ゲラムの攻撃により、アッベクレーター基地は混乱に陥った。
基地守備能力は低下し、ゲラム率いるゼントラーディ軍部隊はアッベクレーター基地に殺到・・・・・
次々と基地守備隊を撃破していき、輝達を追い込んでいく。
ダグラス「くそ・・・・・敵を撃破してもどんどん、増えてきやがる・・・・任務前に死ぬじゃないか俺たち・・・」
輝達は必死の抵抗を行うも、数に勝るはぐれゼントラーディ軍に圧されてしまい・・・
終始劣勢・・・・・・次々にアッベクレーター基地守備隊は撃墜され数は減少していく・・・・
友軍基地からの救援部隊が来るのが先か、自分たちが全滅するのが先か・・・・・
希望が見えないまま輝達はゲラムらはぐれゼントラーディ軍に抗い続ける・・・・
生存する可能性が低いのを前提として・・・・・・・
ゲラム「無様だな、マイクロン・・・貴様らがこうして全滅する風景が見れて俺が嬉しいぜ。」
一条輝「くっ・・・・」
ゲラム「とっとと俺に嬲り殺しにされろよ!!」
絶望的な戦いの最中、輝はゲラムと死闘を繰り広げる。
いつ背後から敵に襲われるかの不安を持ちながらの戦いであり・・・・
輝の顔には焦りの色が出ている。
一方のゲラムは闘争本能によるのか、終始笑顔で・・・輝を攻撃している。
このままではまずい・・・・無意識に意識し・・・・輝は戦う・・・・
【アッべクレーター基地 廊下】
基地機能を損失し、復旧作業が戦闘の最中に行われているアッべクレーター基地。
幸いかなりの打撃を被ったが、VF-X-4の格納庫は無事であり今後の飛行試験には支障はない。
とは言え、アッべクレーター基地の内部はかなり危険なブロックがあり。
今後、油断の出来ない状況が続いており・・・・
いつ爆発してもおかしくない状況が続いていた・・・・
アマリ「主任・・・・何処に行くんですか?この先危険ですよ。」
来生元春「通してくれ、外にいる連中が苦戦しているんだぞ。」
ルナ「基地内部は敵の攻撃でかなりの被害が出ています、危険な箇所がかなりあります。」
危険な状況の最中、元春はパイロットスーツに着替え格納庫に向かっていた。
そんな元春の姿を見かけたのか、アマリやルナの二人は元春を止めようとして追いかける。
もし、元春の身に万が一の事があってはいけない。
安全のため、VF-X-4の管制室に待機してもらわないといけない。
ルナ「管制室に戻ってください・・・・爆発に巻き込まれたらVF-X-4計画に支障が出ます。」
アマリ「そうです、それに戦場に出ても戦死したら・・・・」
二人は必死に元春を止める・・・・
VF-X-4計画の主任が戦死すれば、かなりの打撃であり。
丁度いい軍人側の指揮官がいなくなれば、開発に大きな支障が出る。
ただでさえ地球はゼントラーディ軍の攻撃を受けて人手不足・・・・・
丁度いい指揮官はそうそう見つからない。
だけど・・・・・
来生元春「気持ちは分かる・・・・分かるが・・・・」
アマリ「分かるがが・・・なんですか?」
来生元春「今のここは戦場・・・・何処にいても危険だとは思わないか?」
元々可変戦闘機パイロットが故の性格と、軍人としての使命感からか・・・・
元春は戦いに向かう気まんまんであった・・・・・
軍人が安全な場所に籠ってもいいはずがない・・・・・軍人ならば・・・・・
戦って大事な国民のために死ぬこそが本望・・・・・・・・
そんな軍人がおめおめと安全圏で黙って見ているのは恥でしかない・・・・
来生元春「死を恐れず大事な者を守れない軍人は、クズでしかないよ。」
アマリ「それは・・・その・・・・」
ルナ「でも・・・・・・・」
来生元春「気持ちは分かるが・・・・・俺は戦闘機乗りだ・・・・戦わせてくれ・・・・」
元春はアマリとルナを説得する・・・・・
この軍人としての熱意に押されてか、二人は見つめあって・・・・
もう止めても無駄だねと元春を止める事を諦めてしまう。
でも
問題はまだ残っている・・・・・
アマリ「しっつもーん、乗る機体はあるんですか?」
ルナ「そう言えば、乗る機体があるかどうかきになるわね・・・・試験隊本隊はアポロ基地だし・・・主任は単独で来ているし。」
乗る機体・・・・
戦いに行くにしろ、戦うための兵器が必要となってくる。
試験飛行隊の隊長である元春だが・・・・出向時・・・自分の愛機をアポロ基地に残している。
こんなボロクソに叩かれているアッべクレーター基地に・・・・まともな機体があるとは思えない・・・・・
二人は元春が、生身で戦場で向かう気ではないかと疑いの目を向けた。
来生元春「安心しろ、乗る機体はある。」
ルナ「本当ですか?」
来生元春「とっておきの機体が残ってんさ・・・」
疑いの目を向けられるも、元春は戦うための兵器はあると言う。
ーこんなボロボロに打撃を受けた基地にまだ戦うための兵器がある・・・・
二人は不安そうに首を傾げるが・・・・・
元春はついてこいと言わんばかりな顔で、二人をその戦うための兵器がある場所へ案内した。
アマリ「これは・・・・」
来生元春「イギリスのデビランド社製のVF-1Bだ・・・・生産が間に合わないから実戦配備されなかったが・・・・月面のここに眠ってたんだ。」
ルナ「凄い・・・・噂に聞いていたけど・・・どうやって見つけたんですか?」
来生元春「偶然だよ、偶然。」
二人を案内した先にあったのは、S型に類似した頭部を持つVF-1Bと呼ばれる機体であった。
当初B型はイギリスにあったデビランド社製の物にし、実戦配備が進められ・・・・
初期生産の6機が月面に配備された・・・・・
だが・・・・・
生産が間に合わないため・・・デビランド社製の機体はA型に統一され・・・・
B型は幻の機体へとなってしまった。
来生元春「おい、早く管制室に戻って発進ゲートを探してくれ・・・・」
ルナ「はい・・・・・」
元春はルナとアマリに管制室に戻って発進ゲートを探すように言う。
すぐさま、二人は急いで管制室に戻り・・・・可動している発進ゲートを探す。
そしてようやく・・・・・
ルナ「見つけました・・・・ゼントラン海兵隊補給物資集積場と補給艦ドックが開いています。」
アマリ「それに塞いでいるゲートありますが、基地司令官に問い合わせた所・・・破壊しても大丈夫なようです。」
来生元春「よし・・・・ならば・・・出撃できるな・・・・行くぜ!!」
出撃できる地点が見つかり、その報告を聞いて元春は歓喜の声をあげる・・・・
歓声をあげた間もなく、元春はVF-1Bを駆り・・・・
そのまま外へ出てしまう。
アマリ「結構無茶する人ですね。」
ルナ「男は大体そんな生き物よ、結構脳みそ筋肉と言うか・・・・」
歓喜の声をあげて飛び出した元春に、アマリとルナはドン引き・・・・・
ルナに至っては思わず脳筋と言ってしまう程・・・・・・
と言っても上手くオペレートしないといけないので、元春に適切な指示を出す。
【アッべクレーター基地.ゼントラン海兵隊補給物資集積場.補給艦ドック】
アッべクレーター基地の補給物資集積場にいた警備のデストロイド・マサムネ部隊は全滅していた。
ゲート付近にあった管制室は破壊され、基地司令部に集積場付近に敵を報告する事ができず・・・・・・
ただ周辺に集積されていた補給物資が、ザグレブ率いる別動隊にどんどん奪われていた。
ザグレブ「十分すぎる数があるな・・・・全部回収は不可能か・・・・・」
集積してある物資を奪取しているが、全部を奪うのは不可能である。
どうやっても、奪い取る物資の数は1割にも満たない。
欲を出して全部回収しようとすれば、敵の追撃部隊の攻撃に晒される事になる。
ズゴォォン
「なんだ!?ぐあぁぁぁぁ」
「敵だ!ぐぁぁぁぁぁ(デブラン・デ・カルチャー)」
奪い取っている最中、ゲートが突然爆発しそれと同時に銃弾の雨が爆風の中から現れ。
運搬中の2機のヌージャデル・ガーが撃墜されてしまう。
爆発し2機のヌージャデル・ガーを撃墜されてしまい、ザグレブは思わず爆炎のあがる方向を見てしまう。
来生元春「まさか盗人が別の方向にいるとはな・・・・もしかして本隊か・・・・潰してやるよ!!」
ザグレブらの物資の奪取行為を見たのかせいか・・・・・
元春の怒りが爆発し・・・・・穏やかな雰囲気から、戦闘に向き合う武人のような雰囲気に変わり・・・
潰してやると、宣言し・・・・・ザグレブに対し攻撃を仕掛ける・・・・・・・
【アッべクレーター基地、防空隊発進ゲート付近】
一方、モーアはミューレのクァドラン・ローによる殴打攻撃を受けようとした。
回避は不可能であり、このまま攻撃を受ければ完全に自分自身が死ぬのが確実・・・・
とは言え、モーアはそれにより潰されて死ぬ事に恐怖を感じたことがない・・・
ゼントラーディ人は敵を殺しあい、そして何処かの戦場で死ぬ事が宿命であった。
今は先の大戦の経緯もあり、新統合軍の可変戦闘機パイロットだが・・・・
ゼントラーディ人の宿命は変わらない・・・・
モーアは振りかざされる、ミューレの腕を見ながら穏やかな表情を浮かべ自分自身の死の運命を受け入れる。
ズドドドドドドド
ミューレ「ラック!?」
モーア「えっ・・・・・」
星村和也「間一髪だったな・・・・・カリダム少尉・・・・戦場の先輩さん。」
モーア「星村中尉・・・・・」
自分自身の死を受け入れた直後、モーアとVF-1Aとミューレのクァドランの腕の間に銃弾の流れ・・・
それは、偶然・・・・・モーアが殺されかける所を見た和也であった。
とっさの判断で、バトロイドに変形しガンポッドの銃弾をミューレに浴びせ・・・・
モーアを殺させないようにした・・・・
予期せぬ攻撃に・・・・ミューレは驚き、殺すべきモーアを邪魔して殺せなかった事に腹を立てる・・・・
ミューレ「余計な雑魚が・・・・よくも私の邪魔をしたな!!許さん!!」
ミューレの激怒はゼントラーディ人の戦いの血を沸騰させ、オーバーヒート状態になる。
モーアに対する怒りよりも、戦闘の邪魔をした和也に対しての怒りが勝ってしまう。
一方のモーアは心配そうに・・・・和也の顔を見て・・・・・
モーア「なんで・・・・助けるのよ・・・・・」
星村和也「仲間でもあり・・・・・好きになった女を見捨てられるかよ、カリダム少尉・・・・・・お前・・・俺の腕を見たいって言っただろ・・・」
モーア「確かにそうだけど・・・・これは血の宿命・・・・死ぬ覚悟さえできていた・・・このまま死ぬ事も誇りとして受け入れたのに・・・・」
モーアは和也に対しなんで助けたのかのかを聞いた・・・・・
帰ってきた答えは簡単・・・・仲間と好きな女であるから・・・・・
その言葉を聞いてモーアは嬉しかったが・・・・・
ゼントラーディ人の本能により、自分の名誉ある戦死をしようとしており・・・・
自分の受け入れた死を邪魔した事による、悲しみの言葉を漏らしてしまった・・・・・
星村和也「そんなのは犬死だ!!確かに種族の宿命は大事だが・・・・そう簡単に死を受け入れるのは、戦士として敵前逃亡・・・士道不覚悟だ!!」
モーア「敵前逃亡・・・・・・」
星村和也「だから生きてくれ・・・・一目惚れで好きな女が死ぬ光景なんて見たくない・・・・生きろ!!」
そんな弱気なモーアに対し、和也は簡単に命を捨てようとする己の心の弱さを指摘する。
強い人間程、そう簡単に死ぬとは言わない・・・・・
本当に強い人間は、自分が最後の瞬間まで生きたいと言う願望を捨てない・・・・
どんなに強い相手に殺されようとも、最後まで抵抗を諦めない・・・・
本当に強い人間ならば・・・・
和也の言葉を聞いたモーアは、驚きのあまり敵が震えた・・・・・
自分がやろうとしていた事が敵前逃亡行為だった事を・・・・
ミューレ「どちらも消えろ!!」
モーア「!?」
星村和也「来るぞ!!カリダム少尉、合わせろ!!」
モーア「でも・・・・・」
星村和也「俺を信じろ・・・ついてこい!!」
再開するミューレからの攻撃に、和也はモーアに自分の動きに合わせろと言った。
何度も言うがここは戦場であり、互いに自分の命を賭けて戦う死のギャンブル・・・・・・
勝てば生、負ければ死・・・・・
ミューレに勝つには、二人が力を合わせなくてはならない・・・・・
モーア「りょ・・・了解・・・・」
星村和也「俺を信じるのか?」
モーア「それもあるけど、そうじゃない・・・私はあなたに命を預けてみたいと思っただけ・・・私が生きて帰れたら約束をいつか・・・・」
星村和也「いつかじゃない必ずだ・・・・」
モーア「中尉・・・・」
モーアは和也の動きに合わせ、戦う事を決心する・・・・・・
あの約束を果たすために・・・・・
和也もモーアの気持ちを理解し、モーアが自分の動きに合わせるだけではなく。
自分自身もモーアの動きに合わせられるようにしようと決める・・・・・
共通の敵を倒すために・・・・・・・
星村和也「行くぞ!!」
モーア「はい!!」
二人は心を一つに集中し、ミューレに戦いを挑んだ。
ミューレから激しい攻撃を受けるも、二人は連携し逆に追い詰めていく。
連携のいい二人に、ミューレの怒りは冷めていき・・・・・
逆に二人に対し恐怖を抱くようになる・・・・
エースであった自分がマイクローンとマイクローンに寝返った同胞に殺される事を・・・・・・
