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●3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 能登半島地震の警告は? 正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?

2024年03月12日 00時00分47秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(20240228[])
10年前、(2014年2月26日)《いま、東電で起きていること、原子力規制委員会の危うい動き》(鈴木耕さん、マガジン9)を思い出す。原子力〝推進〟委員会、原子力〝寄生〟委員会、昔から酷かったが、ここ数年、あまりに酷い。全く「規制」する気のない委員会。委員会そのものに核発電について「適格性がある」かどうかを判断する「適格性がある」のか?
 《能登半島地震は、複数の断層が連動して大きな揺れを起こしたと立石さんはみる一方、柏崎刈羽原発の周辺で断層が連動する事態が十分に検証できていないとし、こう唱える。「現状ではどれほどの揺れや津波が原発を襲うのかは分からない。能登半島地震を機にさらに議論すべきだ」》《◆デスクメモ 想定外」に抵抗感を抱く厳しい想定を検証しないまま、深刻な事態が生じると「想定外」と言い逃れる。そんな印象を持つからだ。甚大な汚染をもたらしうる原発地震に耐えられるか住民は逃げられるか。必要なのは懸念に向き合う姿勢。責任逃れの言い訳は救いにならない。(榊)》(東京新聞)。

   『●原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会(1/2)
   『●鈴木耕さん《一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で
     否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば…》

 渡辺聖子記者による、東京新聞の記事【「何が言いたいのか分からない」敦賀原発2号機の再開審査で規制委を呆れさせた、原電の支離滅裂な説明】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/293775)。《地質データの不適切な書き換えで中断していた日本原子力発電原電敦賀原発2号機(福井県)について、原子力規制委員会は新規制基準に適合するかどうかの審査を再開したが、またも滞り始めた。原電の説明が科学的根拠に乏しく、肝心の断層を巡る議論では自らの主張にほころびが出る事態に陥った。(渡辺聖子)》。

 はぁ? 全く「規制」しない原子力「寄生」委は正気か??
 渡辺聖子記者による、東京新聞の記事【柏崎刈羽原発の「運転禁止」解除、原子力規制委は甘くないか 書類確認3カ月、現場調査10日間、議論1時間】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/294448)。《東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の運転禁止命令解除に道筋を付けた6日の原子力規制委員会の対応は、東電に対する甘い姿勢が浮き彫りとなった。テロ対策不備の再発防止の取り組みを、改善途中にもかかわらず是正したと判断原発を運転する適格性については表面的な確認作業でお墨付きを与えた。世界最悪レベルの原発事故と重大なテロ対策不備の当事者への厳しい姿勢は感じられない。(渡辺聖子)》。

 3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?
 東京新聞の記事【柏崎刈羽原発、「運転禁止」命令を解除 東京電力のテロ対策は改善と判断 原子力規制委員会】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/298081)。《原子力規制委員会は27日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出している事実上の運転禁止命令の解除を正式に決めた。2021年4月の命令から2年8カ月余り、福島第1原発で世界最悪レベルの事故を起こした東電再び原発の運転に向けた準備に入る。定例会合では、東電に対する特別な検査態勢を解くことに対し、委員5人全員が賛成。これにより、運転禁止命令の解除が決まった。27日午後に東電に通知する》。

 そもそも東電に資格はあるのか? 未だ《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 柏崎刈羽? バッカじゃないのか!
 山田祐一郎西田直晃両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「柏崎刈羽」周辺道路にも無数の亀裂…「原発は本当に大丈夫か?」地元に広がる不安の声】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/301911)。《犠牲者が200人を超えた能登半島地震。阪神大震災を上回るマグニチュード(M)7.6を記録し、日本海側でも巨大地震が起きると改めて浮き彫りになった。やはり心配なのが原発だ。東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県刈羽村では、安全面を危ぶむ声が強まっている。原発があっても本当に大丈夫か。検証は尽くされているのか。(山田祐一郎西田直晃)》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/293775

「何が言いたいのか分からない」敦賀原発2号機の再開審査で規制委を呆れさせた、原電の支離滅裂な説明
2023年12月4日 06時00分

 地質データの不適切な書き換えで中断していた日本原子力発電原電敦賀原発2号機(福井県)について、原子力規制委員会は新規制基準に適合するかどうかの審査を再開したが、またも滞り始めた。原電の説明が科学的根拠に乏しく、肝心の断層を巡る議論では自らの主張にほころびが出る事態に陥った。(渡辺聖子


 敦賀原発2号機の審査 2015年11月、日本原子力発電(原電)が原子力規制委員会に新規制基準への適合性審査を申請。20年に規制委側の指摘で地質データの書き換えが発覚した。活断層の可能性につながる記載を、否定につながる記載に無断で書き換えるなどした。修正後の資料でも、地層の観察場所を間違えた。審査は2度にわたり中断。原電が今年8月、修正した申請書を再提出し、9月に再開した。


◆建屋近くのK断層、活動時期は?

 審査の一つ目の焦点は、原子炉建屋近くにある「K断層」が活断層かどうか。新規制基準は、約12万~13万年前の後期更新世以降の活動を否定できない断層を、活断層と定義。活動時期がキーポイントになる。
 この点を議論した11月10日の規制委の会合で、原電が矛盾した説明を展開し、規制委事務局の担当者を困惑させた。
 原電は、K断層が活動した形跡のある地層の年代を「12万4000~14万2000年前」とした分析結果について、K断層の活動時期は後期更新世よりも古く、活断層ではないと主張した。

 だが数値の一部は後期更新世に含まれており、原電の説明はつじつまが合わない。規制委事務局が繰り返し矛盾を指摘しても「総合的に判断した」と不明確な回答に終始。規制委側が念押しのように「後期更新世に入っているという認識でいいのか」と問いただすと、原電の担当者は「(後期更新世に)かかるのはそうなる」と認めた。
 このやりとりを見れば、原電が活断層の可能性を認めた格好だ。


◆申請書に必要なデータがない?

 原電の審査は、再提出された申請書に必要な説明やデータが漏れなく盛り込まれたことを「前提」として、今年9月に再開した。
 ところが、この日の審査会合では、原電の要領を得ない説明が続いた。規制委事務局の質問に対し、原電は「あらためて整理する」「持ち帰り検討する」などと繰り返すばかり。質問の意味が理解できない原電の担当者が、沈黙する場面もあった
 いら立った規制委事務局の幹部が「これからデータを取る話なのか」と、審査再開の前提が守られているのかを確認しても、原電の剣田裕史副社長は「根拠となるデータを整理して再度示したい」としか答えられなかった。規制委と約束した前提はほぼ崩れている。
 K断層が活断層と判断された場合、審査はK断層が2号機直下にある別の断層につながるかどうかの議論に移る。K断層が活断層であり、なおかつ2号機直下の断層につながると判断されれば、「2号機直下に活断層あり」という結論になる。


◆2号機廃炉の可能性があるのに

 2号機直下の断層を巡っては、2012年に規制委の専門家チームが「活断層の可能性が否定できない」と指摘。新規制基準は活断層の上に原子炉など重要施設の設置を認めていない。原電が今回の審査で、活断層の可能性はないことを立証できなければ、2号機の廃炉は免れない
 再開した審査も、根拠が足りない説明で始まり、踏み込んだ議論に入れないまま。能力不足を露呈した原電に対し、規制委事務局の幹部は疲れた様子でこぼした。「質問と答えがかみ合わない。何が言いたいのか分からない


【関連記事】「これで十分と思っているのか」 再開された敦賀原発2号機の審査で規制委委員がデータ不足を指摘
【関連記事】不備だらけ申請を修正したら3倍超の1600ページに…どうなる?敦賀原発2号機の再稼働
【関連記事】敦賀原発2号機「審査中断」でどうする原電? 原子力規制委から「最後通告」
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/294448

柏崎刈羽原発の「運転禁止」解除、原子力規制委は甘くないか 書類確認3カ月、現場調査10日間、議論1時間
2023年12月7日 06時00分

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の運転禁止命令解除に道筋を付けた6日の原子力規制委員会の対応は、東電に対する甘い姿勢が浮き彫りとなった。テロ対策不備の再発防止の取り組みを、改善途中にもかかわらず是正したと判断原発を運転する適格性については表面的な確認作業でお墨付きを与えた。世界最悪レベルの原発事故と重大なテロ対策不備の当事者への厳しい姿勢は感じられない。(渡辺聖子


 柏崎刈羽原発 新潟県柏崎市と刈羽村にまたがって立地。東電福島第1原発と同じ沸騰水型という軽水炉が計7基あり、総出力は821万2000キロワットと世界最大規模。東電は新しく、出力が大きい6、7号機の再稼働を優先し、2013年に原子力規制委員会に新規制基準の審査を申請。17年に適合した。新基準に沿った事故対策では、工事の未完了や溶接の施工不良などの不備が続いた。

     (柏崎刈羽原発の検査について説明する原子力規制委員会の
      山中伸介委員長=6日、東京都港区で)


◆規制委で追及の場面なく、議論は1時間足らず

 「追加することはない」。6日の定例会合で、山中伸介委員長が検査結果が妥当かどうかを4人の委員に確かめると、いずれも同じ返事を繰り返した。山中委員長も事務局の報告をすんなりと受け入れた。
 委員らは、現地調査や東電社長への聴取をしないと最終的な判断はできないとの意見で一致したが、伴信彦委員が「明らかに改善が図られている」と発言するなど、東電の取り組みを前向きにとらえる見方が続いた。問題点を追及する場面はなく、1時間足らずで委員間の議論を終えた。
 テロ対策の検査は荒天時の監視体制や、IDカードの不正利用など不備再発防止の取り組みを一過性にしないなど、4項目が最後まで残った。報告書案は、これらすべてについて「自らミスを見つけて改善できる仕組みが定着しつつある」とした。


◆検査中もあったテロ対策の違反

 「しつつある」という改善の途中段階と受け取れる表現は、検査官19人全員の一致した認識という。山中委員長は記者会見で「規制当局が介入して改善を促す状況は脱した」と繰り返した。東電内で自律的な改善を担う社長直轄の部署は発足から半年余りと日が浅く、事務局は取り組みの定着までは確認していない。
 テロ対策の違反は検査中もなくならなかった。東電が4項目の是正完了を規制委に報告した後の11月にも、薬物検査で陽性反応が出た社員を誤って防護区域に入れていたことが発覚。しかし規制委は「軽微な事案と取り合わなかった。「ミスが起きても、自ら見つけて改善できれば良い」と事務局担当者。山中委員長も「報告書に影響はしなかった」と強調した。
 命令解除の判断材料となる適格性の再確認は、うわべだけの確認作業で引き続き「あり」と判断した。
 6年前に適格性が「ある」と判断した際に規制委が確認した7項目には、福島第1原発の廃炉への責任も含まれる。


◆「正確な情報発信」は適格性と関係ない?

 ところが今回は「正確な情報発信を通じて関係者の理解を得ながら廃炉に取り組む」という部分が「規制に直接関係しない」との理由で確認の対象外に。漁業関係者らの反対を押し切って始めた処理水の海洋放出目標が達成された」とする項目に入った。

     (テロ対策についての検査報告書案などを議論した
      原子力規制委員会=6日、東京都港区で)

 10月に浄化処理設備で起きた作業員の被ばく事故は「現在検査中としただけで考慮されなかった。始まる見通しのない原子炉内に溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しをはじめ難航する作業ばかりだが、確認結果は「廃炉は総じて進捗(しんちょく)している」とした。
 事務局が報告までにかけた期間は8月から約3カ月。主に書類で確かめる作業だった。内容の確認や聞き取りのため職員が現地や本社に出向いたのは計10日間。山中委員長は「時間的に不十分だとは思っていない」と言い切った。


【関連記事】柏崎刈羽原発「問題ない」規制委が今年中にも運転禁止命令解除へ 東電の再発防止策を評価
【関連記事】「飛散しない」自己判断でカッパ着ず、廃液が飛散して被ばく
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/298081

柏崎刈羽原発、「運転禁止」命令を解除 東京電力のテロ対策は改善と判断 原子力規制委員会
2023年12月27日 11時10分

 原子力規制委員会は27日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出している事実上の運転禁止命令の解除を正式に決めた。2021年4月の命令から2年8カ月余り、福島第1原発で世界最悪レベルの事故を起こした東電が再び原発の運転に向けた準備に入る
 定例会合では、東電に対する特別な検査態勢を解くことに対し、委員5人全員が賛成。これにより、運転禁止命令の解除が決まった。27日午後に東電に通知する。


◆命令の後も続いた違反

 柏崎刈羽原発では、2021年1月以降、東電社員によるIDカードの不正利用や、侵入検知装置が多数壊れた上に代わりの対策も不十分なまま放置したテロ対策の不備が相次いで発覚。規制委はこの年の4月に核燃料の移動禁止を命じ、東電の再発防止策に対する検査を続けてきた。

     (東京電力柏崎刈羽原発の6号機、7号機(右から))

 しかし、規制委の検査中も東電のテロ対策不備は相次いだ。2022年6月には監視用の照明設備が非常用電源に接続されていなかったことが発覚。これを是正したものの、翌年の2023年6月に別の照明設備に電源が接続されていないことが発覚した。

 ほかにも、手荷物検査が不十分で未許可の携帯電話やスマートフォンが持ち込まれた違反が、2023年1月以降で少なくとも3回起きた。今から2カ月まえの2023年10月には、薬物検査で陽性反応が出た社員を防護が必要な区域に一時入域させるなど、違反は後を絶たない。


◆規制委は「影響は軽微」と判断

 規制委はこれらの違反について、いずれも「影響は軽微」として再発防止策の検査には影響しないと判断。今月(2023年12月)6日の定例会合で、すべての再発防止策は妥当とする事務局の検査報告を大筋で了承した。
 また、柏崎刈羽原発の新規制基準適合性審査では、東電が2013年に6、7号機の審査を規制委に申請。規制委は東電が福島第1原発事故の当事者であることを考慮し、東電に原発を運転する適格性があるかも確かめた。2017年9月に「適格性がある」と判断し、その上で同年12月に事故対策が新規制基準に適合するとの審査書を決定した。
 今回の命令解除の手続きでは、規制委は今月(2023年12月)20日、東京電力の小早川智明社長を呼び、テロ対策の再発防止策と原発を運転する資格(適格性)があるかどうかを判断するために説明を聴いた。この日の委員5人による話し合いでは、小早川社長の説明に大きな問題はない、との意見で一致していた。
 今後、東京電力が柏崎刈羽原発を再稼働するには新潟県などの立地自治体の同意が必要となる。花角英世知事は同意の是非を巡って「県民の信を問う」と述べている。


【関連記事】20日の聴取 小早川智明・東京電力社長が答えあぐねたシンプルな質問
【関連記事】自民県議も「東京電力には原発を運転してほしくない」…新潟が裏切られ続けた2年半
【関連記事】「下請け任せ」は企業文化なのか…作業のリスクを軽視し続ける東京電力の姿勢
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/301911

こちら特報部
「柏崎刈羽」周辺道路にも無数の亀裂…「原発は本当に大丈夫か?」地元に広がる不安の声
2024年1月11日 12時00分

 犠牲者が200人を超えた能登半島地震。阪神大震災を上回るマグニチュード(M)7.6を記録し、日本海側でも巨大地震が起きると改めて浮き彫りになった。やはり心配なのが原発だ。東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県刈羽村では、安全面を危ぶむ声が強まっている。原発があっても本当に大丈夫か。検証は尽くされているのか。(山田祐一郎西田直晃


◆震源地から百数十km離れてても震度5強の揺れ

 10日午前、「こちら特報部」は雪がちらつく刈羽村に入った。前日夕には、佐渡付近を震源とするM6.0の地震があったばかり。村では震度3を観測した。
 JR刈羽駅から南に1キロ離れた村役場に徒歩で向かう。道路には真新しいひび割れが無数に見られた。役場近くの国道116号は片側3車線から歩道までひびが斜めに伸び、中央分離帯部分が盛り上がっていた

     (国道に広がる路面のひび=新潟県刈羽村で)

 「元日の地震でできたひびですね」。説明してくれたのは歩道橋工事の交通誘導員をしていた男性。1日の能登半島地震では、震源地から東に百数十キロ離れた刈羽村は震度5強の揺れに襲われた。ひびは既に応急処置されたというが「交差点の脇に立っていると、大型車両が通るたびに歩道が揺れる」と男性は話す。


◆もし原発で事故が起きたら、避難できる?

