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日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第百六段

2021年06月29日 | 徒然草を読む


【原文】  
高野の証空上人、京へ上りけるに、細道にて、馬に乗りたる女の、行きあひたりけるが、口曳きける男、あしく曳きて、聖の馬を堀へ落してンげり。
聖、いと腹悪しくとがめて、「こは希有の狼藉かな。四部の弟子はよな、比丘よりは比丘尼に劣り、比丘尼より優婆塞は劣り、優婆塞より優婆夷は劣れり。かくの如くの優婆夷などの身にて、比丘を堀へ蹴入れさする、未曾有うの悪行なり」と言はれければ、口曳きの男、「いかに仰せらるゝやらん、えこそ聞き知らね」と言ふに、上人、なほいきまきて、「何と言ふぞ、非修非学の男」とあらゝかに言ひて、極りなき放言と思ひける気色にて、馬ひき返して逃げられにけり。
尊たふとかりけるいさかひなるべし。

【現代語訳】
高野山の証空上人が上京する時、小道で馬に乗った女とすれ違った。女の乗る馬を引く男が手元を狂わせて上人の乗っている馬をドブ川に填めてしまった。
上人は逆上して「この乱暴者め。仏の弟子には四つの階級がある。出家した男僧より、出家した尼は劣り、在家信者の男はそれにも劣る。在家信者の女に至ってはそれ以下だ。貴様のような在家信者の女ごときが、高僧である私をドブ川に蹴落とすとは死刑に値する」と言ったので、僧侶の階級に興味のない馬引きの男は、「何を言っているんだか、さっぱり分からない」と呟いた。上人はさらに逆上し、「何を抜かすか、このたわけ!」と沸点に達したが、罵倒が過ぎたと我に返り、恥ずかしさに馬を引き返して逃げた。
こんな口論は滅多に見られるものではない。

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2021/06/29)

2021年06月29日 | Daily Vocabulary

27076.below par(標準以下で、体調がいつもより悪くて、額面高以下で) to be less good than usual or below the proper standard
The service was well below par.
27077.eat up(全部食べる) to eat all of something
YI don't care if you're full. Eat up! 
27078.walk all over you(好き勝手する)
Never let anyone walk all over you.
27079.diverse(種々の、多様な、別種の、異なった)
I know New York is a vey diverse city.
27080.overawed(威圧する、 おどしつける)to make someone feel respect or fear, so that they are nervous or unable to say or do anything
Don't be overawed.