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●3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 能登半島地震の警告は? 正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?

2024年03月12日 00時00分47秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(20240228[])
10年前、(2014年2月26日)《いま、東電で起きていること、原子力規制委員会の危うい動き》(鈴木耕さん、マガジン9)を思い出す。原子力〝推進〟委員会、原子力〝寄生〟委員会、昔から酷かったが、ここ数年、あまりに酷い。全く「規制」する気のない委員会。委員会そのものに核発電について「適格性がある」かどうかを判断する「適格性がある」のか?
 《能登半島地震は、複数の断層が連動して大きな揺れを起こしたと立石さんはみる一方、柏崎刈羽原発の周辺で断層が連動する事態が十分に検証できていないとし、こう唱える。「現状ではどれほどの揺れや津波が原発を襲うのかは分からない。能登半島地震を機にさらに議論すべきだ」》《◆デスクメモ 想定外」に抵抗感を抱く厳しい想定を検証しないまま、深刻な事態が生じると「想定外」と言い逃れる。そんな印象を持つからだ。甚大な汚染をもたらしうる原発地震に耐えられるか住民は逃げられるか。必要なのは懸念に向き合う姿勢。責任逃れの言い訳は救いにならない。(榊)》(東京新聞)。

   『●原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会(1/2)
   『●鈴木耕さん《一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で
     否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば…》

 渡辺聖子記者による、東京新聞の記事【「何が言いたいのか分からない」敦賀原発2号機の再開審査で規制委を呆れさせた、原電の支離滅裂な説明】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/293775)。《地質データの不適切な書き換えで中断していた日本原子力発電原電敦賀原発2号機(福井県)について、原子力規制委員会は新規制基準に適合するかどうかの審査を再開したが、またも滞り始めた。原電の説明が科学的根拠に乏しく、肝心の断層を巡る議論では自らの主張にほころびが出る事態に陥った。(渡辺聖子)》。

 はぁ? 全く「規制」しない原子力「寄生」委は正気か??
 渡辺聖子記者による、東京新聞の記事【柏崎刈羽原発の「運転禁止」解除、原子力規制委は甘くないか 書類確認3カ月、現場調査10日間、議論1時間】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/294448)。《東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の運転禁止命令解除に道筋を付けた6日の原子力規制委員会の対応は、東電に対する甘い姿勢が浮き彫りとなった。テロ対策不備の再発防止の取り組みを、改善途中にもかかわらず是正したと判断原発を運転する適格性については表面的な確認作業でお墨付きを与えた。世界最悪レベルの原発事故と重大なテロ対策不備の当事者への厳しい姿勢は感じられない。(渡辺聖子)》。

 3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?
 東京新聞の記事【柏崎刈羽原発、「運転禁止」命令を解除 東京電力のテロ対策は改善と判断 原子力規制委員会】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/298081)。《原子力規制委員会は27日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出している事実上の運転禁止命令の解除を正式に決めた。2021年4月の命令から2年8カ月余り、福島第1原発で世界最悪レベルの事故を起こした東電再び原発の運転に向けた準備に入る。定例会合では、東電に対する特別な検査態勢を解くことに対し、委員5人全員が賛成。これにより、運転禁止命令の解除が決まった。27日午後に東電に通知する》。

 そもそも東電に資格はあるのか? 未だ《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 柏崎刈羽? バッカじゃないのか!
 山田祐一郎西田直晃両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「柏崎刈羽」周辺道路にも無数の亀裂…「原発は本当に大丈夫か?」地元に広がる不安の声】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/301911)。《犠牲者が200人を超えた能登半島地震。阪神大震災を上回るマグニチュード(M)7.6を記録し、日本海側でも巨大地震が起きると改めて浮き彫りになった。やはり心配なのが原発だ。東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県刈羽村では、安全面を危ぶむ声が強まっている。原発があっても本当に大丈夫か。検証は尽くされているのか。(山田祐一郎西田直晃)》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/293775

「何が言いたいのか分からない」敦賀原発2号機の再開審査で規制委を呆れさせた、原電の支離滅裂な説明
2023年12月4日 06時00分

 地質データの不適切な書き換えで中断していた日本原子力発電原電敦賀原発2号機(福井県)について、原子力規制委員会は新規制基準に適合するかどうかの審査を再開したが、またも滞り始めた。原電の説明が科学的根拠に乏しく、肝心の断層を巡る議論では自らの主張にほころびが出る事態に陥った。(渡辺聖子


 敦賀原発2号機の審査 2015年11月、日本原子力発電(原電)が原子力規制委員会に新規制基準への適合性審査を申請。20年に規制委側の指摘で地質データの書き換えが発覚した。活断層の可能性につながる記載を、否定につながる記載に無断で書き換えるなどした。修正後の資料でも、地層の観察場所を間違えた。審査は2度にわたり中断。原電が今年8月、修正した申請書を再提出し、9月に再開した。


◆建屋近くのK断層、活動時期は?

 審査の一つ目の焦点は、原子炉建屋近くにある「K断層」が活断層かどうか。新規制基準は、約12万~13万年前の後期更新世以降の活動を否定できない断層を、活断層と定義。活動時期がキーポイントになる。
 この点を議論した11月10日の規制委の会合で、原電が矛盾した説明を展開し、規制委事務局の担当者を困惑させた。
 原電は、K断層が活動した形跡のある地層の年代を「12万4000~14万2000年前」とした分析結果について、K断層の活動時期は後期更新世よりも古く、活断層ではないと主張した。

 だが数値の一部は後期更新世に含まれており、原電の説明はつじつまが合わない。規制委事務局が繰り返し矛盾を指摘しても「総合的に判断した」と不明確な回答に終始。規制委側が念押しのように「後期更新世に入っているという認識でいいのか」と問いただすと、原電の担当者は「(後期更新世に)かかるのはそうなる」と認めた。
 このやりとりを見れば、原電が活断層の可能性を認めた格好だ。


◆申請書に必要なデータがない?

 原電の審査は、再提出された申請書に必要な説明やデータが漏れなく盛り込まれたことを「前提」として、今年9月に再開した。
 ところが、この日の審査会合では、原電の要領を得ない説明が続いた。規制委事務局の質問に対し、原電は「あらためて整理する」「持ち帰り検討する」などと繰り返すばかり。質問の意味が理解できない原電の担当者が、沈黙する場面もあった
 いら立った規制委事務局の幹部が「これからデータを取る話なのか」と、審査再開の前提が守られているのかを確認しても、原電の剣田裕史副社長は「根拠となるデータを整理して再度示したい」としか答えられなかった。規制委と約束した前提はほぼ崩れている。
 K断層が活断層と判断された場合、審査はK断層が2号機直下にある別の断層につながるかどうかの議論に移る。K断層が活断層であり、なおかつ2号機直下の断層につながると判断されれば、「2号機直下に活断層あり」という結論になる。


◆2号機廃炉の可能性があるのに

 2号機直下の断層を巡っては、2012年に規制委の専門家チームが「活断層の可能性が否定できない」と指摘。新規制基準は活断層の上に原子炉など重要施設の設置を認めていない。原電が今回の審査で、活断層の可能性はないことを立証できなければ、2号機の廃炉は免れない
 再開した審査も、根拠が足りない説明で始まり、踏み込んだ議論に入れないまま。能力不足を露呈した原電に対し、規制委事務局の幹部は疲れた様子でこぼした。「質問と答えがかみ合わない。何が言いたいのか分からない


【関連記事】「これで十分と思っているのか」 再開された敦賀原発2号機の審査で規制委委員がデータ不足を指摘
【関連記事】不備だらけ申請を修正したら3倍超の1600ページに…どうなる?敦賀原発2号機の再稼働
【関連記事】敦賀原発2号機「審査中断」でどうする原電? 原子力規制委から「最後通告」
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/294448