 「海岸部を中心に液状化の被害が多数報告されている」。村議の武本和幸さん(74)は、数日前に村内で撮影した写真を見せながら説明する。「昨年、整備したばかりの村道も地盤が液状化してアスファルトの路面がひび割れている」
 1日は外出先から帰宅したところに地震が起きた。「2007年の中越沖地震を思い起こさせる揺れ。原発は大丈夫なのかというのが最初に脳裏によぎった」。中越沖地震はM6.8で、最大震度6強。柏崎刈羽原発の屋外変圧器で火災が起き、微量の放射性物質を含む水が海に流出した。

     (村内の被害について説明する武本和幸さん=新潟県刈羽村で)

 今回は燃料プールの水があふれたが、大きな異常は確認されていない。それでも武本さんが問題視するのは、大地震により柏崎刈羽原発で事故が起きた際の対応、特に避難のあり方だ。懸念を強めるのは1日の経験から。地震直後、国道や高速道路は通行止めとなった。「避難しようとした住民が渋滞に巻き込まれたという話が多く寄せられた」


◆道路は見渡す限り車、高台への避難を断念

 原発の南西約3キロに住む無職宮崎孝司さん(79)は1日に避難を試みた一人。「防災無線で津波警報が出たことを知り、家族3人で車で高台へ避難しようとしたが、道路は見渡す限り車で埋まっていた。Uターンして当初とは別の場所に避難した」と振り返る。

     (1日の地震の影響で路面がひび割れた道路
      =6日、新潟県刈羽村で(武本和幸さん提供))

 付近の国道では2022年12月に記録的な大雪で多くの車が立ち往生した。大雪の際に原子力災害が発生した場合、政府は原発の5キロ圏について「避難経路の除雪が完了するまで屋内退避を継続」との方針案を示している。宮崎さんは「津波も起き、避難が必要な場合はどうすればいいのか」と危惧し、避難するにしても「道路は地震で寸断され、雪で立ち往生する複合災害もあり得る」と訴える。


◆想定外の揺れ、海底隆起…もし原発が稼働中だったら?

 刈羽村と同様、柏崎刈羽原発が立地する柏崎市在住で医師の本間保さん(73)は「能登半島の北陸電力志賀原発も柏崎刈羽原発も運転停止中のため、これだけの被害で済んだのでは」とみる。「原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」共同代表でもある本間さんは「原発を動かすのは無理だともう一度、声を上げる時期に来ている」と続ける。

     (地震で海底が隆起したとみられる石川県輪島市
      門前町の深見漁港周辺=本社ヘリ「あさづる」から)

 今回の地震では、能登半島の海底が隆起し、従来は海だった場所が陸になったことが確認された。先の武本さんは柏崎刈羽原発周辺でこうした地盤の隆起が生じることを危ぶむ。「外部から冷却水を取ることが困難になる可能性もある
 さらに「中越沖地震では想定外の揺れが、東日本大震災では津波が問題となった。今回、原発周辺の地盤が変動するリスクも明らかになった。再稼働の議論の前にリスクについて改めて評価すべきだ」と訴える。


◆日本海側でも巨大地震が起きると実証

 日本で大地震といえば太平洋側を思い浮かべがちだが、過去には日本海側でも起きた。ともに津波で多数の死者が出た1983年の日本海中部地震(M7.7)、93年の北海道南西沖地震(M7.8)などがある。

     (1日の地震の影響で路面がひび割れた道路
      =6日、新潟県刈羽村で(武本和幸さん提供))

 政府の地震調査研究推進本部は、日本海側の一部の海域活断層について、地震発生の確率の評価を公表してきたが、能登半島沖を含む大部分は未公表だ。金沢大の平松良浩教授(地震学)は「太平洋側に比べ、日本海側の評価は後回しになっている」と説明する。
 再来周期が数十年〜数百年のプレート境界型地震を想定する太平洋側に比べ、日本海側で起きる活断層型地震の再来周期は数千年〜数万年程度とされる。「予算や人員が限られる中、活動性の違いから日本海側は二の次にされている」
 そう語る平松さんは「個々の再来周期は長くても、多数の活断層があるため、平均的に考えればどこかしらで地震は起きてしまう。津波を伴う大地震もあり、日本海側でも調査を進めるべきだ」と指摘する。


◆原発設計時の想定上回る揺れも

 地震の被害は丁寧な検証が不可欠だ。想定を上回る場合があるからだ。能登半島地震では、石川県地域防災計画で想定されたM7.0を超えた。先に触れた中越沖地震では、柏崎刈羽原発の設計時に想定した最大の揺れを上回ったほか、建屋地下にある鉄筋コンクリート製のくいの損傷が、地震発生から14年を経て発覚する事態も起きた。

     (新潟県の東京電力柏崎刈羽原発=2021年4月撮影)

 そんな不安があっても政府は原発再稼働に躍起になる。柏崎刈羽原発も例に漏れず、2017年末に6号機、7号機が原子力規制委員会の適合性審査を通り、テロ対策の不備で21年に出された事実上の運転禁止命令も23年末に解除された
 再稼働の判断に関わる新潟県が安全面の砦(とりで)になるはずだが、厳しい視線を向ける研究者が近年、「排除」を思わせる扱いを受けた
 11年の東電福島第1原発事故を受け、県は柏崎刈羽原発の再稼働判断のため、三つの検証委で議論を深めたが、技術面を扱う委員会に名を連ねた新潟大の立石雅昭名誉教授は21年、高齢を理由に再任が見送られた。三つの検証を総括する委員会のトップ、名古屋大の池内了名誉教授も23年、任期が更新されなかった


◆「今回の地震を機に議論深めるべき」

 厳しい検証が遠のく中、改めて浮かび上がったのが日本海側の巨大地震リスクだ。地質学者の立石さんは「県は再稼働に前のめりにならず、従来の考え方を改める必要がある」と語る。
 能登半島地震は、複数の断層が連動して大きな揺れを起こしたと立石さんはみる一方、柏崎刈羽原発の周辺で断層が連動する事態が十分に検証できていないとし、こう唱える。「現状ではどれほどの揺れや津波が原発を襲うのかは分からない。能登半島地震を機にさらに議論すべきだ」


◆デスクメモ

 想定外」に抵抗感を抱く厳しい想定を検証しないまま、深刻な事態が生じると「想定外」と言い逃れる。そんな印象を持つからだ。甚大な汚染をもたらしうる原発地震に耐えられるか住民は逃げられるか。必要なのは懸念に向き合う姿勢。責任逃れの言い訳は救いにならない。(榊)


【関連記事】海底が隆起? 防波堤の外まで陸になり、海ははるか先に… 能登半島地震で一帯の漁港に異変
【関連記事】志賀原発「異常なし」から考えた 運転中だったら?「珠洲原発」だったら? 震度7の地震は想定内なのか
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●杜撰・隠蔽・欺瞞だらけな廃液飛散事故…《人の命にもかかわる重大事故を起こしても、いまだ終始一貫して舐めた態度で会見をおこなっている東電》

2023年12月16日 00時00分16秒 | Weblog

[『朽ちていった命 被曝治療83日間の記録―』 NHK「東海村臨界事故」取材班」(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41AlC-AwBGL._SX357_BO1,204,203,200_.jpg)↑]


(2023年11月10日[金])
欺瞞・杜撰だらけな東京電力福島原発廃液飛散事件…何もかも杜撰だった東電、飛散量・ホース・責任者不在…ホースって、東海村JCO事故を彷彿。

   『●福島第一原発廃液飛散事故…ホースが抜けて廃液が飛び散り、指示を出す
     班長は当日病欠、代理の監督者も不在、ことごとく東電の説明もいい加減

 何故にマスコミは沈黙?
 リテラの記事【原発廃液飛散で東電が飛散量を数十分の1に矮小化も、東電の隠蔽・無責任体質を批判しないマスコミ 一方、復活する電力広告】(https://lite-ra.com/2023/11/post-6304.html)。《本日2日、3回目となる処理汚染水の海洋放出がおこなわれたが、そんななか、東京電力の隠蔽体質があらわとなる事態が発生した。10月25日、福島第一原発の汚染水の処理をおこなう「ALPS」施設のひとつで配管の内部洗浄をおこなっていたところ、放射性物質を含む汚染廃液をタンクに流すためのホースが外れ、作業員5人に汚染廃液が飛散。東電は飛散した汚染廃液の量が100ミリリットルだったとし、うち2人は除染しても放射能量が基準を下回らず福島県立医科大学に搬送されたと公表した。ところが、30日におこなわれた会見で東電は…》。

   『●懲りずに原発推進の旗を振る者達でさへ
        無視できない存在としての小出裕章さん
   『●反省なき自民党を体現:
      「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」
   『●《政僕化したり官僕化》する官僚の「滅公奉僕」再び…
       この国ニッポンでは行政府の長が《愛僕者》ですもの
    「日刊スポーツ…【政界地獄耳/薄っぺらい政治の「責任」】」
    《★1999年9月30日。東海村JCO臨界事故の際、時の官房長官・
     野中広務は…は10キロ圏に拡大して発表。「事なきを得て
     10キロが無駄だといわれれば私が謝れば済むこと」とした。
     ★不祥事に際し、首相・安倍晋三は「責任は私にある
     と連呼する。だがその責任という言葉の軽さが危険だ。
     …政府の統計不正も役人がのらりくらりで遅々として
     解明できない。机上の数字の操作だからか。公金を動かす
     という公務員の重みがないから責任も軽いものになるのか。
     政治の「責任」を薄っぺらくしたのは誰か。》

   『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言
    「小出裕章さんが良く取り上げておられる
     『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録』……
     JOC臨界事故で何が起きたでしょうか? そして、
     「二次被曝した救急隊員、大泉実成さんのご家族」に
     何が起こったでしょうか?」

   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御できない
        なんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》

 何もかも杜撰な東京電力。これは3回目の汚染水投棄に向けての作業中だったのでは? なぜマスコミは大騒ぎしないのか、理解できない。それにしても、「ホース」ねぇ…、唖然とする。
 この杜撰さ、《1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オーJCO)の東海事業所で臨界事故》を彷彿とさせませんか? 

   『●木野龍逸さん《そもそも「廃炉」の定義すら決まっていない中で、廃炉を
     を進めるために汚染水の海洋放出が必要という理屈はまったく意味が不明》
   『●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理
     水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない
   『●まさに汚染水、海洋投棄してはいけない…トリチウム以外にも
     《炭素14…コバルト60…ヨウ素129…セシウム137》が含まれる汚染水
   『●【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に
     違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】汚染水の海洋投棄

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https://lite-ra.com/2023/11/post-6304.html

原発廃液飛散で東電が飛散量を数十分の1に矮小化も、東電の隠蔽・無責任体質を批判しないマスコミ 一方、復活する電力広告
2023.11.02 08:25

     (11年ぶりに復活した東電の「でんこちゃん」)

 本日2日、3回目となる処理汚染水の海洋放出がおこなわれたが、そんななか、東京電力の隠蔽体質があらわとなる事態が発生した。

 10月25日、福島第一原発の汚染水の処理をおこなう「ALPS」施設のひとつで配管の内部洗浄をおこなっていたところ、放射性物質を含む汚染廃液をタンクに流すためのホースが外れ、作業員5人に汚染廃液が飛散。東電は飛散した汚染廃液の量が100ミリリットルだったとし、うち2人は除染しても放射能量が基準を下回らず福島県立医科大学に搬送されたと公表した。

 ところが、30日におこなわれた会見で東電は、飛び散った汚染廃液は当初公表の数十倍の「数リットル」にのぼるとみられると修正。さらに、被曝した作業員について、東電は当初、1次下請けの作業員だと説明していたが、この日になって「3次請け企業の3社にまたがって所属」していたと訂正したのだ。

 今回の事故にかんしては、被曝した作業員2人が作業ルールで必要な防水性のあるカッパ(アノラック)を着用しておらず東電が作業管理上の規則遵守を徹底していなかった可能性も指摘されているほか、土屋品子復興相が「(事故について)報道で知ったと国会で答弁するなど情報共有がまったくなされていなかったことも露呈。また、事故が発生したのは25日の午前10時40分ごろだったにもかかわらず、事故発生について報道関係者向け一斉メールで公表されたのは20時20分。NHKが第一報を報じたのは23時すぎのことだった。

 東電は「緊急搬送の決定を基点にして30分以内にメディアに一斉メールでお知らせした」などと説明しているが、作業員が汚染廃液をかぶるという人命にもかかわる重大な事故を起こしておきながら発生から9時間40分後の公表というのは、あまりに遅すぎるものだ。しかも、この日は会見を開かず、翌日、「中長期ロードマップの進捗状況」という名目で毎月行われている会見のなかではじめて事故の説明をおこない、汚染廃液を浴びた作業員の入院を発表したのである。

