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●3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 能登半島地震の警告は? 正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?

2024年03月12日 00時00分47秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(20240228[])
10年前、(2014年2月26日)《いま、東電で起きていること、原子力規制委員会の危うい動き》(鈴木耕さん、マガジン9)を思い出す。原子力〝推進〟委員会、原子力〝寄生〟委員会、昔から酷かったが、ここ数年、あまりに酷い。全く「規制」する気のない委員会。委員会そのものに核発電について「適格性がある」かどうかを判断する「適格性がある」のか?
 《能登半島地震は、複数の断層が連動して大きな揺れを起こしたと立石さんはみる一方、柏崎刈羽原発の周辺で断層が連動する事態が十分に検証できていないとし、こう唱える。「現状ではどれほどの揺れや津波が原発を襲うのかは分からない。能登半島地震を機にさらに議論すべきだ」》《◆デスクメモ 想定外」に抵抗感を抱く厳しい想定を検証しないまま、深刻な事態が生じると「想定外」と言い逃れる。そんな印象を持つからだ。甚大な汚染をもたらしうる原発地震に耐えられるか住民は逃げられるか。必要なのは懸念に向き合う姿勢。責任逃れの言い訳は救いにならない。(榊)》(東京新聞)。

   『●原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会(1/2)
   『●鈴木耕さん《一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で
     否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば…》

 渡辺聖子記者による、東京新聞の記事【「何が言いたいのか分からない」敦賀原発2号機の再開審査で規制委を呆れさせた、原電の支離滅裂な説明】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/293775)。《地質データの不適切な書き換えで中断していた日本原子力発電原電敦賀原発2号機(福井県)について、原子力規制委員会は新規制基準に適合するかどうかの審査を再開したが、またも滞り始めた。原電の説明が科学的根拠に乏しく、肝心の断層を巡る議論では自らの主張にほころびが出る事態に陥った。(渡辺聖子)》。

 はぁ? 全く「規制」しない原子力「寄生」委は正気か??
 渡辺聖子記者による、東京新聞の記事【柏崎刈羽原発の「運転禁止」解除、原子力規制委は甘くないか 書類確認3カ月、現場調査10日間、議論1時間】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/294448)。《東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の運転禁止命令解除に道筋を付けた6日の原子力規制委員会の対応は、東電に対する甘い姿勢が浮き彫りとなった。テロ対策不備の再発防止の取り組みを、改善途中にもかかわらず是正したと判断原発を運転する適格性については表面的な確認作業でお墨付きを与えた。世界最悪レベルの原発事故と重大なテロ対策不備の当事者への厳しい姿勢は感じられない。(渡辺聖子)》。

 3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?
 東京新聞の記事【柏崎刈羽原発、「運転禁止」命令を解除 東京電力のテロ対策は改善と判断 原子力規制委員会】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/298081)。《原子力規制委員会は27日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出している事実上の運転禁止命令の解除を正式に決めた。2021年4月の命令から2年8カ月余り、福島第1原発で世界最悪レベルの事故を起こした東電再び原発の運転に向けた準備に入る。定例会合では、東電に対する特別な検査態勢を解くことに対し、委員5人全員が賛成。これにより、運転禁止命令の解除が決まった。27日午後に東電に通知する》。

 そもそも東電に資格はあるのか? 未だ《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 柏崎刈羽? バッカじゃないのか!
 山田祐一郎西田直晃両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「柏崎刈羽」周辺道路にも無数の亀裂…「原発は本当に大丈夫か?」地元に広がる不安の声】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/301911)。《犠牲者が200人を超えた能登半島地震。阪神大震災を上回るマグニチュード(M)7.6を記録し、日本海側でも巨大地震が起きると改めて浮き彫りになった。やはり心配なのが原発だ。東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県刈羽村では、安全面を危ぶむ声が強まっている。原発があっても本当に大丈夫か。検証は尽くされているのか。(山田祐一郎西田直晃)》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/293775

「何が言いたいのか分からない」敦賀原発2号機の再開審査で規制委を呆れさせた、原電の支離滅裂な説明
2023年12月4日 06時00分

 地質データの不適切な書き換えで中断していた日本原子力発電原電敦賀原発2号機(福井県)について、原子力規制委員会は新規制基準に適合するかどうかの審査を再開したが、またも滞り始めた。原電の説明が科学的根拠に乏しく、肝心の断層を巡る議論では自らの主張にほころびが出る事態に陥った。(渡辺聖子


 敦賀原発2号機の審査 2015年11月、日本原子力発電(原電)が原子力規制委員会に新規制基準への適合性審査を申請。20年に規制委側の指摘で地質データの書き換えが発覚した。活断層の可能性につながる記載を、否定につながる記載に無断で書き換えるなどした。修正後の資料でも、地層の観察場所を間違えた。審査は2度にわたり中断。原電が今年8月、修正した申請書を再提出し、9月に再開した。


◆建屋近くのK断層、活動時期は?

 審査の一つ目の焦点は、原子炉建屋近くにある「K断層」が活断層かどうか。新規制基準は、約12万~13万年前の後期更新世以降の活動を否定できない断層を、活断層と定義。活動時期がキーポイントになる。
 この点を議論した11月10日の規制委の会合で、原電が矛盾した説明を展開し、規制委事務局の担当者を困惑させた。
 原電は、K断層が活動した形跡のある地層の年代を「12万4000~14万2000年前」とした分析結果について、K断層の活動時期は後期更新世よりも古く、活断層ではないと主張した。

 だが数値の一部は後期更新世に含まれており、原電の説明はつじつまが合わない。規制委事務局が繰り返し矛盾を指摘しても「総合的に判断した」と不明確な回答に終始。規制委側が念押しのように「後期更新世に入っているという認識でいいのか」と問いただすと、原電の担当者は「(後期更新世に)かかるのはそうなる」と認めた。
 このやりとりを見れば、原電が活断層の可能性を認めた格好だ。


◆申請書に必要なデータがない?

 原電の審査は、再提出された申請書に必要な説明やデータが漏れなく盛り込まれたことを「前提」として、今年9月に再開した。
 ところが、この日の審査会合では、原電の要領を得ない説明が続いた。規制委事務局の質問に対し、原電は「あらためて整理する」「持ち帰り検討する」などと繰り返すばかり。質問の意味が理解できない原電の担当者が、沈黙する場面もあった
 いら立った規制委事務局の幹部が「これからデータを取る話なのか」と、審査再開の前提が守られているのかを確認しても、原電の剣田裕史副社長は「根拠となるデータを整理して再度示したい」としか答えられなかった。規制委と約束した前提はほぼ崩れている。
 K断層が活断層と判断された場合、審査はK断層が2号機直下にある別の断層につながるかどうかの議論に移る。K断層が活断層であり、なおかつ2号機直下の断層につながると判断されれば、「2号機直下に活断層あり」という結論になる。


◆2号機廃炉の可能性があるのに

 2号機直下の断層を巡っては、2012年に規制委の専門家チームが「活断層の可能性が否定できない」と指摘。新規制基準は活断層の上に原子炉など重要施設の設置を認めていない。原電が今回の審査で、活断層の可能性はないことを立証できなければ、2号機の廃炉は免れない
 再開した審査も、根拠が足りない説明で始まり、踏み込んだ議論に入れないまま。能力不足を露呈した原電に対し、規制委事務局の幹部は疲れた様子でこぼした。「質問と答えがかみ合わない。何が言いたいのか分からない


【関連記事】「これで十分と思っているのか」 再開された敦賀原発2号機の審査で規制委委員がデータ不足を指摘
【関連記事】不備だらけ申請を修正したら3倍超の1600ページに…どうなる?敦賀原発2号機の再稼働
【関連記事】敦賀原発2号機「審査中断」でどうする原電? 原子力規制委から「最後通告」
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/294448

柏崎刈羽原発の「運転禁止」解除、原子力規制委は甘くないか 書類確認3カ月、現場調査10日間、議論1時間
2023年12月7日 06時00分

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の運転禁止命令解除に道筋を付けた6日の原子力規制委員会の対応は、東電に対する甘い姿勢が浮き彫りとなった。テロ対策不備の再発防止の取り組みを、改善途中にもかかわらず是正したと判断原発を運転する適格性については表面的な確認作業でお墨付きを与えた。世界最悪レベルの原発事故と重大なテロ対策不備の当事者への厳しい姿勢は感じられない。(渡辺聖子