それが嫌なのか、ミューレは二人に対し必死に反撃した。
ミューレ「負けれない、負けれない。」
ミューレはプライドからなのか必死で戦う。
ゼントランの誇りにかけて、血祭りにして絶対に敗けはしない。
必ず勝って勝利してやる。
なんたって私は最強のメルトランだから。
モーア「流石に凄い・・・・」
星村和也「このまま完全に破壊するのは難しい、モーア!相手の戦闘機能を奪うぞ。」
モーア「はい!!(ってカリダム少尉じゃなくて、私の名前を呼んだ?)」
自分の誇りに賭けて戦うミューレを完全に撃墜する事ができないと判断した和也は・・・・
戦闘機能を奪い、ミューレをこれ以上戦えないようにする策に出る・・・・・
相手の命を奪わない、この蛮行を生きて償ってもらわないといけない・・・・
モーアは和也の策に同調するが・・・・
和也が自分の事を少尉ではなく、名前で呼んだ事に内心驚く・・・・
なんで自分の名前を言うのか・・・・・と・・・・・
そう思うが・・・・
モーア「和也・・・・も上手く連携してね。」
星村和也「無論だ!!」
自然な流れで、モーアも和也の事を名前で呼んだ。
和也はモーアを・・・・モーアは和也を・・・・共に任せられる相棒だと体が反応した。
二人は共通の敵ミューレに向けて、連携攻撃を開始・・・・
ゼントラーディ人としての誇りで善戦していたミューレを押し始めた。
ミューレは更に二人に無様に殺される恐怖に押され・・・・
自身の敗北への道をどんどんどんどと進んでいく事になる。
ゲラム「がぁ、くそったれ・・・・・」
一条輝「・・・・よし・・・・・」
ゲラム「流石だな、マイクロン・・・・・俺に傷を負わせるとはな・・・・・」
一方、一条輝はゲラムとの激しい戦いを繰り返しており・・・・
開始から数十分で・・・ゲラムに傷を負わせる事に成功した。
だが・・・・完全に戦闘能力を排除したわけでもなく
まだ戦闘を継続するだけの能力は残されていた。
一条輝「もうやめろ、もう帰るべき所はないんだ。戦いをやめ恭順しろ!!」
ゲラム「黙れマイクロン、貴様らに俺たちゼントラーディ人全員が従う者か!!それに・・・・・この状況見ろ、有利なのは俺たちだ!!」
一条輝「ここでは勝ち目はあっても全体的には・・・・・勝ち目はないんだぞ、時間が立てば・・・・君達は包囲殲滅され死ぬんだぞ!!」
輝は戦いながら、翻訳機を使ってチャンネルを繋いで・・・・ゲラムに投降を促すが・・・・
ゲラムは逆に激怒して、降参しようとしない・・・・・・
まだ数があり、劣勢なのは統合軍・・・・・
この状況で、投降しろと言われても説得力もない・・・・・・・
今の段階で一番、有利なのはゲラム率いるはぐれゼントラーディ軍・・・・
だけど、今の段階での話で・・・・・
月面アポロ基地やクラビウス基地の部隊、近隣のゼントラン海兵部隊が救援に来れば輝達の有利である・・・・・
ゲラム「この状況で俺たちに投降、笑わせるんじゃねぇ!!」
一条輝「ぐあぁぁぁ」
必死に投降を促すも、輝はゲラムにより被弾する。
ファイター形態から、ガゥーク形態に変形し態勢を整える・・・・・・・
それでも安定性が悪いので、バトロイドに変形しゲラムに向けてガンポッドを向ける・・・・・
ゲラム「この状態でどう戦況を逆転する・・・・あと少しでお前ら全滅だぜ!!」
一条輝「何を・・・・・」
ゲラム「そろそろお前を殺して、この戦闘を終わらせ物資を頂いてやる・・・・」
ゲラムは被弾し、自身にガンポッドを向ける輝に対し今の現実を伝える・・・・
今、どちらが優勢なのかを・・・・・・・
輝だって今の状況を理解している、どちらが不利か・・・・・・・
それに・・・・・
一条輝「連中・・・・目的が物資の奪取・・・・」
今のゲラムの発言で、今回のアッべクレーター基地の襲撃が物資の奪取であることを初めて知った。
知ったとしてもいまいちピンと来ておらず、頭には入らない・・・・・・
とは言え・・・・なんとしても、救援部隊が来る前になんとか、ゲラムを投降させないと・・・・・
輝は投降を促しながら戦う。
ゲラム「無駄だって言っているだろ、マイクロン。」
一条輝「いい加減にやめろ!!」
ゲラム「うるせぇんだよ!!マイクロンのクソ野郎!!テメェをぶっ殺して、作戦を成功させてやる!!」
促しながら戦っても状況は変わらず・・・・
ゲラムの攻撃を逆に強くするだけであり、まったく効果が出ず・・・・・
輝はどんどんゲラムの猛攻により、死へと追い込まれていくのであった・・・・・・・・・・
【月面アッべクレーター基地.オーベルト級駆逐艦2隻付近】
輝に命じられ艦隊直掩にまわったダグラスは、艦隊を組むオーベルト級2隻と哨戒艇1隻を防衛し・・・・
途中から合流してきたカールと信之と共に、リガードやジナールなどと戦っていた。
護衛の対象であるオーベルト級からは各所被弾しており、満身創痍の状態であった・・・・・・
ダグラス「艦艇は何とか維持しているが・・・・・・・・・・」
カール「戦況不利変わらず・・・・・」
葛西信之「基地守備隊は、俺たちだけか・・・・・・」
現時点での・・・・・・・・・基地守備隊の航空隊は全兵力の1割ほどまで減少していた。
既に基地守備隊の可変戦闘機部隊は和也のスコルピオン小隊と2機合わせて5機であり。
デストロイド部隊やランサーⅡの反応は既にない・・・・・・・
オーベルト級駆逐艦2隻防衛しているのは奇跡であり、哨戒艇も1隻しか生き残ってない・・・・
カール「このまま戦況維持できるのか?」
ダグラス「俺に言うなよ。」
敵に打撃を与えたが、まだまだ数十機の敵が残存している。
戦闘続行な部隊は殆どなく、実質アッべクレーター基地の戦力は壊滅した。
基地機能もない、防衛戦力もない・・・・・・・・・
ザグレブ「ぐがぁぁぁぁぁ」
来生元春「よし、全滅・・・・・っておい、まだ敵いるのかよ。めんどくさいな。」
別の場所で戦いザグレブを倒した元春の前にも、リガード3機.ヌージャデル・ガー5機・・・クァドラン・ロー2機が立ちふさがり・・・・
ボドル基幹艦隊決戦の死闘を潜り抜けた元春も・・・・流石に不味いと・・・・悟った。
一条輝「未沙・・・ミンメイ・・・・・」
圧倒的に不利・・・・・・
既にミサイルはすべて撃ち尽くしており、ガンポッドの銃弾は残り僅か・・・・
神経を全力で使ったせいか、疲労感が出てきはじめ・・・・・・
輝はもう戦える力は残り僅かだと認識し始める・・・
このまま負けてしまうのか・・・・
輝は未沙とミンメイとは再開できずに・・・・死ぬ事を覚悟する・・・・
せっかくの最新鋭機のテストも死ぬ・・・・これじゃフォッカー先輩に笑われてしまうと・・・・
輝は自分の最期の最期までゲラムを睨み戦いながら死ぬ事を決意した・・・・・
が・・・・
この時・・・・・・まさかの事態が起きる。
パン パン パン
一条輝「あれは・・・・」
発光信号が次々と見えてくる・・・・
一体なんなのか・・・・・・・
輝がその先に視線を合わせると、ARMD級1隻.オーベルト級宇宙駆逐艦8隻の艦隊と・・・・
2個大隊はいるであろう、可変戦闘機や可変攻撃機そしてランサーⅡの編隊が飛行していた。
アポロ基地から出撃してきた、救援部隊・・・・・・・
救援部隊は・・・・・次々に戦場に乱入しはぐれゼントラーディ軍を撃破していった。
更に、統合軍のマークの入ったクァドラン・ロー部隊やヌージャデル・ガー部隊が乱入して来た。
ゲラム「くそ援軍か・・・・・」
突然の予期せぬ援軍の登場に、ゲラムは怯える。
ジャミングで通信妨害したのに、なぜこんなに早く増援部隊が来るのか・・・・・
ゲラムは混乱しながら考える・・・・・・・
実は、襲撃からしばらくアポロ基地はVF-1GとVE-1の混成部隊が出撃しており・・・・
そのうちの1機のVF-1Gがアッベクレーター基地周辺でジャミングと、小さく見える爆発の光を確認。
すぐさまアポロ基地司令部に報告し、司令部は近くのゼントラン海兵部隊と通信し救援命令を出し・・・・
アポロ基地にいる1個小規模空母機動艦隊を出撃させたのであった。
統合軍の各部隊は二方向から接近し、ゲラム達の退路を封鎖・・・・・
完全に戦闘や物資の奪取に集中し、輝達の奮戦による妨害でゲラム達は勝機を逃がしてしまう事になった。
「我々の同胞だな・・・・フォーメーションを組め、十字攻撃・・・・」
「男(ゼントラン)に負けないよ。」
「あぁ俺たちも女(メルトラン)に負けん。」
混乱するゲラムの前に、クァドラン・ローと2機のヌージャデル・ガーがフォーメーションを組み迫る。
突撃銃とパルスレーザーの集中攻撃を発砲し、ゲラムに浴びせようとした。
うまく連携されているのか、ゲラムは回避しきれずにキャノン砲を失う。
ゲラム「裏切り者の同胞め!!」
ゲラムはゼントラーディ海兵隊の連携攻撃に押されてイライラし始める。
マイクローンに追い込まれるのも屈辱的だが、マイクローンについた同胞に攻撃されるのは更に腹が立つ・・・・
何故・・・忌々しいマイクローン(地球人)に味方する・・・・・
そんなにまでマイクラン・カールチューン(地球文化)が欲しいのか・・・・・
ゼントラーディ軍軍人の誇りを捨ててまで・・・・
ゲラム「ぐあっ・・・・貴様ら・・・・」
同胞に追いつめられるは別のチームのゼントラン海兵部隊の攻撃を喰らい・・・・
致命傷と言うべき損傷を負う事になる・・・・
ーまさか自分が死ぬ・・・・
ー今まで監察軍の攻撃で死ぬ事のなかった自分がかつての同胞に殺され死ぬ・・・
ーそんな事は認められない・・・・・・・・・
ゲラム「貴様も死ねマイクローン・・・・」
一条輝「こいつまだやる気なのか・・・・・」
ゲラムはすべての元凶であるマイクローンの一人、輝に向け特攻をしかける。
すべて自分の失策なのに・・・・輝達に責任を転嫁し・・・
憎しみとやけくそで輝達に一矢報いろうとする・・・・・
一条輝「回避は難しい・・・・・・・なら・・・・」
輝はゲラムのシュルケル・ガーに向けて、ガンポッドを向ける・・・・・
既に輝はゲラムの特攻から回避する事が出来ない距離におり、何もしなければ死ぬのは間違いない・・・・
そうならないためにも、ガンポッドを向けゲラムに向けて撃墜しようとした・・・・
一条輝「いけ!!」
ゲラムに向けたガンポッドは一斉に銃弾を飛ばしていく。
銃弾の雨はゲラムの機体、全体に命中するが・・・・なかなか撃墜に至らない・・・・
最後の最後まで諦めずに銃弾を撃ち続け、どんどんゲラムの機体に当てていく・・・・
ズガァァァン
一条輝「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ついにゲラムの機体を撃墜する事が出来たが、爆発は輝のVF-1Sを飲み込んだ。
近くにいたゼントラン海兵隊の兵士は輝が爆発に巻き込まれ死んだと思った・・・
あの距離の爆発に巻き込まれたら、確実に死んでいる・・・・・
ゼントラン海兵隊の兵士は息を飲みながら爆発から晴れるのを見守る・・・・
「ヤック・デ・カルチャー」
「生きてやがる!?」
結果は生きていた・・・・
爆発に飲まれたが・・・なんとか持ちこたえる事ができ・・・・
機体の表面がボロボロになったり、機体の一部を破損するだけで済んだ・・・・
まるでゾンビ映画のゾンビかのように・・・・・・
一条輝「なんとか生きているのか・・・・・」
輝も爆発に飲まれた時、確実に死んだなと思っていた。
結果的には生き残る事が出来たが、なんか実感が湧かない・・・
一時は夢かと思い頬をつねるが、夢じゃない・・・・
現実的に生きている・・・・輝は生き残った事に若干喜びを感じた。
また未沙やミンメイに会う事が出来ると・・・・
「ゼントラーディ軍の諸君に告げる・・・・既に君たちの戦力では我が軍には勝てない投降せよ!投降しない場合は叛乱軍と見なし、全機徹底的に排除する。」
ゲラムの死と、戦力の大半を失ったゲラム一派に対し投降勧告が促される。
既にザグレブは死に、指揮系統は分断・・・・・
ミューレの方はと言うと・・・・・・
ミューレ「機体が動かない・・・・・・もう駄目なのか・・・・・痛・・・・片足が痛い・・・・・もうこれでは・・・・・・」
モーア「くっ・・・・」
星村和也「モーア・・・・まさか・・・・」
ミューレのクァドラン・ローは行動不能にされ、戦闘続行が不可能になった。
この際に足を負傷したらしく、痛みを感じている・・・・・今までに感じた事のないような痛みがミューレを襲う。
その姿を見たモーアは、ミューレに近づき何かをしようとした。
和也は何をするんだと黙って見ていたが・・・・
同僚を失った事を思い出し、復讐心を持ってミューレに何かしようとするのではないかと思った・・・・
これ以上、殺す真似はよせ・・・・・
和也はモーアに何かする事を止めようとしない・・・・
何か考えがあるのかと・・・・・・何か考えがあってミューレに近づいたと・・・・・
ミューレ「!?」
モーア「出てきなさい・・・・もうあなたの負けです・・・・」
ミューレ「モーア・カリダム・・・エースのミリアの部隊の兵か・・・・・」