柏崎刈羽原発の「運転禁止」解除、原子力規制委は甘くないか 書類確認3カ月、現場調査10日間、議論1時間
2023年12月7日 06時00分

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の運転禁止命令解除に道筋を付けた6日の原子力規制委員会の対応は、東電に対する甘い姿勢が浮き彫りとなった。テロ対策不備の再発防止の取り組みを、改善途中にもかかわらず是正したと判断原発を運転する適格性については表面的な確認作業でお墨付きを与えた。世界最悪レベルの原発事故と重大なテロ対策不備の当事者への厳しい姿勢は感じられない。(渡辺聖子


 柏崎刈羽原発 新潟県柏崎市と刈羽村にまたがって立地。東電福島第1原発と同じ沸騰水型という軽水炉が計7基あり、総出力は821万2000キロワットと世界最大規模。東電は新しく、出力が大きい6、7号機の再稼働を優先し、2013年に原子力規制委員会に新規制基準の審査を申請。17年に適合した。新基準に沿った事故対策では、工事の未完了や溶接の施工不良などの不備が続いた。

     (柏崎刈羽原発の検査について説明する原子力規制委員会の
      山中伸介委員長=6日、東京都港区で)


◆規制委で追及の場面なく、議論は1時間足らず

 「追加することはない」。6日の定例会合で、山中伸介委員長が検査結果が妥当かどうかを4人の委員に確かめると、いずれも同じ返事を繰り返した。山中委員長も事務局の報告をすんなりと受け入れた。
 委員らは、現地調査や東電社長への聴取をしないと最終的な判断はできないとの意見で一致したが、伴信彦委員が「明らかに改善が図られている」と発言するなど、東電の取り組みを前向きにとらえる見方が続いた。問題点を追及する場面はなく、1時間足らずで委員間の議論を終えた。
 テロ対策の検査は荒天時の監視体制や、IDカードの不正利用など不備再発防止の取り組みを一過性にしないなど、4項目が最後まで残った。報告書案は、これらすべてについて「自らミスを見つけて改善できる仕組みが定着しつつある」とした。


◆検査中もあったテロ対策の違反

 「しつつある」という改善の途中段階と受け取れる表現は、検査官19人全員の一致した認識という。山中委員長は記者会見で「規制当局が介入して改善を促す状況は脱した」と繰り返した。東電内で自律的な改善を担う社長直轄の部署は発足から半年余りと日が浅く、事務局は取り組みの定着までは確認していない。
 テロ対策の違反は検査中もなくならなかった。東電が4項目の是正完了を規制委に報告した後の11月にも、薬物検査で陽性反応が出た社員を誤って防護区域に入れていたことが発覚。しかし規制委は「軽微な事案と取り合わなかった。「ミスが起きても、自ら見つけて改善できれば良い」と事務局担当者。山中委員長も「報告書に影響はしなかった」と強調した。
 命令解除の判断材料となる適格性の再確認は、うわべだけの確認作業で引き続き「あり」と判断した。
 6年前に適格性が「ある」と判断した際に規制委が確認した7項目には、福島第1原発の廃炉への責任も含まれる。


◆「正確な情報発信」は適格性と関係ない?

 ところが今回は「正確な情報発信を通じて関係者の理解を得ながら廃炉に取り組む」という部分が「規制に直接関係しない」との理由で確認の対象外に。漁業関係者らの反対を押し切って始めた処理水の海洋放出目標が達成された」とする項目に入った。

     (テロ対策についての検査報告書案などを議論した
      原子力規制委員会=6日、東京都港区で)

 10月に浄化処理設備で起きた作業員の被ばく事故は「現在検査中としただけで考慮されなかった。始まる見通しのない原子炉内に溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しをはじめ難航する作業ばかりだが、確認結果は「廃炉は総じて進捗(しんちょく)している」とした。
 事務局が報告までにかけた期間は8月から約3カ月。主に書類で確かめる作業だった。内容の確認や聞き取りのため職員が現地や本社に出向いたのは計10日間。山中委員長は「時間的に不十分だとは思っていない」と言い切った。


【関連記事】柏崎刈羽原発「問題ない」規制委が今年中にも運転禁止命令解除へ 東電の再発防止策を評価
【関連記事】「飛散しない」自己判断でカッパ着ず、廃液が飛散して被ばく
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/298081

柏崎刈羽原発、「運転禁止」命令を解除 東京電力のテロ対策は改善と判断 原子力規制委員会
2023年12月27日 11時10分

 原子力規制委員会は27日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出している事実上の運転禁止命令の解除を正式に決めた。2021年4月の命令から2年8カ月余り、福島第1原発で世界最悪レベルの事故を起こした東電が再び原発の運転に向けた準備に入る
 定例会合では、東電に対する特別な検査態勢を解くことに対し、委員5人全員が賛成。これにより、運転禁止命令の解除が決まった。27日午後に東電に通知する。


◆命令の後も続いた違反

 柏崎刈羽原発では、2021年1月以降、東電社員によるIDカードの不正利用や、侵入検知装置が多数壊れた上に代わりの対策も不十分なまま放置したテロ対策の不備が相次いで発覚。規制委はこの年の4月に核燃料の移動禁止を命じ、東電の再発防止策に対する検査を続けてきた。

     (東京電力柏崎刈羽原発の6号機、7号機(右から))

 しかし、規制委の検査中も東電のテロ対策不備は相次いだ。2022年6月には監視用の照明設備が非常用電源に接続されていなかったことが発覚。これを是正したものの、翌年の2023年6月に別の照明設備に電源が接続されていないことが発覚した。

 ほかにも、手荷物検査が不十分で未許可の携帯電話やスマートフォンが持ち込まれた違反が、2023年1月以降で少なくとも3回起きた。今から2カ月まえの2023年10月には、薬物検査で陽性反応が出た社員を防護が必要な区域に一時入域させるなど、違反は後を絶たない。


◆規制委は「影響は軽微」と判断

 規制委はこれらの違反について、いずれも「影響は軽微」として再発防止策の検査には影響しないと判断。今月(2023年12月)6日の定例会合で、すべての再発防止策は妥当とする事務局の検査報告を大筋で了承した。
 また、柏崎刈羽原発の新規制基準適合性審査では、東電が2013年に6、7号機の審査を規制委に申請。規制委は東電が福島第1原発事故の当事者であることを考慮し、東電に原発を運転する適格性があるかも確かめた。2017年9月に「適格性がある」と判断し、その上で同年12月に事故対策が新規制基準に適合するとの審査書を決定した。
 今回の命令解除の手続きでは、規制委は今月(2023年12月)20日、東京電力の小早川智明社長を呼び、テロ対策の再発防止策と原発を運転する資格(適格性)があるかどうかを判断するために説明を聴いた。この日の委員5人による話し合いでは、小早川社長の説明に大きな問題はない、との意見で一致していた。
 今後、東京電力が柏崎刈羽原発を再稼働するには新潟県などの立地自治体の同意が必要となる。花角英世知事は同意の是非を巡って「県民の信を問う」と述べている。


【関連記事】20日の聴取 小早川智明・東京電力社長が答えあぐねたシンプルな質問
【関連記事】自民県議も「東京電力には原発を運転してほしくない」…新潟が裏切られ続けた2年半
【関連記事】「下請け任せ」は企業文化なのか…作業のリスクを軽視し続ける東京電力の姿勢
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/301911

こちら特報部
「柏崎刈羽」周辺道路にも無数の亀裂…「原発は本当に大丈夫か?」地元に広がる不安の声
2024年1月11日 12時00分

 犠牲者が200人を超えた能登半島地震。阪神大震災を上回るマグニチュード(M)7.6を記録し、日本海側でも巨大地震が起きると改めて浮き彫りになった。やはり心配なのが原発だ。東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県刈羽村では、安全面を危ぶむ声が強まっている。原発があっても本当に大丈夫か。検証は尽くされているのか。(山田祐一郎西田直晃


◆震源地から百数十km離れてても震度5強の揺れ

 10日午前、「こちら特報部」は雪がちらつく刈羽村に入った。前日夕には、佐渡付近を震源とするM6.0の地震があったばかり。村では震度3を観測した。
 JR刈羽駅から南に1キロ離れた村役場に徒歩で向かう。道路には真新しいひび割れが無数に見られた。役場近くの国道116号は片側3車線から歩道までひびが斜めに伸び、中央分離帯部分が盛り上がっていた

     (国道に広がる路面のひび=新潟県刈羽村で)

 「元日の地震でできたひびですね」。説明してくれたのは歩道橋工事の交通誘導員をしていた男性。1日の能登半島地震では、震源地から東に百数十キロ離れた刈羽村は震度5強の揺れに襲われた。ひびは既に応急処置されたというが「交差点の脇に立っていると、大型車両が通るたびに歩道が揺れる」と男性は話す。


◆もし原発で事故が起きたら、避難できる?