 柏崎刈羽原発 新潟県柏崎市と刈羽村にまたがって立地。東電福島第1原発と同じ沸騰水型という軽水炉が計7基あり、総出力は821万2000キロワットと世界最大規模。東電は新しく、出力が大きい6、7号機の再稼働を優先し、2013年に原子力規制委員会に新規制基準の審査を申請。17年に適合した。新基準に沿った事故対策では、工事の未完了や溶接の施工不良などの不備が続いた。

     (柏崎刈羽原発の検査について説明する原子力規制委員会の
      山中伸介委員長=6日、東京都港区で)


◆規制委で追及の場面なく、議論は1時間足らず

 「追加することはない」。6日の定例会合で、山中伸介委員長が検査結果が妥当かどうかを4人の委員に確かめると、いずれも同じ返事を繰り返した。山中委員長も事務局の報告をすんなりと受け入れた。
 委員らは、現地調査や東電社長への聴取をしないと最終的な判断はできないとの意見で一致したが、伴信彦委員が「明らかに改善が図られている」と発言するなど、東電の取り組みを前向きにとらえる見方が続いた。問題点を追及する場面はなく、1時間足らずで委員間の議論を終えた。
 テロ対策の検査は荒天時の監視体制や、IDカードの不正利用など不備再発防止の取り組みを一過性にしないなど、4項目が最後まで残った。報告書案は、これらすべてについて「自らミスを見つけて改善できる仕組みが定着しつつある」とした。


◆検査中もあったテロ対策の違反

 「しつつある」という改善の途中段階と受け取れる表現は、検査官19人全員の一致した認識という。山中委員長は記者会見で「規制当局が介入して改善を促す状況は脱した」と繰り返した。東電内で自律的な改善を担う社長直轄の部署は発足から半年余りと日が浅く、事務局は取り組みの定着までは確認していない。
 テロ対策の違反は検査中もなくならなかった。東電が4項目の是正完了を規制委に報告した後の11月にも、薬物検査で陽性反応が出た社員を誤って防護区域に入れていたことが発覚。しかし規制委は「軽微な事案と取り合わなかった。「ミスが起きても、自ら見つけて改善できれば良い」と事務局担当者。山中委員長も「報告書に影響はしなかった」と強調した。
 命令解除の判断材料となる適格性の再確認は、うわべだけの確認作業で引き続き「あり」と判断した。
 6年前に適格性が「ある」と判断した際に規制委が確認した7項目には、福島第1原発の廃炉への責任も含まれる。


◆「正確な情報発信」は適格性と関係ない?

 ところが今回は「正確な情報発信を通じて関係者の理解を得ながら廃炉に取り組む」という部分が「規制に直接関係しない」との理由で確認の対象外に。漁業関係者らの反対を押し切って始めた処理水の海洋放出目標が達成された」とする項目に入った。

     (テロ対策についての検査報告書案などを議論した
      原子力規制委員会=6日、東京都港区で)

 10月に浄化処理設備で起きた作業員の被ばく事故は「現在検査中としただけで考慮されなかった。始まる見通しのない原子炉内に溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しをはじめ難航する作業ばかりだが、確認結果は「廃炉は総じて進捗(しんちょく)している」とした。
 事務局が報告までにかけた期間は8月から約3カ月。主に書類で確かめる作業だった。内容の確認や聞き取りのため職員が現地や本社に出向いたのは計10日間。山中委員長は「時間的に不十分だとは思っていない」と言い切った。


【関連記事】柏崎刈羽原発「問題ない」規制委が今年中にも運転禁止命令解除へ 東電の再発防止策を評価
【関連記事】「飛散しない」自己判断でカッパ着ず、廃液が飛散して被ばく
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/298081

柏崎刈羽原発、「運転禁止」命令を解除 東京電力のテロ対策は改善と判断 原子力規制委員会
2023年12月27日 11時10分

 原子力規制委員会は27日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出している事実上の運転禁止命令の解除を正式に決めた。2021年4月の命令から2年8カ月余り、福島第1原発で世界最悪レベルの事故を起こした東電が再び原発の運転に向けた準備に入る
 定例会合では、東電に対する特別な検査態勢を解くことに対し、委員5人全員が賛成。これにより、運転禁止命令の解除が決まった。27日午後に東電に通知する。


◆命令の後も続いた違反

 柏崎刈羽原発では、2021年1月以降、東電社員によるIDカードの不正利用や、侵入検知装置が多数壊れた上に代わりの対策も不十分なまま放置したテロ対策の不備が相次いで発覚。規制委はこの年の4月に核燃料の移動禁止を命じ、東電の再発防止策に対する検査を続けてきた。

     (東京電力柏崎刈羽原発の6号機、7号機(右から))

 しかし、規制委の検査中も東電のテロ対策不備は相次いだ。2022年6月には監視用の照明設備が非常用電源に接続されていなかったことが発覚。これを是正したものの、翌年の2023年6月に別の照明設備に電源が接続されていないことが発覚した。

 ほかにも、手荷物検査が不十分で未許可の携帯電話やスマートフォンが持ち込まれた違反が、2023年1月以降で少なくとも3回起きた。今から2カ月まえの2023年10月には、薬物検査で陽性反応が出た社員を防護が必要な区域に一時入域させるなど、違反は後を絶たない。


◆規制委は「影響は軽微」と判断

 規制委はこれらの違反について、いずれも「影響は軽微」として再発防止策の検査には影響しないと判断。今月(2023年12月)6日の定例会合で、すべての再発防止策は妥当とする事務局の検査報告を大筋で了承した。
 また、柏崎刈羽原発の新規制基準適合性審査では、東電が2013年に6、7号機の審査を規制委に申請。規制委は東電が福島第1原発事故の当事者であることを考慮し、東電に原発を運転する適格性があるかも確かめた。2017年9月に「適格性がある」と判断し、その上で同年12月に事故対策が新規制基準に適合するとの審査書を決定した。
 今回の命令解除の手続きでは、規制委は今月(2023年12月)20日、東京電力の小早川智明社長を呼び、テロ対策の再発防止策と原発を運転する資格(適格性)があるかどうかを判断するために説明を聴いた。この日の委員5人による話し合いでは、小早川社長の説明に大きな問題はない、との意見で一致していた。
 今後、東京電力が柏崎刈羽原発を再稼働するには新潟県などの立地自治体の同意が必要となる。花角英世知事は同意の是非を巡って「県民の信を問う」と述べている。


【関連記事】20日の聴取 小早川智明・東京電力社長が答えあぐねたシンプルな質問
【関連記事】自民県議も「東京電力には原発を運転してほしくない」…新潟が裏切られ続けた2年半
【関連記事】「下請け任せ」は企業文化なのか…作業のリスクを軽視し続ける東京電力の姿勢
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/301911

こちら特報部
「柏崎刈羽」周辺道路にも無数の亀裂…「原発は本当に大丈夫か?」地元に広がる不安の声
2024年1月11日 12時00分

 犠牲者が200人を超えた能登半島地震。阪神大震災を上回るマグニチュード(M)7.6を記録し、日本海側でも巨大地震が起きると改めて浮き彫りになった。やはり心配なのが原発だ。東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県刈羽村では、安全面を危ぶむ声が強まっている。原発があっても本当に大丈夫か。検証は尽くされているのか。(山田祐一郎西田直晃


◆震源地から百数十km離れてても震度5強の揺れ

 10日午前、「こちら特報部」は雪がちらつく刈羽村に入った。前日夕には、佐渡付近を震源とするM6.0の地震があったばかり。村では震度3を観測した。
 JR刈羽駅から南に1キロ離れた村役場に徒歩で向かう。道路には真新しいひび割れが無数に見られた。役場近くの国道116号は片側3車線から歩道までひびが斜めに伸び、中央分離帯部分が盛り上がっていた

     (国道に広がる路面のひび=新潟県刈羽村で)

 「元日の地震でできたひびですね」。説明してくれたのは歩道橋工事の交通誘導員をしていた男性。1日の能登半島地震では、震源地から東に百数十キロ離れた刈羽村は震度5強の揺れに襲われた。ひびは既に応急処置されたというが「交差点の脇に立っていると、大型車両が通るたびに歩道が揺れる」と男性は話す。


◆もし原発で事故が起きたら、避難できる?