モーアはコックピットをバトロイド形態のVF-1の肩まで浮上し、自分の姿を現した。
この光景に和也は勿論、ミューレも凄く驚いた。
まさか自分から出てくるとは・・・・・・・・・それに分かっていたが・・・・・
ラプラミズ艦隊で有名なエースのミリアの部下・・・・・・・
そんな奴と自分は戦っていたのか・・・・・・ミューレはモーアの姿を見て、驚くも・・・・
満足な表情を浮かべる・・・・
有名なミリア隊の兵士と戦えた・・・・・それだけでも・・・・満足・・・・・
星村和也「女か・・・・・美人だな・・・・・」
モーア「姿を現したか・・・・」
ミューレ「・・・・・」
ミューレはクァドランを捨て、足をふらつきながらも・・・自分自身の姿をモーア達に見せる・・・・・
そのままモーアのバルキリーに近づき、自分の両目がモーアの真正面になるまで近づける・・・・・
モーアもマイクローン化してない同胞ミューレの姿を見て、少しびびるも・・・・・
巨人のミューレの姿を見続ける・・・・・・
見続けている間にも、救援部隊の兵士や海兵部隊の兵がやってくるが・・・・
和也は攻撃しないように制止する・・・・・
ミューレ「名前は?」
モーア「私は元ゼントラーディ軍第118基幹艦隊のモーア・カリダム3級空士長・・・・・」
ミューレ「モーア・カリダムか・・・・・私からしたら部下か・・・・・」
モーア「あなたは・・・・・?」
ミューレ「ゼントラーディ軍第118基幹艦隊のミューレ・・・・あなたに敗れし者よ。」
この状態で二人は自己紹介する・・・・・
自分が敗れたのは、ゼントラーディ軍時代であったら確実に部下であった兵士・・・・・
そんな奴に負けたのか・・・・・・・
モーア「ミューレ?」
ミューレ「完全に私の負けだ・・・・・」
ミューレは悔しさのあまりに泣く・・・・
自分たちが彷徨いその結果が、これ・・・・・悔しくてしょうがない。
もう自分がどうなってもいい・・・・・・
モーア「降伏して・・・・・ね・・・」
ミューレ「好きにしてくれ・・・・」
ついにミューレも投降した・・・・・
これにより、ゲラム一派の戦闘力は完全に排除され・・・多数の残存兵は投降・・・・
一部の残存兵は統合軍艦隊の攻撃により全滅され・・・・・
短くも長い・・・・アッベクレーター基地攻略戦は幕を閉じた・・・・
【アッベクレーター基地】
数時間後、輝達はアッベクレーター基地に帰還した・・・・・
基地の被害状況は甚大であり、基地職員数百名負傷・・・・約100名が戦死・・・・
基地防衛隊の戦力の殆ど損失し・・・・・勝利はしたが・・・・・事実上の敗北であった・・・・
モーア「准尉・・・・」
モーアはスタンリーが戦死した地点を訪れ、機体の残骸を見ると号泣した。
その様子を見ていた輝達は何も言えずに、そのままこの場を後にする・・・・・
戦死した戦友を悲しむ姿を何度も見てきている輝は、モーアの気持ちは分かるが・・・・
変に励ましてもモーアの悲しみが増えるだけである・・・・・
だからこそ・・・黙って立ち去るしかないと思い、この場を後にした・・・・
星村和也「モーア・・・じゃなくてカリダム少尉・・・」
モーア「中尉・・・・・」
星村和也「俺にはこれしかできない・・・残念だったな・・・」
和也は悲しんでいるモーアにハンカチを渡し、立ち去る・・・・
戦友スタンリーを失い悲しみ泣いているモーアにできる事はハンカチを渡すくらいしかできない。
下手な言葉を述べて悲しませる結果になるより・・・・
そっと最低限度の事をすればいい。
仲間を失った戦友の対応はこれで済ます・・・・
今それしか・・・・絵里に対してやれる事はそれしかない・・・・・
和也はそう思っていた。
それからしばらく
一条輝「いよいよ試験飛行が行われるのか、2週間・・・・・結構時間喰ったな。」
基地は再建・・・VF-X-4の開発は再開された・・・・
基地は完全復旧してないとは言え、試験飛行が可能な程にまで基地機能は回復し・・・・
試験開始日はゲラムの襲撃から2週間で行われるようになった。
2週間とは言え、試験飛行再開までに無駄な時間を過ごしてしまい。
輝達からかなり遅れたと言う認識を持っていた。
なぜなら期間予定日があり、それまでに試験飛行や教育などをしなくてはならない。
ハードスケジュールなので、休んでいる暇もなく・・・・
毎日作業を行わないと、間に合わない・・・・
2週間も遅れた上、一名が戦死したため・・・・
輝達は大忙しで、試験飛行を行う・・・・
一条輝「前より動きやすくなっているね。」
「はい、OSの改良を行いました。」
遅れたとは言え・・・・・・
VF-X-4の開発は順調であり、輝達の顔は常に笑顔であった。
このまま開発が進めば、VF-X-4は2011年に完成し・・・・
輝と後任の部隊が最終テストをしたのち、2012年には実戦部隊に配備される形が決定。
この結果に統合軍上層部は喜び・・・・輝達に感状を授与する事が決定される。
試験飛行だけではなく、基地部隊の教育を行わせ・・・・・
アポロ基地の飛行隊の兵士達に対ゼントラーディ戦闘のノウハウを教え込んだ。
これを続けて、更に月日は流れ・・・・
輝達は地球に帰還する1週間前になった・・・・
すべての作業は終わり、輝達は余裕そうな表情を浮かべ・・・・
地球への帰還を楽しみにしながら、アッベクレーター基地の職員の作業をしている。
後1週間もすれば・・・・
このまま輝達は地球へ帰還する事になる予定であり・・・・・
全員で帰る・・・・・・・はず
が・・・・・・
一条輝「地球へ戻らないだって!?なんで?」
モーア「やはり、私・・・・宇宙で暮らしたくて・・・・」
モーアが地球に帰還せず、そのまま月面で勤務したいと言った。
元々、ゼントラーディ人は宇宙空間に住んでいる戦闘種族であり・・・・
宇宙空間を懐かしむゼントラーディ人はかなりいた。
仲間スタンリーの戦死、オセアニアにいる仲間に顔向けできない事から・・・
モーアは月面に残る決意をし、既にオセアニアにある原隊に向けて転属届けの書類を送っている。
ダグラス「月面に好きな男でもできたのか?」
モーア「馬鹿ぁ、そんなはずないわよ。ただ・・・宇宙で暮らしたいのと・・・・原隊の仲間に顔向けできないだけ・・・・・」
ダグラス「とそうです・・・隊長・・・」
一条輝「一応、原隊の仲間も心配するし転属するなら・・・・手紙でも送ったら。」
輝はモーアの言動を聞いて、同僚が心配するから手紙でも送る事を勧めた。
モーアがスタンリーの死で心を痛めているのは同僚も知っているし、月面に残れば更に心配する・・・・・
オセアニアにいる原隊の同僚を少しでも安心させるために手紙を添えた方が・・・
モーアのためになるし、同僚達のためになる。
指揮官になった輝はそうした部下を大勢見てるため、今この状況をどうすればいいのかを知っている・・・・
モーア「ありがとうございます、手紙後で書きますね。」
モーアも輝の提案を受け入れ、貸してもらっている自室に戻り手紙を書きに行った。
輝とダグラスはその様子を後ろから見守った。
仲間の死を受け入れ、更に強く優しい戦士に育つ事を願いながら。
ダグラス「さて俺たちも帰りますか、隊長。」
一条輝「あぁそうだな。」
見守っていた輝達も自室に戻り、この場を後にした。
これからモーアはどのように過ごしていくのか・・・・
輝達はそう考えながらそれぞれの自室に入る・・・・・
事実に入って、輝はある事を思った。
種族は違っても、感情的に地球人と通ずる物があると・・・・・
地球人とゼントラーディ人・・・・
同じプロトカルチャーが由縁の兄弟種族であり・・・・・
お互い価値観も違えば、文明や考え方は違う・・・・
だけど、感情は似ている部分がある・・・・
笑ったり・怒ったり・泣いたりなど・・・・いろいろと共通する部分もある。
あの戦争でいろいろとゼントラーディ人を知ったけど・・・・
こうして一緒に戦ったり、過ごしたりした事で新たな発見し・・・・
輝は勉強になったなと思い、眠りにつく・・・・・
それから一週間・・・・・
一条輝「お世話になりました。」
来生元春「また月面に遊びに来いよ。俺たちはいつでも歓迎しているからな。」
一条輝「その際はよろしくお願いします。」
輝達はARMD-08ミッドウェーに乗るため、元春に見送られながら・・・・・月面アポロ基地に向かおうとしていた。
2機のバルキリーはアッベクレーター基地の格納庫から飛び出し、そのまま消えていく・・・・・
モーアはその様子を基地の展望室から見ており、機体が見えなくなるまで敬礼していた。
当分、地球に戻る事はない。
原隊の仲間とも当分会う事はない・・・・そんな事を思っていたのか・・・・
モーアの表情は悲しそうである。
星村和也「モーア・カリダム少尉。」
モーア「星村中尉。」
星村和也「俺の部隊に配属になったよろしく頼むな。」
モーア「はい。」
月面に残る事になったモーアは和也の小隊に配属になった。
和也の希望ではなく、アッベクレーター基地司令部の判断であり・・・・・
ゲラムとの戦闘の結果、和也の小隊に配属になる事が望ましいと判断された。
以降、モーアは和也の小隊の紅一点になったのである。
【地球.マクロスシティ】
輝は未沙と司令部で再会後、病院に向かっていた。
なんでも、ミリアが妊娠したとの事・・・・
行く前は事故による怪我で負傷、今度は妊娠・・・・・・
一条輝「マックスもミリアも大変だなぁ。」
病院に向かっている輝はそう思った。
とは言え、マックスとミリアの子供か・・・・・
どんな子が生まれるだろうか・・・・
輝はいろいろと想像する、マックスに似て天然か・・・ミリアに似て勝気な性格か・・・・・
想像しているうちに病院に着いてマックスと合流・・・・
そのままミリアの病室に向かった。
ミリア「私の部下に会ったのか?」
一条輝「あぁ結構いい娘だったよ、礼儀もいいし・・・案外可愛いところもあって・・ミリアもいい部下持って幸せだな。」
ミリア「なぁに私の部下だからな。」
ミリアの病室に着いたら、月面の出来事と一緒になったモーアの話をする。
まだモーアの名前を言っておらず、礼儀の正しいミリアの部下との話に・・・
ベッドで寝ているミリアは笑顔になり、マックスは興味津々にその話を聞いては・・・・
嫉妬するような表情をミリアが浮かべ、誤解だとマックスが釈明するなど盛り上がった。
自分の部下を自分の事に喜んだミリアを見て、ミリアもかなり部下想いだと輝は思う・・・
ミリア「ところで名前はなんて言うんだ?」
マックス「気になりますね。」
一条輝「そうだな・・・・モーア・カリダム少尉・・・・・緑色のボブカットの元気そうな印象のある・・・・」
ミリア「モーアだと!?」
一条輝「なんだいきなり!?」
そのミリアの部下の名前を質問したミリアだが、輝がモーアの名前を聞いたとたん。
思わず、目をハッとさせ大きな声で驚く・・・・
ミリアの驚きように、輝はずっこけ・・・マックスはずてんと床に転がる・・・・・
一条輝「何驚いているんだ?」
マックス「ミリア、どうしたんだ。」
ミリア「まさか・・・モーアが・・・・」
一条輝「もしかして、おたく・・・モーアの事が嫌い・・・・」
ミリア「いや・・嫌いとかではなくて・・あいつは私の部下の中で一番の問題児なんだ。」
一条輝「えっ!?」
ミリア「戦好きで、いつ戦いがあるのかと・・・・・おまけに生意気な性格で・・・・悪くないが要注意な奴で・・・・」
驚く輝とマックスに、ミリアはその理由を言う・・・・
モーアが問題児であり、生意気な性格な奴だったと・・・・・
ミリアのモーアに対する評価に輝はえぇぇと言う顔をしながら驚いた。
あの礼儀の正しくて、真面目そうなモーアが問題児・・・・
嘘だろと・・・・・・
とは言え、上官であるミリアが言うなら信じるしかない・・・・・・
一条輝「で・・・・カリダム少尉は・・・・・」
ミリア「あいつは私の部隊の中で部下では一番強い兵士で、私に劣るが・・・・優秀なスコアを誇る兵士だ。」
マックス「へぇそんなに強いんだ、興味あるな・・・・」
ミリア「マックス・・・・興味持って浮気するなよ。」
マックス「わかっているさ、僕が一番好きなのはミリアだけだからね。」
ミリア「強いんだが、信用性は平凡より少し下で・・・・信用し背後を任す事はできん気まぐれな奴だった。」
ミリアの部下の中で一番強い兵士であるが、信用性の低いやつ・・・・・・
一体ゼントラーディ軍時代でどんな風に過ごしていたんだ・・・・・・
輝はモーアのゼントラーディ軍時代の様子が気になり、知りたいような知りたくないようなと思う。
ミリア「私の部下が迷惑かけてなかったか・・・あいつは前よりマシになったが・・・・」
一条輝「迷惑になってないから安心してくれ、結構いろいろと助かったし。」
モーアが輝と一緒にいた事に迷惑をかけたんじゃないかとミリアは思ったのか、謝罪する。
別に迷惑をかけたわけでもなくむしろ、感謝されるような事をしてないので、ミリアに安心するように言う。
それでもミリアは、輝に心配そうな顔をしながら見る・・・・
ー一体、ゼントラーディ軍時代はどんな事をしていたんだ?