 挙げ句、事故から5日も経てから飛散量を当初の数十倍となる「数リットル」だと言い出す──。このような東電の杜撰な対応を見ると、海洋放出されている処理汚染水についても東電発表を信用しろと言われても無理があるだろう。

 だが、さらに問題なのは、メディアの報道姿勢だ。

 今回の事故について、東電発表後には大手新聞やNHK・民放キー局が報じたが、いずれも扱いは小さいものだった。飛散した汚染廃液の量を100ミリリットルから数リットルに訂正したことを報じた大手メディアもわずかだ。とくにテレビのワイドショーなどはストレートニュースのコーナーで触れた程度で、まったく話題として取り上げていない


■東電会見のひどさ! 飛散量の少なさの指摘に反論、汚染濃度を「計算に疎いので」とゴマカシ

 言っておくが、今回の事故は「小さい扱い」で済むような話ではない。そもそも、今回の事故は〈放射性物質を除去する吸着塔に入る前の配管内を硝酸水で洗浄していたところ、洗浄廃液をタンクに送り込む仮設ホースが発生したガスによって外れ〉起こった(東京新聞10月26日付)。つまり、飛散した洗浄廃液には多核種の放射性物質が含まれており、紛うことなき汚染廃液」にほかならない。しかも、汚染廃液の濃度は43億7600ベクレル/ℓにものぼることを東電も認めている。にもかかわらず、日本テレビやテレビ朝日、読売新聞などは、これを「放射性物質を含む水」「放射性物質を含む液体」「放射性物質を含む洗浄水」と伝えたのである。

 さらに、報道されるべきなのにまったく報じられていないのが、東電による会見での信じがたい無責任ぶりだ。

 前述したように、東電は10月30日の会見で、飛散した汚染廃液の量を「数リットル」と修正したが、この修正にいたるまでには前段があった。

 というのも、事故翌日の10月26日におこなわれた会見で東電は「(飛散した量は)数百ミリリットルより少ない量であると考えている」などと発言。これには共同通信の記者が「数百ミリリットル以下の飛散で顔を除く全身汚染するという状況がイメージしづらい」と追及したのだが、東電は「高濃度な洗浄廃液がミスト状でかかったため」と反論。だが、今度はNHKの記者が「100ミリリットルより少ないのに、2重にタイベックを着ていた方の全身に付着するというのは一般的な理解として無理があるのではないか」「根拠はあるのか」と追及すると、東電は「先程の回答は訂正する。現段階では正しい数字は言えない」と前言を撤回したのだ。つまり、東電は根拠も示さず「100ミリリットルより少ない量」などと無責任極まりない回答をおこない、記者の追及によってこれを撤回していたのである。

 しかも、東電は30日の会見でも、退院した作業員へのヒアリングによって飛散した量は「数リットル程度」だったと確認したと数字を修正したが、このヒアリングも元請け企業が実施したもので、東電は直接ヒアリングをおこなっていないことが記者との質疑応答で露呈。過去の汚染水で作業員が被曝した事故では汚染水が漏洩した範囲と深さによって量が出されていたが、今回はそうした計量がおこなわれていないことも、記者の追及によってあきらかになったのだ。

 さらに酷かったのが、前述した洗浄廃液の汚染濃度についてだ。通常、最初に公表すべきデータでありながら、東電は公表資料でもこれを記載していなかった。そこで26日の会見では、東京新聞の記者が「廃液の汚染水の濃度」について質問したのだが、東電の回答は「汚染水のこのときの全ベータは、4.376✕10の9乗ベクレル/ℓということになる」という、人を食ったようなものだったのだ。

 これには、ジャーナリストのまさのあつこ氏が計算をおこなったうえで「今回の汚染水は43億7600ベクレル/ℓという理解で良いか」と問うたのだが、東電はこう言い張った。

「計算に疎いのでアレですけど、4.376✕10の9乗というのは先程申したとおり。あと、そもそも汚染水ではないということもご認識ください。あくまで『洗浄廃液』だということ」

 約44億ベクレル/ℓにものぼっているのは多核種が除去されていない汚染水が含まれていることを明確に示しているにもかかわらず、それを「洗浄廃液だ」と言い張る──。これは、トリチウムが除去できない上、汚染物質が検出されている処理汚染水を「処理水」と呼んでいることとも通底する欺瞞ではないか。


■復活する電力会社広告 東電は自粛していたキャラ「でんこちゃん」がCMに登場

 あれほどの原発事故を起こしておきながら、作業員の被曝という人の命にもかかわる重大事故を起こしても、いまだ終始一貫して舐めた態度で会見をおこなっている東電ビッグモーターの会見を徹底批判したように、本来、会見における東電の無責任なこの態度や発言こそ、新聞やテレビは報じるべきだ

 ところが、東電の杜撰な対応や隠蔽体質について批判的に取り上げたマスコミは、一部の地元メディアのみ。大手マスコミは、修正を報じるだけで、東電の無責任さをまったく報じようとしないのだ。

 この大手マスコミの弱腰の背景には、電力会社による“原発広告”の復活も考えられるだろう。原発事故以前は、東電をはじめとする電力各社やその司令塔・電力事業連合会電事連)は新聞、テレビ、週刊誌などのマスコミに広告を大量出稿することで、原発に批判的な論調を封じ込めてきた。しかし、原発事故後は、安全神話をつくり出してきたマスコミ、広告に出演していた芸能人や学者たちにも批判が高まり、電力会社からの広告は一時なりをひそめたかに見えた。

 しかし、事故から3、4年が経ったころから、メディアでは“原発広告”が完全に復活。さらに、原発再稼働政策を推し進めた安倍政権と歩調を合わせるように、電力業界は広告費を増やし、再びマスコミを“カネ”で漬け込んで“原発タブー”をつくり出してきた。実際、東電は今年に入ってから、原発事故後からテレビCMで姿を消していた広報キャラクター「でんこちゃん」をテレビCMで復活。電事連も人気女優の今田美桜を起用したCMを大々的に展開している。

 そして、こうした電力業界の動きに呼応するように、大手マスコミは汚染処理水の海洋放出でも批判らしい批判をほとんどせず、中国による日本の水産物輸入全面停止の話題に集中。朝日新聞のようなリベラルメディアでさえ「科学的根拠を無視した一方的な嫌がらせだ!」と大合唱し、そうした報道はいまもつづいている。

 汚染処理水を「処理水」などと呼び、中国に矛先を向けることで議論すべき問題をスルーし、ただ政府と東電の主張を垂れ流すだけ……大手マスコミのこの体たらくが、東電を増長させ、いまだに無責任会見を許してしまっているのだ。いや、そればかりか、海洋放出に対する中国の反発をやたら煽情的に取り上げナショナリズムにすり替え、内閣支持率がダダ下がりの岸田政権に対する世論調査では汚染処理水の海洋放出に関しては評価する声が大きいように、政権評価にさえ与してしまっているのである。

 今回の事故における東電の杜撰な対応や情報隠蔽は、海洋放出されている処理汚染水でも同じことが起こる可能性があるものだ。大手マスコミが再び“安全神話”を振りまき、東電の実態を批判的に報じないことで、またも福島第一原発事故のような惨劇が繰り返される──その危険は高まっていると言わざるを得ないだろう。

(編集部)
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●飯塚事件は《足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した冤罪」が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……》

2021年12月06日 00時00分20秒 | Weblog

―――――― 《2次再審請求で問い直される「T供述」の信用性 岩田弁護士は「Kさんが目撃したのが犯人であれば急転直下、真犯人の存在とともに久間さんの無実もはっきりする」と述べ、再審請求でK証言の果たす役割を解説した》



 (2021年09月26日[日])
山口正紀さんによる、レイバーネットの記事【検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪〜「飯塚事件」を問う】(http://www.labornetjp.org/news/2021/0911yama)。

 《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。その第2次再審請求の支援を訴える「飯塚事件の再審を求める東京集会」が9月4日、オンラインで開かれた。この事件で有罪判決の根拠とされたのが科警研(警察庁科学警察研究所)によるDNA型鑑定だった。一方、同じ時期・同じ手法で科警研が行なった「足利事件」のDNA型鑑定が誤りだったことが明らかになり、再審無罪となった。実は、この足利事件で「DNA型再鑑定へ」と報道されたのが08年10月上旬その10日余り後、突然再審準備中の久間さんの死刑が執行された。それを知った時、私は恐ろしい疑惑に駆られた。この死刑執行は、足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した冤罪が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……。(山口正紀)》

 《検察による口封じ殺人》《国家による殺人》…。布川事件冤罪被害者桜井昌司さん《無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です》と。当時の首相は麻生太郎氏、飯塚を含む福岡8区の出身。その麻生太郎内閣の法務大臣は森英介氏。2008年10月16日、足利事件のDNA再鑑定で、直ぐに、久間さんの死刑執行は停止されるべきだった ――― しかし、わずか10日ほど後の10月28日、死刑は執行された…。首相や法相、検察・警察の関係者、あまりに冷酷だ…。関わった裁判官も。《各裁判所は、弁護側が指摘したさまざまな疑問・矛盾を無視。結局、科警研の「MCT118型鑑定」によるDNA型鑑定をほぼ唯一の根拠とした死刑判決が確定した》。

   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
                飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行』 
 
    「2008年10月16日 足利事件 再鑑定へ
     2008年10月28日 飯塚事件 死刑執行
     2009年 4月20日 足利事件 再鑑定で一致せず
     ……そう、足利事件で誤鑑定であることが分かった時には、既に、
     久間さんの死刑が執行されていた。2008年10月16日
     DNA型鑑定に疑問が生じた時点で、死刑執行は停止されておくべき
     だったのに…。なぜ、急いで死刑執行したのか?、大変に大きな疑問である」

   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●①飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」:
                    無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」
    「リテラの伊勢崎馨さんによる記事【飯塚事件、なぜ再審を行わない?
     DNA鑑定の捏造、警察による見込み捜査の疑いも浮上…やっぱり冤罪だ!】」
    《冤罪が強く疑われながら死刑が執行されてしまったのが、1992年に
     福岡県で起こった「飯塚事件」である。そして、この飯塚事件にスポットをあて、
     冤罪疑惑に切り込んだドキュメンタリー番組が放送され、ネット上で話題を
     呼んだ。3日深夜に日本テレビで放送された
     『死刑執行は正しかったのかⅡ 飯塚事件 冤罪を訴える妻』だ》

   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の再鑑定で
           死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●飯塚事件…《しかしもっと恐ろしいのは、そんな誤りを認めず、
     国家による殺人を無かった事にする国家の強引さだろう》(清水潔さん)

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http://www.labornetjp.org/news/2021/0911yama

検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪―「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(上)

●山口正紀の「言いたいことは山ほどある」第14回(2021/9/11 不定期コラム)
検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪――「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(上)

     (*2017年NNNドキュメントより)

 「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。その第2次再審請求の支援を訴える「飯塚事件の再審を求める東京集会」が9月4日、オンラインで開かれた。この事件で有罪判決の根拠とされたのが科警研(警察庁科学警察研究所)によるDNA型鑑定だった。一方、同じ時期・同じ手法で科警研が行なった「足利事件のDNA型鑑定が誤りだったことが明らかになり、再審無罪となった。実は、この足利事件で「DNA型再鑑定へ」と報道されたのが08年10月上旬その10日余り後、突然再審準備中の久間さんの死刑が執行された。それを知った時、私は恐ろしい疑惑に駆られた。この死刑執行は、足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した冤罪が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……。(以下、事件・裁判の経過とオンライン集会の模様を3回にわたって報告する)


●疑惑の死刑執行1年後、妻が再審請求

 死刑執行からちょうど1年後の09年10月28日、久間さんの妻が新たなDNA型鑑定などを新証拠(再審を開始すべき理由)として、福岡地裁に再審請求を申し立てた。

 しかし、福岡地裁は14年、科警研が行なったDNA型鑑定を「(久間さんの)犯人性を基礎づける事実とすることはできない」と認めたものの、「DNA型鑑定以外の状況証拠による確定判決は揺るがない」として、再審請求を棄却した。

 再審弁護団は即時抗告したが、福岡高裁は18年、即時抗告を棄却。弁護団は特別抗告したが、最高裁第1小法廷は今年4月21日、特別抗告も棄却した。

 このため、久間さんの妻と再審弁護団は7月9日、確定判決の根拠とされた目撃証言を否定する新たな目撃証言などを理由に、2度目の再審請求を福岡地裁に申し立てた。

 オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。

 集会では、弁護団から第1次再審請求を棄却した最高裁決定と第1次請求の総括、第2次再審請求の経過と内容が詳しく報告され、再審請求人である久間さんの妻のメッセージが読み上げられた。また、8月に国家賠償請求訴訟(国賠)の控訴審で勝訴したばかりの桜井さんが再審実現に向けて連帯のアピールを行い、「死刑執行は口封じ何というひどい国だろう。久間さんの無念は必ず晴らせると確信しています」と訴えた。

 集会について報告する前に、第1次請求に対する最高裁決定、第2次再審請求書、弁護団が編集したブックレット『死刑執行された冤罪・飯塚事件』(2017年・現代人文社)などをもとに、まず事件と裁判、再審請求審の経過を紹介しておこう。


●福岡県警は事件直後から久間さんを犯人視し、「見込み捜査」

 92年2月20日、飯塚市内で登校途中の小学校1年生女児2人が行方不明になり、翌日、約20キロ離れた福岡県甘木市(現・朝倉市)の山中で遺体が発見された。死因は扼殺、2人の膣内などから微量の血液が検出された。

 福岡県警は、かつて近くで起きた同種の事件で捜査対象にしたことのある久間さんを事件直後からマークし、その動静を監視(見込み捜査)。3月には遺留品発見現場付近で「ダブルタイヤのワンボックスカーを目撃した」とのT証人の調書を作成した。久間さんは、この「目撃証言」に合致する車を持っていた。

 続いて県警は久間さんに毛髪を任意提出させ、遺体周辺から採取された血液とともに科警研に鑑定を依頼。科警研は6月、〈血液型は、犯人のものとみられる血液、久間ともにB型。DNA型は「MCT118型鑑定」の結果、犯人のものとみられる型と久間が提出した毛髪から採取した型が一致した〉との鑑定書を出した。

 県警は7月、その「追試」として帝京大学の石山昱夫(いくお)教授にDNA型鑑定を依頼した。石山教授は「ミトコンドリア法」という当時、最も鋭敏な検査とされた方法で検査。約1年半後の94年1月に出された石山教授の鑑定書は、「久間さんのDNA型は検出されず被害者以外の第三者(犯人と思われる)の型が検出された」と結論した。

