グローバル・ナビ by 杉山哲夫

海外資産運用コンサルタントのつぶやき

EU英離脱以来の株式下落、背景は? 

2016年09月11日 | 筆者のひとりごと


波乱が予測される世界金融市場、その要因は?

8月以来狭いレンジで展開していた米国株式市場は9日金曜日に英国欧州離脱以来(ダウ-$610)の大幅な下げを記録しました、(-$394)は直接的には欧米の債券市場にて売りが加速し長期金利が急上昇し景気や企業業績にマイナスになりかねないとの観測が浮上、またFRBの高官の各種発言等を受けて株式への売り展開につながりました、いずれも具体的な数値上の発表ではありませんが欧州中央銀行の理事会後の高官の発言によりドイツ国債がマイナス金利を離脱しプラスに転じ、影響を受けて米国債も売りが加速し10年国債のイールドは前日比0.07ポイント高い1.67%に跳ね上がりました、また従来比較的に米国の政策金利の引き上げにネガテブなスタンスであつたFOMCの投票権を持つ高官が引き上げに対し容認するような発言もありました、しかし大統領選も近い環境で金利の引き上げは6名の投票権を持つ高官が果たして引き上げに同意するかどうか微妙です:政策的なFOMCの判断は政治的な背景を考慮しないわけにはいきません。米国の不動産市場はRIET市場も含め過熱気味であることは確かですが米国経済は下降局面に入り始めているとの観測が多く出ていることも事実です:

アメリカ地区
指標 数値 増減 変化 1ヶ月 1年間
DJIA 18,085.45 -394.46 -2.13% -2.64% 10.06% 9/9/2016
S&P 500 2,127.81 -53.49 -2.45% -2.58% 8.50% 9/9/2016
NASDAQ 5,125.91 -133.57 -2.54% -2.04% 6.30% 9/9/2016


米国市場 9月9日〆 


週間の動向
指数  週初め     週末     変化     年初来
DJIA 18491.96 18065.45 -406.51 -2.2% +3.8%
NASD 5249.90 5125.91 -123.99 -2.4% +2.4%
SP500 2179.98 2127.81 -52.17 -2.4% +4.1%
R2000 1251.28 1216.50 -34.78 -2.8% +7.1%

金曜日でSP500 の 50days moving average (2164.0) を簡単にした抜け、第3四半期の上昇率は1.4%となりました、木曜日の夕方に著名な投資家が、今日が低金利の最後の日だと述べていたのが印象的でした。 日本、イタリア、ドイツの各10年債のイールドは0.03%, 1.25%, 0.01%、米国は1.67%と上昇して金曜日は終了しています、北朝鮮の核弾頭実検は主要国の国債の買いにはつながりませんでした。次回のFOMCは非常に重要な会議となりそうです、来月の中旬からマネーマーケツファンド(MMF)に規制が入ります、MMFの投資先をリスクの少ない国債等に制限することです、このことは金融機関の売り出すコマーシャルペパー(CP)の買い手が減少し資金を確保したい金融機関の動向はロンドン銀行間取引金利(libor)の上昇につながり、ひいては企業の借り入れ、住宅ローン等の金利レート確定の基準となるため無視できないのです。規制後のMMFの動向を見極めるまではFRBは金利引き上げには踏み切りにくいとの見方の多いのも事実です:
‘MMFに関しては証券会社に口座をお持ちの方々はよくご存知と思います、銀行のような預金口座を持てない証券会社は顧客の資金を預かりますとリスクの少ない短期公共債で通常は運用する有利子のMMF口座にいれます。米国の9月9日のMMF金利は0.6260% -0.4017%と毎日変化しています。US$MMFは為替の変動リスクはありますが米金利上昇時には定期予金と違い金利もそれにつれて上昇しますのでドル運用手段として一部好まれています。10月のMMFの規制の始まりは別として11月には大統領の選挙があり年末まで金融市場は激動の時期に入ると観測します:為替市場と債券市場特に長期債券市場の動向に今後は注目すべきと思います:  9月11日 杉山拝

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