輝はミリアの言うモーアの過去・・・・
知りたくないと知りたいの両方が混ざっていたが、やはり知りたい・・・・・
どんな風に過ごしていたのか・・・輝はこれに関し当分モヤモヤする事になる。
捕虜収容所からの志願者
【月面アポロ基地】
輝が去ってから1ヵ月後のアポロ基地・・・・・・
アポロ基地の飛行隊は輝の指導もあってか、対ゼントラーディ軍用の戦闘に適応できるようになり。
はぐれゼントラーディ軍の襲撃を犠牲者を殆ど出さずに対応できるようになった。
とは言え、宇宙軍増強もあり飛行隊が増強され教官の数が足りない・・・・・
モーア「ちょっと、それ違うわよ。」
「すいません、教官。」
モーア「これじゃあ、私たちの同胞にあっけなくやられるわ・・・命があるなら辞めたら・・・」
「申し訳ございません・・・・」
モーアは和也達と共に月面アポロ基地の訓練所で可変戦闘機部隊の教官をしていた。
数々の訓練生を相手に、時には優しく時には厳しくと・・・飴と鞭を上手く使いこなしながら指導していた。
戦う頻度は減ったが、モーアもこの仕事に満足しており。
和也達と共に楽しく訓練生達を指導している。
モーア「今日のランチは・・・・焼き鳥丼か・・・・」
葛西信之「シティの焼き鳥仙石からの仕入れだそうだ、あそこの焼き鳥は美味しいぞ。」
星村和也「教官用しか仕入れてないそうだから、訓練生に見つからないようにして食べよう。」
ランチの時間になると、モーアは和也達と共に教官用食堂に入り焼き鳥丼を満喫していた。
教官用食堂は訓練生食堂よりも少し贅沢な料理が出てきており。
モーア達の日頃の楽しみのような感じになっている。
普段は四人で食べているが・・・・・
葛西信之「またカールの奴いませんね。」
星村和也「アッベクレーター基地勤務時代に気になっていた人で、現恋人のヒューマリン少尉と長距離画面通話だろう。まったく、恋にお熱とはな。」
カールはアッベクレーター基地勤務時代に気になっていたアマリと恋人関係になり。
昼時には必ず、長距離画面通信室に入りアマリと会話していた。
こうした風景は当たり前になり、最初期は4人だったが・・・・
今では3人で食べる事が多くなった。
更に言えば、カールとアマリは休日になるとアポロシティで過ごす事が多かった。
葛西信之「そう言えば、今日以前の事件のゼントラーディ人の釈放がある日だったな。」
モーア「はい、統合政府に恭順する意思の強い人だけ釈放するようです。」
星村和也「モーアは会った事のあるメルトランで、是非とも来てくれとの要望があった。」
この日、モーアと和也は午後の捕虜収容所に行く予定である・・・・
なんでも今日釈放される捕虜の一人がモーアと和也と面会を求めていると言う。
その捕虜はゲラムの襲撃の際にモーアが直接見たメルトランだと言う。
モーアと和也に面会を求めているメルトランは・・・・・
モーア「ミューレ・・・私の同僚を殺した同胞・・・」
葛西信之「そんな奴と会うのか?」
モーア「はい・・・でも面会を希望しているので、会わないわけには行きません。」
ミューレ・・・・以前、ゲラムと共にアッベクレーター基地を襲撃したメルトランである。
今回、釈放されるゼントラーディ人の一人であり・・・・
是非とも自分自身を行動不能にしたモーアと和也に会いたいと言っている。
星村和也「もう時間だな、行くぞモーア。」
モーア「はい、ノブ君・・・後は頼んだよ。」
葛西信之「はいはい、デートをお楽しみくださいませ。」
星村和也「馬鹿!!」
モーア「私たちはデートをしに行くのではありません!!」
ランチが終わるとすぐに出発する、信之からデートと茶化されるも・・・
二人からすればデートではなく、ただの訪問・・・・
デートだと茶化す信之に猛烈に反論した。
【アポロ基地.捕虜収容所】
アポロ基地内部にある捕虜収容所・・・・・
基地より少し離れた場所にあり、反統合同盟時代の捕虜やマイクローン化されたゼントラーディ人捕虜が収容されている。
収容所の前には、デストロイド・シャイアンとデストロイド・マサムネが2機が配備されており・・・・
収容所周辺には銃を持った兵士が巡回していた。
ミューレ「彼らは来るのですか?」
「あぁ勤務時間中だが、上にかけあってくる予定だ。」
「ここで待っていたらきますので、ご安心ください。」
ミューレ「あ.ありがとうございます。」
ミューレは次々と街に出るゼントラーディ人の元捕虜とは別行動し、待機所にいた。
怪しい行動しないかと心配しているのか、男女のサブマシンガンを携帯した兵士がいた。
異様な雰囲気であるが、ミューレは取り乱したりせず・・・じっと・・・本を読みながら待っている。
「これは中尉殿・・・少尉殿」
星村和也「待たせて悪いね、例のゼントラーディ人は何処にいる?」
「ハッあちらであります。」
モーア「おぉぉ」
30分経過した頃、ようやくモーアと和也がミューレの待つ収容所の待機室に到着した。
ミューレはそれに気が付いたのか、待機室の中を覗いたモーアと目が合った。
以前、殺し合いをした仲だが・・・・今はそうじゃない。
モーア「マイクローンになったとは言え、久しぶりねミューレ。」
ミューレ「久しぶりだな、モーア・・・・・そちらは・・・・」
星村和也「どうも、モーア・カリダム少尉の上官で星村和也です。直接会った事はないですが、あの戦いでモーアと共に戦っていました。」
ミューレ「あの時の・・・モーアの僚機・・・・・こちらこそよろしく。」
この時のモーア達の表情は穏やかであった。
以前は統合軍とゼントラーディ軍と殺し合った敵同士であり、自分が殺すか殺されるかの厳しい状況だった。
今ここにいるのは戦場ではなく、捕虜収容所の待機室・・・・・お互いに武器は持っていない。
星村和也「ここでは堅苦しいから、何処か別の場所に行きませんか。お食事は自分が払いますので。」
ミューレ「いいんですか?」
モーア「はい、そのための準備はしてありますから。」
二人はミューレと楽しく会話するために、食事に誘う。
食事でもすれば、何かミューレの事を知ったり自分たちの事を教える事ができる。
この申し出は勿論、OK。
ミューレは笑顔を浮かべながら了承した。
これで万事解決・・・・と思ったが・・・・
モーア「その杖は・・・・・」
ミューレ「あの時の戦いで、一部体の機能が損傷してね・・・当分杖がないと歩けないのよ。」
モーア「そう・・・なんだ・・・・ごめん・・・」
ミューレ「気にしないでよ、戦いであぁぁなったから。」
足のケガ・・・・・あの戦いで怪我し・・・・・・
マイクローン装置に入っても、完全に完治できない程・・・足に障害を負った。
当分杖がないと歩けないのはミューレの強がりであり・・・・
もう戦闘に復帰できない体になっていた。
投降した当初はある程度、歩けたが・・・だんだんと足が崩壊し・・・
今に至ったと言うわけであった。
それから、3人は捕虜収容所を出てアポロシティに向かった。
ミューレが歩けないので、移動は困難かと思ったが・・・・ジープで乗ってきたため解決済み・・・・・
ミューレ「ここは・・・・」
星村和也「居酒屋です、取り合えず酒飲みませんか?」
モーア「ここのお酒美味しいんですよ。」
3人は居酒屋に到着した。
ミューレは居酒屋が初めてであり、不思議そうに見ているが・・・・
モーアと和也が勧めるので店に入る。
既に開店しているので、お客様が一杯で活気があり。
興味津々に店内を見回す・・・・・
ミューレ「美味しい、マイクローンにはこんな食べ物があるんですね。」
モーア「宇宙各地にいる同胞に食べさせたいですね。」
星村和也「話に入れん、ゼントラーディ語で喋っているから話が分からん。」
モーア「あぁもう、和也拗ねてないで飲んで食べようよ。」
星村和也「俺は拗ねてない・・・・ふん。」
ソフトドリンクで、料理を食べながら楽しい時間を過ごす。
ミューレは収容所以外の地球の料理が初めてなのか、美味しそうに食べている。
ゼントラーディ軍時代は栄養重視の食事で美味しさがないので、ミューレからすれば斬新である。
その間にモーアがミューレに突っかかるが・・・・
会話する内容がゼントラーディ語であるため、和也は話に入れないので拗ねる・・・
せめて共用語で喋れと・・・・・
しばらくは楽しい会話は進むがだんだんと、話は悲壮感が漂ってくる。
ミューレ「もう私は戦う事ができないのよ。」
モーア「えっ・・・・」
ミューレ「あの戦いで、足に致命傷を負ったのよ。片足は一生杖がないと歩けないって・・・・・」
先ほどのミューレの足・・・・・
ミューレは片足に致命傷を負い歩けなくなった事を気にしており・・・・・
戦場でこうなったのはしょうがないとは言え、もう戦えない体になれば・・・
戦闘種族であるゼントラーディ人として終わりだと思った。
ミューレ「マイクローンに恭順し、軍に入隊しバルキリーとやらに乗りたかったけど・・・・無理そうなんだ・・・」
モーア「・・・・・」
ミューレ「せっかく、生き延びて第2の人生を歩もうとしていたのに・・・・もう私は終わったよ・・・夢も希望もない・・・・地獄だよ。」
ミューレの片足が使えなくなった事を気にしており、段々と目は赤くなり・・・
涙目のようになっていた。
ゼントラーディ人は戦いこそが命であり、もう戦えなくなってしまえば人間として終わっている。
悲痛な声で喋るミューレにモーアと和也は何も言えなくなり・・・・
グレープフルーツジュースを飲んだり、料理を食べれなくなってしまう。
なんとかしてあげたいが、もうどうする事ができない・・・・・
でも、こうなってしまったのは自分たちなのでせめて何か生きる望みを与えたい・・・・
いろいろと考えていたが、和也はある事を思い出した。
星村和也「まぁせめて、何かできる事を探しましょう。一応、事務職なら軍人にできますので・・・・」
ミューレ「事務職・・・・」
星村和也「収容所の報告書、もらったんだ・・・・パソコンかなり頑張っていたからその道勧めばいいんじゃないか?」
それはミューレが収容所内でパソコンに関する仕事を頑張っていた報告書・・・・
収容所の待機室に行った際に、ミューレの収容所でやっていた報告書を見ていた。
その報告書に書いてあったのは、パソコンに関する職業訓練の成績がよかった事である。
パソコンの仕事をすれば、ミューレに生きる希望を持たせる事ができるので・・・・
ミューレにその道に進むようにおすすめした。
もう戦場にでなくても、パソコンの道に行けば人生は開ける・・・・
和也は報告書を読んで確信し、その事を伝えようとしたが・・・・
食事している時に忘れかけてしまった。
モーア「パソコンか・・・・」
星村和也「モーアも記録書使う時にやってただろ、あれさ。」
モーア「なるほど。」
楽しくやっていた程、思い出しにくくなっていたが・・・・
ミューレの悲痛な境遇を聞いて、ようやく思い出す事ができた。
和也が勧めるパソコンの仕事について、モーアも喰いつく・・・・
モーアも統合軍に勤務するようになってからパソコンを使う機会が増えており・・・・
かなりパソコンを使えるようになっていた。
それからはと言うものは、インターネットのショッピングを楽しむなど・・・
楽しくパソコンライフを満喫していた。
ミューレ「でも軍じゃないと・・・」
星村和也「まぁ軍にもパソコンを使う部隊があるから、そこに入るといいさ。」
モーア「結構、その部隊便利でね。私たちの給料だったり、セイジカ(政治家)やザイカイジン(財界)の対応してくれるのよ。」
モーアも和也に考えに同調し、ミューレに軍内部のパソコンを使う部隊をお勧めする。
パソコンを使う軍人を見たモーアは、結構便利と感じており・・・・
もし怪我して働けなくなったらそこで働こうかなと思っていた程、パソコンを使う業種の部隊に尊敬しており・・・
今こうして、怪我をして戦闘員として戦う事のできなくなったミューレに入れれば大きな戦力になるし・・・
実際に怪我をし、動けなくなった際にお世話になるのと・・・・モーア的にも大きなメリットがあった。
ミューレ「じゃあ、お世話になろうかしら。」
モーア「軍に入隊する時の願書は、私たちがなんとかするから安心してね。」
二人が熱く推した結果もあって、ミューレは軍の情報部隊に入る事を希望する事を決めた。
ミューレは戦う時以外は、おとなしい性格もあり不安でおどおどしているが・・・・
さっきより顔色が良くなっている。
気分もよくなっているのか・・・・・・
モーア「マスター、ビール用意してくれる!!」
「ダメダメ、まだ18歳じゃないしまだビールはダメ。」
モーア「そこをなんとか・・・・」
星村和也「それは流石にアウトだからな、懲戒処分になっても知らんぞ・・・・」
居酒屋の食事を再び楽しむようになり、3人は楽しく過ごした。
モーアが調子に乗ってビールを頼もうとして、和也がそれを止める光景は・・・
さっきまで不安そうになっていたミューレの表情を明るくさせる。
そして夜の22時まで、楽しんだ後・・・・
モーアは住む家が決まるまで、ミューレを自分の自宅に招き居候させる。
それから2週間後・・・・
星村和也「なぁ軍に入ったミューレは元気だろうか。」
モーア「元気らしいよ、パソコンの仕事も結構いい感じになっているって大喜びだそうです。」
星村和也「おぉぉそれはよかったな、その言葉を聞くとまるで自分の事のように嬉しく感じるな。」
モーア「はいそうですね。」
ミューレは無事に新統合軍に入隊し、情報部隊に配属された。
収容所における報告が軍情報部隊に届いているのか、多少の訓練の後・・・すぐ実戦部隊に配属され・・・
仕事は中々上手く言っていると・・・・・・・ミューレは喜んでいた。
定期的に届くミューレのメールにモーアも喜び・・・・
戦い以外の喜びを得たんだねと思い、喜ぶ・・・
モーア「この後、何処まで出世するのかな・・・」
星村和也「ノンキャリアだから、大佐まで出世するのは間違いないな。」
モーア「大佐か・・・・中々いい階級までに出世するね。」
このまま上手くいけば、ミューレは大佐まで出世する事ができる。
そして、うまく出世コースに乗れば将官になる事ができる。
やはりおすすめして正解であった・・・・・
カール「よっ和也にモアちゃん。」
モーア「カール、ヒューマリン少尉との関係はどう?」
カール「ばっちりでさ、休日にデートする約束もうまく取り付けましたぜ!!」
二人が会話している中で、カールが合流。
お約束のお昼休みの長距離画面通信は終わった模様であり・・・
休日にデートをする約束を取り付けたのか、うきうきしていた。
結構、こっちでも幸せな奴がいるなと・・・・
モーアと和也はカールの様子を見ていた・・・・
自分たちも、上手くいい関係になれたらな・・・・
