半藤一利氏。
文藝春秋社にかつて勤めていたせいもあって、亡くなられた後に「歴史探偵忘れ残りの記」が文春新書で出ていた。
その本を読んだことはここでも書いた。
いつの間にかその第2弾のように「歴史探偵昭和の教え」という本が同じく文春新書で出ていた。
書いたものは、1999年4月から2020年の1月までに書かれたものだが、大半が文藝春秋社の「新刊のお知らせ」に「歴史探偵がいく」として載せられたエッセイである。
昭和史だけでなく、平安時代から幕末に関することや本人が「!?」と思ったことが書かれてある。
そして、1つのテーマにつき2ページくらいで書かれてあるから、飽きやすい私も読みやすいので、結構一気に読んでしまった。
今回読んでみても、改めて、知識の豊富な人であり、疑問に思ったことはよく調べて解決してきた人だと思った。
自称「歴史探偵」はだてじゃないなあと思った。
半藤氏は、戦争の疎開で新潟県内にきたせいか、旧制の長岡中学校出身だ。
そのことは、地元紙新潟日報で扱うたびに( )付きで「旧制長岡中学校出」と表示される。
今回、印象的だったのは、「雪おんなの話」というエピソード。
そこには、書き出しはこんなふうに書かれてあった。
太平洋戦争直後の、もののなかったとき、新潟県長岡市から12キロほど離れた寒村で、私は中学生時代をごした。きびしい冬には。二メートル、三メートルもの雪で村全体がひっそりと雪の下に埋まってしまう。こうした雪深いところは昔ばなしの宝庫なのである。話のはじめは「昔あったてんがな」「昔あったてがだ」などといい、語りおさめは「いきがポーンとさけた」で、ときにはその下に「鍋の下はガラガラ、やかんの下ボンボン」などといった。
(以下略)
私は、今から40年近く前に、長岡市から山の方に入ったところにある旧栃尾市の小学校に勤めた。
その時に、勤務先では、国語研究で、当該地に古くから伝わる民話を取り入れて、子どもたちの国語力や情操を高めようと努めていた。
だから、「あったてんがな」とか「いきがポーンとさけた」などというのは、非常に懐かしかった。
また、紹介している雪おんなの話も、当時聞いたことのある話であった。
何とも懐かしい思いがした。
私がそちらで民話にふれたのは、昭和も終わりに近い昭和60年代であった。
本書の書名「歴史探偵昭和の教え」に合致するような思いがした。