 「海岸部を中心に液状化の被害が多数報告されている」。村議の武本和幸さん(74)は、数日前に村内で撮影した写真を見せながら説明する。「昨年、整備したばかりの村道も地盤が液状化してアスファルトの路面がひび割れている」
 1日は外出先から帰宅したところに地震が起きた。「2007年の中越沖地震を思い起こさせる揺れ。原発は大丈夫なのかというのが最初に脳裏によぎった」。中越沖地震はM6.8で、最大震度6強。柏崎刈羽原発の屋外変圧器で火災が起き、微量の放射性物質を含む水が海に流出した。

     (村内の被害について説明する武本和幸さん=新潟県刈羽村で)

 今回は燃料プールの水があふれたが、大きな異常は確認されていない。それでも武本さんが問題視するのは、大地震により柏崎刈羽原発で事故が起きた際の対応、特に避難のあり方だ。懸念を強めるのは1日の経験から。地震直後、国道や高速道路は通行止めとなった。「避難しようとした住民が渋滞に巻き込まれたという話が多く寄せられた」


◆道路は見渡す限り車、高台への避難を断念

 原発の南西約3キロに住む無職宮崎孝司さん(79)は1日に避難を試みた一人。「防災無線で津波警報が出たことを知り、家族3人で車で高台へ避難しようとしたが、道路は見渡す限り車で埋まっていた。Uターンして当初とは別の場所に避難した」と振り返る。

     (1日の地震の影響で路面がひび割れた道路
      =6日、新潟県刈羽村で(武本和幸さん提供))

 付近の国道では2022年12月に記録的な大雪で多くの車が立ち往生した。大雪の際に原子力災害が発生した場合、政府は原発の5キロ圏について「避難経路の除雪が完了するまで屋内退避を継続」との方針案を示している。宮崎さんは「津波も起き、避難が必要な場合はどうすればいいのか」と危惧し、避難するにしても「道路は地震で寸断され、雪で立ち往生する複合災害もあり得る」と訴える。


◆想定外の揺れ、海底隆起…もし原発が稼働中だったら?

 刈羽村と同様、柏崎刈羽原発が立地する柏崎市在住で医師の本間保さん(73)は「能登半島の北陸電力志賀原発も柏崎刈羽原発も運転停止中のため、これだけの被害で済んだのでは」とみる。「原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」共同代表でもある本間さんは「原発を動かすのは無理だともう一度、声を上げる時期に来ている」と続ける。

     (地震で海底が隆起したとみられる石川県輪島市
      門前町の深見漁港周辺=本社ヘリ「あさづる」から)

 今回の地震では、能登半島の海底が隆起し、従来は海だった場所が陸になったことが確認された。先の武本さんは柏崎刈羽原発周辺でこうした地盤の隆起が生じることを危ぶむ。「外部から冷却水を取ることが困難になる可能性もある
 さらに「中越沖地震では想定外の揺れが、東日本大震災では津波が問題となった。今回、原発周辺の地盤が変動するリスクも明らかになった。再稼働の議論の前にリスクについて改めて評価すべきだ」と訴える。


◆日本海側でも巨大地震が起きると実証

 日本で大地震といえば太平洋側を思い浮かべがちだが、過去には日本海側でも起きた。ともに津波で多数の死者が出た1983年の日本海中部地震(M7.7)、93年の北海道南西沖地震(M7.8)などがある。

     (1日の地震の影響で路面がひび割れた道路
      =6日、新潟県刈羽村で(武本和幸さん提供))

 政府の地震調査研究推進本部は、日本海側の一部の海域活断層について、地震発生の確率の評価を公表してきたが、能登半島沖を含む大部分は未公表だ。金沢大の平松良浩教授(地震学)は「太平洋側に比べ、日本海側の評価は後回しになっている」と説明する。
 再来周期が数十年〜数百年のプレート境界型地震を想定する太平洋側に比べ、日本海側で起きる活断層型地震の再来周期は数千年〜数万年程度とされる。「予算や人員が限られる中、活動性の違いから日本海側は二の次にされている」
 そう語る平松さんは「個々の再来周期は長くても、多数の活断層があるため、平均的に考えればどこかしらで地震は起きてしまう。津波を伴う大地震もあり、日本海側でも調査を進めるべきだ」と指摘する。


◆原発設計時の想定上回る揺れも

 地震の被害は丁寧な検証が不可欠だ。想定を上回る場合があるからだ。能登半島地震では、石川県地域防災計画で想定されたM7.0を超えた。先に触れた中越沖地震では、柏崎刈羽原発の設計時に想定した最大の揺れを上回ったほか、建屋地下にある鉄筋コンクリート製のくいの損傷が、地震発生から14年を経て発覚する事態も起きた。

     (新潟県の東京電力柏崎刈羽原発=2021年4月撮影)

 そんな不安があっても政府は原発再稼働に躍起になる。柏崎刈羽原発も例に漏れず、2017年末に6号機、7号機が原子力規制委員会の適合性審査を通り、テロ対策の不備で21年に出された事実上の運転禁止命令も23年末に解除された
 再稼働の判断に関わる新潟県が安全面の砦(とりで)になるはずだが、厳しい視線を向ける研究者が近年、「排除」を思わせる扱いを受けた
 11年の東電福島第1原発事故を受け、県は柏崎刈羽原発の再稼働判断のため、三つの検証委で議論を深めたが、技術面を扱う委員会に名を連ねた新潟大の立石雅昭名誉教授は21年、高齢を理由に再任が見送られた。三つの検証を総括する委員会のトップ、名古屋大の池内了名誉教授も23年、任期が更新されなかった


◆「今回の地震を機に議論深めるべき」

 厳しい検証が遠のく中、改めて浮かび上がったのが日本海側の巨大地震リスクだ。地質学者の立石さんは「県は再稼働に前のめりにならず、従来の考え方を改める必要がある」と語る。
 能登半島地震は、複数の断層が連動して大きな揺れを起こしたと立石さんはみる一方、柏崎刈羽原発の周辺で断層が連動する事態が十分に検証できていないとし、こう唱える。「現状ではどれほどの揺れや津波が原発を襲うのかは分からない。能登半島地震を機にさらに議論すべきだ」


◆デスクメモ

 想定外」に抵抗感を抱く厳しい想定を検証しないまま、深刻な事態が生じると「想定外」と言い逃れる。そんな印象を持つからだ。甚大な汚染をもたらしうる原発地震に耐えられるか住民は逃げられるか。必要なのは懸念に向き合う姿勢。責任逃れの言い訳は救いにならない。(榊)


【関連記事】海底が隆起? 防波堤の外まで陸になり、海ははるか先に… 能登半島地震で一帯の漁港に異変
【関連記事】志賀原発「異常なし」から考えた 運転中だったら?「珠洲原発」だったら? 震度7の地震は想定内なのか
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●どこが「規制」? 原子力規制庁と経産省の職員が《面会する場所として、なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた。慎重を期すべき規制…》

2023年04月12日 00時00分46秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年03月27日[月])
《相反する立場》を分離したはずじゃないの? 《規制と推進の分離》は一体どこに? 「規制」する立場のはずが、核に「寄生」するとはねぇ。(こちら特報部)《他省庁の官僚と面会する場所として、なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた慎重を期すべき規制当局の文書管理は、こんな具合で大丈夫か。》《ところが山中委員長は今月15日の会見で「問題があるというふうには思っていない」ときっぱり。「そういう習慣だったのだろうみじんも罪悪感をにじませなかった》。

   『●東京新聞《<ぎろんの森>原発推進組織に逆戻りか》――――
     すごく控えめな表現…単に「原子力規制委員会」に看板を掛け代えただけ

 木原育子西田直晃両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/なぜか駅で、原子力規制庁職員がエネ庁職員から内部文書を受け取ってた 相反する立場「面談記録避けるため?」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/239644)によると、《岸田文雄首相がウクライナ入りした。占拠された原発についても耳を傾けたようだが、日本の原発問題も忘れてもらっては困る。例えば原子力規制委員会の事務局、原子力規制庁では「そんなことはせず」と否定していた話が起きていた。他省庁の官僚と面会する場所として、なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた慎重を期すべき規制当局の文書管理は、こんな具合で大丈夫か。(木原育子西田直晃)》。