二人は心の中で、お互いの事を考える・・・・
カール「なんじゃありゃ・・・」
モーア「何カール・・・」
そんな中で、カールが何かを見つける・・・・
何処かで見た事のあるような、背中に・・・・杖を持っているメルトランらしき女性・・・・
杖を持っているメルトラン・・・それは・・・・
モーア「ミューレね・・・」
星村和也「あと一人は誰なんだ?」
ミューレ・・・・・
振り返った姿を晒したので、完全にミューレだと識別できた・・・・・
結構楽しくやっているようで、安心できたが・・・・
もう一人は誰なんだろうか・・・・
何処かで見た事のあるような服装をしているが・・・・
モーア「デ・デ・カルチャー」
カール「嘘だろおい!!」
星村和也「こんな所でキスかよ。」
その見た事のある服装をした奴がミューレとキスした。
キスした光景は、かなり衝撃的であり・・・・・
一同、ざわついた・・・・
ミューレとキスしたのは一体誰なんだ・・・・
一体何者なのか・・・・・
ミューレ「きゃっ・・・・」
モーア「あぁ・・・どうも・・・・・」
ようやくミューレはモーア達の存在に気が付いた。
今自分のしている事が恥ずかしいのか、赤面し恥ずかしがる・・・・・
かつては凶暴で冷酷であったメルトランが・・・
こうも可愛くなるとは、カールは興味津々で見るが・・・
自分のアマリの方が可愛いと我に返る・・・・・
葛西信之「和也にカール・・・そしてモアか・・・・」
星村和也「ノブ」
カール「何しているんだ!?」
我に返った直前、見た事のある背中の男が振り返った・・・・
その男は、自分たちと同じ部隊に所属している信之であった。
信之とミューレ・・・・
この関係はもしかして・・・・・・・・・
葛西信之「実は俺たち付き合っているんだ。」
ミューレ「結構優しくて、なんというか感じた事のないようないい気分になって・・・・」
葛西信之「そんじゃ、俺たちはそういう関係なんでじゃ・・・・午後のクソガキ共の訓練で・・・・・」
モーア「じゃって・・・おいおい。」
付き合っていた・・・・・
信之とミューレは恋人同士になっていた。
なんで恋人同士になったのか・・・・
それは・・・・
ある日、ミューレが道に迷っている頃・・・・信之がそれを助け・・・・
この際に・・・・二人とも一目惚れしたらしく・・・・
これがきっかけになって二人は付き合うようになった。
モーア「あれじゃまるで少女漫画の世界のようだな。」
二人の関係にモーアは少女漫画のような典型的なラブコメだと悟った。
そのモーアの意見は和也とカールも同じ意見であり・・・・
ラブラブに歩く二人の姿を見て、そう思った。
典型的なラブコメ、そう長くは続かないだろう・・・・・
そう思われたが・・・・・・・・・
葛西信之「俺・・・結婚するんだ。」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
まさかの結婚します、宣言・・・・・
この宣言は、モーア達ではなく・・・この場にいた別の班の教官まで驚いてしまった。
付き合ってそんなに経ってないのに結婚・・・・
いきなりそんな展開もあっていいのか・・・・
この場にいた面々は思っていたが・・・・
モーア「そういえば、噂じゃミリアもいきなり結婚したそうな。」
星村和也「誰にそんな事を聞いたんだ?」
モーア「一条さんよ・・・・って噂じゃないんだ・・・・マジか・・・・」
ミリアとマックスの結婚の事例もあるので、まぁ・・・これもありかと思うが・・・・
衝撃過ぎる・・・・・・・
それに相手がまさかあの、ミューレ・・・・あの戦いで敵同士だったのに・・・・・
出産競争
そして月日は流れ、モーアと和也は結婚し・・・・モーアは星村絵里と名乗るようになった。
西暦2011年6月・・・・・・
星村絵里「なっ・・・・・」
星村和也「双子だと・・・・・」
信之とミューレ夫妻から子供が生まれた報告・・・・・
結婚して半年経ってからだ・・・・・
結構可愛い赤ちゃんであり、産毛からミューレの遺伝子を強く引き継いでいる・・・・・・
星村絵里「和也・・・・・」
星村和也「まぁ・・・人生いろいろあるんだな・・・今日初めて知ったよ。」
まさかここまでになるとは・・・・・
人生何があるのか、分からない・・・・・・・・・
とは言え、幸せそうだからまぁ・・・いいか・・・・
絵里と和也はお互い頷きあい、そう思った。
星村絵里「とはいえ、私たちの子供はいつかな・・・」
星村和也「そろそろ欲しいね・・・」
星村絵里「ミリアもマリアちゃん生まれているし、立派な子供産みたいわね。」
ミューレやミリアも子供が生まれており、絵里も立派な子供が欲しいと思うようになった。
かつてはゼントラーディ軍の軍人だったとは言え、今子供を欲しい身分になるのは幸せだと感じているが・・・
別の意味で新たな出産競争と言う名の新たな戦いの始まりであった。
果たして絵里と和也は立派な子供ができるのかそれはまたの機会に・・・・
基地守備能力は低下し、ゲラム率いるゼントラーディ軍部隊はアッベクレーター基地に殺到・・・・・
次々と基地守備隊を撃破していき、輝達を追い込んでいく。
ダグラス「くそ・・・・・敵を撃破してもどんどん、増えてきやがる・・・・任務前に死ぬじゃないか俺たち・・・」
輝達は必死の抵抗を行うも、数に勝るはぐれゼントラーディ軍に圧されてしまい・・・
終始劣勢・・・・・・次々にアッベクレーター基地守備隊は撃墜され数は減少していく・・・・
友軍基地からの救援部隊が来るのが先か、自分たちが全滅するのが先か・・・・・
希望が見えないまま輝達はゲラムらはぐれゼントラーディ軍に抗い続ける・・・・
生存する可能性が低いのを前提として・・・・・・・
ゲラム「無様だな、マイクロン・・・貴様らがこうして全滅する風景が見れて俺が嬉しいぜ。」
一条輝「くっ・・・・」
ゲラム「とっとと俺に嬲り殺しにされろよ!!」
絶望的な戦いの最中、輝はゲラムと死闘を繰り広げる。
いつ背後から敵に襲われるかの不安を持ちながらの戦いであり・・・・
輝の顔には焦りの色が出ている。
一方のゲラムは闘争本能によるのか、終始笑顔で・・・輝を攻撃している。
このままではまずい・・・・無意識に意識し・・・・輝は戦う・・・・
【アッべクレーター基地 廊下】
基地機能を損失し、復旧作業が戦闘の最中に行われているアッべクレーター基地。
幸いかなりの打撃を被ったが、VF-X-4の格納庫は無事であり今後の飛行試験には支障はない。
とは言え、アッべクレーター基地の内部はかなり危険なブロックがあり。
今後、油断の出来ない状況が続いており・・・・
いつ爆発してもおかしくない状況が続いていた・・・・
アマリ「主任・・・・何処に行くんですか?この先危険ですよ。」
来生元春「通してくれ、外にいる連中が苦戦しているんだぞ。」
ルナ「基地内部は敵の攻撃でかなりの被害が出ています、危険な箇所がかなりあります。」
危険な状況の最中、元春はパイロットスーツに着替え格納庫に向かっていた。
そんな元春の姿を見かけたのか、アマリやルナの二人は元春を止めようとして追いかける。
もし、元春の身に万が一の事があってはいけない。
安全のため、VF-X-4の管制室に待機してもらわないといけない。
ルナ「管制室に戻ってください・・・・爆発に巻き込まれたらVF-X-4計画に支障が出ます。」
アマリ「そうです、それに戦場に出ても戦死したら・・・・」
二人は必死に元春を止める・・・・
VF-X-4計画の主任が戦死すれば、かなりの打撃であり。
丁度いい軍人側の指揮官がいなくなれば、開発に大きな支障が出る。
ただでさえ地球はゼントラーディ軍の攻撃を受けて人手不足・・・・・
丁度いい指揮官はそうそう見つからない。
だけど・・・・・
来生元春「気持ちは分かる・・・・分かるが・・・・」
アマリ「分かるがが・・・なんですか?」
来生元春「今のここは戦場・・・・何処にいても危険だとは思わないか?」
元々可変戦闘機パイロットが故の性格と、軍人としての使命感からか・・・・
元春は戦いに向かう気まんまんであった・・・・・
軍人が安全な場所に籠ってもいいはずがない・・・・・軍人ならば・・・・・
戦って大事な国民のために死ぬこそが本望・・・・・・・・
そんな軍人がおめおめと安全圏で黙って見ているのは恥でしかない・・・・
来生元春「死を恐れず大事な者を守れない軍人は、クズでしかないよ。」
アマリ「それは・・・その・・・・」
ルナ「でも・・・・・・・」
来生元春「気持ちは分かるが・・・・・俺は戦闘機乗りだ・・・・戦わせてくれ・・・・」
元春はアマリとルナを説得する・・・・・
この軍人としての熱意に押されてか、二人は見つめあって・・・・
もう止めても無駄だねと元春を止める事を諦めてしまう。
でも
問題はまだ残っている・・・・・
アマリ「しっつもーん、乗る機体はあるんですか?」
ルナ「そう言えば、乗る機体があるかどうかきになるわね・・・・試験隊本隊はアポロ基地だし・・・主任は単独で来ているし。」
乗る機体・・・・
戦いに行くにしろ、戦うための兵器が必要となってくる。
試験飛行隊の隊長である元春だが・・・・出向時・・・自分の愛機をアポロ基地に残している。
こんなボロクソに叩かれているアッべクレーター基地に・・・・まともな機体があるとは思えない・・・・・
二人は元春が、生身で戦場で向かう気ではないかと疑いの目を向けた。
来生元春「安心しろ、乗る機体はある。」
ルナ「本当ですか?」
来生元春「とっておきの機体が残ってんさ・・・」
疑いの目を向けられるも、元春は戦うための兵器はあると言う。
ーこんなボロボロに打撃を受けた基地にまだ戦うための兵器がある・・・・
二人は不安そうに首を傾げるが・・・・・
元春はついてこいと言わんばかりな顔で、二人をその戦うための兵器がある場所へ案内した。
アマリ「これは・・・・」
来生元春「イギリスのデビランド社製のVF-1Bだ・・・・生産が間に合わないから実戦配備されなかったが・・・・月面のここに眠ってたんだ。」
ルナ「凄い・・・・噂に聞いていたけど・・・どうやって見つけたんですか?」
来生元春「偶然だよ、偶然。」
二人を案内した先にあったのは、S型に類似した頭部を持つVF-1Bと呼ばれる機体であった。
当初B型はイギリスにあったデビランド社製の物にし、実戦配備が進められ・・・・
初期生産の6機が月面に配備された・・・・・
だが・・・・・
生産が間に合わないため・・・デビランド社製の機体はA型に統一され・・・・
B型は幻の機体へとなってしまった。
来生元春「おい、早く管制室に戻って発進ゲートを探してくれ・・・・」
ルナ「はい・・・・・」
元春はルナとアマリに管制室に戻って発進ゲートを探すように言う。
すぐさま、二人は急いで管制室に戻り・・・・可動している発進ゲートを探す。
そしてようやく・・・・・
ルナ「見つけました・・・・ゼントラン海兵隊補給物資集積場と補給艦ドックが開いています。」
アマリ「それに塞いでいるゲートありますが、基地司令官に問い合わせた所・・・破壊しても大丈夫なようです。」
来生元春「よし・・・・ならば・・・出撃できるな・・・・行くぜ!!」
出撃できる地点が見つかり、その報告を聞いて元春は歓喜の声をあげる・・・・
歓声をあげた間もなく、元春はVF-1Bを駆り・・・・
そのまま外へ出てしまう。
アマリ「結構無茶する人ですね。」
ルナ「男は大体そんな生き物よ、結構脳みそ筋肉と言うか・・・・」
歓喜の声をあげて飛び出した元春に、アマリとルナはドン引き・・・・・
ルナに至っては思わず脳筋と言ってしまう程・・・・・・
と言っても上手くオペレートしないといけないので、元春に適切な指示を出す。
【アッべクレーター基地.ゼントラン海兵隊補給物資集積場.補給艦ドック】
アッべクレーター基地の補給物資集積場にいた警備のデストロイド・マサムネ部隊は全滅していた。
ゲート付近にあった管制室は破壊され、基地司令部に集積場付近に敵を報告する事ができず・・・・・・
ただ周辺に集積されていた補給物資が、ザグレブ率いる別動隊にどんどん奪われていた。
ザグレブ「十分すぎる数があるな・・・・全部回収は不可能か・・・・・」
集積してある物資を奪取しているが、全部を奪うのは不可能である。
どうやっても、奪い取る物資の数は1割にも満たない。
欲を出して全部回収しようとすれば、敵の追撃部隊の攻撃に晒される事になる。
ズゴォォン
「なんだ!?ぐあぁぁぁぁ」
「敵だ!ぐぁぁぁぁぁ(デブラン・デ・カルチャー)」
奪い取っている最中、ゲートが突然爆発しそれと同時に銃弾の雨が爆風の中から現れ。
運搬中の2機のヌージャデル・ガーが撃墜されてしまう。
爆発し2機のヌージャデル・ガーを撃墜されてしまい、ザグレブは思わず爆炎のあがる方向を見てしまう。
来生元春「まさか盗人が別の方向にいるとはな・・・・もしかして本隊か・・・・潰してやるよ!!」
ザグレブらの物資の奪取行為を見たのかせいか・・・・・
元春の怒りが爆発し・・・・・穏やかな雰囲気から、戦闘に向き合う武人のような雰囲気に変わり・・・
潰してやると、宣言し・・・・・ザグレブに対し攻撃を仕掛ける・・・・・・・
【アッべクレーター基地、防空隊発進ゲート付近】
一方、モーアはミューレのクァドラン・ローによる殴打攻撃を受けようとした。
回避は不可能であり、このまま攻撃を受ければ完全に自分自身が死ぬのが確実・・・・
とは言え、モーアはそれにより潰されて死ぬ事に恐怖を感じたことがない・・・
ゼントラーディ人は敵を殺しあい、そして何処かの戦場で死ぬ事が宿命であった。
今は先の大戦の経緯もあり、新統合軍の可変戦闘機パイロットだが・・・・
ゼントラーディ人の宿命は変わらない・・・・
モーアは振りかざされる、ミューレの腕を見ながら穏やかな表情を浮かべ自分自身の死の運命を受け入れる。
ズドドドドドドド
ミューレ「ラック!?」
モーア「えっ・・・・・」
星村和也「間一髪だったな・・・・・カリダム少尉・・・・戦場の先輩さん。」
モーア「星村中尉・・・・・」
自分自身の死を受け入れた直後、モーアとVF-1Aとミューレのクァドランの腕の間に銃弾の流れ・・・
それは、偶然・・・・・モーアが殺されかける所を見た和也であった。
とっさの判断で、バトロイドに変形しガンポッドの銃弾をミューレに浴びせ・・・・
モーアを殺させないようにした・・・・
予期せぬ攻撃に・・・・ミューレは驚き、殺すべきモーアを邪魔して殺せなかった事に腹を立てる・・・・
ミューレ「余計な雑魚が・・・・よくも私の邪魔をしたな!!許さん!!」
ミューレの激怒はゼントラーディ人の戦いの血を沸騰させ、オーバーヒート状態になる。