 「海岸部を中心に液状化の被害が多数報告されている」。村議の武本和幸さん(74)は、数日前に村内で撮影した写真を見せながら説明する。「昨年、整備したばかりの村道も地盤が液状化してアスファルトの路面がひび割れている」
 1日は外出先から帰宅したところに地震が起きた。「2007年の中越沖地震を思い起こさせる揺れ。原発は大丈夫なのかというのが最初に脳裏によぎった」。中越沖地震はM6.8で、最大震度6強。柏崎刈羽原発の屋外変圧器で火災が起き、微量の放射性物質を含む水が海に流出した。

     (村内の被害について説明する武本和幸さん=新潟県刈羽村で)

 今回は燃料プールの水があふれたが、大きな異常は確認されていない。それでも武本さんが問題視するのは、大地震により柏崎刈羽原発で事故が起きた際の対応、特に避難のあり方だ。懸念を強めるのは1日の経験から。地震直後、国道や高速道路は通行止めとなった。「避難しようとした住民が渋滞に巻き込まれたという話が多く寄せられた」


◆道路は見渡す限り車、高台への避難を断念

 原発の南西約3キロに住む無職宮崎孝司さん(79)は1日に避難を試みた一人。「防災無線で津波警報が出たことを知り、家族3人で車で高台へ避難しようとしたが、道路は見渡す限り車で埋まっていた。Uターンして当初とは別の場所に避難した」と振り返る。

     (1日の地震の影響で路面がひび割れた道路
      =6日、新潟県刈羽村で(武本和幸さん提供))

 付近の国道では2022年12月に記録的な大雪で多くの車が立ち往生した。大雪の際に原子力災害が発生した場合、政府は原発の5キロ圏について「避難経路の除雪が完了するまで屋内退避を継続」との方針案を示している。宮崎さんは「津波も起き、避難が必要な場合はどうすればいいのか」と危惧し、避難するにしても「道路は地震で寸断され、雪で立ち往生する複合災害もあり得る」と訴える。


◆想定外の揺れ、海底隆起…もし原発が稼働中だったら?

 刈羽村と同様、柏崎刈羽原発が立地する柏崎市在住で医師の本間保さん(73)は「能登半島の北陸電力志賀原発も柏崎刈羽原発も運転停止中のため、これだけの被害で済んだのでは」とみる。「原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」共同代表でもある本間さんは「原発を動かすのは無理だともう一度、声を上げる時期に来ている」と続ける。

     (地震で海底が隆起したとみられる石川県輪島市
      門前町の深見漁港周辺=本社ヘリ「あさづる」から)

 今回の地震では、能登半島の海底が隆起し、従来は海だった場所が陸になったことが確認された。先の武本さんは柏崎刈羽原発周辺でこうした地盤の隆起が生じることを危ぶむ。「外部から冷却水を取ることが困難になる可能性もある
 さらに「中越沖地震では想定外の揺れが、東日本大震災では津波が問題となった。今回、原発周辺の地盤が変動するリスクも明らかになった。再稼働の議論の前にリスクについて改めて評価すべきだ」と訴える。


◆日本海側でも巨大地震が起きると実証

 日本で大地震といえば太平洋側を思い浮かべがちだが、過去には日本海側でも起きた。ともに津波で多数の死者が出た1983年の日本海中部地震(M7.7)、93年の北海道南西沖地震(M7.8)などがある。

     (1日の地震の影響で路面がひび割れた道路
      =6日、新潟県刈羽村で(武本和幸さん提供))

 政府の地震調査研究推進本部は、日本海側の一部の海域活断層について、地震発生の確率の評価を公表してきたが、能登半島沖を含む大部分は未公表だ。金沢大の平松良浩教授(地震学)は「太平洋側に比べ、日本海側の評価は後回しになっている」と説明する。
 再来周期が数十年〜数百年のプレート境界型地震を想定する太平洋側に比べ、日本海側で起きる活断層型地震の再来周期は数千年〜数万年程度とされる。「予算や人員が限られる中、活動性の違いから日本海側は二の次にされている」
 そう語る平松さんは「個々の再来周期は長くても、多数の活断層があるため、平均的に考えればどこかしらで地震は起きてしまう。津波を伴う大地震もあり、日本海側でも調査を進めるべきだ」と指摘する。


◆原発設計時の想定上回る揺れも

 地震の被害は丁寧な検証が不可欠だ。想定を上回る場合があるからだ。能登半島地震では、石川県地域防災計画で想定されたM7.0を超えた。先に触れた中越沖地震では、柏崎刈羽原発の設計時に想定した最大の揺れを上回ったほか、建屋地下にある鉄筋コンクリート製のくいの損傷が、地震発生から14年を経て発覚する事態も起きた。

     (新潟県の東京電力柏崎刈羽原発=2021年4月撮影)

 そんな不安があっても政府は原発再稼働に躍起になる。柏崎刈羽原発も例に漏れず、2017年末に6号機、7号機が原子力規制委員会の適合性審査を通り、テロ対策の不備で21年に出された事実上の運転禁止命令も23年末に解除された
 再稼働の判断に関わる新潟県が安全面の砦(とりで)になるはずだが、厳しい視線を向ける研究者が近年、「排除」を思わせる扱いを受けた
 11年の東電福島第1原発事故を受け、県は柏崎刈羽原発の再稼働判断のため、三つの検証委で議論を深めたが、技術面を扱う委員会に名を連ねた新潟大の立石雅昭名誉教授は21年、高齢を理由に再任が見送られた。三つの検証を総括する委員会のトップ、名古屋大の池内了名誉教授も23年、任期が更新されなかった


◆「今回の地震を機に議論深めるべき」

 厳しい検証が遠のく中、改めて浮かび上がったのが日本海側の巨大地震リスクだ。地質学者の立石さんは「県は再稼働に前のめりにならず、従来の考え方を改める必要がある」と語る。
 能登半島地震は、複数の断層が連動して大きな揺れを起こしたと立石さんはみる一方、柏崎刈羽原発の周辺で断層が連動する事態が十分に検証できていないとし、こう唱える。「現状ではどれほどの揺れや津波が原発を襲うのかは分からない。能登半島地震を機にさらに議論すべきだ」


◆デスクメモ

 想定外」に抵抗感を抱く厳しい想定を検証しないまま、深刻な事態が生じると「想定外」と言い逃れる。そんな印象を持つからだ。甚大な汚染をもたらしうる原発地震に耐えられるか住民は逃げられるか。必要なのは懸念に向き合う姿勢。責任逃れの言い訳は救いにならない。(榊)


【関連記事】海底が隆起? 防波堤の外まで陸になり、海ははるか先に… 能登半島地震で一帯の漁港に異変
【関連記事】志賀原発「異常なし」から考えた 運転中だったら?「珠洲原発」だったら? 震度7の地震は想定内なのか
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コメント
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●柏崎刈羽核発電、新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》ではなかったのか? なのに、こんな知事を選んでしまうから、こんな結果になる…

2023年04月21日 00時00分55秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


// (2023年04月07日[金])
新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》ではなかったのか? なのに、こんな知事を選んでしまうから、こんな結果になるのは必然。