 原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委が追認…原子力「推進」委員会、核に巣食う核「寄生」委員会。例外中の例外のはずが「原則40年」を無視し、運転停止期間を控除することで「最長60年」を蔑ろに。狂っています、ニッポン。《原状回復》は一体どうなっているのか? 《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
 しかも驚いたことに、それ以上のデタラメな実態が。《裏委員会として実質的な意思決定をする事前会議の場が設けられており、そこで検討された案や議論は議事録すら残っていないため、情報公開請求をしても「不存在」として一蹴されてしまう。…そして表の規制委員会の審議はこれ見よがしに公開され、ネット中継まで行われているが、それは既に決まっている結論を上塗りするだけのセレモニーでしかないというのが実情なのだ》…驚愕だ。

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》
   『●国や経産省、東京電力は「原状回復」することなく東京電力核発電人災
     被災地は放置で、一方、東京電力CMはちゃっかり「原状回復」かょ…
   『●東京新聞《<ぎろんの森>原発推進組織に逆戻りか》―――― すごく
      控えめな表現…単に「原子力規制委員会」に看板を掛け代えただけ
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増
     を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委員会が追認…「推進」委、
       核に巣食う核「寄生」委、例外中の例外のはずが原則40年を無視
   『●東京電力核発電人災の教訓はどこに? 《一歩間違えば国全体が壊滅
     してもおかしくなかったほどの大事故を経験した日本》、その教訓は?
   『●野党議員だった頃の河野太郎氏「原子炉と使用済み核燃料プールは、
     テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/239644

こちら特報部
なぜか駅で、原子力規制庁職員がエネ庁職員から内部文書を受け取ってた 相反する立場「面談記録避けるため?」
2023年3月23日 12時00分

 岸田文雄首相がウクライナ入りした。占拠された原発についても耳を傾けたようだが、日本の原発問題も忘れてもらっては困る。例えば原子力規制委員会の事務局、原子力規制庁では「そんなことはせず」と否定していた話が起きていた。他省庁の官僚と面会する場所として、なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた慎重を期すべき規制当局の文書管理は、こんな具合で大丈夫か。(木原育子西田直晃

【関連記事】規制委委員長が知らない間に…原子力規制庁と経産省の職員が非公開の場で情報交換「頭の体操のため」


◆言い淀む委員長、漂う微妙な空気

     (文書管理について記者の質問に答える原子力規制委員会の
      山中伸介委員長=22日、東京・六本木で)

 22日午後、原子力規制委員会の定例会見。山中伸介委員長が時折、まゆをひそめる言い淀(よど)と「事務方から補足します」と黒川陽一郎総務課長。会場は終始、微妙な空気だった。

 事の発端は2月3日の報道官会見。フリーライターのまさのあつこさんが「内部告発があった」と切り出し、「駅のホームなどで打ち合わせとか資料のやりとりが行われているとの情報がある」とただした。その際、黒川課長は「そんなことをしているとは思わない」と2度、完全否定した。

 一転したのは今月10日の衆院環境委員会。立憲民主党の近藤昭一氏が同様の質問をすると、規制庁の金子修一次長は「職員によく聞いてみると…」と語り始め、駅での資料の受け渡しを認めた。続けて「資料にメモ書きした職員がおり、きれいなコピーをもらいたいということで…オフィスに来るのも大変なので駅で渡していただいて…」と話すと、近藤氏は「にわかには信じ難い」と唖然(あぜん)とした。

 くだんの資料は、経済産業省資源エネルギー庁の職員から受け取ったという。


◆そもそも接触すること自体慎重になるべきなのに…

 原子力規制を担う規制庁は本来、推進側のエネ庁と接触すること自体、慎重になるべきだ。ところが昨年末、原発の運転期間の見直しを巡り、エネ庁の担当者と非公開で7回にわたって会い、面談録も作成していなかったことが判明した。これを受けてルールを改め、原子力推進に関係する省庁職員との面談は、面談録や資料をサイト上で公開する方針を決めた。

 その中で浮かび上がったのが「駅でエネ庁職員と面会」「資料の手渡し」だ。規制と推進の分離という点で疑問を抱くほか、情報漏れしないか、強奪されないかと心配になる。

 ところが山中委員長は今月15日の会見で「問題があるというふうには思っていない」ときっぱり。「そういう習慣だったのだろうみじんも罪悪感をにじませなかった


◆完全否定していた課長は発言を一変「割とありそうな話」

 2月の会見で「そんなことをしていると思わず」と述べた黒川課長は発言を一変させた。「本件は非常に情報管理を厳しくしていた」「メールで送れば転送があり得る」「基本、紙でやりとり」と述べた上で「こちらがもらいに行く関係だが、向こうも譲って駅まで行くとなった」とし「割とありそうな話」と続けた。

 そして冒頭の会見。エネ庁から受け取った資料について、黒川課長は「7回分の面談一式の資料だ」「厳密にいえば、きれいな資料もあったかもしれないが、中途半端に取り寄せてもと、担当としては全部いっそ取り寄せた」と明かした。

 「こちら特報部」の取材にも「駅で受け取った資料は封筒に入るほどのレベルの量に過ぎない」と悪びれた様子は全くなかった

 とはいえ、相反する立場の面々があえて駅で会い、内部文書を受け渡す行為はやはり理解しがたい。

 まさのさんは「スパイ映画じゃないんだから…」と嘆息。「面談録を記録したくないので、場所を駅にしたのではと勘繰りたくもなる」と推し量る。


◆ずさんな情報管理次々「丸投げ、管理不在、なれ合い」

 今回の一件で不信感を抱かせる規制庁。公文書の扱いや情報管理に関しては、これまでもずさんだった

 例えば、昨年6月に明らかになった内規違反。使用済み核燃料の保管方法を巡る調査の一般競争入札で、核燃料廃棄物研究部門の非常勤職員が仕様書の草案を業者に作らせていた。

 実際の入札ではこの案がほぼそのまま仕様書となり、入札予定価格は示された見積額と近似この業者が1社応札で落札した。当時の規制委員長は「あり得ない」と切り捨て、非常勤職員は文書による厳重注意処分を受けた。

 規制庁の元技術参与、松田文夫氏は「庁内で調査研究を担う部署には旧原子力安全基盤機構がそのまま移籍したが、元々は原子炉メーカーなどの余剰人員を収容した組織なので技術力を欠く。だから、特定の業者に丸投げする。そこに無責任な上司の管理不在が重なり、なれ合いを生んでしまったのでは」とみる。

 ずぼらな事例は他にも。「こちら特報部」が2019年、政府の原子力災害対策本部医療班が震災直後に取得・作成した文書を情報開示請求した際、規制庁の担当課は該当文書を探す作業を怠っていた。

 担当課の課長補佐は「時間や手間がかかるので(文書を全部探すことは)やっていない」とサボっていた内実を吐露した。内部文書の公開を不必要に控えれば、外部からの監視をかわす形になってしまう。

 「説明責任を果たさなくてもいいように、巧妙に逃げ道を用意するのが日本の官僚だ」と語るのは、富山大の林衛准教授(科学技術社会論)。「文書開示のルールを設けても、具体例として示されていない事柄は『出さなくてもいい、廃棄してもいい』と逆に活用する恐れがある」


◆改ざん、機密文書破棄…でたらめさは電力会社も

     (関西電力高浜原発のゲートを警備する警察官ら
      =2017年5月、福井県高浜町で)

 文書の扱いがでたらめな原子力ムラだが、電力会社も例外ではない

 20年2月の日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)の審査会合では、原電が提示した地質データに改ざんが見つかり、規制委側の出席者が「絶対にやってはいけない倫理上の問題」と猛批判し、審査自体が一時中断された。

 21年6月には、中国電力が規制委から借りた核防護関連の機密文書を無断で廃棄したことも判明している。しかも、中国電は規制委への報告を廃棄から6年以上も怠った

 今年に入ると、東京電力は停止中の柏崎刈羽原発3号機(新潟県)の審査書類に149カ所の誤りがあったと発表。書類に必要な材料の名称が分からず、すでに審査を終えた同型の2号機の記載内容が一部で流用されてもいたという。

 原発の審査は文書を基に行われるのに、正確性に疑いが持たれる事態が続いてきた。ムラ全体を緩みきった空気が覆う。ここは「国民の信頼回復」を旗印に発足した規制庁こそが、文書管理のだらしなさをすすんで払拭しないと、一向に改まらないのではないか。

 規制庁の現状について、新潟国際情報大の佐々木寛教授(政治学)は「文書管理や説明責任を軽視する文化が根強い庁内全体に緊張感が足りず、近代的官僚機構としての資質を全く欠いている」と強調した上で「駅で内部文書を受け渡し」のようなケースを危ぶんだ。