モーアに対する怒りよりも、戦闘の邪魔をした和也に対しての怒りが勝ってしまう。
一方のモーアは心配そうに・・・・和也の顔を見て・・・・・
モーア「なんで・・・・助けるのよ・・・・・」
星村和也「仲間でもあり・・・・・好きになった女を見捨てられるかよ、カリダム少尉・・・・・・お前・・・俺の腕を見たいって言っただろ・・・」
モーア「確かにそうだけど・・・・これは血の宿命・・・・死ぬ覚悟さえできていた・・・このまま死ぬ事も誇りとして受け入れたのに・・・・」
モーアは和也に対しなんで助けたのかのかを聞いた・・・・・
帰ってきた答えは簡単・・・・仲間と好きな女であるから・・・・・
その言葉を聞いてモーアは嬉しかったが・・・・・
ゼントラーディ人の本能により、自分の名誉ある戦死をしようとしており・・・・
自分の受け入れた死を邪魔した事による、悲しみの言葉を漏らしてしまった・・・・・
星村和也「そんなのは犬死だ!!確かに種族の宿命は大事だが・・・・そう簡単に死を受け入れるのは、戦士として敵前逃亡・・・士道不覚悟だ!!」
モーア「敵前逃亡・・・・・・」
星村和也「だから生きてくれ・・・・一目惚れで好きな女が死ぬ光景なんて見たくない・・・・生きろ!!」
そんな弱気なモーアに対し、和也は簡単に命を捨てようとする己の心の弱さを指摘する。
強い人間程、そう簡単に死ぬとは言わない・・・・・
本当に強い人間は、自分が最後の瞬間まで生きたいと言う願望を捨てない・・・・
どんなに強い相手に殺されようとも、最後まで抵抗を諦めない・・・・
本当に強い人間ならば・・・・
和也の言葉を聞いたモーアは、驚きのあまり敵が震えた・・・・・
自分がやろうとしていた事が敵前逃亡行為だった事を・・・・
ミューレ「どちらも消えろ!!」
モーア「!?」
星村和也「来るぞ!!カリダム少尉、合わせろ!!」
モーア「でも・・・・・」
星村和也「俺を信じろ・・・ついてこい!!」
再開するミューレからの攻撃に、和也はモーアに自分の動きに合わせろと言った。
何度も言うがここは戦場であり、互いに自分の命を賭けて戦う死のギャンブル・・・・・・
勝てば生、負ければ死・・・・・
ミューレに勝つには、二人が力を合わせなくてはならない・・・・・
モーア「りょ・・・了解・・・・」
星村和也「俺を信じるのか?」
モーア「それもあるけど、そうじゃない・・・私はあなたに命を預けてみたいと思っただけ・・・私が生きて帰れたら約束をいつか・・・・」
星村和也「いつかじゃない必ずだ・・・・」
モーア「中尉・・・・」
モーアは和也の動きに合わせ、戦う事を決心する・・・・・・
あの約束を果たすために・・・・・
和也もモーアの気持ちを理解し、モーアが自分の動きに合わせるだけではなく。
自分自身もモーアの動きに合わせられるようにしようと決める・・・・・
共通の敵を倒すために・・・・・・・
星村和也「行くぞ!!」
モーア「はい!!」
二人は心を一つに集中し、ミューレに戦いを挑んだ。
ミューレから激しい攻撃を受けるも、二人は連携し逆に追い詰めていく。
連携のいい二人に、ミューレの怒りは冷めていき・・・・・
逆に二人に対し恐怖を抱くようになる・・・・
エースであった自分がマイクローンとマイクローンに寝返った同胞に殺される事を・・・・・・
それが嫌なのか、ミューレは二人に対し必死に反撃した。
ミューレ「負けれない、負けれない。」
ミューレはプライドからなのか必死で戦う。
ゼントランの誇りにかけて、血祭りにして絶対に敗けはしない。
必ず勝って勝利してやる。
なんたって私は最強のメルトランだから。
モーア「流石に凄い・・・・」
星村和也「このまま完全に破壊するのは難しい、モーア!相手の戦闘機能を奪うぞ。」
モーア「はい!!(ってカリダム少尉じゃなくて、私の名前を呼んだ?)」
自分の誇りに賭けて戦うミューレを完全に撃墜する事ができないと判断した和也は・・・・
戦闘機能を奪い、ミューレをこれ以上戦えないようにする策に出る・・・・・
相手の命を奪わない、この蛮行を生きて償ってもらわないといけない・・・・
モーアは和也の策に同調するが・・・・
和也が自分の事を少尉ではなく、名前で呼んだ事に内心驚く・・・・
なんで自分の名前を言うのか・・・・・と・・・・・
そう思うが・・・・
モーア「和也・・・・も上手く連携してね。」
星村和也「無論だ!!」
自然な流れで、モーアも和也の事を名前で呼んだ。
和也はモーアを・・・・モーアは和也を・・・・共に任せられる相棒だと体が反応した。
二人は共通の敵ミューレに向けて、連携攻撃を開始・・・・
ゼントラーディ人としての誇りで善戦していたミューレを押し始めた。
ミューレは更に二人に無様に殺される恐怖に押され・・・・
自身の敗北への道をどんどんどんどと進んでいく事になる。
ゲラム「がぁ、くそったれ・・・・・」
一条輝「・・・・よし・・・・・」
ゲラム「流石だな、マイクロン・・・・・俺に傷を負わせるとはな・・・・・」
一方、一条輝はゲラムとの激しい戦いを繰り返しており・・・・
開始から数十分で・・・ゲラムに傷を負わせる事に成功した。
だが・・・・完全に戦闘能力を排除したわけでもなく
まだ戦闘を継続するだけの能力は残されていた。
一条輝「もうやめろ、もう帰るべき所はないんだ。戦いをやめ恭順しろ!!」
ゲラム「黙れマイクロン、貴様らに俺たちゼントラーディ人全員が従う者か!!それに・・・・・この状況見ろ、有利なのは俺たちだ!!」
一条輝「ここでは勝ち目はあっても全体的には・・・・・勝ち目はないんだぞ、時間が立てば・・・・君達は包囲殲滅され死ぬんだぞ!!」
輝は戦いながら、翻訳機を使ってチャンネルを繋いで・・・・ゲラムに投降を促すが・・・・
ゲラムは逆に激怒して、降参しようとしない・・・・・・
まだ数があり、劣勢なのは統合軍・・・・・
この状況で、投降しろと言われても説得力もない・・・・・・・
今の段階で一番、有利なのはゲラム率いるはぐれゼントラーディ軍・・・・
だけど、今の段階での話で・・・・・
月面アポロ基地やクラビウス基地の部隊、近隣のゼントラン海兵部隊が救援に来れば輝達の有利である・・・・・
ゲラム「この状況で俺たちに投降、笑わせるんじゃねぇ!!」
一条輝「ぐあぁぁぁ」
必死に投降を促すも、輝はゲラムにより被弾する。
ファイター形態から、ガゥーク形態に変形し態勢を整える・・・・・・・
それでも安定性が悪いので、バトロイドに変形しゲラムに向けてガンポッドを向ける・・・・・
ゲラム「この状態でどう戦況を逆転する・・・・あと少しでお前ら全滅だぜ!!」
一条輝「何を・・・・・」
ゲラム「そろそろお前を殺して、この戦闘を終わらせ物資を頂いてやる・・・・」
ゲラムは被弾し、自身にガンポッドを向ける輝に対し今の現実を伝える・・・・
今、どちらが優勢なのかを・・・・・・・
輝だって今の状況を理解している、どちらが不利か・・・・・・・
それに・・・・・
一条輝「連中・・・・目的が物資の奪取・・・・」
今のゲラムの発言で、今回のアッべクレーター基地の襲撃が物資の奪取であることを初めて知った。
知ったとしてもいまいちピンと来ておらず、頭には入らない・・・・・・
とは言え・・・・なんとしても、救援部隊が来る前になんとか、ゲラムを投降させないと・・・・・
輝は投降を促しながら戦う。
ゲラム「無駄だって言っているだろ、マイクロン。」
一条輝「いい加減にやめろ!!」
ゲラム「うるせぇんだよ!!マイクロンのクソ野郎!!テメェをぶっ殺して、作戦を成功させてやる!!」
促しながら戦っても状況は変わらず・・・・
ゲラムの攻撃を逆に強くするだけであり、まったく効果が出ず・・・・・
輝はどんどんゲラムの猛攻により、死へと追い込まれていくのであった・・・・・・・・・・
【月面アッべクレーター基地.オーベルト級駆逐艦2隻付近】
輝に命じられ艦隊直掩にまわったダグラスは、艦隊を組むオーベルト級2隻と哨戒艇1隻を防衛し・・・・
途中から合流してきたカールと信之と共に、リガードやジナールなどと戦っていた。
護衛の対象であるオーベルト級からは各所被弾しており、満身創痍の状態であった・・・・・・
ダグラス「艦艇は何とか維持しているが・・・・・・・・・・」
カール「戦況不利変わらず・・・・・」
葛西信之「基地守備隊は、俺たちだけか・・・・・・」
現時点での・・・・・・・・・基地守備隊の航空隊は全兵力の1割ほどまで減少していた。
既に基地守備隊の可変戦闘機部隊は和也のスコルピオン小隊と2機合わせて5機であり。
デストロイド部隊やランサーⅡの反応は既にない・・・・・・・
オーベルト級駆逐艦2隻防衛しているのは奇跡であり、哨戒艇も1隻しか生き残ってない・・・・
カール「このまま戦況維持できるのか?」
ダグラス「俺に言うなよ。」
敵に打撃を与えたが、まだまだ数十機の敵が残存している。
戦闘続行な部隊は殆どなく、実質アッべクレーター基地の戦力は壊滅した。
基地機能もない、防衛戦力もない・・・・・・・・・
ザグレブ「ぐがぁぁぁぁぁ」
来生元春「よし、全滅・・・・・っておい、まだ敵いるのかよ。めんどくさいな。」
別の場所で戦いザグレブを倒した元春の前にも、リガード3機.ヌージャデル・ガー5機・・・クァドラン・ロー2機が立ちふさがり・・・・
ボドル基幹艦隊決戦の死闘を潜り抜けた元春も・・・・流石に不味いと・・・・悟った。
一条輝「未沙・・・ミンメイ・・・・・」
圧倒的に不利・・・・・・
既にミサイルはすべて撃ち尽くしており、ガンポッドの銃弾は残り僅か・・・・
神経を全力で使ったせいか、疲労感が出てきはじめ・・・・・・
輝はもう戦える力は残り僅かだと認識し始める・・・
このまま負けてしまうのか・・・・
輝は未沙とミンメイとは再開できずに・・・・死ぬ事を覚悟する・・・・
せっかくの最新鋭機のテストも死ぬ・・・・これじゃフォッカー先輩に笑われてしまうと・・・・
輝は自分の最期の最期までゲラムを睨み戦いながら死ぬ事を決意した・・・・・
が・・・・
この時・・・・・・まさかの事態が起きる。
パン パン パン
一条輝「あれは・・・・」
発光信号が次々と見えてくる・・・・
一体なんなのか・・・・・・・
輝がその先に視線を合わせると、ARMD級1隻.オーベルト級宇宙駆逐艦8隻の艦隊と・・・・
2個大隊はいるであろう、可変戦闘機や可変攻撃機そしてランサーⅡの編隊が飛行していた。
アポロ基地から出撃してきた、救援部隊・・・・・・・
救援部隊は・・・・・次々に戦場に乱入しはぐれゼントラーディ軍を撃破していった。
更に、統合軍のマークの入ったクァドラン・ロー部隊やヌージャデル・ガー部隊が乱入して来た。
ゲラム「くそ援軍か・・・・・」
突然の予期せぬ援軍の登場に、ゲラムは怯える。
ジャミングで通信妨害したのに、なぜこんなに早く増援部隊が来るのか・・・・・
ゲラムは混乱しながら考える・・・・・・・
実は、襲撃からしばらくアポロ基地はVF-1GとVE-1の混成部隊が出撃しており・・・・
そのうちの1機のVF-1Gがアッベクレーター基地周辺でジャミングと、小さく見える爆発の光を確認。
すぐさまアポロ基地司令部に報告し、司令部は近くのゼントラン海兵部隊と通信し救援命令を出し・・・・
アポロ基地にいる1個小規模空母機動艦隊を出撃させたのであった。
統合軍の各部隊は二方向から接近し、ゲラム達の退路を封鎖・・・・・
完全に戦闘や物資の奪取に集中し、輝達の奮戦による妨害でゲラム達は勝機を逃がしてしまう事になった。
「我々の同胞だな・・・・フォーメーションを組め、十字攻撃・・・・」
「男(ゼントラン)に負けないよ。」
「あぁ俺たちも女(メルトラン)に負けん。」
混乱するゲラムの前に、クァドラン・ローと2機のヌージャデル・ガーがフォーメーションを組み迫る。
突撃銃とパルスレーザーの集中攻撃を発砲し、ゲラムに浴びせようとした。
うまく連携されているのか、ゲラムは回避しきれずにキャノン砲を失う。
ゲラム「裏切り者の同胞め!!」
ゲラムはゼントラーディ海兵隊の連携攻撃に押されてイライラし始める。
マイクローンに追い込まれるのも屈辱的だが、マイクローンについた同胞に攻撃されるのは更に腹が立つ・・・・
何故・・・忌々しいマイクローン(地球人)に味方する・・・・・
そんなにまでマイクラン・カールチューン(地球文化)が欲しいのか・・・・・
ゼントラーディ軍軍人の誇りを捨ててまで・・・・
ゲラム「ぐあっ・・・・貴様ら・・・・」
同胞に追いつめられるは別のチームのゼントラン海兵部隊の攻撃を喰らい・・・・
致命傷と言うべき損傷を負う事になる・・・・
ーまさか自分が死ぬ・・・・
ー今まで監察軍の攻撃で死ぬ事のなかった自分がかつての同胞に殺され死ぬ・・・
ーそんな事は認められない・・・・・・・・・
ゲラム「貴様も死ねマイクローン・・・・」
一条輝「こいつまだやる気なのか・・・・・」
ゲラムはすべての元凶であるマイクローンの一人、輝に向け特攻をしかける。
すべて自分の失策なのに・・・・輝達に責任を転嫁し・・・
憎しみとやけくそで輝達に一矢報いろうとする・・・・・
一条輝「回避は難しい・・・・・・・なら・・・・」
輝はゲラムのシュルケル・ガーに向けて、ガンポッドを向ける・・・・・
既に輝はゲラムの特攻から回避する事が出来ない距離におり、何もしなければ死ぬのは間違いない・・・・
そうならないためにも、ガンポッドを向けゲラムに向けて撃墜しようとした・・・・
一条輝「いけ!!」
ゲラムに向けたガンポッドは一斉に銃弾を飛ばしていく。
銃弾の雨はゲラムの機体、全体に命中するが・・・・なかなか撃墜に至らない・・・・
最後の最後まで諦めずに銃弾を撃ち続け、どんどんゲラムの機体に当てていく・・・・
ズガァァァン
一条輝「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ついにゲラムの機体を撃墜する事が出来たが、爆発は輝のVF-1Sを飲み込んだ。
近くにいたゼントラン海兵隊の兵士は輝が爆発に巻き込まれ死んだと思った・・・
あの距離の爆発に巻き込まれたら、確実に死んでいる・・・・・
ゼントラン海兵隊の兵士は息を飲みながら爆発から晴れるのを見守る・・・・
「ヤック・デ・カルチャー」
「生きてやがる!?」
結果は生きていた・・・・
爆発に飲まれたが・・・なんとか持ちこたえる事ができ・・・・
機体の表面がボロボロになったり、機体の一部を破損するだけで済んだ・・・・
まるでゾンビ映画のゾンビかのように・・・・・・
一条輝「なんとか生きているのか・・・・・」
輝も爆発に飲まれた時、確実に死んだなと思っていた。
結果的には生き残る事が出来たが、なんか実感が湧かない・・・