 それでも県警は94年9月23日、久間さんを死体遺棄容疑で逮捕した。
 翌日の『朝日新聞』夕刊(東京本社版)は、社会面トップ見開きで《56歳無職男性を逮捕/小1女児2人殺害事件/遺体運び捨てた容疑/DNAと繊維鑑定が決め手》と大々的に報道、久間さんの経歴や一問一答を掲載した。『読売新聞』も、社会面4段で《無職の56歳男性逮捕/遺棄容疑/殺人容疑でも追及》と大きく報じた。

 『朝日』はその後も、続報で《ワゴン車入念に清掃/容疑者、売却直前に》《容疑者に似た男目撃/遺留品の現場、車で去る》などと犯人視の報道を続けた。

 久間さんは66日間に及んだ取調べに一貫して否認した。県警は10月14日、久間さんを死体遺棄罪で起訴し、殺人容疑で再逮捕した。だが、その後も「自白」は一切なかった

 95年2月20日、福岡地裁で初公判が開かれ、久間さんは起訴内容を全面否認。その後も一貫して無実を訴え続けた。しかし99年9月29日、福岡地裁は久間さんに死刑判決を言い渡した。判決は「被告人の犯行との結びつきを証明する直接証拠がなく、個々の状況事実の単独では被告人を犯人と断定することが出来ない」としながら、概略次のような「状況事実」を列挙し、有罪と認定した。

 ①被告人の車のシートから検出された血痕と被害者の1人の血液型が一致する ②遺体から検出された血液型、DNA型が被告人と一致する ③現場付近で目撃された車と被告人の車種が一致する ④被害者の着衣に付着した繊維と車のシートの繊維が同一 ⑤被告人には土地鑑があり、アリバイも不明。

 私が参加する「人権と報道・連絡会」では2010年1月の定例会で、弁護団の徳田靖之弁護士から事件と裁判の経過について詳細な報告を受けた。その中で徳田弁護士は、一審判決が有罪の根拠とした「状況事実」について、次のように問題点を指摘した。

 「①車のシートの血液型が被害者と一致したというが、血液型だけでそれを被害者の血痕と断定することはできない。③④は車種が同じというだけの話。⑤は全くの間接証拠に過ぎない。③の目撃者が目撃した人物は『年齢30~40歳。髪は長めで七・三分け』ということだったが、久間さんは当時55歳、髪はオールバックだった」

 結局、一審判決は「②科警研によるDNA型鑑定に依拠して有罪と認定したことになる。だが、そのDNA型鑑定をめぐっても重大な矛盾があった。実は、科警研は「MCT118型鑑定」のほかに、独自に「HLADQα型」検査も行っていたが、この検査では被害者の血液から久間さんの型は検出されなかった。そして、石山教授の「ミトコンドリア法」による鑑定も不一致だった。つまり、県警は複数のDNA型鑑定を行ったものの、「MCT118型鑑定」以外はすべて「久間=犯人説を否定していたことになる。

 久間さんはこの一審判決に対して直ちに控訴したが、2001年10月10日、福岡高裁は控訴を棄却。さらに06年9月8日、最高裁は上告を棄却した。各裁判所は、弁護側が指摘したさまざまな疑問・矛盾を無視。結局、科警研の「MCT118型鑑定」によるDNA型鑑定をほぼ唯一の根拠とした死刑判決が確定した。


●「足利事件のDNA型再鑑定へ」報道の直後に死刑執行

 その2年後、状況が大きく動いた。同じ科警研鑑定(「MCT118型鑑定」)を証拠に有罪とされた足利事件について、08年10月、東京高裁が再鑑定する方針を決めた

 足利事件とは、1990年5月、栃木県足利市のパチンコ店で4歳女児が行方不明になり、渡良瀬川河川敷で遺体が発見された事件だ。栃木県警は91年12月、科警研のDNA型鑑定を証拠として保育園の送迎バス運転手だった菅家利和さんを逮捕。菅家さんは起訴され、裁判途中から無実を訴えたが、無期懲役の有罪判決が確定、服役させられていた。

 この東京高裁の再鑑定方針について、新聞各紙は、《高裁、DNA再鑑定へ》(10月17日付『朝日』)、《DNAを再鑑定へ》(18日付『毎日新聞』)と、全国版で大きく報じた。

 これは当時、再審請求を準備していた久間さんに大きな希望の光となったはずだ。ところが、この報道から10日後の10月28日、法務省は突然、久間さんの死刑を執行した。

 死刑執行を命じた法務省が、足利事件の再鑑定報道を知らなかったはずはない。森英介法相は「慎重かつ適正な検討を加えた」と述べた。いったいどんな「検討」をしたのか

 それから約半年後の09年5月、足利事件のDNA型鑑定結果が出た。弁護側・検察側が推薦した鑑定人2人が、いずれも「STR法」による鑑定で「犯人と菅家さんのDNA型は一致しない」と結論した。

 弁護側推薦の本田克也・筑波大教授は、「MCT118型」による追試鑑定も行った。結果は、菅家さんが「18―29型」、犯人は「18―24型」。どちらも「16―26型」としていた科警研の鑑定結果は、精度の低い「MCT118法」においても完全な誤りだった

 飯塚事件弁護団は、この本田教授に飯塚事件の再鑑定を依頼した。ところが、飯塚事件では捜査段階で採取された鑑定試料を科警研が全量消費していた」という。このため、本田教授は科警研鑑定のデータ・写真を解析し、再鑑定した。

 その結果は、「科警研鑑定はDNA型も血液型も誤りという衝撃的な内容だった。血液型は、犯人がAB型、久間さんはB型。「MCT118型」によるDNA型は、犯人が「16―25型」、久間さんは「18―30型」だった。科警研鑑定は、犯人・久間さんとも「16―26型」としていたが、それはすべて間違っていた、と本田鑑定は指摘した。

 遺族と弁護団は死刑執行1年後の10月28日、本田鑑定を新証拠に再審を請求した。だがメディアの反応は鈍く、全国紙各紙が社会面3~4段で伝えただけだった。その背景には、逮捕時にメディアが繰り広げた犯人視報道がある。徳田弁護士は「人権と報道・連絡会」で、「九州では東京以上にひどい犯人視報道が行われ、みんな久間さんを殺人鬼と信じ込まされました」と話した。メディアも〈無実の死刑〉に加担していた。(続く)

Last modified on 2021-09-11 22:51:36
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http://www.labornetjp.org/news/2021/0913yama

●山口正紀の「言いたいことは山ほどある」(2021/9/13不定期コラム)
検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪――「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(中)

 久間三千年(くま・みちとし)さんの死刑執行は、「DNA冤罪」が露顕するのを恐れた検察の「口封じ殺人」ではなかったか――こんな恐るべき疑惑をはらんだ「飯塚事件」。その再審を目指して開かれたオンライン集会(9月4日)では、最高裁「特別抗告棄却」決定(4月21日)の問題点、久間さんの妻と再審弁護団が福岡地裁に申し立てた第2次再審請求(7月9日)の内容が詳しく報告された。一連の報告は、①科警研DNA型鑑定のデータ改ざん有罪判決の根拠とされたT目撃証言の不自然さ――など、死刑判決の「証拠」が福岡県警によって改ざん・捏造されたものであることを明らかにした。

     (*写真=徳田靖之弁護士(NNNドキュメントより))


●「もっと早く再審請求していれば」……

 集会ではまず、刑事裁判から弁護活動に取り組んできた徳田靖之弁護士が、第1次再審請求の経過と請求棄却決定の問題点を報告、最初に飯塚事件の3つの特徴を挙げた。

 第1は、死刑が執行されてしまった事件であること。執行は08年10月28日だったが、徳田弁護士は少し前に久間さんに面会し、再審請求について話し合っていた。「あの時もう少し早く再審請求していれば、執行はなかったのではないか。弁護士の怠慢で執行を許してしまった。その過ちを背負いながら再審に取り組んできました」と徳田弁護士は悔やむ。

 一方、死刑執行された事件であることは、裁判官にはハードルの高さになり、慎重な審理を求められる。もし再審無罪になれば、国家による過った殺人を認めることになる。「それが、裁判所が再審開始を拒み続ける理由にもなります」と徳田弁護士。

 第2は、真犯人を特定できる証拠の血痕がありながら、捜査段階で全量消費されてしまったこと。被害者の膣内などから採取された血痕・体液は「100回鑑定ができるぐらい十分な量があった」(石山昱夫・帝京大学教授)のに、科警研の技官たちは3回の鑑定で全部使い切ってしまった」という。しかも、「使い切った」理由も明らかにされていない。徳田弁護士は「これが、無実を証明するうえで大きなハンデになっています」と述べた。

 だが、試料の血痕はほんとうに「全量消費」されたのか、そんな疑問もある。

 第3は、任意取調べを受けた段階から死刑執行の日まで、久間さんが終始一貫無実を訴え、完全否認を貫いた事件であること。わが国ではこれまで、免田事件など再審で死刑囚が無罪になった事件はあるが、その多くは何らかの形で「自白」が取られており、その任意性、信用性が否定されて再審開始の道が開かれてきた。

 本件では、こうした自白が全く存在せず、直接的証拠もない。確定判決も、「間接事実の総合評価によって犯人性を判断するしかない」とした。それだけに、裁判では有罪認定の中核となった「状況証拠」の証拠能力、信用性が徹底的に吟味されなければならない。弁護団は再審請求で、確定判決の証拠構造の中核が、①科警研のDNA型鑑定②遺留品発見現場でのT目撃証言であるとし、この2つに証拠価値がないことを立証した。


●DNA型鑑定、目撃証言のでたらめさを立証した新証拠

 福岡地裁に申し立てた第1次再審請求(09年10月)で、弁護団は2つの新証拠を提出した。1つは、本田克也・筑波大教授によるDNA型鑑定・血液型鑑定に関する法医学鑑定書。2つ目は、厳島行雄・日本大学教授によるT目撃証言に関する心理学鑑定書だ。本田鑑定は、科警研による「MCT118型」鑑定の証拠能力を全面的に否定した。鑑定書によると、「MCT118型」によるDNA型について、科警研鑑定は犯人・久間さんとも「16―26型」としていたが、久間さんのDNA型は「18-30型」であり、明らかに誤っていた。血液型についても「被害者はO型とA型であり、犯人はAB型。B型の久間さんは犯人ではありえない」と結論した。久間さんの無実を物語る衝撃的な鑑定だ

 再審請求審では、科警研がDNA型鑑定の際に撮影したネガフィルムが証拠開示され、本田教授が解析した結果、科警研鑑定書に添付された写真が改ざんされていたことも明るみに出た。ネガフィルムには確定判決で証拠採用された写真より広い範囲が写っていた。そのネガの写真に焼き付けられていない部分に、「久間さんでも被害者のものでもないDNA型」が確認された。これは真犯人のもの以外に考えられない。

 科警研はそれを隠すため、意図的に写真を切断して焼き付けたと考えるほかない。徳田弁護士は「ネガフィルムは科警研による証拠改ざんの痕跡を示す証拠」と指摘した。

 厳島鑑定は、T目撃証言が警察官に誘導されたものであると断定した。T目撃証言とは、女児2人が行方不明になって数時間後、〈遺留品発見現場の近くの山道で久間さんの車と特徴が同じ紺色のワンボックスカーを見た〉という内容だ。厳島教授は現場で再現実験を行い、このT証言の不自然さを指摘した。

 事件発生(92年2月20日)から2週間余、3月9日に作られた供述調書は、T証人が「目撃した」という不審車と不審人物について、極めて詳細に供述している。

 T供述は不審車の特徴として、①ナンバーは不明②標準タイプのワゴン車③メーカーはトヨタやニッサンではない④やや古い型⑤車体は紺色⑥車体にはラインがなかった⑦後部タイヤはダブルタイヤ⑧後輪のホイルキャップの中に黒いラインがあった⑨窓ガラスは黒く車内は見えなかった――という9項目を挙げた。

 不審人物の特徴としては、①頭の前の方が禿げていた②髪は長めで分けていた③上衣は毛糸で④胸はボタン式⑤薄茶色の⑥チョッキで⑦チョッキの下は白いカッターの長そでシャツを着ていた⑧年齢は30~40歳だった――という8項目を挙げた。

 しかし、T証人がこの不審車を目撃したという現場の「八丁峠」はカーブが続く山道。T証人は坂道の下りカーブを時速20~30キロで運転中、左カーブで対向車線に停まっていた「不審なワゴン車」を見た、としている。

 はたして、山道の下りカーブを運転中に、前記のような詳細な「目撃」が可能なのか。車がすれ違うのに要するのはほんの数秒。しかも、「後輪がダブルタイヤだった」というのは、下りカーブで後ろを振り返って見る危険を冒さなければ知り得ない情報だ。

 厳島教授は、現場での走行再現実験の結果に基づき、「目撃はごく短時間であり、対象物の詳しい形状まで記憶することは不可能T目撃証言は作られた供述」と断言した。

 さらに、再審請求審で証拠開示された捜査報告書により、T証言が捜査員の誘導によるものであることを示す事実が明らかになった。実は供述調書が取られる2日前の3月7日、捜査員が久間さん宅を下見して車を調べ、「車体にはボディラインなし」などと報告していた。この捜査員が2日後、T証人の聴取を担当し、調書を作成していたのだ。

 当時、久間さんが乗っていたのは、マツダの「ウエストコースト」というワゴン車。この車種には本来、車体に特徴的なラインが付けられていたが、久間さんはラインを消して乗っていた。そのことを知らなければ、わざわざ「トヨタやニッサンではない」「ラインがなかったなどと供述するわけがない。詳細なT証言は、捜査員による完全な誘導だった


●再審申し立てに判断を回避した最高裁

 確定死刑判決が有罪認定の根拠とした2つの柱=DNA型鑑定とT目撃証言は、弁護団が提出した2つの新証拠と再審請求審で開示された証拠により、完全に破綻した。

 ところが、2014年3月31日付で福岡地裁が出した決定は「請求棄却」だった。

 地裁決定は、科警研のDNA型鑑定については「証明力の評価に変化が生じた」として事実上、証明力を否定した。しかし、T目撃証言については、「厳島鑑定は供述の信用性を揺るがすものではない」「新証拠によって旧証拠の証明力や信用性が減殺されることはない」などとして、証拠能力を認めた。

 山道の下り坂カーブを走行中、わずか数秒間すれ違っただけで、運転者の髪形や詳しい服装から、「車体にはラインがなく、後輪はダブルタイヤだった」などという車の特徴までつかみ記憶していた、などという荒唐無稽な「証言」を、裁判官たちは「信用できる」と言うのだ。そんな裁判官たちの判断を私たちは「信用できる」だろうか。

