スウェーデンの今
スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員
 



チェルノブイリ原発事故によってスウェーデンの一部に強い放射能が落下した際に、スウェーデンでは農業や酪農でどのような対策が取られたかを調べていたら、それとは別に、食品に含まれる放射性セシウム-137の量を減らすために家庭でどのようなことができるかを簡単に説明した資料を見つけたので、紹介します。

ただ、スウェーデンにおける調理法に合わせたアドバイスなので、日本の料理法にぴったり当てはまるわけではないかもしれません。あくまでも参考までに。

放射線セシウム-137の汚染限度は、普通の食品の場合、スウェーデンは300ベクレル/kgに設定しています(確か、日本もそれに近い値だったと思う)。それ以下の汚染であれば過剰に反応して神経質になることもどうかと思いますが、調理法次第でセシウムの量もこれだけ減らせるのだということを伝えたいために、紹介します。


【 肉 】

酸味の強いマリネ(マリネード)に漬けた上で調理すれば、肉に含まれるセシウムが80~90%減少する。(マリネード = 酢・ワイン・油・香辛料・ハーブなどから作る漬け汁)
茹でた場合、牛肉であればセシウムの50~70%、ヘラジカやトナカイなどの野生の肉であれば45~70%が減少する。
塩漬けするだけでは、30%ほどしか減少しない(塩漬けはトナカイの肉の保存などに用いられる)。しかし、水に漬けて塩抜きし、茹でた場合70~85%のセシウムが減少する。
・焼いた場合は、大きな効果はない。
・燻製にしたり干したりした場合は、全く効果はない。

注1:茹でた水は捨てること。
注2:減少するのはセシウムだけでなく、カリウムやビタミンB6などの水溶性の栄養分も、セシウムの減少割合と同じだけ減少する。


【 魚 】

・魚を丸ごと茹でた場合、セシウムの15~20%が減少する。
・魚を細かく切って茹でた場合20~30%減少する。
塩漬けにしたあと、水で塩抜きし、茹でた場合はセシウムが70~80%減少する(塩漬けの時間が1週間であろうが、4週間であろうが関係ない)。

注1:茹でた水は捨てること。
注2:減少するのはセシウムだけでなく、カリウムやビタミンB6などの水溶性の栄養分も、セシウムの減少割合と同じだけ減少する。


【 野菜 】

葉野菜であれば、外側の葉を取り除いたり、丁寧に水で洗ったり、湯通ししたり、茹でることで、セシウムの10~90%を取り除くことができる。
人参やグリーンピースであれば、ゆがくか、凍らせた後に茹でて使用すれば、セシウムを50%減らすことができる。
人参ゆがけば、放射性のストロンチウムが5%減少する。グリーンピースはゆがけば、ストロンチウムが35%減少する。

注1:茹でた水は捨てること。
注2:減少するのはセシウムだけでなく、ビタミンBやCなどの水溶性の栄養分も、セシウムの減少割合と同じだけ減少する。


【 キノコ 】

たっぷりのお湯を沸かして軽く茹でれば、キノコに含まれるセシウムの70~80%が減少する。水は捨てること。


※ ※ お知らせ ※ ※

以上の出典は、スウェーデンの防衛研究所・農業庁・食品庁・放射線安全庁・農業大学が共同で発表している報告書「放射性物質が落下した場合の食品生産について」からです。この報告書の邦訳は、2012年1月30日に『スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』として出版されました。私が翻訳をしました。


スウェーデンの防衛研究所が農業庁やスウェーデン農業大学、食品庁、放射線安全庁と共同でまとめ、2002年に発行した「放射性物質が降下した際の食品生産について」という報告書の翻訳です。

チェルノブイリ原発事故のあとにスウェーデンが被った被害やその影響、農業・畜産分野で取られた対策や、放射能汚染を抑えるための実験、放射能に関する基礎知識、将来の事故に備えた災害対策の整備や、実際に事故が起きたときの対策の講じ方をまとめたものです。

詳しくは、こちらをご覧ください。


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