 「そもそも、原発関連の資料を外部に持ち出すこと自体がセキュリティーの面で問題という認識があるのか流出した紙に発電施設や核燃料の記載があれば、あっという間にテロ被害の温床になり得てしまう


◆デスクメモ

 放送法絡みの文書で、ねつ造と訴えた高市早苗氏。彼女を疑う声が相次ぐが、文書管理を担う官僚も信用ならない。今回の件でいえば「駅で受け渡し」という行為、開き直りがそう思わせる。一回限りか、他もないか。官僚の文書管理に不信があるなら、こちらもただしては、高市さん。(榊)
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●鈴木耕さん《一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば…》

2021年08月31日 00時00分50秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


―――――― 鈴木耕さんの予言通り、《一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば、いつまで経っても調査は終わらない》…。


(2021年08月21日[土])
小野沢健太記者による、東京新聞の記事【敦賀原発2号機の審査中断、規制委が決定 終わり見えぬ地質データ書き換え問題】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/125150)。

 《原子力規制委員会は18日の定例会合で、地質データに関する資料の不適切な書き換えが判明した日本原子力発電原電)の敦賀原発2号機(福井県)について、資料の信頼性が確保されていないとして、再稼働に必要な審査を中断することを決めた。検査で業務改善が認められるまで審査は行わず、再稼働はより困難になった》。

 2014年2月の鈴木耕さんによる、マガジン9のコラム。アベ様政権時、《舛添要一氏の東京都知事当選》時で、核発電寄生委の現委員長・更田豊志氏の名前も。

   『●原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会(1/2)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/36ee06125bcf530d58f3579b827889b5


http://www.magazine9.jp/article/osanpo/11010/

2014年2月26日up
時々お散歩日記
鈴木耕
170

いま、東電で起きていること、
原子力規制委員会の危うい動き

 安倍政権のあまりに極右的な突っ走りぶりに目を奪われている間に、原発再稼働への動きが露骨になってきた。舛添要一氏の東京都知事当選で、まるで「再稼働承認」の錦の御旗を得たとでも言わんばかりに、政府は原発再稼働へはっきりと舵を切った。

……

 これらの審査について、規制委の更田豊志委員は早々と(1月9日)、「安全審査の新基準に不適合とされる原発が出てくるとは、考えていない」と語り、大飯原発については「夏になってまだ安全審査をやっているとは思わない」。さらに、高浜原発についても「夏までの再稼働は不可能ではない」と、ほぼ審査合格のお墨付きを与えてしまった

……

 規制委は1月20日、敦賀原発2号機(福井、日本原電)の断層の再調査に入った。しかし、この再調査はどうも不可解だ。なぜなら、規制委はこの断層が「活断層である」とすでに判断していたからだ

 それに対し日本原電が独自調査した結果、活断層ではないと言い出した原子炉建屋の下に活断層があれば原発稼働は許されない。確かに日本原電にとっては死活問題だろう。だが、一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば、いつまで経っても調査は終わらない再稼働への道はいつでも開かれている、ということになる

 同じことが東通原発(青森、東北電力)の安全審査でも起きている。実はこの原発も、2013年2月に「敷地内にある断層群の多くが活断層である可能性が高い」と、規制委の調査団が認定する報告書をまとめていたのだ。

 ところが、東北電力側が反論、「これは地層が水を吸って膨張するいわゆる『膨潤現象』で形成されたもの」という、かなり無理な主張の追加調査書を提出。それをもとに調査団が再議論。

 一度、規制委として結論を出したものを、電力会社側が反論すれば再調査するこれでは、いつまで経っても終わらない

 なぜこんなことが起るのか。原子力関連ではよくあることだが、審議会や調査団のメンバーがいつの間にか入れ替わっていて、最初の結論とは違う方向へ議論が誘導される電力会社側が、それを画策している。そして、規制委はまんまとその電力側の意図に乗った…?

……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 鈴木耕さんの予言通り、《一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば、いつまで経っても調査は終わらない》。

   『●三浦英之記者の質問「今でも『アンダーコントロール』だとお考えで
     しょうか」? アベ様のお答え「…その中で正確な発信をした…」!?
    「井上能行記者による、東京新聞のコラム【【私説・論説室から】現代版
     「水戸黄門」】
     https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2020030202000167.html
    《舞台は原子力規制委員会の審査会。黄門様は審査会の座長役を務める
     地質学者の石渡明・同委員会委員、助さん格さんは原子力規制庁の
     職員、悪徳商人(越後屋)の役回りは日本原子力発電(原電)だ。
     原電は敦賀原発2号機が地質学的な理由から廃炉の窮地に立たされて
     いて、その申し開きをしている》

 《越後屋 書き換えはよくやるでしょう》、《黄門 黙らっしゃい。都合よく書き換えるなんてことは役人はやっても、科学者や技術者はしません。触って軟らかかったものが、よく見たら硬いなんてことがありますか》…何をいまさら言ってるのか…。原子力「推進」委員会=核発電「寄生」委員会が《悪徳商人(越後屋)》をさんざん今まで「甘やかした」ツケでしょ?

   『●東京電力に資格無し…さらには《なめている》そういったデタラメな
      東電を〝育てた〟のは更田氏ら原子力「寄生」委員会や国、自公である
    「金(カネ)色の五つの輪等に絡めて、アベ様らはさんざん
     《テロ対策》云々と言っておきながら、ナニコレ?
      《東電のずさんな態勢》《問題が次々と発覚》―――万事この有様。
     3.11人災に対する責任の自覚も無く、10年前の人災から何の教訓も
     得ていない。東電に核発電所の運転や再稼働の資格なし。さらには、
     《なめている…》そういったデタラメな東電を〝育てた〟のは
     更田豊志委員長ら原子力「寄生」委員会や国、(デタラメな関西電力
     九州電力も含めて)自公お維なのではないか。その〝育成〟は、
     東京電力核発電人災前だけではなく、人災後も同様に継続されてきた。
     皆、核発電「麻薬」中毒者。」

 一方、浜岡原発。COVID19対応や豪雨対策も満足にできないのに、これ以上悩みを増やすな …砂上にペラペラの壁を造ってまでも再稼働したくなる浜岡原発という「金のなる巨大木
 中日新聞の記事【静岡・浜岡原発建屋で発煙 放射性物質漏れなし】(https://www.chunichi.co.jp/article/312492)によると、《17日午前5時15分ごろ、運転停止中の中部電力浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)のタービン建屋で、複数の火災報知機が作動した。中部電力によると、作業員が建屋内で発煙を見つけたものの、消防の現場確認で煙や炎は見当たらず「火災ではない」と判断された。けが人や、外部への放射性物質漏れはなかった。建屋は地上4階、地下2階建てで、2階と3階にある報知機が作動した。報知機作動と同じ時間に建屋4階の空調設備が停止しており、関連を調べている。浜岡原発では12日に敷地内の電線から煙が上がる火災があった》。

   『●浜岡原発と大飯原発: 「当面」「いったん」が
                       ポイント、「一切」「永久に」ではない
   『●浜岡原発〝一時〟停止のみでいいのか?
   『●浜岡原発: 元原発技術者の叫び
   『●まずは第一歩目かな…??
   『●浜岡原発: 安全対策工事という
         砂上の楼閣に期待する人たち
    「安全対策工事後って、物理的にも砂上の楼閣が
     出来たからと言って、何なんでしょうか?? 
     何の役に立つというのでしょう?? 東京電力人災の
     教訓が全く活かされていません」

   『●浜岡原発という凶器:  
      砂上にペラペラの壁を造って、な~にが「安全」なのか?
   『●砂上にペラペラの壁を造ってまでも
       再稼働したくなる浜岡原発という「金のなる巨大木」
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を
     見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/125150

敦賀原発2号機の審査中断、規制委が決定 終わり見えぬ地質データ書き換え問題
2021年8月18日 11時30分

 原子力規制委員会は18日の定例会合で、地質データに関する資料の不適切な書き換えが判明した日本原子力発電原電)の敦賀原発2号機(福井県)について、資料の信頼性が確保されていないとして、再稼働に必要な審査を中断することを決めた。検査で業務改善が認められるまで審査は行わず、再稼働はより困難になった。

