スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

音楽番組「メロディー・フェスティヴァーレン」で手話通訳者まで裸に!

2016-03-13 08:15:02 | スウェーデン・その他の社会
ヨーロッパの音楽祭典「ユーロヴィジョン・ソングコンテスト (Euro Vision Song Contest)」スウェーデン代表を決める大会「メロディー・フェスティヴァーレン (Melodifestivalen)」の決勝が昨日、土曜日に開催され、公共テレビSVTで生放送された。スウェーデン国内のこの大会では、これまで4回の予選と1回の敗者復活戦を経て、12人(およびグループ)の歌手が決勝に進出。

この大会はもともと、日本で言えば(番組の性格は異なるものの)紅白歌合戦のように話題性の強い番組であり、かつては若者だけでなく中高年の視聴者もある程度は意識した内容になっていたが、今年は近年に増して若い歌手が多くて、企画・制作している公共テレビSVTはもはや若者だけにターゲットを絞ったのではないかと思わせる内容だった。(私が好みというわけではないけれど)中高年向けの、もうちょっとベタベタなダンスバンド・ミュージックがあっても良かったと思う。

ともあれ、この大会における近年の注目の的は、手話通訳。ただ、曲の歌詞を淡々と通訳するのではなく、曲の臨場感やテンポ、メッセージ性や喜怒哀楽を表情や体全体を用いて表現し、耳の聞こえない人にも番組を楽しんでもらう、という手話通訳なのである。昨年は、Youtubeにアップされた手話通訳の映像が世界的に話題を呼び、日本でもメディアなどで紹介されたりした。

今年の大会でも決勝大会で手話通訳が行われ、公共テレビSVTのサブチャンネルや、オンラインチャンネルで放送されていた。私は途中から手話付きと手話なしの両方をパソコンとタブレットで見ていた。2010年にこの大会で手話通訳が試験的に実施されて以来、毎年のように登場していたベテランの男性通訳者は今年は登場せず、残念だった。しかし一方では、最後の出場曲の手話通訳の中で、通訳の人が裸になるという演出があって、思わず圧倒されてしまった。さすが、歌詞だけでなく、曲のイメージやステージの雰囲気までも表現しようとする手話通訳とあって、歌手の若い男の子二人がステージで上半身裸になったのに合わせて、通訳者までシャツを脱いだのだ!

この曲のタイトルは「Bada nakna」、つまり「裸で泳ごう」。歌詞を聞いてみると分かるが、「ストックホルム中心部にあるセルゲル広場の噴水で泳ごう」と歌っているのである(この噴水は日本で言うと道頓堀のようなもので、スポーツイベントで大勝利した時などに、若者が飛び込んで泳いだりする)。だから、最後のサビの部分で歌手がパンツ一枚になったのである。




ノリノリで、2分20秒のところで裸になる手話通訳者。この日のために鍛えてきたのか、わりと筋肉ムキムキです。



【過去の記事】
2015-03-19: これは凄い! 音楽番組「メロディー・フェスティヴァーレン」の手話通訳
2012-03-20: 初めて見た! ロック・ポップス音楽の手話通訳

今年は登場しなかったベテラン通訳者の昨年の映像。


今年の担当だった手話通訳者も頑張っていたけれど、この人ほどのレベルに達するにはもう少し時間が掛かりそう・・・


<追記>
すっかり忘れていましたが、今年の優勝曲はこちら。



この曲がスウェーデン代表となり、ヨーロッパ大会である「ユーロヴィジョン・ソングコンテスト (Euro Vision Song Contest)」に挑む。昨年はスウェーデンがヨーロッパ大会で優勝したため、スウェーデンが今年の開催国。5月14日にストックホルムにて本大会が開催される。

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