一時は夢かと思い頬をつねるが、夢じゃない・・・・
現実的に生きている・・・・輝は生き残った事に若干喜びを感じた。
また未沙やミンメイに会う事が出来ると・・・・
「ゼントラーディ軍の諸君に告げる・・・・既に君たちの戦力では我が軍には勝てない投降せよ!投降しない場合は叛乱軍と見なし、全機徹底的に排除する。」
ゲラムの死と、戦力の大半を失ったゲラム一派に対し投降勧告が促される。
既にザグレブは死に、指揮系統は分断・・・・・
ミューレの方はと言うと・・・・・・
ミューレ「機体が動かない・・・・・・もう駄目なのか・・・・・痛・・・・片足が痛い・・・・・もうこれでは・・・・・・」
モーア「くっ・・・・」
星村和也「モーア・・・・まさか・・・・」
ミューレのクァドラン・ローは行動不能にされ、戦闘続行が不可能になった。
この際に足を負傷したらしく、痛みを感じている・・・・・今までに感じた事のないような痛みがミューレを襲う。
その姿を見たモーアは、ミューレに近づき何かをしようとした。
和也は何をするんだと黙って見ていたが・・・・
同僚を失った事を思い出し、復讐心を持ってミューレに何かしようとするのではないかと思った・・・・
これ以上、殺す真似はよせ・・・・・
和也はモーアに何かする事を止めようとしない・・・・
何か考えがあるのかと・・・・・・何か考えがあってミューレに近づいたと・・・・・
ミューレ「!?」
モーア「出てきなさい・・・・もうあなたの負けです・・・・」
ミューレ「モーア・カリダム・・・エースのミリアの部隊の兵か・・・・・」
モーアはコックピットをバトロイド形態のVF-1の肩まで浮上し、自分の姿を現した。
この光景に和也は勿論、ミューレも凄く驚いた。
まさか自分から出てくるとは・・・・・・・・・それに分かっていたが・・・・・
ラプラミズ艦隊で有名なエースのミリアの部下・・・・・・・
そんな奴と自分は戦っていたのか・・・・・・ミューレはモーアの姿を見て、驚くも・・・・
満足な表情を浮かべる・・・・
有名なミリア隊の兵士と戦えた・・・・・それだけでも・・・・満足・・・・・
星村和也「女か・・・・・美人だな・・・・・」
モーア「姿を現したか・・・・」
ミューレ「・・・・・」
ミューレはクァドランを捨て、足をふらつきながらも・・・自分自身の姿をモーア達に見せる・・・・・
そのままモーアのバルキリーに近づき、自分の両目がモーアの真正面になるまで近づける・・・・・
モーアもマイクローン化してない同胞ミューレの姿を見て、少しびびるも・・・・・
巨人のミューレの姿を見続ける・・・・・・
見続けている間にも、救援部隊の兵士や海兵部隊の兵がやってくるが・・・・
和也は攻撃しないように制止する・・・・・
ミューレ「名前は?」
モーア「私は元ゼントラーディ軍第118基幹艦隊のモーア・カリダム3級空士長・・・・・」
ミューレ「モーア・カリダムか・・・・・私からしたら部下か・・・・・」
モーア「あなたは・・・・・?」
ミューレ「ゼントラーディ軍第118基幹艦隊のミューレ・・・・あなたに敗れし者よ。」
この状態で二人は自己紹介する・・・・・
自分が敗れたのは、ゼントラーディ軍時代であったら確実に部下であった兵士・・・・・
そんな奴に負けたのか・・・・・・・
モーア「ミューレ?」
ミューレ「完全に私の負けだ・・・・・」
ミューレは悔しさのあまりに泣く・・・・
自分たちが彷徨いその結果が、これ・・・・・悔しくてしょうがない。
もう自分がどうなってもいい・・・・・・
モーア「降伏して・・・・・ね・・・」
ミューレ「好きにしてくれ・・・・」
ついにミューレも投降した・・・・・
これにより、ゲラム一派の戦闘力は完全に排除され・・・多数の残存兵は投降・・・・
一部の残存兵は統合軍艦隊の攻撃により全滅され・・・・・
短くも長い・・・・アッベクレーター基地攻略戦は幕を閉じた・・・・
【アッベクレーター基地】
数時間後、輝達はアッベクレーター基地に帰還した・・・・・
基地の被害状況は甚大であり、基地職員数百名負傷・・・・約100名が戦死・・・・
基地防衛隊の戦力の殆ど損失し・・・・・勝利はしたが・・・・・事実上の敗北であった・・・・
モーア「准尉・・・・」
モーアはスタンリーが戦死した地点を訪れ、機体の残骸を見ると号泣した。
その様子を見ていた輝達は何も言えずに、そのままこの場を後にする・・・・・
戦死した戦友を悲しむ姿を何度も見てきている輝は、モーアの気持ちは分かるが・・・・
変に励ましてもモーアの悲しみが増えるだけである・・・・・
だからこそ・・・黙って立ち去るしかないと思い、この場を後にした・・・・
星村和也「モーア・・・じゃなくてカリダム少尉・・・」
モーア「中尉・・・・・」
星村和也「俺にはこれしかできない・・・残念だったな・・・」
和也は悲しんでいるモーアにハンカチを渡し、立ち去る・・・・
戦友スタンリーを失い悲しみ泣いているモーアにできる事はハンカチを渡すくらいしかできない。
下手な言葉を述べて悲しませる結果になるより・・・・
そっと最低限度の事をすればいい。
仲間を失った戦友の対応はこれで済ます・・・・
今それしか・・・・絵里に対してやれる事はそれしかない・・・・・
和也はそう思っていた。
それからしばらく
一条輝「いよいよ試験飛行が行われるのか、2週間・・・・・結構時間喰ったな。」
基地は再建・・・VF-X-4の開発は再開された・・・・
基地は完全復旧してないとは言え、試験飛行が可能な程にまで基地機能は回復し・・・・
試験開始日はゲラムの襲撃から2週間で行われるようになった。
2週間とは言え、試験飛行再開までに無駄な時間を過ごしてしまい。
輝達からかなり遅れたと言う認識を持っていた。
なぜなら期間予定日があり、それまでに試験飛行や教育などをしなくてはならない。
ハードスケジュールなので、休んでいる暇もなく・・・・
毎日作業を行わないと、間に合わない・・・・
2週間も遅れた上、一名が戦死したため・・・・
輝達は大忙しで、試験飛行を行う・・・・
一条輝「前より動きやすくなっているね。」
「はい、OSの改良を行いました。」
遅れたとは言え・・・・・・
VF-X-4の開発は順調であり、輝達の顔は常に笑顔であった。
このまま開発が進めば、VF-X-4は2011年に完成し・・・・
輝と後任の部隊が最終テストをしたのち、2012年には実戦部隊に配備される形が決定。
この結果に統合軍上層部は喜び・・・・輝達に感状を授与する事が決定される。
試験飛行だけではなく、基地部隊の教育を行わせ・・・・・
アポロ基地の飛行隊の兵士達に対ゼントラーディ戦闘のノウハウを教え込んだ。
これを続けて、更に月日は流れ・・・・
輝達は地球に帰還する1週間前になった・・・・
すべての作業は終わり、輝達は余裕そうな表情を浮かべ・・・・
地球への帰還を楽しみにしながら、アッベクレーター基地の職員の作業をしている。
後1週間もすれば・・・・
このまま輝達は地球へ帰還する事になる予定であり・・・・・
全員で帰る・・・・・・・はず
が・・・・・・
一条輝「地球へ戻らないだって!?なんで?」
モーア「やはり、私・・・・宇宙で暮らしたくて・・・・」
モーアが地球に帰還せず、そのまま月面で勤務したいと言った。
元々、ゼントラーディ人は宇宙空間に住んでいる戦闘種族であり・・・・
宇宙空間を懐かしむゼントラーディ人はかなりいた。
仲間スタンリーの戦死、オセアニアにいる仲間に顔向けできない事から・・・
モーアは月面に残る決意をし、既にオセアニアにある原隊に向けて転属届けの書類を送っている。
ダグラス「月面に好きな男でもできたのか?」
モーア「馬鹿ぁ、そんなはずないわよ。ただ・・・宇宙で暮らしたいのと・・・・原隊の仲間に顔向けできないだけ・・・・・」
ダグラス「とそうです・・・隊長・・・」
一条輝「一応、原隊の仲間も心配するし転属するなら・・・・手紙でも送ったら。」
輝はモーアの言動を聞いて、同僚が心配するから手紙でも送る事を勧めた。
モーアがスタンリーの死で心を痛めているのは同僚も知っているし、月面に残れば更に心配する・・・・・
オセアニアにいる原隊の同僚を少しでも安心させるために手紙を添えた方が・・・
モーアのためになるし、同僚達のためになる。
指揮官になった輝はそうした部下を大勢見てるため、今この状況をどうすればいいのかを知っている・・・・
モーア「ありがとうございます、手紙後で書きますね。」
モーアも輝の提案を受け入れ、貸してもらっている自室に戻り手紙を書きに行った。
輝とダグラスはその様子を後ろから見守った。
仲間の死を受け入れ、更に強く優しい戦士に育つ事を願いながら。
ダグラス「さて俺たちも帰りますか、隊長。」
一条輝「あぁそうだな。」
見守っていた輝達も自室に戻り、この場を後にした。
これからモーアはどのように過ごしていくのか・・・・
輝達はそう考えながらそれぞれの自室に入る・・・・・
事実に入って、輝はある事を思った。
種族は違っても、感情的に地球人と通ずる物があると・・・・・
地球人とゼントラーディ人・・・・
同じプロトカルチャーが由縁の兄弟種族であり・・・・・
お互い価値観も違えば、文明や考え方は違う・・・・
だけど、感情は似ている部分がある・・・・
笑ったり・怒ったり・泣いたりなど・・・・いろいろと共通する部分もある。
あの戦争でいろいろとゼントラーディ人を知ったけど・・・・
こうして一緒に戦ったり、過ごしたりした事で新たな発見し・・・・
輝は勉強になったなと思い、眠りにつく・・・・・
それから一週間・・・・・
一条輝「お世話になりました。」
来生元春「また月面に遊びに来いよ。俺たちはいつでも歓迎しているからな。」
一条輝「その際はよろしくお願いします。」
輝達はARMD-08ミッドウェーに乗るため、元春に見送られながら・・・・・月面アポロ基地に向かおうとしていた。
2機のバルキリーはアッベクレーター基地の格納庫から飛び出し、そのまま消えていく・・・・・
モーアはその様子を基地の展望室から見ており、機体が見えなくなるまで敬礼していた。
当分、地球に戻る事はない。
原隊の仲間とも当分会う事はない・・・・そんな事を思っていたのか・・・・
モーアの表情は悲しそうである。
星村和也「モーア・カリダム少尉。」
モーア「星村中尉。」
星村和也「俺の部隊に配属になったよろしく頼むな。」
モーア「はい。」
月面に残る事になったモーアは和也の小隊に配属になった。
和也の希望ではなく、アッベクレーター基地司令部の判断であり・・・・・
ゲラムとの戦闘の結果、和也の小隊に配属になる事が望ましいと判断された。
以降、モーアは和也の小隊の紅一点になったのである。
【地球.マクロスシティ】
輝は未沙と司令部で再会後、病院に向かっていた。
なんでも、ミリアが妊娠したとの事・・・・
行く前は事故による怪我で負傷、今度は妊娠・・・・・・
一条輝「マックスもミリアも大変だなぁ。」
病院に向かっている輝はそう思った。
とは言え、マックスとミリアの子供か・・・・・
どんな子が生まれるだろうか・・・・
輝はいろいろと想像する、マックスに似て天然か・・・ミリアに似て勝気な性格か・・・・・
想像しているうちに病院に着いてマックスと合流・・・・
そのままミリアの病室に向かった。
ミリア「私の部下に会ったのか?」
一条輝「あぁ結構いい娘だったよ、礼儀もいいし・・・案外可愛いところもあって・・ミリアもいい部下持って幸せだな。」
ミリア「なぁに私の部下だからな。」
ミリアの病室に着いたら、月面の出来事と一緒になったモーアの話をする。
まだモーアの名前を言っておらず、礼儀の正しいミリアの部下との話に・・・
ベッドで寝ているミリアは笑顔になり、マックスは興味津々にその話を聞いては・・・・
嫉妬するような表情をミリアが浮かべ、誤解だとマックスが釈明するなど盛り上がった。
自分の部下を自分の事に喜んだミリアを見て、ミリアもかなり部下想いだと輝は思う・・・
ミリア「ところで名前はなんて言うんだ?」
マックス「気になりますね。」
一条輝「そうだな・・・・モーア・カリダム少尉・・・・・緑色のボブカットの元気そうな印象のある・・・・」
ミリア「モーアだと!?」
一条輝「なんだいきなり!?」
そのミリアの部下の名前を質問したミリアだが、輝がモーアの名前を聞いたとたん。
思わず、目をハッとさせ大きな声で驚く・・・・
ミリアの驚きように、輝はずっこけ・・・マックスはずてんと床に転がる・・・・・
一条輝「何驚いているんだ?」
マックス「ミリア、どうしたんだ。」
ミリア「まさか・・・モーアが・・・・」
一条輝「もしかして、おたく・・・モーアの事が嫌い・・・・」
ミリア「いや・・嫌いとかではなくて・・あいつは私の部下の中で一番の問題児なんだ。」
一条輝「えっ!?」
ミリア「戦好きで、いつ戦いがあるのかと・・・・・おまけに生意気な性格で・・・・悪くないが要注意な奴で・・・・」
驚く輝とマックスに、ミリアはその理由を言う・・・・
モーアが問題児であり、生意気な性格な奴だったと・・・・・
ミリアのモーアに対する評価に輝はえぇぇと言う顔をしながら驚いた。
あの礼儀の正しくて、真面目そうなモーアが問題児・・・・
嘘だろと・・・・・・
とは言え、上官であるミリアが言うなら信じるしかない・・・・・・
一条輝「で・・・・カリダム少尉は・・・・・」
ミリア「あいつは私の部隊の中で部下では一番強い兵士で、私に劣るが・・・・優秀なスコアを誇る兵士だ。」
マックス「へぇそんなに強いんだ、興味あるな・・・・」
ミリア「マックス・・・・興味持って浮気するなよ。」
マックス「わかっているさ、僕が一番好きなのはミリアだけだからね。」
ミリア「強いんだが、信用性は平凡より少し下で・・・・信用し背後を任す事はできん気まぐれな奴だった。」
ミリアの部下の中で一番強い兵士であるが、信用性の低いやつ・・・・・・
一体ゼントラーディ軍時代でどんな風に過ごしていたんだ・・・・・・
輝はモーアのゼントラーディ軍時代の様子が気になり、知りたいような知りたくないようなと思う。
ミリア「私の部下が迷惑かけてなかったか・・・あいつは前よりマシになったが・・・・」
一条輝「迷惑になってないから安心してくれ、結構いろいろと助かったし。」
モーアが輝と一緒にいた事に迷惑をかけたんじゃないかとミリアは思ったのか、謝罪する。
別に迷惑をかけたわけでもなくむしろ、感謝されるような事をしてないので、ミリアに安心するように言う。
それでもミリアは、輝に心配そうな顔をしながら見る・・・・
ー一体、ゼントラーディ軍時代はどんな事をしていたんだ?
