ところで、ポイント引当金に関する会計処理をまとめてみます。
(1)お客さんに商品1,000円(原価300円)を販売し、ポイントを売上高の10%付与したとき
このときは、通常の仕訳をすればいいので次のようになります。
現金 1,000/売上 1,000
ポイントの付与(100円分)は、取り立てて仕訳する必要はなく、別途ポイント数を管理します。
(2)お客さんに商品1,000円(原価300円)を販売し、ポイント分(100円)を差し引いたとき(なお、新たなポイント90円分は別に管理)
現金 900/売上 1,000
売上値引 100
ポイント分は売上値引と同じだと考えるわけです。
また、次のように処理をすることもできます。
現金 900/売上 1,000
ポイント販促費 100
「ポイント販促費」を使えば、一般の売上値引分とポイント分を区別して処理することができますので、純粋にポイント分だけの値引額を明らかにすることができます。
前回紹介したヤマダ電機では、「ポイント販促費」(販管費)で処理をしていて、その金額は、2007年度で783億7千万円ほどになっています。
さて、当期発生のポイント残高が90円あるとき、将来のポイント使用に備えて、決算時に100%の引当金を計上する場合には、次のようになるでしょう。
(3)ポイント残高の100%を引当計上したとき
ポイント引当金繰入 90/ポイント引当金 90
ここで厳密には、ポイントの発生が当期以前のものかそれとも当期のものかで考え方は変わるでしょうね(ポイント引当金の記載場所が販管費なのかそれとも特別損失なのかという違い)。でもここでは割愛。
ここまでの取引で損益計算してみると、次のようになります。
2,000円(収益)-300円(原価:費用)-300円(原価:費用)-100円(ポイント販促費:費用)-90円(ポイント引当金繰入:費用)=1,210円(利益)
この1,210円が会計上の利益です。そしてたとえば税率が40%だったとすれば、納付する税額は484円となり(1,210円×40%)、最終の利益は726円ということになります。
しかし、売上原価の600円やポイント販促費の100円は実際に発生した費用なのでいいとして、ポイント引当金部分の90円は、将来の費用または損失であって、当期に発生したものとはいえません。したがって、この部分については、税法上は費用とは認めないという判断をします。ここから話がややっこしくなります。
税法上は、費用のうち90円は認否しますので、課税所得の計算では、次のような計算が行われます。
2,000円(益金)-700円(損金)=1,300円(課税所得)
課税所得の40%が税金だとすれば、520円(1,300円×40%)が納付する税額になります。
先ほどの会計上の利益による税額と比べると、36円(90円×40%)多く納付したことになります。
そこで、損益計算書では、会計上の利益から実際の税額を差し引き、次のように表示することになります(プロポーショナルフォントの場合はズレて表示されます)。
会計上の利益 1,210 ←税引前当期純利益
税金 -520 ←法人税等
税金の前払分 +36 ←法人税等調整額
最終の利益 726 ←当期純利益
税引前当期純利益から実際の納税額を差し引き、そのうち多く納付した分を戻し入れて、会計理論上適切な金額の当期純利益に「調整」するわけですね。
では法人税等調整額に見合う金額(仕訳は二つの側面で表示するので)はどこにあるか、といえば、それが繰延税金資産という勘定で貸借対照表に記載されるわけです。
ちなみに、ヤマダ電機では、2007年度に128億3千万円ほどの繰延税金資産を計上し、そのうち、ポイント引当金分は46億8千万円でした。上記の説明からみれば、ポイント引当金のうち46億8千万円相当が将来の費用または損失となって税金が返ってくる分(=前払いしている分)ということになるのでしょうね。
M先生、税効果会計の説明、これで合ってます?(苦笑)
とここまで書いて、今日も限界。
この続きは次回ということで。
(1)お客さんに商品1,000円(原価300円)を販売し、ポイントを売上高の10%付与したとき
このときは、通常の仕訳をすればいいので次のようになります。
現金 1,000/売上 1,000
ポイントの付与(100円分)は、取り立てて仕訳する必要はなく、別途ポイント数を管理します。
(2)お客さんに商品1,000円(原価300円)を販売し、ポイント分(100円)を差し引いたとき(なお、新たなポイント90円分は別に管理)
現金 900/売上 1,000
売上値引 100
ポイント分は売上値引と同じだと考えるわけです。
また、次のように処理をすることもできます。
現金 900/売上 1,000
ポイント販促費 100
「ポイント販促費」を使えば、一般の売上値引分とポイント分を区別して処理することができますので、純粋にポイント分だけの値引額を明らかにすることができます。
前回紹介したヤマダ電機では、「ポイント販促費」(販管費)で処理をしていて、その金額は、2007年度で783億7千万円ほどになっています。
さて、当期発生のポイント残高が90円あるとき、将来のポイント使用に備えて、決算時に100%の引当金を計上する場合には、次のようになるでしょう。
(3)ポイント残高の100%を引当計上したとき
ポイント引当金繰入 90/ポイント引当金 90
ここで厳密には、ポイントの発生が当期以前のものかそれとも当期のものかで考え方は変わるでしょうね(ポイント引当金の記載場所が販管費なのかそれとも特別損失なのかという違い)。でもここでは割愛。
ここまでの取引で損益計算してみると、次のようになります。
2,000円(収益)-300円(原価:費用)-300円(原価:費用)-100円(ポイント販促費:費用)-90円(ポイント引当金繰入:費用)=1,210円(利益)
この1,210円が会計上の利益です。そしてたとえば税率が40%だったとすれば、納付する税額は484円となり(1,210円×40%)、最終の利益は726円ということになります。
しかし、売上原価の600円やポイント販促費の100円は実際に発生した費用なのでいいとして、ポイント引当金部分の90円は、将来の費用または損失であって、当期に発生したものとはいえません。したがって、この部分については、税法上は費用とは認めないという判断をします。ここから話がややっこしくなります。
税法上は、費用のうち90円は認否しますので、課税所得の計算では、次のような計算が行われます。
2,000円(益金)-700円(損金)=1,300円(課税所得)
課税所得の40%が税金だとすれば、520円(1,300円×40%)が納付する税額になります。
先ほどの会計上の利益による税額と比べると、36円(90円×40%)多く納付したことになります。
そこで、損益計算書では、会計上の利益から実際の税額を差し引き、次のように表示することになります(プロポーショナルフォントの場合はズレて表示されます)。
会計上の利益 1,210 ←税引前当期純利益
税金 -520 ←法人税等
税金の前払分 +36 ←法人税等調整額
最終の利益 726 ←当期純利益
税引前当期純利益から実際の納税額を差し引き、そのうち多く納付した分を戻し入れて、会計理論上適切な金額の当期純利益に「調整」するわけですね。
では法人税等調整額に見合う金額(仕訳は二つの側面で表示するので)はどこにあるか、といえば、それが繰延税金資産という勘定で貸借対照表に記載されるわけです。
ちなみに、ヤマダ電機では、2007年度に128億3千万円ほどの繰延税金資産を計上し、そのうち、ポイント引当金分は46億8千万円でした。上記の説明からみれば、ポイント引当金のうち46億8千万円相当が将来の費用または損失となって税金が返ってくる分(=前払いしている分)ということになるのでしょうね。
M先生、税効果会計の説明、これで合ってます?(苦笑)
とここまで書いて、今日も限界。
この続きは次回ということで。
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