 (https://www.tokyo-np.co.jp/article_photo/list?article_id=125150&pid=432410

 会合で、地質を担当する石渡明委員は「審査資料の品質に疑問があり、ほかの審査と同じように続けるのは適切ではない」と指摘。他の委員からも異論は出なかった。更田豊志委員長は「科学的な作法にのっとっていないと話にならず、今回はお話にならないケース。審査会合を開ける状況ではない」と述べた。

 敦賀2号機は原子炉建屋直下の断層が、規制委の専門家チームに地震を引き起こす活断層と指摘されている。原電は指摘を否定し続けているが、審査で活断層と確定すれば廃炉は免れない

 地質データは審査の行方を左右する重要な資料だが、規制委事務局の原子力規制庁は検査の中間報告で「データ処理に必要な業務管理が適切ではなかった」として、資料の信頼性が確保されていないと判断した。

 データ書き換えは、2020年2月の審査会合で規制庁側の指摘で判明。ボーリング(掘削)で取り出した地層の状態を「肉眼で観察した記載」から「顕微鏡で観察した記載」に無断で書き換えた。(小野沢健太

【関連記事】尾を引く地質データ書き換え 敦賀原発2号機の審査、規制委が中断検討
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●原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会(1/2)

2014年03月30日 00時00分38秒 | Weblog


magazine9.jpの記事【いま、東電で起きていること、原子力規制委員会の危うい動き】(http://www.magazine9.jp/article/osanpo/11010/)。
asahi.comの記事【原発事故と規制委―教訓いかす改革続けよ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p、3月9日)。
東京新聞の記事【3・11から3年 まだ知らないフクシマ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030902000146.html)。
asahi.comの記事【原発政策―問題先送りを続けるな】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p)。
最後に、peacephilosophy.blogspot.jpの記事【原子力規制委「帰還に向けた考え方」にある4つの重大な問題点: 反核医師会より抗議声明】(http://peacephilosophy.blogspot.jp/2014/03/blog-post_7.html)。

 「政府は原発再稼働へはっきりと舵を切った。それに呼応するように、原子力規制委員会の動きもかなり以前とは変わってきている。各原発の安全審査を、「再稼働」の方向へ導こうとしているように見えるのだ」・・・・・・露骨な原子力「推進」委員会っぷり。

 アベ自公政権と協力しての原発再稼働への動き、それを後押しする原子力「推進」委員会。「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、むしろ「寄生」委。「原発再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が、最初のヤマ場を迎えつつある。新しい規制基準に比較的早く適合しそうな原発の絞り込みが進み、最初の再稼働の候補原発が「優先審査」の対象として近く公表される見込みだ。再稼働に前のめりな政治家らからは「世界一厳しい規制」といった言葉も聞かれる。基準を満たしさえすれば問題ない、と言いたげだ。だが、それは違う」。

   『●覆水盆に返らず、3.11から3年も経って今頃言っている愚かさ

 「地元」民や「地元」首長にも大いに問題あり。自公政権や「寄生」委等々に「騙されること」そして「無関心」の責任。「過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目になる--。原発事故にも通ずるかもしれない。あれから三年。私たちは、福島原発事故を実はまだ知らない・・・・・・政府のエネルギー基本計画案は原発をあらためて「重要なベースロード電源」と位置付けた。昼夜を問わず、一定量の電力供給を担う主要な発電設備のことをいう。一昨年の衆院選で掲げた脱原発依存の約束に目をつむり、3・11以前に戻したいという意味だ・・それでもなお、映画を見た多くの人が「知らなかった」という感想を寄せてくる・・・・・・福島原発事故がどれほど大きな事故だったのか。もし偶然の救いがなければ、どれほど巨大な事故になったか。国民として、もっと正しく知る必要があるだろう」。

   ●無関心の責任: 自公は「原子力に依存しなくてもよい経済・
                 社会構造の確立」、「原発ゼロ」を公約

 最後に、暴走する原子力「推進」「奇声」「寄生」委員会への抗議・・・・・・「1,100ミリシーベルト以下の被ばくでも健康被害の可能性を認めるのが、現在の国際的動向である・・・・・・2,ICRPの勧告でも、積極的な住民参加による意思決定や健康管理の充実を強調している・・・・・・・3,個人線量計による計測結果を重視することで、被ばくに対する個人責任や新たな社会的問題を生み出す危険がある・・・・・・4,健康相談員による相談だけでは、住民に安全・安心の健康管理は不可能である」。

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http://www.magazine9.jp/article/osanpo/11010/

時々お散歩日記
鈴木耕
170


いま、東電で起きていること、
原子力規制委員会の危うい動き

 安倍政権のあまりに極右的な突っ走りぶりに目を奪われている間に、原発再稼働への動きが露骨になってきた。舛添要一氏の東京都知事当選で、まるで「再稼働承認」の錦の御旗を得たとでも言わんばかりに、政府は原発再稼働へはっきりと舵を切った。

 それに呼応するように、原子力規制委員会の動きもかなり以前とは変わってきている。各原発の安全審査を、「再稼働」の方向へ導こうとしているように見えるのだ。

 東電は、相変わらず超高濃度汚染水の垂れ流しを単純な機器の不具合でごまかそうとする。

 さらに、米倉経団連会長からも「原発新規建設」を求める声が公然と上がり始めたし、事故後しばらくは顔を見せなかった原子力ムラ(小出裕章さんは「原子力ムラではない、あれはもっとたちの悪い原子力マフィアです」と常々言っておられる)の面々も、最近では恥ずかしげもなくマスメディアに顔を出すようになってきた。出すほうも出すほうである。

 政府の原発関連の審議会や懇談会のメンバーには、原発マフィアの連中がいつの間にか復帰。それを土台にして、政府の「エネルギー基本計画」なるものは、言葉遊びで国民をたぶらかそうとする。

 NHKへの安倍支配は制作現場にまで及び、原発関連のラジオ放送を事前チェックでやめさせたりもする。NHK側は「都知事選の最中なので、政治的議論のあるものは避けてほしいと要請しただけ」と弁解したが、それならば、TPPも集団的自衛権も憲法も秘密保護法も社会保障もアレもコレも…すべて避けなければならない理屈になる。

 賛否の議論がある社会問題を取り上げられないのなら、それはもはや“報道機関”ではない。あまりにトンチンカンで呆れるほど面白い籾井会長や某作家もいることだし、NHK丸ごと吉本へでも払い下げるがいい…吉本も迷惑だろうが。と、皮肉のひとつも言いたくなるのだ。

 最近の原発をめぐる危うい状況を見てみよう。

 昨年末以来、原子力規制委員会は、泊原発3号機(北海道、北海道電力)、大飯原発3,4号機(福井、関西電力)、高浜原発3,4号機(福井、関電)、伊方原発3号機(愛媛、四国電力)、川内原発1,2号機(鹿児島、九州電力)、玄海原発3,4号機(佐賀、九電)など4電力6原発10基の安全審査に入っている。

 そして1月26日には、女川原発2号機(宮城、東北電力)の安全審査も規制委が開始した。

 これらの審査について、規制委の更田豊志委員は早々と(1月9日)、「安全審査の新基準に不適合とされる原発が出てくるとは、考えていない」と語り、大飯原発については「夏になってまだ安全審査をやっているとは思わない」。さらに、高浜原発についても「夏までの再稼働は不可能ではない」と、ほぼ審査合格のお墨付きを与えてしまった。

 審査途中で「不適合の原発は出てこない」と語る。これはそうとうな問題発言だ。きちんとした審査報告書が作られる前に、規制委員がこんな発言をしてしまう。結論ありきの上での審査だと言われても仕方ないではないか。ところが、この更田発言に対する批判がほとんど聞かれない。逆に、政府筋からは更田発言を評価する声が上がっている始末。

 なお、更田委員は、原子力ムラのど真ん中に位置する日本原子力研究開発機構の副部門長という要職にあった人。委員就任当初から「中立であるべき原子力規制委員としては、偏った人事ではないか」との批判を受けていたが、その批判が当たっていたというべきだろうか。

 アベノミクスの重要な柱である原発再稼働に、規制委そのものも飲み込まれ始めたのかもしれない。

 そのことは、政府の「エネルギー基本計画」にあからさまだ。「原発を重要なベース電源とする」という当初の内容が、都知事選前には原発という争点隠しのためにウヤムヤにされていたが、舛添氏が当選したと見るや「原発は重要なベースロード電源」というわけの分からない言葉に置き換えられてゾンビ復活。官僚たちの言葉遊びも度が過ぎる。