輝はミリアの言うモーアの過去・・・・
知りたくないと知りたいの両方が混ざっていたが、やはり知りたい・・・・・
どんな風に過ごしていたのか・・・輝はこれに関し当分モヤモヤする事になる。
捕虜収容所からの志願者
【月面アポロ基地】
輝が去ってから1ヵ月後のアポロ基地・・・・・・
アポロ基地の飛行隊は輝の指導もあってか、対ゼントラーディ軍用の戦闘に適応できるようになり。
はぐれゼントラーディ軍の襲撃を犠牲者を殆ど出さずに対応できるようになった。
とは言え、宇宙軍増強もあり飛行隊が増強され教官の数が足りない・・・・・
モーア「ちょっと、それ違うわよ。」
「すいません、教官。」
モーア「これじゃあ、私たちの同胞にあっけなくやられるわ・・・命があるなら辞めたら・・・」
「申し訳ございません・・・・」
モーアは和也達と共に月面アポロ基地の訓練所で可変戦闘機部隊の教官をしていた。
数々の訓練生を相手に、時には優しく時には厳しくと・・・飴と鞭を上手く使いこなしながら指導していた。
戦う頻度は減ったが、モーアもこの仕事に満足しており。
和也達と共に楽しく訓練生達を指導している。
モーア「今日のランチは・・・・焼き鳥丼か・・・・」
葛西信之「シティの焼き鳥仙石からの仕入れだそうだ、あそこの焼き鳥は美味しいぞ。」
星村和也「教官用しか仕入れてないそうだから、訓練生に見つからないようにして食べよう。」
ランチの時間になると、モーアは和也達と共に教官用食堂に入り焼き鳥丼を満喫していた。
教官用食堂は訓練生食堂よりも少し贅沢な料理が出てきており。
モーア達の日頃の楽しみのような感じになっている。
普段は四人で食べているが・・・・・
葛西信之「またカールの奴いませんね。」
星村和也「アッベクレーター基地勤務時代に気になっていた人で、現恋人のヒューマリン少尉と長距離画面通話だろう。まったく、恋にお熱とはな。」
カールはアッベクレーター基地勤務時代に気になっていたアマリと恋人関係になり。
昼時には必ず、長距離画面通信室に入りアマリと会話していた。
こうした風景は当たり前になり、最初期は4人だったが・・・・
今では3人で食べる事が多くなった。
更に言えば、カールとアマリは休日になるとアポロシティで過ごす事が多かった。
葛西信之「そう言えば、今日以前の事件のゼントラーディ人の釈放がある日だったな。」
モーア「はい、統合政府に恭順する意思の強い人だけ釈放するようです。」
星村和也「モーアは会った事のあるメルトランで、是非とも来てくれとの要望があった。」
この日、モーアと和也は午後の捕虜収容所に行く予定である・・・・
なんでも今日釈放される捕虜の一人がモーアと和也と面会を求めていると言う。
その捕虜はゲラムの襲撃の際にモーアが直接見たメルトランだと言う。
モーアと和也に面会を求めているメルトランは・・・・・
モーア「ミューレ・・・私の同僚を殺した同胞・・・」
葛西信之「そんな奴と会うのか?」
モーア「はい・・・でも面会を希望しているので、会わないわけには行きません。」
ミューレ・・・・以前、ゲラムと共にアッベクレーター基地を襲撃したメルトランである。
今回、釈放されるゼントラーディ人の一人であり・・・・
是非とも自分自身を行動不能にしたモーアと和也に会いたいと言っている。
星村和也「もう時間だな、行くぞモーア。」
モーア「はい、ノブ君・・・後は頼んだよ。」
葛西信之「はいはい、デートをお楽しみくださいませ。」
星村和也「馬鹿!!」
モーア「私たちはデートをしに行くのではありません!!」
ランチが終わるとすぐに出発する、信之からデートと茶化されるも・・・
二人からすればデートではなく、ただの訪問・・・・
デートだと茶化す信之に猛烈に反論した。
【アポロ基地.捕虜収容所】
アポロ基地内部にある捕虜収容所・・・・・
基地より少し離れた場所にあり、反統合同盟時代の捕虜やマイクローン化されたゼントラーディ人捕虜が収容されている。
収容所の前には、デストロイド・シャイアンとデストロイド・マサムネが2機が配備されており・・・・
収容所周辺には銃を持った兵士が巡回していた。
ミューレ「彼らは来るのですか?」
「あぁ勤務時間中だが、上にかけあってくる予定だ。」
「ここで待っていたらきますので、ご安心ください。」
ミューレ「あ.ありがとうございます。」
ミューレは次々と街に出るゼントラーディ人の元捕虜とは別行動し、待機所にいた。
怪しい行動しないかと心配しているのか、男女のサブマシンガンを携帯した兵士がいた。
異様な雰囲気であるが、ミューレは取り乱したりせず・・・じっと・・・本を読みながら待っている。
「これは中尉殿・・・少尉殿」
星村和也「待たせて悪いね、例のゼントラーディ人は何処にいる?」
「ハッあちらであります。」
モーア「おぉぉ」
30分経過した頃、ようやくモーアと和也がミューレの待つ収容所の待機室に到着した。
ミューレはそれに気が付いたのか、待機室の中を覗いたモーアと目が合った。
以前、殺し合いをした仲だが・・・・今はそうじゃない。
モーア「マイクローンになったとは言え、久しぶりねミューレ。」
ミューレ「久しぶりだな、モーア・・・・・そちらは・・・・」
星村和也「どうも、モーア・カリダム少尉の上官で星村和也です。直接会った事はないですが、あの戦いでモーアと共に戦っていました。」
ミューレ「あの時の・・・モーアの僚機・・・・・こちらこそよろしく。」
この時のモーア達の表情は穏やかであった。
以前は統合軍とゼントラーディ軍と殺し合った敵同士であり、自分が殺すか殺されるかの厳しい状況だった。
今ここにいるのは戦場ではなく、捕虜収容所の待機室・・・・・お互いに武器は持っていない。
星村和也「ここでは堅苦しいから、何処か別の場所に行きませんか。お食事は自分が払いますので。」
ミューレ「いいんですか?」
モーア「はい、そのための準備はしてありますから。」
二人はミューレと楽しく会話するために、食事に誘う。
食事でもすれば、何かミューレの事を知ったり自分たちの事を教える事ができる。
この申し出は勿論、OK。
ミューレは笑顔を浮かべながら了承した。
これで万事解決・・・・と思ったが・・・・
モーア「その杖は・・・・・」
ミューレ「あの時の戦いで、一部体の機能が損傷してね・・・当分杖がないと歩けないのよ。」
モーア「そう・・・なんだ・・・・ごめん・・・」
ミューレ「気にしないでよ、戦いであぁぁなったから。」
足のケガ・・・・・あの戦いで怪我し・・・・・・
マイクローン装置に入っても、完全に完治できない程・・・足に障害を負った。
当分杖がないと歩けないのはミューレの強がりであり・・・・
もう戦闘に復帰できない体になっていた。
投降した当初はある程度、歩けたが・・・だんだんと足が崩壊し・・・
今に至ったと言うわけであった。
それから、3人は捕虜収容所を出てアポロシティに向かった。
ミューレが歩けないので、移動は困難かと思ったが・・・・ジープで乗ってきたため解決済み・・・・・
ミューレ「ここは・・・・」
星村和也「居酒屋です、取り合えず酒飲みませんか?」
モーア「ここのお酒美味しいんですよ。」
3人は居酒屋に到着した。
ミューレは居酒屋が初めてであり、不思議そうに見ているが・・・・
モーアと和也が勧めるので店に入る。
既に開店しているので、お客様が一杯で活気があり。
興味津々に店内を見回す・・・・・
ミューレ「美味しい、マイクローンにはこんな食べ物があるんですね。」
モーア「宇宙各地にいる同胞に食べさせたいですね。」
星村和也「話に入れん、ゼントラーディ語で喋っているから話が分からん。」
モーア「あぁもう、和也拗ねてないで飲んで食べようよ。」
星村和也「俺は拗ねてない・・・・ふん。」
ソフトドリンクで、料理を食べながら楽しい時間を過ごす。
ミューレは収容所以外の地球の料理が初めてなのか、美味しそうに食べている。
ゼントラーディ軍時代は栄養重視の食事で美味しさがないので、ミューレからすれば斬新である。
その間にモーアがミューレに突っかかるが・・・・
会話する内容がゼントラーディ語であるため、和也は話に入れないので拗ねる・・・
せめて共用語で喋れと・・・・・
しばらくは楽しい会話は進むがだんだんと、話は悲壮感が漂ってくる。
ミューレ「もう私は戦う事ができないのよ。」
モーア「えっ・・・・」
ミューレ「あの戦いで、足に致命傷を負ったのよ。片足は一生杖がないと歩けないって・・・・・」
先ほどのミューレの足・・・・・
ミューレは片足に致命傷を負い歩けなくなった事を気にしており・・・・・
戦場でこうなったのはしょうがないとは言え、もう戦えない体になれば・・・
戦闘種族であるゼントラーディ人として終わりだと思った。
ミューレ「マイクローンに恭順し、軍に入隊しバルキリーとやらに乗りたかったけど・・・・無理そうなんだ・・・」
モーア「・・・・・」
ミューレ「せっかく、生き延びて第2の人生を歩もうとしていたのに・・・・もう私は終わったよ・・・夢も希望もない・・・・地獄だよ。」
ミューレの片足が使えなくなった事を気にしており、段々と目は赤くなり・・・
涙目のようになっていた。
ゼントラーディ人は戦いこそが命であり、もう戦えなくなってしまえば人間として終わっている。
悲痛な声で喋るミューレにモーアと和也は何も言えなくなり・・・・
グレープフルーツジュースを飲んだり、料理を食べれなくなってしまう。
なんとかしてあげたいが、もうどうする事ができない・・・・・
でも、こうなってしまったのは自分たちなのでせめて何か生きる望みを与えたい・・・・
いろいろと考えていたが、和也はある事を思い出した。
星村和也「まぁせめて、何かできる事を探しましょう。一応、事務職なら軍人にできますので・・・・」
ミューレ「事務職・・・・」
星村和也「収容所の報告書、もらったんだ・・・・パソコンかなり頑張っていたからその道勧めばいいんじゃないか?」
それはミューレが収容所内でパソコンに関する仕事を頑張っていた報告書・・・・
収容所の待機室に行った際に、ミューレの収容所でやっていた報告書を見ていた。
その報告書に書いてあったのは、パソコンに関する職業訓練の成績がよかった事である。
パソコンの仕事をすれば、ミューレに生きる希望を持たせる事ができるので・・・・
ミューレにその道に進むようにおすすめした。
もう戦場にでなくても、パソコンの道に行けば人生は開ける・・・・
和也は報告書を読んで確信し、その事を伝えようとしたが・・・・
食事している時に忘れかけてしまった。
モーア「パソコンか・・・・」
星村和也「モーアも記録書使う時にやってただろ、あれさ。」
モーア「なるほど。」
楽しくやっていた程、思い出しにくくなっていたが・・・・
ミューレの悲痛な境遇を聞いて、ようやく思い出す事ができた。
和也が勧めるパソコンの仕事について、モーアも喰いつく・・・・
モーアも統合軍に勤務するようになってからパソコンを使う機会が増えており・・・・
かなりパソコンを使えるようになっていた。
それからはと言うものは、インターネットのショッピングを楽しむなど・・・
楽しくパソコンライフを満喫していた。
ミューレ「でも軍じゃないと・・・」
星村和也「まぁ軍にもパソコンを使う部隊があるから、そこに入るといいさ。」
モーア「結構、その部隊便利でね。私たちの給料だったり、セイジカ(政治家)やザイカイジン(財界)の対応してくれるのよ。」
モーアも和也に考えに同調し、ミューレに軍内部のパソコンを使う部隊をお勧めする。
パソコンを使う軍人を見たモーアは、結構便利と感じており・・・・
もし怪我して働けなくなったらそこで働こうかなと思っていた程、パソコンを使う業種の部隊に尊敬しており・・・
今こうして、怪我をして戦闘員として戦う事のできなくなったミューレに入れれば大きな戦力になるし・・・
実際に怪我をし、動けなくなった際にお世話になるのと・・・・モーア的にも大きなメリットがあった。
ミューレ「じゃあ、お世話になろうかしら。」
モーア「軍に入隊する時の願書は、私たちがなんとかするから安心してね。」
二人が熱く推した結果もあって、ミューレは軍の情報部隊に入る事を希望する事を決めた。
ミューレは戦う時以外は、おとなしい性格もあり不安でおどおどしているが・・・・
さっきより顔色が良くなっている。
気分もよくなっているのか・・・・・・
モーア「マスター、ビール用意してくれる!!」
「ダメダメ、まだ18歳じゃないしまだビールはダメ。」
モーア「そこをなんとか・・・・」
星村和也「それは流石にアウトだからな、懲戒処分になっても知らんぞ・・・・」
居酒屋の食事を再び楽しむようになり、3人は楽しく過ごした。
モーアが調子に乗ってビールを頼もうとして、和也がそれを止める光景は・・・
さっきまで不安そうになっていたミューレの表情を明るくさせる。
そして夜の22時まで、楽しんだ後・・・・
モーアは住む家が決まるまで、ミューレを自分の自宅に招き居候させる。
それから2週間後・・・・
星村和也「なぁ軍に入ったミューレは元気だろうか。」
モーア「元気らしいよ、パソコンの仕事も結構いい感じになっているって大喜びだそうです。」
星村和也「おぉぉそれはよかったな、その言葉を聞くとまるで自分の事のように嬉しく感じるな。」
モーア「はいそうですね。」
ミューレは無事に新統合軍に入隊し、情報部隊に配属された。
収容所における報告が軍情報部隊に届いているのか、多少の訓練の後・・・すぐ実戦部隊に配属され・・・
仕事は中々上手く言っていると・・・・・・・ミューレは喜んでいた。
定期的に届くミューレのメールにモーアも喜び・・・・
戦い以外の喜びを得たんだねと思い、喜ぶ・・・
モーア「この後、何処まで出世するのかな・・・」
星村和也「ノンキャリアだから、大佐まで出世するのは間違いないな。」
モーア「大佐か・・・・中々いい階級までに出世するね。」
このまま上手くいけば、ミューレは大佐まで出世する事ができる。
そして、うまく出世コースに乗れば将官になる事ができる。
やはりおすすめして正解であった・・・・・
カール「よっ和也にモアちゃん。」
モーア「カール、ヒューマリン少尉との関係はどう?」
カール「ばっちりでさ、休日にデートする約束もうまく取り付けましたぜ!!」
二人が会話している中で、カールが合流。
お約束のお昼休みの長距離画面通信は終わった模様であり・・・
休日にデートをする約束を取り付けたのか、うきうきしていた。
結構、こっちでも幸せな奴がいるなと・・・・
モーアと和也はカールの様子を見ていた・・・・
自分たちも、上手くいい関係になれたらな・・・・
二人は心の中で、お互いの事を考える・・・・
カール「なんじゃありゃ・・・」
モーア「何カール・・・」
そんな中で、カールが何かを見つける・・・・
何処かで見た事のあるような、背中に・・・・杖を持っているメルトランらしき女性・・・・
杖を持っているメルトラン・・・それは・・・・
モーア「ミューレね・・・」
星村和也「あと一人は誰なんだ?」
ミューレ・・・・・
振り返った姿を晒したので、完全にミューレだと識別できた・・・・・
結構楽しくやっているようで、安心できたが・・・・
もう一人は誰なんだろうか・・・・
何処かで見た事のあるような服装をしているが・・・・
モーア「デ・デ・カルチャー」
カール「嘘だろおい!!」
星村和也「こんな所でキスかよ。」
その見た事のある服装をした奴がミューレとキスした。
キスした光景は、かなり衝撃的であり・・・・・
一同、ざわついた・・・・
ミューレとキスしたのは一体誰なんだ・・・・
一体何者なのか・・・・・
ミューレ「きゃっ・・・・」
モーア「あぁ・・・どうも・・・・・」
ようやくミューレはモーア達の存在に気が付いた。
今自分のしている事が恥ずかしいのか、赤面し恥ずかしがる・・・・・
かつては凶暴で冷酷であったメルトランが・・・
こうも可愛くなるとは、カールは興味津々で見るが・・・
自分のアマリの方が可愛いと我に返る・・・・・
葛西信之「和也にカール・・・そしてモアか・・・・」
星村和也「ノブ」
カール「何しているんだ!?」
我に返った直前、見た事のある背中の男が振り返った・・・・
その男は、自分たちと同じ部隊に所属している信之であった。
信之とミューレ・・・・
この関係はもしかして・・・・・・・・・
葛西信之「実は俺たち付き合っているんだ。」
ミューレ「結構優しくて、なんというか感じた事のないようないい気分になって・・・・」
葛西信之「そんじゃ、俺たちはそういう関係なんでじゃ・・・・午後のクソガキ共の訓練で・・・・・」
モーア「じゃって・・・おいおい。」
付き合っていた・・・・・
信之とミューレは恋人同士になっていた。
なんで恋人同士になったのか・・・・
それは・・・・
ある日、ミューレが道に迷っている頃・・・・信之がそれを助け・・・・
この際に・・・・二人とも一目惚れしたらしく・・・・
これがきっかけになって二人は付き合うようになった。
モーア「あれじゃまるで少女漫画の世界のようだな。」
二人の関係にモーアは少女漫画のような典型的なラブコメだと悟った。
そのモーアの意見は和也とカールも同じ意見であり・・・・
ラブラブに歩く二人の姿を見て、そう思った。
典型的なラブコメ、そう長くは続かないだろう・・・・・
そう思われたが・・・・・・・・・
葛西信之「俺・・・結婚するんだ。」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
まさかの結婚します、宣言・・・・・
この宣言は、モーア達ではなく・・・この場にいた別の班の教官まで驚いてしまった。
付き合ってそんなに経ってないのに結婚・・・・
いきなりそんな展開もあっていいのか・・・・
この場にいた面々は思っていたが・・・・
モーア「そういえば、噂じゃミリアもいきなり結婚したそうな。」
星村和也「誰にそんな事を聞いたんだ?」
モーア「一条さんよ・・・・って噂じゃないんだ・・・・マジか・・・・」
ミリアとマックスの結婚の事例もあるので、まぁ・・・これもありかと思うが・・・・
衝撃過ぎる・・・・・・・
それに相手がまさかあの、ミューレ・・・・あの戦いで敵同士だったのに・・・・・
出産競争
そして月日は流れ、モーアと和也は結婚し・・・・モーアは星村絵里と名乗るようになった。
西暦2011年6月・・・・・・
星村絵里「なっ・・・・・」
星村和也「双子だと・・・・・」
信之とミューレ夫妻から子供が生まれた報告・・・・・
結婚して半年経ってからだ・・・・・
結構可愛い赤ちゃんであり、産毛からミューレの遺伝子を強く引き継いでいる・・・・・・
星村絵里「和也・・・・・」
星村和也「まぁ・・・人生いろいろあるんだな・・・今日初めて知ったよ。」
まさかここまでになるとは・・・・・
人生何があるのか、分からない・・・・・・・・・
とは言え、幸せそうだからまぁ・・・いいか・・・・
絵里と和也はお互い頷きあい、そう思った。
星村絵里「とはいえ、私たちの子供はいつかな・・・」
星村和也「そろそろ欲しいね・・・」
星村絵里「ミリアもマリアちゃん生まれているし、立派な子供産みたいわね。」
ミューレやミリアも子供が生まれており、絵里も立派な子供が欲しいと思うようになった。
かつてはゼントラーディ軍の軍人だったとは言え、今子供を欲しい身分になるのは幸せだと感じているが・・・
別の意味で新たな出産競争と言う名の新たな戦いの始まりであった。
果たして絵里と和也は立派な子供ができるのかそれはまたの機会に・・・・