■ ■
――それでもあえて4・28を強調するのはなぜでしょうか。
「改憲への地ならしにしたいという意図ははっきりしています。『憲法は占領時代に押し付けられた。自分たちでつくり直さなければ真の自立とはいえない』という言説を振りまき、そうだったのか、じゃあとりあえず96条を改正して憲法を変えやすくした方がいいかもしれない、という世論を形成したいのでしょう」
――憲法を変えれば日本は良くなるなんて、ずいぶんナイーブというか精神主義的な議論ですね。
「日本の精神主義は、『持たざる国』であることからきています。地政学上、日本のライバルは中国、アメリカ、旧ソビエトですから、嫌でも資源に乏しい国であることを自覚せざるを得ません。その結果、人口が足りないから産めよ増やせよとか、資源を求めて植民地主義に走るとか、現実を直視せずに常に背伸びをして頑張る、頑張っていればきっとそのうちなんとかなるさ……という習性が身についています」
「背伸びをさせるには精神主義しかありません。戦争中、レーダーを開発するお金がなくても、日本人は目がいいから大丈夫だとか、空襲も音で判断しろと学校でレコードを聞かせ、『これはB29だ』と教えている。体が小さい日本人は大きくて小回りが利かないアメリカ人よりも戦闘機乗りとして有利だと、本に真面目に書いてありますから。『持たざる国』だという現実を美化するためのロジックは無尽で、あとは精神力でカバーすればなんとかなると。そうやってずっとやってきたのです」
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――為政者にしてみれば、安上がりな統治がしやすいと。
「そういうことになりますね。安上がりに済ますにはうってつけの精神的風土があることは疑いない。ただ、それでも戦前の日本は、『この戦争に勝てば大東亜共栄圏ができて日本は繁栄する』と、将来のビジョンを示している。所得倍増計画だって、みんな電化製品に囲まれていい暮らしができるよというビジョンを見せて、それなりに実現させることによって国民を統合していました。ところが、今の安倍政権はビジョンを見せたり約束したりはしてくれません。『美しい国』なんて何の実態もないし、『アベノミクス』もお祭り囃子(ばやし)に過ぎないでしょう。踊れや踊れ、でもその後は自助だよ知らないよと開き直るのは、日本においては新しい統治のパターンです」
「そもそも日本が国民国家であるということが、もはや当たり前ではなくなってきています。フランスでは高額な税率を嫌い、有名人が実際に国籍を捨てている。高度資本主義国家のたどる末路です。安倍政権は、日本も将来、そういう国にならざるを得ないというビジョンは持っているのではないでしょうか。国民国家が崩壊の過程にあるからこその、主権の強調。今回の『主権回復』をめぐる動きは、そういう歴史の皮肉として捉えられるべきです」
(聞き手・高橋純子)
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かたやまもりひで 63年生まれ。
専門は政治思想史。音楽評論家としても活躍し、東京芸術大学で非常勤講師を務める。著書に「未完のファシズム」など。
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