 「ベース電源」を「ベースロード電源」に書き直して、いったい何が変わるというのか。舛添当選で、官僚も政治家も「国民の程度はこんなもの」と高を括ったとしか思えない。

 規制委は1月20日、敦賀原発2号機(福井、日本原電)の断層の再調査に入った。しかし、この再調査はどうも不可解だ。なぜなら、規制委はこの断層が「活断層である」とすでに判断していたからだ。

 それに対し日本原電が「独自調査した結果、活断層ではない」と言い出した。原子炉建屋の下に活断層があれば原発稼働は許されない。確かに日本原電にとっては死活問題だろう。だが、一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば、いつまで経っても調査は終わらない。再稼働への道はいつでも開かれている、ということになる。

 同じことが東通原発(青森、東北電力)の安全審査でも起きている。実はこの原発も、2013年2月に「敷地内にある断層群の多くが活断層である可能性が高い」と、規制委の調査団が認定する報告書をまとめていたのだ。

 ところが、東北電力側が反論、「これは地層が水を吸って膨張するいわゆる『膨潤現象』で形成されたもの」という、かなり無理な主張の追加調査書を提出。それをもとに調査団が再議論。

 一度、規制委として結論を出したものを、電力会社側が反論すれば再調査する。これでは、いつまで経っても終わらない。

 なぜこんなことが起るのか。原子力関連ではよくあることだが、審議会や調査団のメンバーがいつの間にか入れ替わっていて、最初の結論とは違う方向へ議論が誘導される。電力会社側が、それを画策している。そして、規制委はまんまとその電力側の意図に乗った…?

 最近、どうも規制委に微妙な危うさを感じているのは、そんな動きが垣間見られるからだ。現在の規制基準では、原発の重要施設の下に活断層が認められれば、その原発は廃炉としなければならないことになっている。だから、電力会社としてはどんな手段を使おうと、とにかく「活断層」を認めるわけにはいかない。すでにある原発を廃炉とせざるを得なくなれば、確かにそれだけで莫大な赤字となるからだ。

 しかし、ほんとうにそうなのか。むしろ、危険な原発を延命させることのほうが膨大な損失を生むのではないか。

 考えてみれば、今のうちに廃炉への道筋を作っておけば、再びの大事故は何とか回避できる可能性が高い。凄まじい事故賠償金と除染費用、事故収束への気の遠くなるような時間とカネ…。もう一度、過酷事故が起きた場合を想定すれば、廃炉のほうがずっと安くつくと思うのだが、甦りつつある原子力ムラの村民たちは、崩壊したはずの「安全神話」に今でもすがりついている。東電福島原発事故からいったい何を学んだのか。

 かつて『塀の中の懲りない面々』(安部譲二)という面白い小説があったけれど、まったく「原子力ムラの懲りない面々」には、手の施しようがない。

 東京電力福島事故原発の高濃度汚染水漏れは、もはや絶望的な域に達している。もう「高濃度汚染水漏れ」と聞いても、こちらも不感症気味になってしまったが、実は大変なことなのだ。

 東電が2月20日に公表したところによれば、福島事故原発のタンクから、なんと100トン以上もの高濃度汚染水が漏れていた。それも並みの「高濃度」ではない。放射性ストロンチウムなどベータ線を放出する放射性物質が、2億4千万ベクレル/リットル検出されたという。むろん、これまでで最高値。国が定めた放出限度の数百万倍にも相当するという。

 昨年夏にも高濃度汚染水の漏洩事故があったが、このときは規制委が「原子力事故の国際基準で5番目に深刻なレベル3に相当する」との厳しい評価を下している。それに準拠すれば、今回の事故は、もっと深刻といわなければならないはずだ。だが、それにしてはマスメディアがおとなしい。

 いつものことだが、東電の事故発表は必ず大きな話題の陰に隠れるように行われる。今回も見事に「オリンピックのバカ騒ぎ」に乗じた。「感動」や「美談」の大報道の中で、この恐ろしい値の汚染水漏れ事故は、なんとなくかき消されてしまった。いつもながらの手法。

 もうひとつ、この汚染水漏れで見逃してはならないことがある。

 東電は当初、この事故は「警報は出たが、水位計の不具合と判断し、水位を確かめなかった」と言っている。つまり、機器の故障によるものだったとの判断である。しかしその後、「汚染水の移送先のタンクに続く配管の弁以外はすべて閉じられているはずなのだが、3つの弁のうち、ミスで2つの弁が開いたままだった。そこから汚染水が漏れた可能性がある」と訂正した。だがこれでは収まらず、訂正は続く。24日、「2つの弁が開いたままだったのは、作業を簡単にするために東電の指示で開けておいた」ということを発表せざるを得なくなった。つまり、東電は2度にわたってウソの発表をしたのだ。東電の虚偽・隠蔽体質はまったく改善されていない。

 さて、ではなぜ、これが大きな問題なのか。

 東電は「機器の不具合なのだから、直せば問題はない」と言いたかったのだ。もし人為的ミスだとすれば、人員の増強や作業手順の教育などを根本からやり直す必要が出てくる。東電は、それを避けたい。

 ただでさえ福島原発での作業員の数は減少傾向。特に熟練作業員は被曝許容量を超えたために現場から離れつつあるという。さらに、安倍が「アンダー・コントロール」と世界に向けて大ウソをついた揚句の果ての東京オリンピックで、土木関連の作業員は東京へ流れ始めているという。福島原発で人員不足に陥るのは当然だ。

 これではもっと人為ミスが起きかねない。人為ミスであることがはっきりすれば、ベテラン作業員の補充が急務となる。そこで、柏崎刈羽からベテランを福島へ応援に行かせるべきだ、との声が上がり始めた。

 東電は、こんな汚染水漏れの末期症状の中で「柏崎刈羽原発再稼働へ向けた安全審査」を規制委に申請している。もし、福島事故原発での汚染水対策が進まなければ、柏崎刈羽原発からベテランを福島へ回さざるを得ない。そうなれば、肝腎の柏崎刈羽原発の再稼働に支障が出てくる。

 だから何としてでも、東電は「人為ミス」ではなく「機器の不具合・故障」ということにしておきたかったのではないか。多分、この推測は当たっているだろう。

 そんな中で東電は25日、今度は福島第一の4号機の使用済み核燃料プールでの冷却が停止したと発表。電源ケーブルを作業員が誤って切断したのが原因ではないかという。これもまた人為ミスなのは明らか。

 このプールには1500体以上の核燃料があるが、プールは地震で脆弱化。もし再度の地震や台風などでプールが崩壊したら東日本は全滅、とまで言われる危険な部分だ。早急にこの核燃料を運び出さなければならないが、現在のところ運び出し完了したのは、まだ396体。そこでまたもや人為ミス。柏崎刈羽原発再稼働などと言っているのは正気の沙汰ではない。東電は、ありとあらゆる力を福島へつぎ込むのが当然だろう。

 柏崎刈羽原発再稼働を言うのなら、最低限、福島原発事故を収束させてから言え! である。

 もうひとつ指摘しておきたい。

 これは前にも書いたことだが、どんなに精密な機械を造ろうと、「神ならぬ人間」がそれを操作する限り、事故は“絶対に”防げない。何度も何度も繰り返す東電の事故を見ていると、なぜそんなにしてまで原発にこだわるのか、僕にはとうてい理解できない。

 繰り返すが、どんなに素晴らしい技術と理解力を持った人間だって、絶対にミスを犯す。人間はミスを重ねながら進歩する。だからミスは歓迎すべきだ、という人もいる。それは正しいだろう。けれど、それを原発へ適用することだけは“絶対に”してはならない。

 原発での事故は、自分の世代だけではなく、数百年数千年…いや数万年の彼方まで影響を及ぼす。なぜ、原子力ムラの村民たちはそれを想像できないのか。それとも、自らが神の座にある、とでも思い上がっているのだろうか。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p、3月9日】

原発事故と規制委―教訓いかす改革続けよ
2014年3月9日(日)付

 原発再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が、最初のヤマ場を迎えつつある。

 新しい規制基準に比較的早く適合しそうな原発の絞り込みが進み、最初の再稼働の候補原発が「優先審査」の対象として近く公表される見込みだ。

 再稼働に前のめりな政治家らからは「世界一厳しい規制」といった言葉も聞かれる。基準を満たしさえすれば問題ない、と言いたげだ。

 だが、それは違う。

 周辺住民の避難計画や使用済み核燃料の行き先など、規制基準には含まれない大きな問題が横たわっている。それだけではない。規制委による審査そのものも改革途上であるからだ。