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》
   『●国や経産省、東京電力は「原状回復」することなく東京電力核発電人災
     被災地は放置で、一方、東京電力CMはちゃっかり「原状回復」かょ…
   『●東京新聞《<ぎろんの森>原発推進組織に逆戻りか》―――― すごく
      控えめな表現…単に「原子力規制委員会」に看板を掛け代えただけ
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増
     を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委員会が追認…「推進」委、
       核に巣食う核「寄生」委、例外中の例外のはずが原則40年を無視
   『●東京電力核発電人災の教訓はどこに? 《一歩間違えば国全体が壊滅
     してもおかしくなかったほどの大事故を経験した日本》、その教訓は?
   『●野党議員だった頃の河野太郎氏「原子炉と使用済み核燃料プールは、
     テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」
   『●どこが「規制」? 原子力規制庁と経産省の職員が《面会する場所として、
      なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた。慎重を期すべき規制…》


 花角英世新潟県知事から検証委トップに指名されたという米山隆一さんのエイプリルフールの嘘に騙されたのだけれども、《検証委トップが「解任される」》というのは事実でした。
 岸本拓也中山岳両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/坂本龍一さんも憂えた柏崎刈羽原発…検証委トップが「解任される」 新潟県は再稼働慎重論を嫌った?】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/241921?rct=tokuhou)によると、《原発に厳しいまなざしを向けてきた音楽家の坂本龍一さんが亡くなった。生前、問題意識を持った一つが東京電力柏崎刈羽原発。その地元が今、揺れている。新潟県は有識者の検証後に再稼働を判断する方針だったのに、検証をまとめる総括委員会のトップが役目を果たす前に「解任される」と明かしたのだ。これでは検証がないがしろにされかねない。現状に至る経緯、県の思惑を探った。(岸本拓也中山岳)》。

   『●発言に人格が現れ、呼ばれ方に
          人間性が表れる: 「石原元「ト」知事」と「栄佐久さん」
   『●安孫子亘監督映画「『知事抹殺』の真実」の 
      佐藤栄佐久元知事冤罪…泉田裕彦新潟県知事「事件」の背景に?
   『●よりによって自民党から出馬…「反東電ですが、
       反原発ではありません」な泉田裕彦前新潟県知事…
   『●米山隆一新潟県知事は「県に運転停止の権限」、
           「私は、根拠のない“ケンカ”はしません」と…
   『●「新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時」!
       東京電力に柏崎刈羽核発電所を再稼働させるなんて狂気な凶器
    「日刊ゲンダイの記事【米山知事辞職で状況急変 小躍りする自民と
     原子力マフィア】… 《米山知事は「県政の混乱を招いた責任を取った
     県民の信頼を裏切り、心よりおわびしたい」と語ったが、この突然の辞職に
     小躍りして喜んでいるのが自民党と原子力マフィアだろう》。
     大変に残念なニュース…大喜びする核発電「麻薬」中毒患者達
     《…自民県連の関係者は次の棚ボタ選挙は楽勝なんて喜んで…》
     …悔しいなぁ、何やってんだ一体もぅ…。泉田裕彦新潟元県知事
     ダークサイドに堕ち核発電「麻薬」中毒患者達は柏崎刈羽核発電所再稼働に
     向けて、遮二無二突進するでしょうね。新潟県民の皆さん、何とか踏ん張って
     ほしいい。《新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時だ》!」

   『●新潟県知事選: 「中央の紐付き忖度官僚候補
      VS再稼働反対の民意に寄り添う県議候補」という与野党激突
   『●花角英世新潟県新知事…「柳瀬氏同様、安倍政権下で
       出世してきた元官僚」…女性差別発言隠蔽は体質の体現
    「リテラの記事【横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」38/新潟県知事選
     “女性差別発言”問題で花角候補を直撃! 隣にいたのに
     「よく覚えていない」と“柳瀬元首相秘書官”状態】」

   『●「事実無根のデマ」…「もしこれが立件されれば、
       長谷川氏逮捕や花角新知事辞任の事態もありうるだろう」
   『●新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》なので、再稼働反対派の
            少なからずの方々が…「騙されることの責任」
    《花角知事は、国会議員への説明会で「当然ありうる」と発言した
     同じ15日に、経産省内で世耕弘成経産相と面談。花角知事は
     再稼働問題について具体的な議論はしなかったとしているが、
     会談後には記者団に対し「まったく動かさないから、
     100%動かすまですべてあり得る」と述べたという》
    「新潟《県民の多数は再稼働を拒絶している》はずなので、
     再稼働反対派の少なからずの方々が、自公候補者だった
     花角英世氏に投票してしまった訳だ。その結果が、
     《ところが、いや、やっぱりと言うべきか。その花角新知事が、
     はやくも馬脚を現したらしい。選挙戦中の発言から一転、
     原発再稼働を「当然ありうる」と言い出した》…。」

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/241921?rct=tokuhou

こちら特報部
坂本龍一さんも憂えた柏崎刈羽原発…検証委トップが「解任される」 新潟県は再稼働慎重論を嫌った?
2023年4月4日 11時30分

     (名古屋大名誉教授の池内了氏(2019年撮影))

 原発に厳しいまなざしを向けてきた音楽家の坂本龍一さんが亡くなった。生前、問題意識を持った一つが東京電力柏崎刈羽原発。その地元が今、揺れている。新潟県は有識者の検証後に再稼働を判断する方針だったのに、検証をまとめる総括委員会のトップが役目を果たす前に「解任される」と明かしたのだ。これでは検証がないがしろにされかねない。現状に至る経緯、県の思惑を探った。(岸本拓也中山岳

【関連記事】「大江さんに続いて逝ってしまった…」 環境問題でも活動した坂本龍一さんの死を悼む関係者たちの思い


◆「社会に必要な信頼を失わせる」

 「取り除けない不安を無視して、柏崎刈羽原発が再び稼働すれば、それは不安の連鎖を引き起こし、社会に必要な信頼を失わせる

 坂本さんを中心とした芸術家らは2007年、中越沖地震で被災した柏崎刈羽の運転再開の反対をそう呼びかけ、7000筆余の署名を県知事らに提出した。

 「再び地震に襲われれば、より重篤な事故を起こしかねません」とも警鐘を鳴らしたが、11年に福島第一原発事故が発生。脱原発をより強く訴えた。

 かねて行動を共にした自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長は「坂本さんは、原発も核兵器も気候変動も、人間を含めた生物や地球全体への脅威であると捉えていた。その志や思想を改めて考えるべきだ」と話す。

 その柏崎刈羽原発に対し、県は慎重な姿勢を採ってきた

 「福島の検証なくして再稼働判断なし」と考える泉田裕彦知事の下で12年、有識者による技術委員会で事故原因の分析を始めた。続く米山隆一知事は17年、福島原発事故を踏まえた健康影響と避難を検証する二つの委員会を設け、技術委を含む3委員会をまとめる検証総括委員会も創設。現在の花角英世知事も同じ立場を継承した。

     (東京電力柏崎刈羽原子力発電所の
      燃えた変圧器(2007年7月撮影))

 今年3月までに「三つの検証」の報告書が出そろい、総括委で取りまとめる段階に入った。ところが県は耳を疑う行動に出た。総括委員長だった名古屋大名誉教授の池内了(さとる)氏の任期が3月末に迫る中、更新しなかったのだ。29日に記者会見した池内氏は「(委員長を)解任されると解釈した」と述べた。


◆背景にあったのは「意見の対立」

 池内氏は取材に「運営方針を巡る意見の対立があった」と明かす。「三つの報告書では、柏崎刈羽の安全性のほか、東電に原発を動かす適格性があるのかといった点がきっちり記されていない県民はそれらを知りたい。総括委で取り上げたいと求めたが、無難な総括を求める県との間で折り合えず決裂した」

