今はない、失われた国の国旗を見ると、何とも形容しがたい、いたたまれない気分になる。
どういう国であったにせよ、その旗の下で多くの血と汗と涙が流され、多くの人が消えていったにも関わらず、その旗自体が消滅してしまったとしたら、消えていった人々の思いはいずこに・・・・。
☆ ☆ ☆
統一会堂の中に入ってすぐ、ベトナム戦争の悲惨さを伝える写真を沢山展示した資料室がある。
例えば枯葉剤を散布されたあとのジャングルの写真。枯葉剤を散布されると空がオレンジ色になる。みんな何だろうと思って外へ出た。30分間は何でもなかった。だが・・・。
そんな話を聞きながら展示物めぐりをしていると、黄色と赤の折りたたまれた布を格納するガラスケースの前に出た。「これは昔の南ベトナムの旗です。」
折りたたまれたままだと、どんな国旗だったのか全然分からないので、ウィキメディアコモンズの画像を取ってきて並べてみよう。
黄色い地に赤い横線が三本入っているのが、昔の南ベトナムの旗だ(黄色旗)。南ベトナムと一口に言うが、第二次大戦後に阮朝最後の皇帝バオ・ダイを元首として擁立したフランスの傀儡国家であるベトナム国と、1955年にベトナム国に取って代わったアメリカの後ろ盾により成立したベトナム共和国があるが、その間ずっと使われていた国旗だ。
逆に右側にあるのが、北ベトナム(ベトナム民主共和国)時代からベトナム社会主義共和国となった現在まで使われている、赤地に黄色い☆の旗(金星紅旗)であり、統一会堂の敷地内にも沢山掲げられている。
下にある、下半分が青い旗は何かというと、「ベトコン」という呼び名で知られた反米組織「南ベトナム解放民族戦線」の旗だ。ずっと誤解していたのだが、1975年4月30日のサイゴン陥落によりベトナム共和国は消滅したが、その後にすぐ南北が統一されてベトナム社会主義共和国になったのではなく、1975年4月30日から1976年7月2日まではベトコン等により結成された臨時政府により統治された南ベトナム共和国が存在し、ベトコンと同じ旗を国旗に使っていたのだ。
そのベトコン~南ベトナム共和国時代の旗は、少し拡げられた状態で展示されていた。青い色は随分と色褪せてほとんど白くなってしまっている。何故全部赤地にしなかったのかというと、下半分がまだ平和ではないという状態を表しているのだと、ガイドさんが言っていた。
ベトコンの旗は拡げられているのに、南ベトナムの黄色旗は何故折りたたまれているのかな? 拡げてしまうことで再び意味を持ってしまうことを怖れているんじゃないだろうか・・と私は推測する。かつて国旗であったものは、ある種の力を持っているものだから。
実はまだ黄色旗は完全になくなったわけではないようなのである。現在のベトナム国内では黄色旗の掲揚は法律で禁止されているが、アメリカ・カリフォルニア州にある南ベトナムの亡命政府「自由ベトナム臨時政府」等、まだ黄色旗を使う勢力は存在しているという。昔の国旗を畳んだ状態で展示していること自体に、様々な思いがこめられているという気がしてならない。
どういう国であったにせよ、その旗の下で多くの血と汗と涙が流され、多くの人が消えていったにも関わらず、その旗自体が消滅してしまったとしたら、消えていった人々の思いはいずこに・・・・。
☆ ☆ ☆
統一会堂の中に入ってすぐ、ベトナム戦争の悲惨さを伝える写真を沢山展示した資料室がある。
例えば枯葉剤を散布されたあとのジャングルの写真。枯葉剤を散布されると空がオレンジ色になる。みんな何だろうと思って外へ出た。30分間は何でもなかった。だが・・・。
そんな話を聞きながら展示物めぐりをしていると、黄色と赤の折りたたまれた布を格納するガラスケースの前に出た。「これは昔の南ベトナムの旗です。」
折りたたまれたままだと、どんな国旗だったのか全然分からないので、ウィキメディアコモンズの画像を取ってきて並べてみよう。
黄色い地に赤い横線が三本入っているのが、昔の南ベトナムの旗だ(黄色旗)。南ベトナムと一口に言うが、第二次大戦後に阮朝最後の皇帝バオ・ダイを元首として擁立したフランスの傀儡国家であるベトナム国と、1955年にベトナム国に取って代わったアメリカの後ろ盾により成立したベトナム共和国があるが、その間ずっと使われていた国旗だ。
逆に右側にあるのが、北ベトナム(ベトナム民主共和国)時代からベトナム社会主義共和国となった現在まで使われている、赤地に黄色い☆の旗(金星紅旗)であり、統一会堂の敷地内にも沢山掲げられている。
下にある、下半分が青い旗は何かというと、「ベトコン」という呼び名で知られた反米組織「南ベトナム解放民族戦線」の旗だ。ずっと誤解していたのだが、1975年4月30日のサイゴン陥落によりベトナム共和国は消滅したが、その後にすぐ南北が統一されてベトナム社会主義共和国になったのではなく、1975年4月30日から1976年7月2日まではベトコン等により結成された臨時政府により統治された南ベトナム共和国が存在し、ベトコンと同じ旗を国旗に使っていたのだ。
そのベトコン~南ベトナム共和国時代の旗は、少し拡げられた状態で展示されていた。青い色は随分と色褪せてほとんど白くなってしまっている。何故全部赤地にしなかったのかというと、下半分がまだ平和ではないという状態を表しているのだと、ガイドさんが言っていた。
ベトコンの旗は拡げられているのに、南ベトナムの黄色旗は何故折りたたまれているのかな? 拡げてしまうことで再び意味を持ってしまうことを怖れているんじゃないだろうか・・と私は推測する。かつて国旗であったものは、ある種の力を持っているものだから。
実はまだ黄色旗は完全になくなったわけではないようなのである。現在のベトナム国内では黄色旗の掲揚は法律で禁止されているが、アメリカ・カリフォルニア州にある南ベトナムの亡命政府「自由ベトナム臨時政府」等、まだ黄色旗を使う勢力は存在しているという。昔の国旗を畳んだ状態で展示していること自体に、様々な思いがこめられているという気がしてならない。