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在日外国人に対する自治体の人権侵害(国籍条項)

2024-08-27 22:35:14 | 国籍条項

○『ノルティギ通信 第43号』国籍条項撤廃を求める会・石川

「1996年、白川勝彦自治大臣(当時)は『外国人を採用するかどうかは、地方公共団体に於いて判断すべきもの』として、これまでの『当然の法理』(公権力の行使又は公の意思の形成への参画に携わることを職とする公務員になるためには、日本国籍が必要であるという法理)が破綻した事を認め、『外国人の採用機会拡大に努力いただきたい』との談話を発表した。……全国各地で『法の下の平等』『職業選択の自由』『自治への参画』を求める市民の声の広がりによって、職員採用における国籍条項撤廃の流れは押し戻すことができない潮流になっている。高知、神奈川、大阪など11府県で撤廃が実現し、埼玉市が04年度の採用試験から門戸開放した結果、13の政令指定都市すべてが撤廃で足並みをそろえた。総計すると全国745(県市・特別区)自治体中、277の自治体が一般事務職の国籍条項を撤廃している(03年7月現在、民団中央本部調べ)。」「国籍条項とは、就職差別という人権侵害であり、地方に判断が委ねられた事案であり、イベントなどではなく日常の国際化が試されている問題であると考えます。労働基準法第3条は、『使用者は、労働者の国籍、信条または社会身分を理由として、賃金、労働時間、その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない』としている。これは多様な国籍の人が存在することを前提にして、その中で国籍等によって労働条件を差別してはならないことを定めているわけで、その前段階である、採用時における門前払いなどは論外であると言わざるをえない。また政府は、国連に提出した人種差別撤廃条約に関する報告書(00年)において、『人種、民族などによる差別的取扱いを受けることのないよう確保』し、『在日韓国朝鮮人について、就職の機会均等について正しい理解と認識を深めるため啓発に努めている』と述べている。このような報告がある中、地方自治体が国籍条項を設けて外国人を排除することは、政府の方針に反するだけでなく、個別事業主の模範となるべき自治体自らが就職差別を行うことになる」

○東京都庁国籍任用差別裁判 最高裁判決(2005年1月26日)朝日新聞

 都管理職試験 最高裁初判断 原告、逆転敗訴 外国籍拒否は合憲

「日本国籍がないことを理由に東京都が管理職試験の受験を拒否したことが憲法の保護した法の下の平等に違反するかどうかが争われた裁判の上告審で、最高裁大法廷は26日、『重要な決定権を持つ管理職への外国人の就任は日本の法体系の下で想定されておらず、憲法に反しない』との初判断を示した。その上で、都に40万円の支払いを命じた二審(高裁)判決を破棄し、原告の請求を退ける逆転判決を言い渡した。原告側の敗訴が確定した。」

○外国籍と公職 国際国家に脱皮してこそ 桃山学院大学名誉教授 徐 龍達

最高裁は先月、東京都在日韓国人の女性に管理職昇進試験を受けさせないようにした措置について、追認する判決を下したが、日本は明治時代よりも後退したのだろうか。判決の下敷きとなっているとみられるのは、『公権力の行使又は国家意思の形成への参画に携わる公務員には日本国籍が必要』という1953年の『当然の法理』と呼ばれる内閣法制局見解だ。法律ではない。その原形は、占領時代の48年、法務調査意見長官による定住外国人の公務就任をめぐる質問への回答である。公務員が国家に対する忠誠と滅私奉公・無定量の義務があるとする官吏の義務づけをしたものという。……憲法の『国民主権』の『国民』を日本人に限定し、定住外国人と完全に区分するのは間違いだと思う。憲法の公式英文にあるジャパニーズピープルは『日本人』ではなく、『日本の人々』あるいは『日本市民』と解すべきだ。第16代米大統領であるリンカーン演説の『人民の、人民による、人民のための政治』のように、ピープルに国籍概念はなく、本来は住民・市民の意味なのであって、『国民主権』『住民主権』と考えるべきである。……定住外国人公務員の管理職が日本の法体系の想定外だという判決文は、憲法の精神を歪曲した口実に過ぎない。……国民とは、歴史的にも『国を構成する住民』であって、国民=日本人の解釈には問題がある。この国際化時代に、将来の国のあり方も考えれば『日本国民』の定義は、日本人プラス定住外国人となるだろう。」

○私の視点 国籍条項 人権擁護委員に外国人も 朝日新聞2005年6月1日

民生委員人権擁護委員に関する法律に、外国人を選べないという国籍条項がある。……1949年に制定された現行の人権擁護委員法では、市長村長が議会の意見を聞いて委員の候補者を法務大臣に推薦する。……私は人間として尊厳を保つ基本的な条件である人権と、命を維持するための生活を保障することに国籍は関係ないと考える。……昨年6月に制定された有事法制のなかの『捕虜等取り扱い法』は、ジュネーブ条約(1949年)に基づき、捕虜の生命、身体、健康、名誉を尊重し、侵害、危難から常に保護しなければならないとし、人種、籍、宗教的・政治的意見に基づいて不当に差別してはならず、報復としていかなる不利益も与えてはならないとしている。違反行為に対しては『国際人道法違反処罰法』も整備された。住民でもない、戦争敵国の捕虜に対してさえ、最低限守らねばならない事項がこれだけ存在する。……日本に住む外国人が激増する一方で、日本人も外国で学び、働き、事業を展開し、老後を託す人が増えている現在、人権問題で垣根があってはならないと考える。」

(2024年8月27日投稿)

 

 

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