 検証委事務局の県原子力安全対策課の担当者は「福島事故を巡る三つの検証の内容に矛盾がないかの総括をお願いした。委員長は柏崎刈羽も検証範囲にしたいと主張したが、それは県の求めと違う」と説明する。

 対して池内氏は「運営や議題について県は当初、何の条件も付けていなかった」。互いの主張は平行線をたどり、総括委自体も21年1月の第2回を最後に開催されなかった。

 県はなぜ柏崎刈羽の安全性の議論を避けるのか

 彼らの言い分は「別の会議で議論する案件」だが、池内氏は「岸田政権が原発再稼働を明確に求め、東電も柏崎刈羽が動く前提で計画をつくる。県側が検証を拒むのは、再稼働をスムーズに進めたい思いが根底にあるからではないか」と推し量る。

 総括委の委員だった新潟国際情報大の佐々木寛教授(政治学)も「池内氏が総括を指揮したら東電の適格性や避難など本質的な検証になり、再稼働は難しいと結論が出る可能性が高い。県は政策手段を縛られるのを嫌ったのでは」とみる。


◆再稼働前提で電気代を計算

     (原発政策などについて話す新潟県の花角知事(2018年撮影))

 柏崎刈羽原発を巡っては2017年末、6号機と7号機が原子力規制委員会による新規制基準の審査を通った。テロ対策の不備で21年4月に事実上の運転禁止命令が出たが、岸田文雄首相は昨年8月、柏崎刈羽を含む停止中の原発再稼働に向けて「国が前面に立つ」と宣言。東電も今年1月、電気代のうち多くの家庭が契約する「規制料金」の値上げを国に申請した際、柏崎刈羽を10月に再稼働させる前提で計算した。

 そんな経過がありながら新潟県の検証は独自に進められた。県民が再稼働の是非を判断する上で、福島第一原発事故の検証は欠かせないとの考えからだ。

 福島原発事故については政府、国会、民間、東電の四つの事故調査委員会がそれぞれ、12年に報告書を公表している。その後も続いた新潟県の検証はどう評価すべきか。

 総括委に先駆けた「三つの検証」のうち、健康影響の委員会に名を連ねた独協医科大の木村真三准教授は「時間をかけ、新たに出てきたデータや事実も反映させながら進めてきた」と意義を説く。

 新潟県の検証は、これまでも少なくない成果を残してきた東電が「無い」としていたメルトダウンの定義を記したマニュアルの存在を明らかにし、事故原因として津波以外に地震の揺れの可能性も言及した。

 さらに「小児で診断された個別の甲状腺がんに関して、放射線による可能性を否定して、過剰診断、あるいは他の原因だとするだけの証拠は存在しない」と指摘。木村氏は「初期被ばくの線量評価がまともにできていないのに、影響を議論するのはおかしい」と解説する。

     (柏崎刈羽原発の再稼働について「現状では認められない
      と東京電力幹部に伝えた米山隆一知事㊨=2017年1月、
      新潟県庁で)

 ただ課題もある。例えば住民避難の検証では456点の課題を挙げた一方、柏崎刈羽で事故が起きた際の具体策まで示していないと木村氏は指摘する。「各委員会でベストは尽くしつつも、論点の持ち越しや議論が足らないと思われる部分はあった。そうした点を総括委で議論すると考えていた」


◆再任しないのは「早く終わらせたい」からなのか

 総括委の役割は本来、どうあるべきなのか。

 知事時代に総括委を設けた米山隆一衆院議員(立憲民主党)は「三つの委員会の議論を擦り合わせて各報告書の整合性を図り、原発で過酷事故が起きた場合の健康、生活、社会的コストを示すことだ」と話す。

 求められたのは俯瞰(ふかん)的な検証だったが、池内氏のほかにも、総括委のメンバーは任期が更新されず、事実上の休眠状態に入ってしまった。県が委員を選任せず独自に総括委を進めることまでささやかれている。「第三者が検証しなければ、客観性を保てない。このままでは検証当初の志が失われ、単なる論点の抽出に終わりかねない」

 今回と似たケースは2年前にもあった。「三つの検証」を担う一つ、技術委では原発稼働に慎重な学者らが「高齢」として任期が更新されなかった。

 煙たい存在だからといって、重要な検証作業から外していいのか。「排除の論理」が常態化しかねない現状を巡り、昨年の知事選で花角氏と対峙した片桐奈保美氏は危機感を募らせる。

 「花角氏は『期限を切らずに検証する』と言ってきたにもかかわらず、今や早く終わらせたがっているように見える。多くの委員を再任しない姿勢からも『再稼働を目指す政府や東電と足並みをそろえている』と思われても仕方ないのでは」と述べ「県費を使って進める検証がこのままでいいか。県議選を含めた統一地方選で議論を促すためにも、新潟県民の一人一人が意志を示してほしい」と訴えた。


◆デスクメモ

 昨年の知事選。立憲民主党は独自候補を出さず、自主投票とした。結果的に自公が推す花角氏は大勝。同氏が自公の意をくもうとするのはある意味、当然のような。立民の選択は正しかったのか改めて認識すべきは選挙の重み花角氏を推した連合との関係も含め、要検証だろう。(榊)
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●相も変わらず大量検査せず…《政府は人々を犠牲にして「国難」を乗り切る集団免疫路線をとっていると思わざるをえない》(小倉利丸さん)

2020年05月02日 00時00分50秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



レイバーネットの書評【〔週刊 本の発見〕軽々しく五輪に乗ってはいけない!~『反東京オリンピック宣言』】(http://www.labornetjp.org/news/2020/hon155)。
日刊ゲンダイの記事【新規感染者数より刮目 日本と東京が陥る“高”陽性率の恐怖】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/272435)。

 《4年前のブラジルリオ五輪開催時に狙いを定めて出版された17名の執筆者による編著。東京2020五輪の問題を考えるうえでとても参考になる。収束不能な原発事故を起こしたこの国の首相が、軽々しくアンダーコントロールを騙り復興五輪を看板に掲げる人災五輪。国が決めたことに「どうせやるなら」派が軽々しくノッてしまう社会の空気って、なに? 国が招致した複合災害オリンピックに「未必の故意」の共犯者として私たちが動員されないためのストッパーとして、この本が出版されたことに感謝》。
 《新型コロナウイルスの新規感染者数の推移に疑問の声が上がっている。国内は11日の743人、累計感染者数が最大の東京都は17日の201人をピークに漸減傾向。感染拡大が抑制されているかのようだが、陽性率は高止まりしている。欧州が7%未満、韓国が3%ほどなのに対し、日本は約8・7%東京は約12・3%。市中感染が広がり、無症状感染者が増加している可能性が高い》。

 金(カネ)色の五つの輪なんて要らない。1年後に開催なんて無理でしょ? 今すぐに、中止し、COVID19対策に人員・資材・金銭を集中すべき。いまや、味をしめたアベ様や小池百合子「ト」知事らは、COVID19にも《アンダーコントロール》演出で時間を空費。《非常に多くの陽性者を見逃している可能性が高い》…大量検査・追跡・隔離していないわけですから、市中は恐ろしいことになっているはずです。
 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/WHO事務局長に踊らされた東京五輪】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202004250000138.html)によると、《結論は出たのではないか。IOC、WHO、東京五輪組織委員会、東京都、日本政府は早急に中止を宣言し、五輪予算を組み替え、コロナ禍に使うべきだ。終息後の経済復興の予算計上ばかりに気を使う政府だが、今そこにある危機を乗り越えてからの話を今する必要はない》。

   『●《WHOは「検査、検査、検査、疑わしければすべて検査。そして、
      隔離」と強調》…以降、ニッポンは何をやっていたか? 《賭け》?
   『●大量検査・隔離・追跡、さらに、地域のサンプリング検査が必要…
     アベ様や小池「ト」知事は、この数カ月、一体何をやってきたのか?

