俺はワルポンだっ!

ちょいワルおやじを卒業したワルポンの斜め下から見た現代社会

『天ざる』

2010-04-15 16:50:40 | Weblog
そば通の間では知る人ぞ知るちょっと名の通った老舗の蕎麦屋が勤務先の近くにあります。
50名は入ろうかと云うかなり大きなお店はお昼休みにはいつも満席状態で、お天気の良い日などは行列も出来るぐらいです。

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ここの看板メニューは「しのだ」と云う盛そばです。
お稲荷様の御使いの狐が油揚げを好物とすることから、「信太の森の狐の伝説」にかけて、
油揚げ→狐→信太→「しのだ」と名付けられたようです。

でも、ここのは、細く切った油揚げをかりっと揚げたもの(きつね)だけでなく、揚げ玉(たぬき)が同居してつけ汁に入っているのです。(注:たぬきはタネ抜きの天ぷら即ち、揚げ玉のこと)
謂わば「きつね・たぬき盛そば」とでも言いましょうか・・・
かなり濃い口なので、初めての方はちょっとビックリなさいます。


おそばの盛り付けも、普通、大盛、特盛、特特、超特とあります。
普通がおそばの玉が4玉で、上がるごとに1玉づつ増えて行きますが、驚くような量ではございません
ほとんどのお客さんが、この「しのだ」の特盛、特特を注文するようです。

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時には、「かつ丼」や「天ぷらそば」、「天丼」などを注文する変わった奴もいますけど、「天ざる」をオーダーするお客はほとんど見かけません。
日に何度あるかの珍しい注文です。

「天ざる一丁!」と、お運びのお姐さんが大声を張り上げて調理場へ注文を伝えます。
じきに、奥に居た女将が「今日の変わり者は誰だ?」みたいな顔で暖簾の間から覗き、店内の客の様子を伺いにやって来ました。

やがて、しばらくすると、思ったより早く注文の「天ざる」が運ばれて来ました。
海老の頭を取ってあっても太くて大きな見るからに立派な海老の天ぷらが二尾もついています。
カラッと サクサク きつね色~♪ 

胸いっぱいに、はちきれんばかりに期待が膨らみます。
薬味を入れて、最初に一箸そばをすすってから、おもむろに海老天の尻尾を上にして箸で吊り上げるようにして持ち上げて、つけ汁に一口分だけ浸してからかぶりつきました。

んむっ? 何じゃ?・・・
かたっ? 歯にあたる・・・ 
シコッ? ぬれ煎餅の歯触り・・・
ヌルッ? 粘りつく・・・

よく噛んで呑み下してから、箸で持っている残りの海老天の噛み切った断面を見てみると、衣の厚さにビックリ、海老は車海老なのか?丸箸ほどの太さもありません。
まるで“どてら”を着ているようです。
いえ、白魚が“布団蒸し”にあっているような感じです。たぬきじゃありませんけど・・・

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尻尾の先までたっぷり衣の付いた残りの海老天と、もう一尾の衣を箸で剥がしました。
固くて、撓(しな)っこくて剥がしづらいのです。
十二単を脱がすようなもどかしさです。(経験ありませんが・・・)

あまり出ない「天ざる」です。
これは、売れ残った海老天を二度揚げしたに違いありません。
もしかしたら、もう一度衣を付け足して揚げたものかも・・・

厚化粧した行かず後家に手を出したようなものです。(これも経験ありませんが・・・)
そばは美味しいのですが、これには苦労しました・・・とほほ