 そのうえで地裁決定は、「DNA型鑑定以外の状況証拠を総合すれば、事件本人(注;久間さん)が犯人であることについて、合理的な疑いを超えた高度の立証がされていることに変わりはなく、新証拠はいずれも確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるものではない」と結論付け、再審請求を棄却した。

 さらに福岡高裁は18年2月6日、弁護団の即時抗告を棄却、最高裁も今年4月21日、「記録を精査しても、原決定(再審請求棄却決定)を取り消すべき事由は見当たらない」として、特別抗告を棄却する決定を行なった。

 弁護団は特別抗告で、2つの新証拠をめぐる論点だけでなく、高裁決定の憲法違反も指摘していた。福岡高裁の再審請求審では、裁判官3人のうち1人が、刑事裁判で死刑判決を出した一審・福岡地裁の審理に主任裁判官として参加していた。

 かつて自分が加わり死刑判決を出した裁判の再審請求に対して、ニュートラルな状態で審理に臨むことができるのか。裁判官は、もし再審請求を認めれば、自分が「無実の人に対する死刑」を命じた事実に直面することになる

 弁護団は特別抗告で、「これは憲法37条が定める〈公平な裁判を受ける権利〉に反する」と指摘し、憲法違反を主張したが、最高裁決定はこれについて判断を示さなかった

 この決定について、徳田弁護士は「決定文はわずか6ページ。ほとんど何も書いていないに等しく、これでは分析のしようもない。特別抗告から3年も経っており、最高裁は特別抗告を正面から受けとめて真摯に検討していると思っていたのに、弁護団の申立てに対してほとんど判断を回避した」と憤りをこめて批判した。

 それでも徳田弁護士は、第1次再審請求の到達点として、次の2点を挙げた。

 第1に、DNA型鑑定で久間さんの型が全く検出されなかったことが明らかになり、有罪判決の証拠の主たる柱の1つが破綻したこと。第2に、T目撃証言が捜査員に誘導されたものであることが明らかになり、その信用性が徹底的に揺らいだこと。

 それに、第2次再審請求では、警察が握りつぶしてきた真犯人につながる新たな目撃証言が加わる。この強力な新証拠を前に、裁判所は、司法が犯した「冤罪死刑」という取り返しのつかない過ちに目を逸らし続けることができるだろうか。(続く)

Last modified on 2021-09-15 11:03:30
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http://www.labornetjp.org/news/2021/0915yama

●山口正紀の「言いたいことは山ほどある」(2021/9/15不定期コラム)
検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪――「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(下)

 久間三千年(くま・みちとし)さんの死刑執行は、「口封じのための国家殺人」ではなかったか――「飯塚事件」の再審実現を目指して開かれたオンライン集会(9月4日)で、この事件の捜査をめぐり、「真犯人の目撃証言無視という新たな疑惑が指摘された。弁護団は7月に申し立てた第2次再審請求で「事件当日、被害少女2人と真犯人と思われる人物を目撃した」というKさんの証言を新証拠として提出した。驚くべきことにKさんは事件直後、犯人に直結するこの目撃を警察に通報したのに、福岡県警はこの決定的証言を調書も取らずに握りつぶしていた。事件発生から29年ぶりに浮上した真犯人の影。久間さんに対する見込み捜査に突っ走っていた警察は、「冤罪による死刑」だけでなく、みすみす「真犯人を逃がす」というもう一つの重大な罪も犯していた疑いが濃厚になった。


●「今にも泣きだしそうだった少女の顔」――鮮烈な29年前の記憶

 集会では、徳田靖之弁護士に続き、再審弁護団主任弁護人の岩田務弁護士が第2次再審請求の新証拠と第2次再審請求の課題について報告した。

 新証拠は、福岡県内に住む男性Kさん(72歳)が、「事件当日の1992年2月20日午前11時ごろ、飯塚市内の八木山バイパスを走行中、後部座席に小学生の女児2人を載せたワンボックスタイプの軽自動車を目撃した」という証言だ。

 その現場は、女児2人が行方不明になった場所に近接した場所。Kさんが弁護士に行なった陳述によると、問題の軽自動車は制限を下回る時速40キロ以下でノロノロ運転していた。その後ろについてイライラしていたKさんは、登坂車線で軽自動車を追い越す際、「こんな迷惑な運転をするのはどんな奴か」と思って運転席を見た。すると、「自分より少し若いくらい(30~40歳)の色白で坊主頭、細身の男性」が運転しており、後部座席には「オカッパ頭でランドセルを背負った女の子」が乗っていた。また、後部座席には「もう1人、女の子が横になっていて、その横にもランドセルがあった」――。

 しかし、Kさんはなぜ、そのような30年近くも前の古い記憶をはっきり覚えていたのか。そしてなぜ、今ごろになって「証言」することにしたのか。当然、検察側は突っ込んでくる。これについて岩田弁護士は、①記銘②保持③想起――の3点から説明した。

①〈記銘〉=なぜ記憶に残ったか。理由は、非常に強い印象を受けた出来事であったこと。後部座席に乗っていた女の子は「うらめしそうな」「うらさびしそうな」「今にも泣きだしそうな」表情をしていた。その異常な表情とともに、平日昼前の時間帯にランドセルを背負った子どもが車に乗っているのを不審に感じ、「誘拐ではないか」という思いを抱いた。さらにその夜、「飯塚市内で少女2人が行方不明」というニュースが流れ、「自分が見たのは行方不明の少女たちではないか」と思い、翌朝110番通報して目撃内容を伝えた

②〈保持〉=なぜ記憶を保ち続けたか。110番通報の1週間後、刑事が来て事情聴取を受け、目撃内容を詳細に説明した。ところが、刑事はメモをしただけで供述調書は取らず、その後何の連絡もしてこなかった。しかし、自分が目撃したのは被害少女と真犯人だと確信し、3年後の第1回公判を傍聴して直接確認した。すると、被告人は自分が目撃したのと全くの別人で驚いた。ただ、「DNA型鑑定が一致した」という検察官の冒頭陳述を聞き、自分が目撃した車は事件に関係がなかったのか、と思い直した。

③〈想起〉=なぜ今回、その目撃を思い出したのか。その後も事件について関心を持ち続けていた。2019年、『西日本新聞』が飯塚事件に関する特集記事を連載した。その中に、「DNA型鑑定が崩れた」という記事があり、「それなら、やはり自分が見たのは犯人だったに違いない」と思い、『西日本新聞』に連絡した。それが記事になり、徳田弁護から連絡があって、新証拠となる詳細な陳述書が作成された。その中で、弁護士にこう訴えた――「あの女の子の恨めしそうな表情が28年間、私を離してくれなかった」。


●第2次再審請求で問い直される「T供述」の信用性

 岩田弁護士は「Kさんが目撃したのが犯人であれば急転直下、真犯人の存在とともに久間さんの無実もはっきりする」と述べ、再審請求でK証言の果たす役割を解説した。

 K証言は、第1次再審請求の地裁決定がほぼ唯一の「証拠」とした「T供述」と真っ向から対立する。事件の2週間余り後、「不審なワゴン車を見た」と供述したT証言と、事件翌朝、「少女2人が乗った軽自動車を見た」と通報したK証言。2つの証言の信用性は表裏一体であり、K証言の信用性が強まれば、T供述の信用性は弱まる。

 しかも、T供述は犯行(被害少女)を直接目撃したものではなく、間接証拠に過ぎない。しかし、K証言は「被害少女2人を目撃した」というもので、直接証拠となる。

 この重要な手掛かりとなる目撃通報を受けた福岡県警は、直ちに捜査員を出して供述調書を取るべきなのに、1週間後に刑事が来てメモしただけで放置した。

 その一方、警察は久間さんに対する見込み捜査に走り、「久間=犯人」に合致する証拠集めに躍起になった。そうして作られたのが、「ワゴン車の詳しすぎる特徴」をはじめ、捜査員に誘導された痕跡が顕著なT供述だった。

 岩田弁護士は「第2次再審請求では、T供述の信用性が攻防の中心になる。全部目撃するのは不可能なほど膨大な情報を『目撃した』とするT供述を、裁判官は『誘導はなく、信用できる」と評価した。これをKさんの目撃証言を中心に、いろんな方向から崩していく。それが第2次再審請求の課題です」と報告を締めくくった。


●「久間三千年は無実です」――妻の悲痛なメッセージ

 岩田弁護士の報告に続き、再審請求人である久間さんの妻が集会に寄せた次のようなメッセージが紹介された。

 「久間三千年は無実です。私たち家族の幸せは、平凡な生活の中にあり、夫の優しさ思いやりは、日々の生活の中に満ちあふれていました。夫は一方的に犯人扱いされ逮捕、起訴され裁判にかけられました夫は終始一貫して無実を訴え続けてきました
 私たち家族は、夫を疑ったこともなく、理不尽な仕打ちを受けながらも夫が生かされていることだけを、心のよりどころとして、耐え続けてきました。突然の死刑執行に目の前が真っ暗になり何も考えられなく、途方に暮れました。
 無実を訴え続ける夫に殺人の汚名を着せて、命まで奪う国の法律があるとは、思ってもみませんでした。
 無実を訴え続け命まで奪われた夫の無念を晴らし名誉を回復するために再審請求をしましたが、最高裁での特別抗告も棄却されました。
 令和3年7月9日に、第2次再審請求をしました。
 どうしてなのでしょうか。終始一貫して無実を訴えている者の再審の審理は、無理なのでしょうか。すぐにでも裁判を受ける権利は平等にあるべきです。
 無茶なことを言っているのではなく、裁判が間違っているからやり直して欲しいと願っているだけです。公平な権利さえも与えられないのでしょうか。
 裁判所において、刑事裁判の目的は、「無罪の発見である」、被告人の人権保障にある。
 「百人の真犯人を逃がしても一人の無辜(むこ)を罰してはならない」とする考え方。
 刑事裁判は、憲法に保障されている人権を守るためにあると、ある書籍に書いてありました。このことを原点として裁判に臨んでいる裁判官もいらっしゃいます。
 検察官の職務についても「公益の代表者」と義務づけ、真相究明と同時に被告人の後見的役割を担う、とあり、法的用語や条文など解りにくいところは多いのですが、再審を願っているだけなのです。
 どうか、皆様方のお力添えを宜しくお願い致します。いつ、どんな時でも一人の人間が公平公正な裁きを受けられることを心から望んでいます。
 令和3年9月4日」


●「久間さんの無念を晴らす」――桜井昌司さんの連帯アピール

 続いて、布川事件冤罪被害者桜井昌司さんが連帯のアピールを行なった 「話を聞くたび、ひどい事件だと思います。東の足利、西の飯塚と言われ、DNA型鑑定で有罪にされた。しかし、久間さんは死刑が執行された何という国家だろうと思う。警察はなぜK証人にきちんと聴取しなかったのか。別の事件で警察は久間さんを疑っていたそうで、警察はひたすら有罪証拠をかき集めた。布川でも同じことがありました。

 T供述を検証した八丁峠の映像を見て思いました。現場は九十九折の山道で、道路の左側には溝があり、脱輪するかもしれない。そんな場所で、対向車がダブルタイヤだったなんてわかりっこない。こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか

 日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件東電事件)、東住吉事件だれもその責任を追及しない

 再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です

 桜井さんは1967年に起きた布川事件で杉山卓男さん(故人)とともに無期懲役刑が確定したが、2011年に再審無罪をかちとった。8月27日、この冤罪の責任を問う国家賠償訴訟の控訴審で勝利し、国・県は上告できず9月10日、勝訴が確定した。桜井さんは13日に会見し、「54年間ずっと背負っていた冤罪の重荷を下ろすことができた」と話した。

 だが、桜井さんの闘いは終わらない。国賠訴訟の一審勝訴後、直腸がんが見つかり、食事療法でがんと闘っている。そうして、冤罪と闘う全国の「獄友」の雪冤のために東奔西走する久間さんの無念を晴らす。それも、桜井さんの大きな目標の1つだ。(了)

Last modified on 2021-09-15 11:00:47
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●《大阪維新「ファクトチェッカー」が一般市民の事実に基づく行政批判を吊るし上げ!「まず吉村のイソジンをチェックしろ」と非難殺到》

2021年03月16日 00時00分25秒 | Weblog

[※サンデーモーニング(2017年10月1日)(三「ト」物語)↑]


(2021年02月28日[日])
野尻民夫氏による、リテラの記事【大阪維新「ファクトチェッカー」が一般市民の事実に基づく行政批判を吊るし上げ!「まず吉村のイソジンをチェックしろ」と非難殺到】(https://lite-ra.com/2021/02/post-5810.html)。

 《大阪維新の会が鳴り物入りではじめた「ファクトチェッカーが、案の定、炎上している。…内容は〈新型コロナウイルス関連 大阪市内における濃厚接触者に対しての対応について〉とし、2670リツイートされたある投稿を取り上げたのだが、これが何から何まで酷いものだったのだ》。

 《一般市民の事実に基づく行政批判を吊るし上げ》、まともな公党がやることか? (適菜収さん)《独立した第三者ではなく特定の政党がファクトチェックを始めるというのも異常極まりない》。
 ドロナワと言おうか、《盗人猛々しい》《冗談》《異常極まりない》《茶番》というべきか ――― いずれ静かに消えゆく“ファクトチェック”byお維 ⇨ 組織的不正なリコールに《おおっぴらに「賛同」を表明し「応援してます」などとエールを送っていた》のはファクトか、デマか? 《数え切れないほどの嘘やゴマカシ…「ファクトチェック」で一般市民を吊るし上げる行為を即刻取りやめ、これまでの吉村知事自身の発言をこそ自己検証し、市民に伝えるべきだ》、同感。

   『●リコール対象はコチラなのでは? 大阪市廃止「ト」構想の《関連経費
      として投入された公金は100億円を超える》、さらに公明党と密約
   『●「広域行政一元化」なんて言い始めた《大阪の3バカが活動拠点を
       国政に移せば、日本は目も当てられなくなるだろう》(適菜収さん)
   『●《橋下徹…「万博が実現したのは松井さんの政治力。安倍さんの
     おちょこに酒をついで『(万博は)必要ですよね総理』と口説いた」》