 週刊朝日のコラム【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」/もう中止すれば…大勢の命より大切な祭りなんてあるかいっ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/272345)によると、《「安倍晋三首相が…日本が負担することに同意した」(…IOC)…今はコロナ禍で大変で、前線に立つ医療従事者に特別報酬を与えないと可哀想。てか、永遠の2週間、終わりのない自粛期間で、生活ができなくなっている人もいるのではないか? お金が底をつき、死を身近に感じている人もいるだろう。みんな、そういうところに税金を使って欲しいよな。アレはどうしてこういう勝手なことをするんでしょうかね? …自分たちの夢が五輪招致であるのなら、自分たちの金を使えばいいだろ。大勢の命より大切な、祭りなんてあるかいっ。》

 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/問われるのは5月6日以降の戦略だ】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202004240000038.html)によると、《★官邸のそれと違い、先手先手で明確に「命を守る行動」を訴えた都知事・小池百合子の評価が高い…そこに選挙を目前に控えた選挙モードの顔がちらつくことも承知で小池百合子ここにありを強くアピールしている》。
 このコラムは頂けない…。酷い。「ト」知事の《評価が高い》!? どこ見てんだ?? 院内感染ひた隠しの小池「ト」知事が見えていない! 小池「ト」知事による院内感染人災、その責任をとるべきだ。大量検査もしない…。

   『●<それにつけてもアベ様の無能さよ>…大量検査・隔離・追跡、
        さらに、地域のサンプリング検査…どれ一つ出来ないアベ様ら

 レイバーネットの記事【政府は人々を犠牲にして「集団免疫路線」をとっているのか?~小倉利丸ブログ】(http://www.labornetjp.org/news/2020/1587793189355staff01)によると、《日本政府は人々を犠牲にして「国難」を乗り切る集団免疫路線をとっていると思わざるをえない日本の検査数の少なさをどう判断するか―低コスト高リスクの集団免疫路線としか思えない。文字通りの野放しではなく、調整しつつ感染を拡大させるという綱渡りをしようとしているのではないか。この2週間ほどは引き締めへと向っているようにみえる一方で、政府は網羅的な検査へと転換しようとはしていないことの意味を見過すことはできない。なぜ検査しないのか? 自分の身体がどのような状態にあるのかを知りたいというときに、知るために必要な検査を拒否する権限がなぜ保健所にあるのか。日本政府がとっている対応は、口では感染拡大防止を強調して、そのための外出自粛をなかば道徳的に脅かしながら、実際の対応は、感染拡大を事実上容認しているとしか思えない。その理由は・最も感染リスクの高い医療関係者への検査が実施されていない》。
 《文字通りの野放しではなく、調整しつつ感染を拡大させるという綱渡りをしようとしているのではないか》…いや、そんな高度な発想ではない。《野放し》に近い。クルーズ船対応の際も、無為無策でした。アベ様らが恣意的だとしたら、恐ろしい無能な「集団免疫路線」…異常で、過剰な被害が弱者へと…。そして、《最も感染リスクの高い医療関係者への検査が実施されていない》ことなどから、既に大量の院内感染人災が発生。それに口をつぐむ小池「ト」知事。《評価が高い》なんて、冗談ではない。

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http://www.labornetjp.org/news/2020/hon155

〔週刊 本の発見〕『反東京オリンピック宣言』

週刊 本の発見 毎木曜掲載・第155回(2020/4/23)
軽々しく五輪に乗ってはいけない!
『反東京オリンピック宣言』(航思社、2016年、小笠原博毅・山本敦久 編、2200円+税)評者:柏原康晴

 4年前のブラジルリオ五輪開催時に狙いを定めて出版された17名の執筆者による編著。東京2020五輪の問題を考えるうえでとても参考になる。

 収束不能な原発事故を起こしたこの国の首相が、軽々しくアンダーコントロールを騙り復興五輪を看板に掲げる人災五輪。国が決めたことに「どうせやるなら」派が軽々しくノッてしまう社会の空気って、なに? 国が招致した複合災害オリンピックに「未必の故意」の共犯者として私たちが動員されないためのストッパーとして、この本が出版されたことに感謝。

 第三部「運動の継承」では、これまで各国で開催された国際博覧会や五輪イベントで起きたむき出しの暴力について、それぞれ著者の視点で通底するものが語られている。「人類館事件」(注)で有名な1903年第五回内国勧業博覧会が、大阪日本橋周辺の木賃宿を解体して人々が「釜ヶ崎」へと叩き出された場所で行われた事には驚いた。(↓「人類館」の展示)

 時に五輪開催国は、メキシコ五輪前夜のような銃弾での大量虐殺さえ起こす。東京の都立公園の野宿者追い出しと霞ヶ丘アパートの解体も、一見ソフトな対応を装いながら真綿で首を絞める執行者の手口が、ずっと立ち会っていたふたりの若い語り部から痛々しく伝わる。

 わずか数日の祭りのために数百年単位で作られた自然環境を破壊、巨大な都市再開発の口実として企業へ土地超大安売り、建築規制の法令無視が常態化する様子も伝わる。

 この時点では近未来だった東京2020に向けて、第二部「レガシー」では石川義正が「リップサービスとしてのナショナリズム」を書いている。このポップな文体で締めくくりは単なる皮肉とも思えない。すでに私たちはポンコツで有害過ぎるテーマパークの共犯者だ。言い逃れなど出来ない。

 一部紹介しよう。
…もちろん「土人」に人権は不要である。私たちひとりひとりが「ディズニーランド」日本の「キャスト」として、「アニメランド」(小池百合子)日本のコスプレイヤーとして生きるのだ。(中略)2020年の東京オリンピック、さらにその後にやってくる日本の壊滅的な社会・経済状況にむけて、おそらくコールハースがいうように「歴史は茶番劇ではなく、サービスとして蘇る」はずだ。享楽の口実として再生する「日本らしさ」ーー天皇制、八紘一宇、七生報国、民族差別等々である。…

 第四部「アスリート」では、山本敦久が「アスリートたちの反オリンピック」と題して、ローマ五輪でモハメド・アリの選手としての苦悩と晩年の懐柔について書いている。メキシコ五輪陸上男子200m表彰台で見せたブラック・パワーの抗議(写真)。その後日談は日本で知られているのだろうか。3人のアスリートは最後まで身体で訴えたのだ。

(注)「人類館事件」=1903年に大阪・天王寺で開かれた第5回内国勧業博覧会の「学術人類館」において、アイヌ台湾高砂族(生蕃)・沖縄県(琉球人)・朝鮮(大韓帝国)・清国・インド・ジャワ・バルガリー(ベンガル)・トルコ・アフリカなど合計32名の人々が、民族衣装姿で一定の区域内に住みながら日常生活を見せる展示を行ったところ、沖縄県と清国が自分たちの展示に抗議し、問題となった事件である。


〔付記〕この本の筆者の多く、集団的に作られています。それによって内容が多角的に論じられています。そのため、あえて以下に目次と筆者を紹介します。

●巻頭言
イメージとフレーム―五輪ファシズムを迎え撃つために(鵜飼哲)

●第一部 科学者/科学論
私のオリンピック反対論―スポーツはもはやオリンピックを必要としない(池内了)
災害資本主義の只中での忘却への圧力―非常事態政治と平常性バイアス(塚原東吾)

●第二部 レガシー
先取りされた未来の憂鬱―東京二〇二〇年オリンピックとレガシープラン(阿部潔)
「リップサービス」としてのナショナリズム(石川義正)

●第三部 運動の継承
メガ・イヴェントはメディアの祝福をうけながら空転する(酒井隆史)
貧富の戦争がはじまる―オリンピックとジェントリフィケーションをめぐって(原口剛)
オリンピックと生活の闘い(小川てつオ)
反オリンピック(ジュールズ・ボイコフ)
祝賀資本主義に対抗する市民の力(鈴木直文)
ありがとう、でももう結構―オリンピック協約の贈与と負債(フィル・コーエン)
トラックの裏側―オリンピックの生政治とレガシー・ビジネス、そして効果研究(友常勉)

