礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

岩波文庫『岡本綺堂随筆集』(2007)について

2021-12-13 00:54:28 | コラムと名言

◎岩波文庫『岡本綺堂随筆集』(2007)について

 岡本綺堂の作品で、今日、岩波文庫に収録されているのは、次の三点である。

・『正雪の二代目 他五篇』一九五二年一一月
(『修善寺物語・正雪の二代目 他四篇』一九九〇年一月)
・『明治劇談 ランプの下にて』一九九三年九月
・千葉俊二編『岡本綺堂随筆集』二〇〇七年一〇月

 これらのうち、『正雪の二代目 他五篇』(『修善寺物語・正雪の二代目 他四篇』)は未見。『岡本綺堂随筆集』は、『ランプの下にて』とともに、図書館で閲覧してきた。
『岡本綺堂随筆集』は、綺堂の自選随筆集四点、『五色筆』(南人社、一九一七年一一月)、『十番随筆』(新作社、一九二四年四月)、『猫やなぎ』(岡倉書房、一九三四年四月)、『思ひ出草』(相模書房、一九三七年一〇月)から選んだ随筆に、単行本未収録の随筆を加えた随筆集である。
 今日、『五色筆』、『猫やなぎ』、『思ひ出草』の三点は、国立国会図書館のデジタルライブラリーでインターネット公開されている。『十番随筆』は、国立国会図書館には架蔵されていないもようである。
『岡本綺堂随筆集』は、『思ひ出草』から、「寄席と芝居と」を収めているが、残念なことに「抄」である。参考までに、デジタルライブラリーで『思ひ出草』を閲覧してみたところ、その全文が入っていた。『思ひ出草』の段階で「抄」だったわけではなく、岩波文庫に収める段階で「抄」となったということである。こういうところは、その旨を明記してほしかったと思う。
 岩波文庫『岡本綺堂随筆集』の巻末には、千葉俊二氏による十九ページに及ぶ「解説」が置かれており、その末尾には、「初出紙誌一覧」がある。それはよいのだが、「寄席と芝居と」について、「初出未確認」となっていることに不審をいだいた。
 青空文庫「寄席と芝居と」によれば、「寄席と芝居と」の初出は、(昭和一〇・舞台)となっていた。青空文庫は、一九七九年一月刊の『綺堂芝居ばなし』(旺文社文庫)を底本にしているという。千葉俊二氏は、この『綺堂芝居ばなし』を参照しなかったのであろうか。あるいは、そこに(昭和一〇・舞台)とあることは知っていたものの、掲載誌の現物が確認できなかったということなのか。
 明日は、話題を変える。

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