   『●お維大阪「ト」政による医療福祉の削減、大阪市廃止「ト」構想に
      かまけてCOVID19対策を放置…リコール対象はお維だったのでは?
   『●「2,912,628票」「3,661,371票」、ホントに小池「ト」知事でよかった
      の? COVID19禍の年末年始も弱者の支援や相談に応じていたのは誰?
   『●《医療や保健所を削減…ろくに対策もせず都構想住民投票を強行…
     つまり維新による人災》…お維支持者の皆さんは沈黙? お優しいことだ
   『●《吉村洋文…小池百合子…鈴木直道…菅義偉…安倍晋三…「最も評価
     できない政治家」…なら理解できるが、やはり日本は完全に壊れて…》
   『●《愛知県で民主主義の根幹を揺るがす事態が明らかになった。知事の
      リコールを求めた署名の八割余に無効》…リコールされるべきは?
   『●扇動者なりの責任を ――― デタラメで組織的不正な《リコールを後押し 
           しながら不正発覚にだんまりの百田尚樹、有本香、吉村知事》
   『●《おおっぴらに「賛同」を表明し「応援してます」などとエールを
     送っていた》…(組織的不正無しでの)真にリコールされるべきはお維
   『●泥縄、《茶番》――― いずれ静かに消えゆく〝ファクトチェック〟
      by お維 ⇨ 組織的不正なリコールの件はファクトか、デマか?
    「立岩陽一郎さんや南彰記者、上西充子さんには、是非、お維の自称
     《公式ファクトチェッカー》のファクトチェックをお願いしたい」
    《これまで散々社会にデマを垂れ流してきた集団
     「ファクトチェック」を行うという。盗人猛々しいというか、
     なんの冗談なのか大阪維新代表の吉村洋文はこれについて「…」
     「組織として対応していこうという判断」と説明。独立した
     第三者ではなく特定の政党がファクトチェックを始める
     というのも異常極まりないが…》

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https://lite-ra.com/2021/02/post-5810.html

大阪維新「ファクトチェッカー」が一般市民の事実に基づく行政批判を吊るし上げ!「まず吉村のイソジンをチェックしろ」と非難殺到
2021.02.28 02:32

     (ファクトチェッカー【公式】大阪維新の会より)

 大阪維新の会が鳴り物入りではじめた「ファクトチェッカーが、案の定、炎上している。

 はじまりは2月17日、大阪維新の会の公式Twitterアカウントが〈我が党では、昨今の深刻化するデマ情報の氾濫を受け、住民の皆様に正しい情報を知っていただけるよう情報の真偽を客観的事実をもとに調査し、事実を発信していく公式ファクトチェッカーを開設しました〉と告知したこと。これまで公党でありながらさんざんデマを垂れ流してきた維新が何を言うかという話だが、無論、このときからSNS上ではこんなツッコミが殺到していた。

まず自分たちへのチェックをせんとな
〈昨年春頃、吉村知事が言われていた「コロナの弱点見えてきた」について調査を〉
大阪市廃止の住民投票なのに大阪市はなくなりませんと喧伝されていたファクトチェックお願いします〉
イソジンと愛知県のリコールについてお願いいたします〉
〈イソジンのファクトチェックを第一にお願いします。その次はカッパのファクトチェックをお願いします〉

 だが、こうしたツッコミもどこ吹く風で、「ファクトチェッカー【公式】大阪維新の会」のアカウントは26日に〈第1弾のファクトチェック〉を投稿。内容は〈新型コロナウイルス関連 大阪市内における濃厚接触者に対しての対応について〉とし、2670リツイートされたある投稿を取り上げたのだが、これが何から何まで酷いものだったのだ。

 まず、今回維新が取り上げたツイートは、濃厚接触者として自宅隔離をしていたという一般のTwitterユーザーの、こんな投稿だった。

〈今日で濃厚接触者の私は自宅隔離が終了します。
この間、PCR検査結果を知らせてくれた時の検査調整センターからの連絡(2/3)のみ。
市からの食料支援やその他の手続き情報も無し。
大阪市の保健所からはついに一度も連絡無し
正に放置状態
大阪市終わってる〉

 このツイートに対し、維新は〈調査結果〉と称し、5つのポイントに分けて記述しているのだが、たとえば〈PCR検査結果を知らせてくれた時の検査調整センターからの連絡(2/3)のみ〉〈大阪市の保健所からはついに一度も連絡無し〉という部分に対しての〈調査結果〉とやらは、こんなものだった。

〈大阪市では濃厚接触者への健康観察について新型コロナウイルス感染症の流行当初は保健所から毎日電話連絡にて健康状態の聞き取りを行っていた。〉
〈しかしながら感染者数の爆発的増加に伴い、保健所等の業務量が膨大化し、業務の優先順位を検討した結果、保健所等が濃厚接触者に対して積極的に健康状態を聞き取る方式から、ご本人が異変を感じた際に保健所等に申し出て頂く受動型に切り替える判断を、大阪府において12月15日に行っている。〉


■〈市からの食料支援やその他の手続き情報も無し〉という投稿も事実だったのに…

 くどくどと御託を並べているが、維新が主張しているのは「最初は濃厚接触者の健康観察中に聞き取りの電話を毎日していたが、感染者が増えてそれができなくなり、保健所などが電話で聞き取る方式ではなく本人に申告してもらう方式にした」ということであって、元のツイート主が「連絡が一度もなかった」というのは「事実」だということになる。

 しかも、この〈調査結果〉を読むと、健康観察に入る前に行政側が「自己申告してくださいね、こちらから電話はしませんよ」ということをしっかり説明ていたのか、そちらのほうが気になるが、その問題については何も触れず、〈1月8日に厚生労働省からも(中略)業務負担の軽減を図るよう各自治体宛に通達されている〉と述べているだけ。行政側の怠慢が疑われるのにそれには目を向けず、「厚労省からもお墨付きを得ている」と主張するだけなのだ。

 だが、さらに酷いのが、〈市からの食料支援やその他の手続き情報も無し〉という部分への〈調査結果〉だ。

〈大阪市では濃厚接触者への外出自粛を要請しているが、日常的な買い物での外出は不要不急に当たらず、健康状態も無症状であることが健康観察の前提であるため食糧支援等は行っていない。〉
〈他都市においても大阪市と比較的人口規模が近く感染者数の多い横浜市、名古屋市、京都市、神戸市、福岡市、札幌市について濃厚接触者への支援の状況を調査したが、いずれも14日間の健康観察とできる限りの自宅待機をお願いしているが、濃厚接触者は自宅療養者ではないため食糧支援等は行っていない旨の回答があった。〉

 これも「濃厚接触者の健康観察中の人には食糧支援をしていない」という話で、「市からの食料支援がなかった」という元のツイートは「事実」であるわけだが、〈調査結果〉などと称して「同じ規模の他の市もやっていない!」とがなり立てているのだ。

 つまり、これを「ファクトチェック」だと言うのならば、元ツイート主は何も虚偽やデマを述べてはおらず事実を書き綴っていただけで、すべてファクトだということになるのだ。

 というよりも、「ファクトチェック」などと言いながら維新がやっていることは、行政サービスに対して疑義を呈する一般市民に対し、ていねいな説明や情報を周知徹底しなかった行政の不備・怠慢を無視して「国も認めていることだ」「ほかの市もやっていない」と自己正当化し、開き直っているだけなのだ。


■「非党派性」というファクトチェックの国際原則を無視する維新の暴走

 いや、さらに言えば、為政者・公党が一般市民のツイートを「ファクトチェック」などと言って取り上げるという行為によって、あたかも「デマ」が流されているかのような印象を一方的に与え、一般市民を「吊し上げ」しているのだこれは公党による一般市民への「攻撃」であり、さらには維新信者による攻撃をも煽りかねない、恐ろしいものだ

 当然ながら、この「ファクトチェック」と称した維新の一般市民への攻撃行為に対しては、猛烈なツッコミが殺到している。

〈どこがファクトチェックやねん〉
書いてあることは全部ファクトでは?何か問題が?〉
〈ファクトチェックの意味分かってやってる?〉
〈大阪維新の会は、市政を批判したいち市民を晒して攻撃することを「ファクトチェック」と呼ぶんですね〉
〈この「ファクトチェック」こそが誤認を与え撹乱して一般人を脅すという、チェックされるべきものに思えます〉
〈・イソジンデマについて ・雨合羽でコロナを防げるかについて ・大阪ワクチンについてなど、維新が垂れ流した様々なデマについてファクトチェックする方が先だろう ええ加減にせえよ〉

 そもそも、公党は「ファクトチェック」をおこなえる立場にはない。実際、国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)は2016年9月に「Code of Principles」(ファクトチェック綱領)を制定しており、その5つの原則のひとつとして「非党派性・公正性」を掲げている(NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」HPより)。また、ファクトチェック・イニシアティブの楊井人文事務局長も「大阪維新の会は政治団体であり、非党派性・公正性の原則から外れる」「ツイートの内容が事実かどうかをレーティング(真偽の判定)せず、あたかも誤情報だという印象を与えている」と指摘をおこなっている(朝日新聞デジタル27日付)。

 つまり、維新がやっていることは「ファクトチェック」などと呼べるものでもない上、市民の正当な批判を「デマが流されている」という印象操作するという、悪質極まりない行為なのだ。

 しかし、これこそが維新、そして吉村洋文・大阪府知事の狙いなのだ。実際、このデタラメにも程がある「ファクトチェック」について、吉村知事はその狙いを17日の会見でこう語っていた。

「ネット上のデマが出回る傾向が強い。特に“維新憎し”でいろんなデマが匿名で出回る。それがリツイートされたり、拡散されて、あたかも本当かのように情報が出回ってしまう。これはよくないと思う」
「“維新憎し”のデマに個別に僕自身が反論するのも大変なので、大阪維新の会として対応しようと。そのための組織を内部で立ち上げて、誰とは言わないがファクトチェックを担当する議員を置いて、その議員の方で事実をファクトチェックのアカウントから発信していきたい」


■正当な批判を「維新憎しのデマ」と決めつけてきた吉村洋文知事の体質がモロに

 今回、維新が「ファクトチェック」したツイートを見ればよくわかるが、それは一般市民が行政サービスの不備を訴えたものでしかない。だが、それを吉村知事は「維新憎しのデマ」などと呼ぶのである。

 しかし、吉村知事はこれまでも正当な市民からの批判を「維新アンチのデマ」などと呼び、攻撃してきた

 たとえば、昨年11月に新規感染者が急増し重症患者用の病床切迫が問題になっていた際、出演した『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)で「どこをどう命を救っていくのかという、そういった選別のような、これは本質的な議論をしなきゃいけない状況」「一定の本当にもう超高齢であったりご家族の同意が得られるような場合については、人工呼吸とかそういうのじゃなくて、これはもう若い人にそれをバトンタッチするというような判断というのが必要になってくることがあるかもしれない」と発言し、「命の選別をおこなう可能性に踏み込んだ。

 これには当然、ネット上で批判が高まったが、会見でこの問題を問われると、「一部で何か『命の選別だ』みたいなこと言ってるアンチの人たちがいますけど、それは事実とは違います」などと反論。“アンチによるデマ”だと言い張ったのだ。

 また、昨年8月に会見で「ポビドンヨードが新型コロナに効く」とぶち上げた際、この会見を生中継した『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)に出演していたテリー伊藤が「じつはこの話をですね、1時間半ぐらい前に知ったんですね」「薬メーカーの株価もかえるなっていうふうに、一瞬、頭も入ったんですけど、それを止めた」「それちょっとインサイダー取引みたいな感じで、僕の立場でそれやると申し訳ないなと思ってやらなかったんですけども」と舞台裏を語ったことを受け、ネット上ではインサイダー取引の可能性を指摘する声があがったが、このときも吉村知事は会見で「維新が嫌いなのはわかるんですけど」などと、批判をあたかも”反維新“の政治的な攻撃であるかのように矮小化した

 つまり、吉村知事は、自分にとって都合の悪いことをすべて“維新憎しのアンチのデマ”だとこれまでも攻撃してきたのだ。この政治家の本質がトランプ前大統領とまったく同じであることがよくわかると同時に、こうした攻撃によって吉村知事は批判を封じ込めてきたのである。

 本サイトでは吉村知事や維新が新型コロナ対応や「都構想」住民投票でついてきた数え切れないほどの嘘やゴマカシをそのたびに取り上げ、騙しの手口を批判してきたが、ネット上でもツッコまれているように、「ファクトチェック」で一般市民を吊るし上げる行為を即刻取りやめ、これまでの吉村知事自身の発言をこそ自己検証し、市民に伝えるべきだ

野尻民夫
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●金子勝さん《抜本的なコロナ対策こそ、最大の経済対策なのだ》…検査検査検査・追跡・保護と社会的検査による無症状感染者の炙り出し

2020年10月25日 00時00分09秒 | Weblog

[※ 【1都3県の新規感染者数の推移】(東京新聞 2020年7月17日)↑]



日刊ゲンダイのコラム【金子勝の「天下の逆襲」/菅首相にできるか?悪循環から脱する真の経済活動再開とは】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/279282)。
日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/米国務長官ルール無視の横田基地入国】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202010080000031.html)。

 《甘っちょろいコロナ対策を続けていれば、1年どころか2年はこうした状況が続くことになる。菅政権はPCR検査体制を拡充せず、経済活動優先でGo To キャンペーンの旗を振る。風邪コロナと見くびり、間もなく収束すると信じたい国民は少なくない。そうした風潮がコロナ対策を講じない菅政権や蜜月関係の維新を支持する背景になっているのではないか。》
 《そこで気になるのがポンペオ長官の来日がなにごともなく羽田ではなく横田基地だったということだ。17年11月。トランプは大統領として初来日を果たすが横田基地から入った。まさに米国の領地に行くかのごとく。 ★日米関係者はそれまで大統領の訪日には羽田を使うことにしていた。独立国への礼儀だからだそれをトランプは壊し、今では国務長官までも堂々と横田基地から入国する。だが、今はコロナ禍だ。我が国の検疫と安全確保のルールなどは一切無視された》。

 感染者数が高止まりの中、気温も下がっていき、収束なく第三波に突入か? 4つの「GoTo」を強行する無能政権。検査検査検査・追跡・保護の徹底もなく無為無策無能。このままでは、経済も医療も崩壊しかねない。

