トール・ヘイエルダール/国分直一・木村伸義 訳/法政大学出版局
これは大変読み応えのある本で、この大判で467ページもある。
読み終わるのに3週間かかってしまった。図書館を使い始めて、初めて期限を延長した。
コンチキ号探検記などを読んでいると、ヘイエルダールの探検家としての側面ばかり印象に残るけど、本書を読んでみると学者だなぁと思う。
ヘイエルダールはポリネシアと南米のつながり、さらには南米とヨーロッパのつながりを意識しているわけであるが、ポリネシアと南米の共通点をたくさん挙げている。例えばさつまいもや綿花などの栽培種のDNAとかものの呼び名の共通性とか。また南米には祖先が出て行った伝説があり、ポリネシアには外から来た人(髭を生やした白人的特徴をもつ)の伝説があり・・両者は繋がっているのではないか・・・と考えていること。また筏や葦船などは、川だけでなく外洋を十分航海できること・・バルサ筏のコンチキ号でのポリネシア行きだけでなく、ヘイエルダールは葦船での大西洋横断も経験しており、葦船がいかに優秀か・・と言うことを説く。
細かいことは色々書いてあるのだが、なんとなくファジーな点があるなぁと印象が拭えないのは、私に「ヘイエルダールの説は現在でも肯定されていない」と言う先入観があるからだろうか?
つながりがあるのは想定されているとしても、どっちが起源なのか・・については諸説あるらしい。
そういうことは置いておいても、書かれている文章自体は面白く、自分の乏しい南米古代史の知識をなんとかしなきゃな・・と思った。