●第四部 アスリート
競技場に闘技が入場するとき(小泉義之)
アスリートたちの反オリンピック(山本敦久)
なぜ僕がいまだにオリンピックを憎んでいるのか(テリエ・ハーコンセン)

●反東京オリンピック宣言―あとがきにかえて(小笠原博毅)


*「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美、根岸恵子、杜海樹、ほかです。
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/272435

新規感染者数より刮目 日本と東京が陥る“高”陽性率の恐怖
2020/04/26 06:00

     (発信はお手盛り(C)日刊ゲンダイ)

 新型コロナウイルスの新規感染者数の推移に疑問の声が上がっている。国内は11日の743人、累計感染者数が最大の東京都は17日の201人をピークに漸減傾向。感染拡大が抑制されているかのようだが、陽性率は高止まりしている。欧州が7%未満、韓国が3%ほどなのに対し、日本は約8・7%東京は約12・3%。市中感染が広がり、無症状感染者が増加している可能性が高い。パンデミックとなった欧州では、陽性率が7%を超えると死者数が増えたとの分析があり、むしろ状況は危うい。

 都のデータをめぐり、京大iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授がホームページで〈注目すべきは検査件数に対する陽性者の割合(陽性率)〉と指摘。こう続けていた。

〈2月は3%、3月になって4%、7%と増加し、3月末には18%に急増、4月は中旬まで19%を維持しています。検査件数には、同じ人に複数検査した件数も含まれているという事ですので、実際の陽性率はさらに高いと考えられます。これは危険領域です。非常に多くの陽性者を見逃している可能性が高いと推定されます〉

 都の検査件数は16日の1498件をピークに減少傾向。日本全体では安倍首相が6日に「1日当たりの実施可能数を2万件に増やす」と胸を張ったものの、いまだ数千件水準にとどまっている

 山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)はこう言う。

「日本は一貫してPCR検査件数が少なく、新型コロナの統計データは議論の叩き台としては不十分ですし、信用もできない。岡江久美子さんの急逝は気の毒でなりません。昨年末に初期の乳がんで手術し、今年1月末から2月半ばまで放射線治療を受けていたとなると、免疫力も体力も相当落ちている。そうした中で発熱し、医師の指示に従って自宅待機したところ、容体が急変して緊急入院し、ようやく受けたPCR検査で陽性と判明したといいます。明らかに感染を疑う事例なのに、しゃくし定規に待たせる日本のシステムは訳が分からない。医療事故と言っていいと思います。こうしたデタラメが感染を拡大し、実態を見えなくする要因になっている。都内の特定地域で無作為に1000人ずつ選び、PCR検査と免疫検査を速やかに実施し、実態把握に努めるべきです」


■7%超で死者2割増

 千葉大大学院の樋坂章博教授(病態検査学)らの研究グループが初期の感染拡大の程度が近い欧米各国の検査状況と死者数の関係を比較したところ、陽性率7%未満の国はそれ以上の国に比べ、死者数を1~2割に抑えられていることが分かったという。早く手を打たなければ、救命の機会をみすみす逃すことになる。
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●世も末だ: アベ様の内心を見るようだ…「国営放送が雇用増に喜ぶ軍事企業の従業員の声をニュースで…」

2016年02月09日 00時00分24秒 | Weblog


東京新聞の記事【「北朝鮮の脅威からの軍事強化は戦争の危険性を高めるだけ」 武器輸出反対で集会】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016020802000115.html)。

 《杉原浩司代表は「人をあやめる武器の輸出は戦争への加担で、容認できない。市民が協力して武器輸出に対抗する必要がある》。

 《北朝鮮の脅威から軍事強化をしようという発想になるが、それは戦争の危険性を高めるだけだ」》、全く同感。ここ数日の、アベ様らの嬉々とした動きを見ていて、頭の配線を疑う。そんなに、戦争したいものかね?
 宮崎駿さんも、「危機感をあおること自体、滑稽だ」と。

   『●自公支持者の皆さんへ、宮崎駿監督
     「辺野古の海は残しておいた方が絶対沖縄の人のためになる」
    《宮崎氏は「僕はやめなさいって言う(立場だ)。(沖縄には)基地が
     多過ぎるそれに日本のどこにも基地を造らせる場所はない」と
     新たな基地建設に反対した上で「中国海軍が増強しているなど
     というのは当たらない。危機感をあおること自体、滑稽だ」と強調した》

 《古賀茂明氏は、フランスでは中東やアフリカの紛争によって主力戦闘機が爆発的に売れ国営放送が雇用増に喜ぶ軍事企業の従業員の声をニュースで伝えていた》そうだ。また、《知らず知らず金のために戦争を国民が容認すれば、戦争への歯止めは失われていく》…。壊憲の動きを見るにつけ、平和憲法を持つニッポンがそんな国になってほしいと思っているアベ様らの内心を見るようで、つくづく世も末であると感じる。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016020802000115.html

「北朝鮮の脅威からの軍事強化は戦争の危険性を高めるだけ」 武器輸出反対で集会
2016年2月8日 朝刊

     (多くの人が訪れた武器輸出反対ネットワークの
      発足集会=7日、東京都北区で)

 「メード・イン・ジャパンの武器はいらない」として、政府の進める武器輸出策に抗議する市民団体「武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)」が七日、発足後初の集会を東京都北区で開いた。杉原浩司代表は「人をあやめる武器の輸出は戦争への加担で、容認できない。市民が協力して武器輸出に対抗する必要がある」と約二百二十人の参加者に訴えた。

 杉原氏は集会後の取材で、北朝鮮のミサイル発射に言及。「北朝鮮の脅威から軍事強化をしようという発想になるが、それは戦争の危険性を高めるだけだ」と、日本国内での冷静な対応を呼び掛けた。

 講演した元経済産業省官僚の古賀茂明氏は、フランスでは中東やアフリカの紛争によって主力戦闘機が爆発的に売れ国営放送が雇用増に喜ぶ軍事企業の従業員の声をニュースで伝えていたと紹介した。

 古賀氏は「武器輸出は武器産業をもうけさせるだけでなく、そこで働く労働者やその家族が武器を売ることを望むようにさせる武器輸出に平和な世界は必要ない知らず知らず金のために戦争を国民が容認すれば、戦争への歯止めは失われていく」と話した。宇宙物理学者で名古屋大学の池内了(さとる)名誉教授も講演した。

 NAJATはほかの市民団体とも連携し、政府や企業への抗議活動などを行っていく予定。
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●内部被爆: 何の対応も取らなくて本当に大丈夫なのか?

2011年12月26日 00時09分02秒 | Weblog


THE JOURNALの記事(http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2011/12/post_135.html)。videonewscomからの神保哲生さんの転載記事。

 危険を煽るつもりはない。一方、ニセ科学と非難するつもりもない。
 何の対策も打たなくてよいかどうかを判断できない。安全側に対処しておかなくてよかったのか、ということにならないか。たとえ無駄と将来判断されることになったとしても、可能性を否定できないのであれば、実施しておくべきではないのか。あとで後悔しないために。無駄だったという反省は、あとでも出来る。地球温暖化の場合の「予防措置原則」(*1)(『疑似科学入門』、http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%B5%BF%BB%F7%B2%CA%B3%D8%C6%FE%CC%E7)と同じである。「脆弱性(社会の弱いところ)」や「回復性強化(復興を早める)」。原発技術は不完全であり〝脆弱〟そのもので、また、被爆無しには成り立たない原発労働者や都会から遠く離れた僻地という〝社会的弱者〟に押しつけている。放射性物質をぶちまけてしまえば、〝回復性〟など無理な話。

       *1: 池内了氏『疑似科学入門』。複雑系の未来予測不定性に対する
           新しい原則としての「予防措置原則」。たとえその予想が
           間違っていたとしても、人類にとってマイナス効果を及ぼさない。