   『●閉会中審査に出席することもなく、国会を開くこともないアベ様は
     自ら「GoTo」に積極的にご参加…#GoToJail、#GoTo刑務所の臭い飯

 困っている人を助ける気なんて一切無し…何のための4つの「GoTo」なのか? 政治家や関係者の懐が潤うことしか考えていないのでは? 〝評判が良い〟らしい《Go To イート》…内実はデタラメな設計。杜撰な制度設計。業者と癒着したりしていないでしょうね?
 東京新聞の記事【「Go To イートは本末転倒」手数料に苦しむ飲食店 恩恵は予約サイトだけ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/59064)によると、《新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた飲食業界を支援する「Go To イート」が10月1日から始まった。このうち消費者が次回の食事に使えるポイントの付与について、参加を見送る飲食店が出ている。ポイントは民間の予約サイトを通じて店を予約した消費者にしか付与されず、店側が同サイトに登録するには重い手数料負担が生じるためだ。(桐山純平、森本智之、大島宏一郎)…◆薄利の飲食業に大きな負担、参加やめる店も …しかも、今回の事業はコロナで苦しむ飲食店救済が目的。予約サイトを利するような制度設計に、野党議員からは「予約サイトは国から委託費をもらっているのに、飲食店からも手数料を取るのは問題ではないか」と批判があがる。15サイトへの委託費は予算ベースで61億円にのぼる》。
 東京新聞の【社説/GoTo事業 目的に合っているのか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/60197?rct=editorial)によると、《今月から始まった「Go To イート」は、食事券の補助やオンライン予約を通じたポイント付与により外食産業を支援するのが目的だ。ポイント付与では、参加する飲食店が国の委託を受けた予約サイトに登録する仕組みになっている。だが多くの予約サイトは飲食店に手数料を求めており、負担の重さから登録を敬遠せざるを得ないケースが出ている。サイト側は国から委託料も得ている。外食産業の中で今、最も支援が必要なのは規模の小さな飲食店のはずだ。この中には予約サイトと縁遠かった店も多いだろう。しかし現行の仕組みでは、元々予約を通じてサイトと関係があり手数料も負担できる中規模以上の店や、予約サイト自体への支援に偏り過ぎているのではないか事業の効果が隅々まで行き届いているかどうか、実態調査を早急に行うべきだ。…観光や飲食店救済には国民的合意が図られている。だが公平さを欠いたり行き過ぎがあれば看過するわけにはいかない。制度設計を再点検し、必要であれば大幅修正もためらうべきではない》。

 「ウィズ・コロナ」…意味不明だと思う。金子勝さんだったか山口二郎さんだったか、Withoutコロナだと。
 東京新聞のコラム【私説・論説室から/「ウィズ・コロナ」への本音】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/58707?rct=opinion)によると、《抑え込んでいた気持ちを心からそっと取り出されたような感覚になった。シンガー・ソングライターのあいみょんさんが民放の報道番組で、コロナ禍を題材にした歌は書こうとは思わないと話していた。「この状況で出てきた言葉には否定的だったりする。一番苦手なのは『ウィズ・コロナ』声に出したくないし、広がってほしくない」と言う。もちろん新しい日常を受け入れる必要性には言及しながらも、そう考える理由はシンプルで素直なものだった。「みんなと近づきたいし、会いたいし、ライブがしたい。ウィズ・コロナとか言わんとってという心はずっとあるんです」…(鈴木穣)》。

   『●《自助》大好きオジサン・元最低の官房長官と学商は〝ベーシック
     インカム7万円〟を「トリクルダウン」だとでも思っているのでは?

 《コロナ禍でとるべき対策というなら ◎富裕層課税 ◎中間層(所得税)減税 ◎低所得層給付》。どういう社会を作るのか? どんなビジョンを描くのか? 《問題は税の使い道。なぜ、それが政策として打ち出されないのか、負担はするがサービスがいきわたり「不安ゼロ」の社会を作るのが目標であるべきではないか》。
 デモクラシータイムスの映像資料【再び!【金子勝×井手英策の言いたい放題】野党共闘と消費減税 20200927】(https://www.youtube.com/watch?v=1mgsT6d_Qfo&t=15s)によると、《金子勝と井手英策。「ヒール」となりつつあるお二人のますますボルテージの上がる対談です。求めるべきはベーシックサービス! 消費税の減税ではない、と野党に活を入れる話をイチからやります》。


【再び!【金子勝×井手英策の言いたい放題】野党共闘と消費減税 20200927】
https://www.youtube.com/watch?v=1mgsT6d_Qfo&t=15s


 金子勝さんのコラムの結び、《経済活動を真に再開する道は何かウィズコロナだの新たな日常だのと言っているようではダメだ。無症状者を含む検査、隔離、追跡を徹底してエピセンター(感染集積地)をつくらないようにし、エッセンシャルワーカーに定期検査を実施してコロナを封じ込めるしかない抜本的なコロナ対策こそ、最大の経済対策なのだ》。これ以外何をやることがあるのでしょうか? 《介護や保育等の接触を避けられない従事者に対しては、「社会的検査」を実施》(https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/003/005/006/011/d00187389.html)することも非常に大事。

   『●【金子勝の「天下の逆襲」/野党は「消費減税で戦う」ではなく
      ニューディール議論を】…最悪な税制なんかを導入したが故に…
    《野党の動きも問題だ。徹底したコロナ対策こそが最大の経済対策になる
     全員検査で陽性者を隔離し、治療薬と治療方法を確立すれば経済は
     持ち直す。野党はそこを第一目標にすべきだ》

   『●《世界標準》…《「誰でも いつでも 何度でも」検査できる
     「世田谷モデル」として早期発見や治療につなげ、感染の広がりを抑える狙い》
   『●《専門家会議が当初「PCR検査を増やすべきはない」という方針…
      が過ちを生んだ…検査拡大の議論が出てこない》(保坂展人さん)
   『●《住民の命を守るのが、自治体の責務である》…世田谷モデル《…周辺
      自治体、もちろん東京から日本全体に広がっていかなければならない》
    《世界標準》な世田谷モデル…《「誰でも いつでも 何度でも
     検査できる「世田谷モデル」として早期発見や治療につなげ、感染の
     広がりを抑える狙いだ》
    《保坂展人区長…「最大の経済対策は誰でも、いつでも、何度でも
     PCR検査をできる体制づくりだ。問題提起しながら走り出していく」》

   『●《「(感染者を)見つけることに意味があるんだろうか」と疑義》派、
      《大規模検査不要論》派の意味不明さに《ほとほとウンザリ》する…
    「《世界標準》な「世田谷モデル」。《住民の命を守るのが、
     自治体の責務である》という保坂展人区長の「世田谷モデル」と
     無為無策無能なアベ様や小池「ト」知事、お維の皆さんの放置モデル…。
     《住民の安心感にもつながる最大の経済対策》、それは、
     検査検査検査…・追跡・保護でしか達成し得ない」

 軍事費なんて削っちまえ。軍拡も《継承》。
 西日本新聞の【社説/増える防衛費 コロナ禍でも聖域なのか】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/650057/)によると、《防衛省は米軍再編関連経費などを含め総額5兆4898億円を計上した。防衛費が過去最大を更新した20年度当初予算に比べ3・3%の増加となる。菅義偉首相は安全保障政策について安倍晋三前首相の路線を継承する方針だ。第2次安倍政権下で防衛費の当初予算は8年連続で増えてきた菅政権でも歯止めがかかりそうにない》。
 東京新聞の【社説/防衛費増額要求 「聖域化」は許されない】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/59166?rct=editorial)/《菅政権でも防衛費の膨張は続くのか。七年連続で過去最大となった防衛省概算要求。違憲とされる「敵基地攻撃能力の保有」につながる装備導入も盛り込まれており、妥当性の厳しい検証が必要だ。防衛省の二〇二一年度予算概算要求は前年度当初比3・3%増の五兆四千八百九十八億円。新たな領域への対応や安全保障環境の変化などを要求の根拠としている。日本の防衛費は冷戦終結後、減少傾向が続いていたが、安倍晋三前首相が政権復帰後に編成した一三年度に増額に転じ、当初予算ベースでは二〇年度まで八年連続で増え続けている》。

   『●「どっからどうもってきて出すのか」…軍事費を削り、
       弱者救済や災害復旧、防災にこそ血税を使って下さい

 ところで、大統領がコロナ感染のアメリカ…無為無策な大統領。一方、ニッポン。主権は何処? …《米国の領地に行くかのごとく》。恥ずかしい。

   『●巨大新基地建設による辺野古破壊…
     プーチン氏に《主権を行使できていない実例》と指摘されてしまう始末
   『●《県民の命だけでなく経済への「基地リスク」が顕在化した。やがて
       「基地は経済発展の最大の阻害要因」という共通認識にもつながる》
   『●番犬様が《震源地》化…《ところで外務省沖縄事務所と沖縄防衛局は
     何をしているのだろう》、そして、アベ様や最低の官房長官らは何を?
   『●《思いやり予算日本要請…必死に米軍を引き留めつつ、沖縄に負担を
     押し付け続ける日本政府の手法はかつての植民地主義をほうふつさせる》

 米大統領の理解を越えた愚かしさ…。それを《喝采する支持者》。
 東京新聞のコラム【筆洗/昭和を代表する名優、初代中村吉右衛門は、舞台を降りると口が…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/60743?rct=hissen)によると、《▼病をいかに軽く見せるか。そこに政治の極意を見ている人もいる。新型コロナウイルスへの感染が明らかになったばかりのトランプ大統領が、もう退院した▼大国のリーダーとして、ウイルス感染に関する危機管理について反省の思いもさぞあろうと思えば、違っていたウイルスを「恐れるな」などと述べ、コロナや病状を軽く見せる言動を繰り返している▼回復が順調なら喜ばしい。ただ重症者に使う薬を投与されたそうだ。周囲に感染者が増えていて自分の陰性の診断が出る前にもかかわらず、活動し始めた▼選挙のための動きと見透かされそうなのに、大喜びで喝采する支持者がいる。ウイルスは思うより軽いと信じる米国民が増えないか。大いに気掛かりだ。人気回復の極意かもしれないが、大統領の権威が、はりぼてに近づこう》。

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/279282

金子勝 立教大学大学院特任教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。

金子勝の「天下の逆襲」
菅首相にできるか?悪循環から脱する真の経済活動再開とは
2020/09/30 06:00 今だけ無料

     (菅政権はPCR検査体制の拡充せずに”Go To”の旗を振る
      (写真=韓国ソウルのPCR検査)/(C)NNA/共同通信イメージズ)

 ゴールの見えない経済活動の自粛にみなイラ立っている。気軽に出歩くこともできず、家にこもってばかりではツラくなるのは当たり前だ。

 東京商工リサーチによると、新型コロナウイルス関連の経営破綻は519件(25日時点)。1~8月に休廃業や解散した企業は3・5万件を超え、年内に5万件に達すると予想される。厚労省によれば、コロナ禍による解雇や雇い止めが6万件を突破したという。

 甘っちょろいコロナ対策を続けていれば、1年どころか2年はこうした状況が続くことになる。菅政権はPCR検査体制を拡充せず、経済活動優先でGo To キャンペーンの旗を振る。風邪コロナと見くびり、間もなく収束すると信じたい国民は少なくない。そうした風潮がコロナ対策を講じない菅政権や蜜月関係の維新を支持する背景になっているのではないか。

 思い出してほしい。感染が本格化した春、安倍政権は東京五輪開催にしがみつき、検査数を抑えて意図的に感染者数を少なく見せたそれが大きなつまずきとなり、一斉休校、アベノマスク、持続化給付金と失策を重ね、Go Toに至る

 そんなアベ政治を菅首相は継承。IOCのバッハ会長は「ワクチンなしでも安全に開催できる」と言い出し、五輪強行にカジを切った。海外コンサルを通じ、招致委員会からIOC委員側に多額の現金が渡っていた疑惑はますます濃くなっている。政治的で汚れた東京五輪を無観客でも強行しようと、いまだに検査を制限し続けているように思えてならない。

 東京都では7日を底に、新規感染者がじわじわ増えている。にもかかわらず、10月1日からGo To トラベルに東京が追加。第1波よりもはるかに高い水準で新規感染者が推移する中、経済活動を再開すれば感染は再び広がり、また厳しい自粛生活を余儀なくされる悪循環に陥る。楽観論は時限的な消費減税を主張する野党も同じ。米FRBが収束まで2年を見通しているのとえらい違いだ。

 経済活動を真に再開する道は何かウィズコロナだの新たな日常だのと言っているようではダメだ。無症状者を含む検査、隔離、追跡を徹底してエピセンター(感染集積地)をつくらないようにし、エッセンシャルワーカーに定期検査を実施してコロナを封じ込めるしかない抜本的なコロナ対策こそ、最大の経済対策なのだ
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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202010080000031.html

コラム
政界地獄耳
2020年10月8日7時45分
米国務長官ルール無視の横田基地入国

★米トランプ大統領の新型コロナウイルス感染による入退院などで騒がしい6日未明、米ポンペオ国務長官は横田基地に降り立ち東京で開かれる日、米、豪、印の4カ国外相会合に参加し、中国の脅威に対抗するため各国との連携の強化を確認した。中国をにらみ価値と戦略を共有する国々で結束することで、いわばアジア版NATOをつくろうという考え。大統領選挙前にまとめ上げたい代物といえる。

★ポンペオ長官は当初、日本訪問の後、モンゴルと韓国も訪問する計画だったが、トランプ大統領の入院を受けて2カ国の訪問は取りやめた。ところがワシントンでは米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長をはじめ、ハイテン統合参謀本部副議長やマコンビル陸軍参謀総長、ギルデイ海軍作戦部長、ブラウン空軍参謀総長ら10人以上が、コロナ感染の疑いで自主隔離に入った。そこで気になるのがポンペオ長官の来日がなにごともなく羽田ではなく横田基地だったということだ。17年11月。トランプは大統領として初来日を果たすが横田基地から入った。まさに米国の領地に行くかのごとく

★日米関係者はそれまで大統領の訪日には羽田を使うことにしていた。独立国への礼儀だからだそれをトランプは壊し、今では国務長官までも堂々と横田基地から入国する。だが、今はコロナ禍だ。我が国の検疫と安全確保のルールなどは一切無視された。それを政府は受け入れ未明の基地到着とはいえ、メディアはそれを問題視する風もない外交の世界でこれが米国の2票目の国と笑われるゆえんだ日米首脳にはコロナ対策などなくへのカッパか。(K)※敬称略
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●②福井地裁「高浜仮処分」取消の背景《政府の意向》に従う《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》

2016年03月19日 00時00分04秒 | Weblog


※『●①福井地裁「高浜仮処分」取消の背景…《政府の意向》に従う《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》』からの続き。


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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/177093
http://blogs.yahoo.co.jp/kotyannomama/18326291.html

高浜原発差し止めはヌカ喜び 日本の司法と政治はグルである
2016年3月11日

     (画期的なのは間違いないが…(C)日刊ゲンダイ)

 これを機に脱原発の動きが広がるのか。大津地裁が9日、関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じる仮処分決定を出した一件のことだ。

   「福島原発事故の原因も解明されていない中で、高浜原発の
    再稼働は地震や津波への対策や避難計画にも疑問がある。
    もともと4号機は先月末のトラブルですでに停止しているし、
    関電は高浜原発が動かなくても『電力不足にはならない』
    と言っている。原発がなくてもやっていけることは、ここ数年の
    電力需給を見れば明らかです。今回の仮処分は、福島原発事故の
    教訓を忘れたかのように、原発再稼働に突っ走る政府と
    原子力ムラへの強烈な警告であり、再稼働ありきの方針自体を
    転換しろと政府に迫る決定なのです。電力会社や政府は
    重く受け止める必要があります」(政治学者・五十嵐仁氏)