 規制委の審査はまだ、福島第一原発事故の反省を十分に反映しているとはいえない。狭い範囲に多くの原発がある集中立地の問題など、重要課題がいくつも残されている。


■集中立地は未検討

 思い起こそう。3年前、福島第一では1、2、3号機が次々に炉心溶融を起こし、大量の放射性物質をまき散らした。

 「どこまでひどいことになるのか」。日本中が底知れない恐怖に襲われた。

 4号機の燃料プールが過熱して使用済み核燃料が大規模に破損すれば、放射能汚染で近づけなくなる恐れがあった。

 そうなれば、停止中の5、6号機や12キロほどしか離れていない福島第二の4基まで、最大10基の原発から次々に放射能が放出されることもありえたのだ。

 運転員の懸命な努力や4号機燃料プールに大量の水が流れ込んだ幸運などで、「最悪のシナリオ」はかろうじて免れた。

 それでも、世界の原子力規制当局には衝撃を与えた。主流になっている軽水炉で放射能を大量放出する過酷事故が起き、さらに燃料プールや集中立地のリスクまで浮上したためだ。

 日本を含む各国とも、自然災害対策などを見直し、複数基の同時事故に対応できる態勢を事業者に求めるようになった。

 ただ、7基を抱える柏崎刈羽原発(新潟県)があり、福井県内には14基の原発・高速増殖炉が集まるなど、日本は集中立地では世界的にも突出している。それを考えると、規制委の取り組みは甘い。

 規制委の田中俊一委員長は「いずれ議論しなければいけないが、まだしていない」という。1カ所でいくつもの原発が同時に動く状況はまだ先と考えているからのようだ。

 しかし、燃料が入った原発は止まっていても危険がある。運転は1基でも、近くに原発があれば事故拡大の危険がつきまとう。特に複数の事業者が絡むと事業者任せではすまない。

 日本こそ率先して検討すべき問題だ。集中立地のリスクに正面から向き合わずに、審査結果をどう説明するつもりなのか。


■訓練も抜き打ちで

 新規制基準は、地震や津波などの自然災害に備えた設備面では格段に厳しくなった。

 過酷事故も想定させ、各原子炉で炉心損傷事故の確率を1万年に1回程度以下に抑えるなどとする「安全目標」も定めた。目標を満たすように構造や設備を強化させる。

 欧米では広く採用されている手法で、日本でも10年以上前から議論されながら安全神話に阻まれて導入されずにきた。

 安全目標で比べれば、各国とほぼ同水準であり「世界一」ではない。設備の追加要求に事業者は不満顔だが、自然災害の多い日本では最低限の水準と考えるべきだ。

 一方、運転時の事故対応などソフト面の規制はまだ弱い。航空機の衝突しか考慮していないテロ対策も含め、抜本的な見直しが必要だ。訓練の立ち会いで済まさず、事故やテロ時の対応を事前の打ち合わせなしで実地で審査するなど、海外の実践例にも学んで強化すべきである。


■周回遅れ取り戻せ

 福島での事故は事業者に都合のいい規制のもとで起きた。規制強化は欧米から周回遅れであり、早く追いつく必要がある。

 国民への説明にはもっと意をつくすべきだ。委員長会見や審査会合をインターネットで中継したりしているが、審査や規制について社会にどこまで伝わっているだろうか。避難計画への関与も強めてもらいたい。

 実務にあたる職員の能力と意欲を高めることも不可欠だ。

 原子力規制庁は原子力安全基盤機構を統合し、職員が約千人に倍増した。機構は事故前も審査実務を担い、「事業者寄り」との批判を浴びた。新生規制庁は意識を改め、事業者と健全な緊張関係を持ち、規制の質を高めなければならない。

 それには規制委が原発推進派から独立を保ち、規制の意義を職員に浸透させる必要がある。

 安倍政権や事業者は再稼働を急ごうとしている。しかし、規制委はあくまで厳格な審査を貫き、常に改善策を追究していく姿勢が求められる。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030902000146.html

【社説】
3・11から3年 まだ知らないフクシマ
2014年3月9日

 過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目になる-。原発事故にも通ずるかもしれない。あれから三年。私たちは、福島原発事故を実はまだ知らない。

 忘却が神話を復活させるのか。

 政府のエネルギー基本計画案は原発をあらためて「重要なベースロード電源」と位置付けた。昼夜を問わず、一定量の電力供給を担う主要な発電設備のことをいう。

 一昨年の衆院選で掲げた脱原発依存の約束に目をつむり、3・11以前に戻したいという意味だ。


◆忘却とは少し違う

 「忘却というのは、ちょっと違うかな…」

 写真家の島田恵さんは、少しの間考え込んだ。核燃料サイクル施設が集中する青森県六ケ所村で十二年間生活し、変わっていく村の様子、変われない村の暮らしをつぶさに記録し続けたことがある。

 3・11の後、六ケ所と福島を結ぶ記録映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」を製作し、自主上映会を経て先月、東京・渋谷の映画館で初公開した。

 核燃料サイクルとは、原発で使用済みの核燃料を再利用する計画だ。エネルギー政策の根幹ともされてきた。

 核のごみが全国から集まる六ケ所村も、福島同様、国策に翻弄(ほんろう)されながら、都市の繁栄を支えてきた。いわば入り口と出口の関係だと、島田さんは考える。

 巨額の交付金と引き換えに推進派と反対派に分断された寒村は、列島の縮図にも映る。

 この三年、おびただしい活字と映像が、フクシマを伝えてきた。周囲から「公開のタイミングを外したのでは」と指摘されたこともある。

 それでもなお、映画を見た多くの人が「知らなかった」という感想を寄せてくる。


◆事故報告書は未完成

 私たちは福島をまだ知らない。

 福島原発事故がどれほど大きな事故だったのか。もし偶然の救いがなければ、どれほど巨大な事故になったか。国民として、もっと正しく知る必要があるだろう。

 国会事故調の調査期間は、実質約三カ月だったという。

 報告書は「破損した原子炉の現状は詳しくは判明しておらず、今後の地震、台風などの自然災害に果たして耐えられるのか分からない」などと、冒頭で未完成であることを吐露している。

 例えば、こんな事実もある。

 震災発生当日、福島第一原発4号機は定期点検中で、核燃料はすべて使用済み燃料の貯蔵プールに移されていた。

 プールの中では約千五百体の核燃料が高い崩壊熱を発しており、最も危険な状態だったとされている。放射線量が高く建屋の中に入ることは不可能だったと、作業員は語っている。

 燃料を冷やす手だてがなかったということだ。

 ところが、貯蔵プールの横にある「原子炉ウェル」と呼ばれる縦穴に、大量の水がたまっていた。

 津波か地震の衝撃で仕切り板がずれ、そこから貯蔵プールに水が流れて冷やしてくれた。

 そして皮肉にも爆発で建屋の屋根が飛び、外部からの注水が可能になった。

 点検作業の不手際があり、四日前に抜き取られていたはずの水がそこに残されていた。もし“不手際”がなかったら-。私たちは幸運だったのだ。

 チェルノブイリ原発事故の原因について、当時のソ連当局は、規則違反の動作試験が行われたため、運転出力が急上昇したことによると発表した。

 しかし、事故から五年後、「主因は人為的なものではなく、原子炉の構造的な欠陥である」という内容の報告書をまとめている。

 米スリーマイル原発事故が起きたのは、作業員が誤って非常用冷却装置を止めてしまったからだと、調査の結果判明した。

 事故原因が解析され、判明し、防止策を講じた上で、原発は再び動き始めた。しかし、福島の場合はどうか。世界史にも例がない多重事故は極めて複雑だ。

 原因解明が不十分なまま再稼働だけを急いで、本当に大丈夫なのだろうか。根源的な疑問は、やっぱり残る。


◆無事故の保証ではない

 3・11以前への回帰を目指すエネルギー基本計画が、間もなく正式に決定される。

 政府は、積極的に再稼働を認める姿勢を隠さない。

 だが、原子力規制庁自身が明確に認めているように、世界一の規制基準とは、たとえそうであれ、無事故を保証するものではない。 地震国日本に、安全な場所はない。なし崩しの再稼働を受け入れるか、受け入れないか。フクシマを知り、フクシマの今を踏まえて、決めるのは私たち自身である。
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原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会』(2/2)へつづく)

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