今の世界が異常な金融状態に陥った欧州、米、日本の内、
米・日本の主な金融の事件をインターネット・ウイキペディア等
より拾い概略を述べてみます。
⑤日本のAIJ事件
投資運用会社の「AIJ投資顧問」が、企業年金から運用を委託された
年金資産2,000億円のほとんどを消失させてしまいました。
投資運用会社とは企業や個人の資産を運用する会社で、
大手証券系、信託銀行系、外資系などがあります。
AIJ社の提出した事業報告書からデリバティブ(金融派生商品)などで
運用して運用失敗による損失が大きくなったようです。
そして実際は運用実績がマイナスであったにも関わらず、
運用で利益を上げた場合に得られる成功報酬を顧客の年金基金から
受け取っていたことが証券取引等委員会の検査でわかりました。
実際には、AIJは運用当初も損失が出て、
リーマンショック以降は約1,000億円の損失を出していたが、
毎年7%以上の運用益が出ていると年金基金運用担当者に
虚偽の報告をしていました。
AIJはまず顧客と企業年金資産の投資一任契約を結び、
その後、「アイティーエム証券」を通じて英領ケイマン諸島の
特定ファンドに資金を移す。同社はケイマンに入った資金を
英領バミューダの信託銀行を通じて運用する形式を取っていますが、
実質的には香港の大手銀行に移していました。
海外での資金運用に詳しい証券関係者は、
「タックスヘイブンのひとつであるケイマン諸島には多くの
ペーパーカンパニーがあり、運用実態は分かりにくく、その上、
海外の複数の金融機関を介して資金を運用すれば、
金融当局の監視は困難になる」といいます。
このようなことから、AIJは金融庁の目をすり抜けることを目的として
意図的に複雑化したようです。
この方式はオリンパスでも行われている方法です。
AIJの浅川社長と運用担当役員の松木氏は野村証券OB。
オリンパスの損失飛ばしを指南したとして金融商品取引法違反容疑で
逮捕された中川容疑者と横尾容疑者も、野村証券OBだそうで、
何らかの関係がありそうです。また厚生年金基金に国家公務員が
役員として天下っていた問題で、天下り役員の9割は厚生労働省と
旧社会保険庁(現・国民年金機構)のOBで占められていたことが、
厚生労働省の調査で分かりました。厚労省によると、
AIJに運用委託していた74基金に天下り状況を調査したところ、
71基金が回答。47基金に49人の国家公務員が役員として在籍し、
うち46基金の46人は厚労省および旧社保庁のOBだった
ことが判明しました。また平成21年5月の調査では、
71基金のうち、53基金で53人の国家公務員が役員として天下りしていた
そうです。顧客から預かった2000億円の大半が消えた中に
、天下りの報酬も高額だったのでしょうね。
(接待で年金資金消失、厚生省OB権力者)