 決定を受け、関電は10日夜、年明けから営業運転を続けていた3号機を停止させた。運転中の原発が司法判断によって停止したのは初めてで、そういう意味では、たしかに画期的な決定といえる。だが、ヌカ喜びは禁物だ。

 このニュースを伝えた10日の朝日新聞の記事によれば、エネルギー政策を担う経産省のある幹部は「福井地裁のケースと同じ。この先ひっくり返る可能性が高い」と話したという。まるで、地裁の決定など屁のカッパといった態度なのである。聞き捨てならない発言だが、残念ながら、その通りになるのだろう。


人事介入してでも原発を守る

 原子力ムラには、強気を裏付ける“実績”がある。高浜原発に関しては、昨年4月にも、福井地裁の樋口英明裁判長が再稼働差し止めを命じる仮処分を出している。これを不服として関電が異議を申し立てたところ、昨年12月24日に後任の福井地裁・林潤裁判長によって仮処分決定はあっさり取り消された住民側が差し止め請求をしていた大飯原発3、4号機についても請求を却下。それで関電は大手を振って、高浜原発を再稼働させたという経緯がある。

 元裁判官で明大法科大学院教授の瀬木比呂志氏が言う。

   「今回、大津地裁が稼働差し止めを命じた決定は、昨年4月に
    福井地裁の樋口裁判長が出した仮処分決定の内容をさらに
    深化させ、原子力規制委員会の基準自体にも疑問を投げかけた。
    実にまっとうで、勇気ある決定だと思います。司法の役割を
    きちんと果たしたと言える。これまで原発稼働差し止めを
    求める住民側の仮処分申請がことごとく裁判所に
    退けられてきた中で、こうした仮処分決定が積み重なることには
    大きな意味があります。とはいえ、今回も保全異議審で
    別の裁判官が決定を覆すようなことになる可能性は
    否定できません。原発訴訟の今後には注意すべきです」

 原発は、政府が音頭を取って進める国策事業だ。一般国民が国家権力に抗するのは容易なことではない。だから、過去の原発訴訟でも、住民側の権利が認められたことはほとんどなかった

 実は、14年に大飯原発の運転差し止め決定を下したのも福井地裁の樋口裁判長だったが、高浜の差し止め申請の審理が昨年3月11日に終了した直後、裁判所は4月1日付で名古屋家裁に異動させる人事を発動した。高裁ならまだしも、家裁への異動左遷とみられても仕方がない。それでも樋口裁判長は「職務代行辞令」を利用して、異動後も審議を担当し、再稼働を差し止める仮処分を決定した。ただ、異議申し立ての審議に関わることはできなかった


高浜差し止めも辺野古和解も単なるガス抜き

   「原子力ムラに歯向かうとこうなるという見せしめでしょう。
    そういう懲罰人事を見ていれば、ますます裁判官は政府に
    とって不利になる判断を下しづらくなる。それに、実は判事や検事が、
    原発メーカーや電力会社に天下りした例も数多いのです。
    信念を持った裁判官は一握りで、正義や国民の安全より、
    権力の顔色をうかがう方が大事。出世や保身を第一に考える
    裁判官だらけなのが問題です。しかも、上級審になるほど
    ヒラメ裁判官ばかりで、権力に都合のいい判断を下そうとする。
    自民党政権との長年の癒着があるから、最高裁は違憲判決なんて
    絶対に出さない。政権交代しないかぎり、司法と政治の闇にメスを
    入れることはできません」(政治評論家・本澤二郎氏)

 そもそも政府は地裁の運転差し止め決定を尊重する気などサラサラない。菅官房長官は9日の会見で「原子力規制委の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりはない」と宣言

 安倍首相も昨夕の会見で「地元の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の一貫した方針に変わりはありません」と言っていた。

   「要するに、地裁の差し止め決定はガス抜きでしかない。
    国民の間で脱原発を望む声が多いから、選挙への影響を考えて、
    今は差し止め決定を出させておくどうせ異議審や上級審で覆せる
    という権力側の思惑が見え隠れします。残念ながら、この国には
    三権分立なんて存在しないのです。司法と行政がグルになって、
    政権に都合のいい判断を積み上げ、国民の利益は最終的に
    無視される。特権層の側に有利な判断を下すのが上級裁判所の
    仕事になっている。法の下の平等という憲法の理念は踏みにじられ、
    民主主義がないがしろにされているのです。法治国家として、
    こんな恥ずかしいことはありません」(本澤二郎氏=前出)


■司法判断を都合よく使う姑息

 それは、辺野古の問題も同じだ。政府は4日、米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部の和解案を受け入れると表明。メディアは「電撃的和解」などと報じたが、こんなもの、ただの先送りでしかない沖縄の意見を聞く姿勢があるかのように見せる選挙向けの目くらましだ選挙後に再び強権的に移設を推し進めるのは目に見えている

 その証拠に、安倍は和解勧告の受け入れを表明したその場で「辺野古への移設が唯一の選択肢であるとの国の考え方に何ら変わりありません」と断言結論は決まっているのだ。しかも、すぐさま埋め立て承認取り消しを撤回するよう、沖縄県の翁長知事に迫った。話し合いをする気などサラサラない。これのどこが和解なのか。

 さらに怪しいのは、安倍が「司法判断が下された場合には、国も沖縄県もその判断に従う。そして互いに協力して誠実に対応することで合意した」と言ったことだ。

 裁判所は必ず国に有利な判断を下すそれに沖縄は従わなければならない。司法判断をタテに、辺野古移設を強行する魂胆が見てとれる

   「一般論として、統治と支配の根幹に触れるような裁判では、
    権力寄りの判断をする裁判官が多い。本来は個々の裁判官が
    法と良心に従って判断すべきなのですが、残念ながら、
    そういう勇気ある裁判官は少数派なのが現状で、それは、
    この国の司法の構造的な問題でもあります」(瀬木比呂志氏=前出)

 憲法を無視し、他方では司法判断を都合よく使うそういう政権に任せておいていいのかそこが国民の側にも問われている。
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http://lite-ra.com/2016/03/post-2066.html

裁判所は原発ムラの代理人だ! 高浜原発再稼働のために最高裁が選り抜き裁判官を福井地裁に送り込んでいた
【この記事のキーワード】 伊勢崎馨, 原発, 癒着 2016.03.15

 福島第一原発事故から5年。事故当時の東京電力の幹部、勝俣恒久会長、武藤栄副社長、武黒一郎副社長の3人の刑事責任がようやく問われることになった。

 といっても、検察が起訴したわけではない。検察はこの3人について2度に渡り不起訴処分という信じがたい決定を下したが、それに対し検察審査会が2度とも「起訴すべき」との議決をした結果、強制起訴になったのだ。

 今後は裁判で審理されるが、彼らが刑事罰を受けることになるかというと、残念ながらその確率は低いだろう。本サイトでも何度も指摘したように、政府と原子力ムラと裁判所の間には明らかな“癒着”があるからだ。

 それは、この間の高浜原発に関する裁判所の対応を見れば明らかだ。高浜原発については、3月1日、大津地裁(山本善彦裁判長)が3、4号機の運転差し止めの仮処分を命じる決定を下した。3号機は今年1月29日から、そして4号機は2月26日から再稼働していたが、運転中の原発が裁判所命令で停止したのは史上初めてのことだ。

 だが、高浜原発に関しては、これまで裁判所によって再稼働差し止めと容認が繰り返されてきた。まず、昨年4月14日に福井地裁が高浜原発再稼働差し止めの仮処分を決定した。この際、樋口英明裁判長(当時)は想定を超える地震が各地で起こっていることを挙げて、原子力規制委員会の新基準が「合理性を欠く」と政府の原発政策の根本に異を唱えている

 ところが、その画期的な判決を下した樋口裁判長は、その後名古屋家裁に“左遷されてしまう。これは懲罰人事であり、今後原発訴訟に関わらせないための追放人事でもあることは明白だった。

 そして、樋口裁判長の後任として福井地裁に赴任してきたのが林潤裁判長だった。林裁判長は昨年12月24日に高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを覆し、事実上、再稼働を決定。さらに、林裁判長は大飯原発についても周辺住民らが求めていた再稼働差し止めの仮処分の申し立てを却下する決定をした。

 この林裁判長の人事について、今週発売の「週刊現代」(講談社)3月26日・4月2日合併号が露骨すぎる政治的背景を暴露している。

 問題は林裁判長の経歴だ。1997年に任官した林裁判長は最初の赴任地が東京地裁で、2年後に最高裁判所事務総局民事局に異動。その後も宮崎地裁勤務以外、東京・大阪・福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任している。


 「現代」では明治大学政治経済学部の西川伸一教授がその経歴についてこんなコメントをしている。

   「任官して初の赴任地が東京地裁という点で、人事権を
    握っている事務総局から、目をかけてもらっていること
    窺えます。その上、初任明けと呼ばれる2ヶ所目の赴任地が
    事務総局。これは、林裁判官の同期108人の中でも
    6名しかいません。実際、任官から18年で部総括判事の役職に
    就くのもかなり早い出世です」

 この最高裁事務総局というのは、裁判所の管理、運営、人事を仕切る部署で、将来は最高裁判官を狙えるようなエリートが集まるところだという。林裁判長は人事権を握る事務総局から目をかけられ、将来を約束された最高裁長官さえ狙えるようなエリートだったのだ。

 いや、林裁判長だけではない。昨年12月、林裁判長と一緒に高浜原発再稼働を認めた左右陪席の2人の裁判官、中村修輔裁判官と山口敦士裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった

 中村裁判官は一度も遠隔地赴任がなく、東京、横浜、大阪で過ごし、事務総務局総務局付で国会対策などを担当したエリート

 また山口裁判官も大阪高裁や出向で外務省の花形ポジションである国連日本代表部2等書記官の肩書きを持っていたという。

 そんなエリート裁判官たちが高浜原発のある福井に赴任し、原発政策に関わる決定に関与したこれは異例のことだ。「現代」では元裁判官の弁護士がこうコメントしている。

   「本来、福井地裁は名古屋高裁内でも比較的ヒマな裁判所で、
    アブラの乗った裁判官が来るところではない。しかも、
    この3人は東京や大阪など、他の高裁管内からの異動で、
    この人事には、各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が
    反映されていると見るべきです」

 ようするに、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。

 こうした最高裁による露骨な原発推進人事という“意思”の背景にはもちろん、政府の意向がある。前出の元裁判官の現役弁護士はこう語っている。

   「いくら独立が保障されているとはいえ、裁判所も上層部へ
    行けばいくほど政権との接触は増えるため、考え方が政権の
    意向に沿ったものになる。彼ら3名を含め、事務総局に
    勤務経験のある裁判官は、そうした阿吽の呼吸
    最もよく心得た人々なのです」

 いや、政府だけではない。本サイトでも以前、指摘したように、裁判所は電力会社や原子力産業とも直接癒着している。これまで数多くの電力会社と住民との訴訟において、電力会社に有利な決定を下した裁判官や司法関係者が原発企業に天下りするなど、原発利権にどっぷりと浸かっているのだ。

 こうして見れば、原発事故当時の東電幹部たちが公正な裁きを受けることなど、到底期待できないことが分かるだろう。同時に現在“かろうじて”停止している高浜原発に対しても、3月14日、関西電力は仮処分に対し異議と執行停止を求めて大津地裁に申立てた。これで三たび、高浜原発再稼働に関する審議が行われることになるが、予断は許さない状況だ。またぞろ政権の“意向”を受けた裁判所人事が行われ、もしかしたら今回の停止決定を下した山本裁判長が“左遷”されたり審議から外され、別のエリート裁判官が送り込まれる可能性もある

 国民の生命の安全を無視して原発再稼働政策を押し進める安倍政権と、それを後押しする法務省、裁判所に対して、より一層の監視とチェックが必要だ。

(伊勢崎馨)
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●暴走し続ける原子力「ムラ寄生」委員会

2014年06月20日 00時00分10秒 | Weblog


毎日新聞の記事【原子力規制委:川内の次は高浜審査 「基準地震動」了承で】(http://mainichi.jp/select/news/20140522k0000m010032000c.html)と、
日経新聞の記事【規制委員長「われわれの考えで審査」 大飯原発判決巡り』(http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK21024_R20C14A5000000/)。

 「更田(ふけた)豊志委員は「川内原発の審査が整い次第、高浜原発を中心に進めていく」と述べた」「田中俊一委員長は「司法判断について申し上げることはない大飯についてはわれわれの考え方で審査をしていく」と述べた」・・・・・・。狂っています。
 福井地裁の画期的な大飯原発再稼働差し止め判決なんて屁のカッパ。暴走し続ける原子力「ムラ寄生」委員会。3.11東京電力原発人災に対する反省もなく、また元の木阿弥にしたい委員たち。寄生してしか生きていけない委員たち。「規制」など決してしない原子力「ムラ寄生」委員会。

   『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
                 もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・
   『●「上級審では国側が勝つこの国の裁判」
        ・・・・・・今度こそ、福井地裁の名判決を活かしたい

   『●原子力「寄生」委員会の審査に通ったからといって何だというのでしょう?
   『●原子力「ムラ寄生」委員会の机上の空論:
          「大幅に下回」るように計算すれば下回る
   『●「巨大噴火と原発 これでも再稼働するのか」
          『週刊金曜日』(2014年5月30日、993号)


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http://mainichi.jp/select/news/20140522k0000m010032000c.html

原子力規制委:川内の次は高浜審査 「基準地震動」了承で
毎日新聞 2014年05月21日 19時10分

 原子力規制委員会は21日の定例会で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)を、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)に次いで安全審査を進める原発に決めた。審査の最大の焦点だった想定する地震の揺れ「基準地震動」が16日の審査会合で了承されたことを受けた。更田(ふけた)豊志委員は「川内原発の審査が整い次第、高浜原発を中心に進めていく」と述べた。

 規制委は現在、川内原発の審査に人員を集中させ、九電の申請の妥当性を判断する「審査書案」の作成を進めている。規制委は、川内原発の審査書案をまとめた後に高浜原発の審査書案作成を始める予定だが、高浜原発は想定地震の見直しで耐震計算をやり直す必要があるため、関電自身も「早期の再稼働は難しい」と認める。【酒造唯】
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http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK21024_R20C14A5000000/

規制委員長「われわれの考えで審査」 大飯原発判決巡り
2014/5/21 15:39

 大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁判決について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は「司法判断について申し上げることはない。大飯についてはわれわれの考え方で審査をしていく」と述べた。

〔共同〕
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