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http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2011/12/post_135.html

内部被曝を避けるために今こそ広島・長崎の教訓を活かそう

マル激トーク・オン・ディマンド
556回(20111210日)
内部被曝を避けるために今こそ広島・長崎の教訓を活かそう
ゲスト:肥田舜太郎氏(医師、全日本民医連顧問)

プレビュー

 
126日、大手食品メーカー明治の粉ミルクから1キロあたり最大30.8ベクレルの放射性セシウムが検出された。前週には福島市のコメからもセシウムが検出されており、福島第一原発事故によって放出された放射性物質による食品の汚染の深刻さがあらためて明らかになっている。
 政府はいずれも基準値を下回るため健康には影響はないと繰り返すが、乳児が摂る粉ミルクやわれわれが毎日食するコメの放射能汚染は、それがたとえ基準値以下であっても、真剣に受け止める必要があるだろう。
 特に、食品の放射線基準については、現在の政府の規制値が内部被曝を無視したものであることを念頭に置く必要がある。放射能に汚染された食品を摂取すれば、放射性物質が体内に入る内部被曝が避けられないからだ。言うまでもないが、体内に放射性物質を取り込めば、それが体外に出るまで長期にわたり放射線の被曝を受けることになる。
 自身も広島で被爆した経験を持つ医師の肥田舜太郎氏は、原爆投下直後から広島の被爆者の治療・救援にあたった経験から、福島原発事故でわれわれは内部被曝にもっとも気を付けなければならないと警鐘を鳴らす。
 肥田氏は、広島に原爆が投下された直後こそ、原爆の熱と放射線の直射によって火傷や急性放射線障害を受けた患者の治療に追われたがその後しばらくして、原爆投下後に救援や親類の捜索のために広島や長崎に入ったいわゆる入市者たちの間で、鼻血、下痢、内臓系慢性疾患などの症状を訴える人が続出していることに気がついた。中でも「原爆ぶらぶら病」と呼ばれる、疲れやすく慢性的な倦怠感に見舞われる症状は、放射線の内部被曝が原因と思われるが、どんなに検査しても異常が発見されないため、単なる怠け者であるとみなされ、仕事も続けられず、周囲に理解されないまま多くの患者が苦しんでいたと肥田氏は言う。
 肥田氏が強調する広島、長崎の失敗、そしてその教訓は、直接原爆に被爆しなくても、その後降ってきた放射性物質を体内に取り込むことで、大量の内部被曝者を出してしまったこと。そして内部被曝はその原因が確認できないために、多くの人が長期にわたる原因不明の健康被害に苦しむことになることだと、肥田氏は言う。
 広島、長崎で大量の内部被曝者を出しながら、依然として内部被曝に対する政府や社会の認識が甘い原因として、肥田氏は、戦後、アメリカの圧力によって原爆の被害状況を調査できないような状態を強いられたことを挙げる。アメリカは原爆の被害は機密情報であるとして、患者や医師に対して、それを他人に話したり、論文や写真などの形で記録に残すことを禁じた。さらに、アメリカが設置した調査機関ABCC(原爆傷害調査委員会)は、内部被曝の存在を知りながら、事実を隠蔽し続けたと肥田氏は批判する。
 しかし、米軍の占領下ならいざ知らず、今日にいたっても内部被曝に対する隠蔽体質はあまり変わっていない。そもそも日本の食品の暫定規制値は、原子力を利用する国々が主導するICRP(国際放射線防護委員会)基準に準拠しているため、内部被曝の危険性を軽視、もしくはほとんど無視している。内部被曝の危険性をまともに考慮に入れると、核開発や原発の正当化が難しくなるからだ。
 例えば、チェリノブイリの苦い経験から内部被曝を重視するようになったドイツの放射線防護協会による食品の放射性セシウムの規制値は、乳児・子ども・青少年が4 Bq/kg、成人は8 Bq/kgだが、日本では成人、子供に関係なく200500 Bq/kgまで容認されている。内部被曝のリスクをまともに考慮に入れると、今の何十倍、あるいは何百倍の厳しい規制が必要になってしまうのだ。
 しかし、肥田氏はどんなに微量であっても放射性物質は病気を誘発する可能性がゼロではない以上、食品の規制値にこれ以下なら安全という数値は存在しないことを常に念頭に置かなければならないとしたうえで、今の政府の基準や検査体制では内部被曝から子供を守れないと主張する。
 実際、福島原発事故の後、肥田氏のもとに鼻血や下痢を訴える人が出ており、内部被曝の初期症状が現れ始めたのではないかと肥田氏は懸念していると言う。既に今年の61日付の東京新聞で、福島県内で鼻血や下痢、倦怠感といった症状が見られる子どもが増えていることが報道されているが、政府はその後、特に内部被曝の基準を強化するなどの対策はとっていない。
 自身が広島で被爆し、その後臨床医として長年にわたり多くの内部被曝の患者を見てきた肥田氏に、福島原発事故を抱えたわれわれが、広島、長崎の苦い経験を活かすために今、考えなければならないことなどを聞いた。(今週はジャーナリストの神保哲生、医療ジャーナリストの藍原寛子両氏の司会でお送りします。)

<ゲスト プロフィール>
肥田舜太郎 (ひだ しゅんたろう)医師、全日本民医連顧問
1917
年広島県生まれ。43年日本大学専門部医学科卒業。44年陸軍軍医学校卒業。軍医として広島陸軍病院に赴任。国立柳井病院(現独立行政法人国立病院機構柳井病院)、西荻窪診療所、医療生協さいたま行田協立診療所、全日本民医連理事、埼玉民医連会長などを経て、2011年より現職。著書に『広島の消えた日被爆軍医の証言』、共著に『内部被曝の脅威原爆から劣化ウラン弾まで』など。

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●『疑似科学入門』読了(1/2)

2008年11月25日 08時02分16秒 | Weblog

『疑似科学入門』、10月に読了。池内了著。岩波新書。20084月刊。

疑似科学を以下のように分類している点がユニーク (pp.v-vii)
[1]第一種疑似科学: 科学的根拠のない言説にって人に暗示を与えるもの。占い系 (御神籤、血液型、占星術、幸運グッズなど)、超能力・超科学系 (スピリッチュアル、テレパシー、オーラなど)、「疑似」宗教。
[2]第二種疑似科学: 科学を援用・乱用・誤用・悪用したもので、科学的装いをしていながらその実態がないもの。物質世界のビジネスと強い結びつき
(a)科学的に確立した法則に反しているにもかかわらず、それが正しい主張であるかのように見せている言説 (永久機関、ゲーム脳、水伝など)
(b)科学的根拠が不明であるにも関わらず、あたかも根拠があるような言説でビジネスの種となっているもの (マイナスイオン、波動、健康食品など)
(c)確率や統計を巧みに利用して、ある種の意見が正しいと思わせる言説 (月齢と交通事故の相関、ことわざとしての言い伝えなど)
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●『疑似科学入門』読了(2/2)

2008年11月25日 08時00分25秒 | Weblog
【池内了著、『疑似科学入門』
[3]第三種疑似科学:「複雑系」であるがゆえに科学的に証明しづらい問題について、真の原因の所在を曖昧にする言説で、疑似科学と真正科学のグレーゾーンに属するもの (環境問題や電磁波、地震予知など)

社会や生態系の脆弱性や回復性
に注目するアプローチについても納得。ハリケーン・カトリーナの例にも見られるように、補修が必要と指摘されていた堤防 (社会的に脆弱なところ) が決壊して被害拡大。社会の弱いところ (脆弱性) を発見して補強していき、また、被災しても被害を最小化し、復興を早める (回復性強化) 政策により、異常気象が起きたとしても、また、気温が上がっても下がっても対応でき、社会の持続性は高くなる。条約やエネルギーは長期的・グローバルに検討すべき課題、社会の脆弱性・回復性は短期的・ミクロ的な課題であり、両政策を組み合わせていくことこそが効果的。
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