朝食後、バスで上海芸海劇院に向かい、リハーサルを行う。
まず、上の写真の芸海劇院の入口と、入口付近に貼られた我々の演奏会のポスターに感激する。
が、我々は裏手の地味な楽屋口から入り、ペンキのにおいの充満した楽屋にしばし待機することに。
最初に、別室で、まず光明行のパート練習から。17名程度の合奏で2パートに分かれるが、あまりにバラバラなので青くなった。なにせ、全国から二胡愛好家が集まってきて、本番当日の今日が初あわせなのだから。
リハではすこしはましになった。私は最前列中央で、オケならセカンドトップといったような場所。指揮者が見やすいというメリットはあるので、がんばって弾かなきゃね。
しばらく間があいたあと、良宵、北京有個金太陽、賽馬の3曲の閔先生との合奏。演奏者は27名くらいか? 私は最前列の端の方に座っていたが、中央におられる閔先生のモーションが大きいので、リズムは非常に合わせやすい。ただ、先生は暗譜なので、ボーイングが楽譜と違う。先生に合わせようとすると1回目と2回目でボーイングが違ったりするので、あきらめて楽譜の通りに弾くことにした。それから予想外のところで伸ばしが入ったりして、若干とまどいもあり。
演奏風景しか見たことのない閔先生は、リハではものすごく厳しいことが分かった。ワンフレーズ弾いたかと思うと急に立ちあがり、後ろの伴奏陣を指差し大きな声で注意する・・・というシーンが続出。びくびくもの。「私なんかガン飛ばされたわよ・・」と同じ教室のKさん。
リハに意外に時間がかかり、コンサート冒頭の100人による4曲の大合奏のリハはほとんど時間がなかった。4曲について1~2回さらった程度だし、初めて聴く前奏・間奏のメロディに若干とまどいを感じた。急に「繰り返しなし!」といわれたところもある。
それから二胡の演奏会の場合は、最初、弓を糸巻きにひっかけた状態(二胡と平行)で待機し、指揮者または首席奏者の合図で、みんなで一斉に弓を下ろして二胡と平行の状態に持ってくるのだ、というのを初めて知る。ただ私の二胡はアジャスターが付いている関係で、馬の毛がどうしても途中で引っかかってしまう。雑音が出たり、遅れたりしては格好わるいので、弓を引っ掛けたふりをして、弓を立てて指で支えるにとどめることにした(そうやっている人も、上級者の中に何人か見られたので)。
☆ ☆ ☆
色々あったが、我々は相当本番に強い人たちの集団なのだろう。100名大合奏は無難に乗り切り、一番心配だった光明行もバッチリ! 最後の閔先生との合奏では、北京有個金太陽と賽馬が猛烈に速いスピードになってしまったが、雰囲気的には大いに盛り上がった。特に賽馬の最後の、閔先生による「馬のいななきソロ」は絶妙で、まるで神様が降りてきているような感じ。会場の空気がぐぅぅぅう~と一点に集中してくるのを感じた。やっぱり先生はさすがだ。
※私が賽馬をやると書いたら、「あの馬のいななきは超絶技巧でしょう」と書いてくださった方がいらっしゃるんですが、ごめんなさい、あそこは先生がやってくださったんですよ(泣)。
ということで、無事演奏会終了。今回のツァーには演奏には参加しないが、ツアーとコンサートの聴くことを目的に参加された方も20人程度いらっしゃったのだが、その方々からの感想は上々。出番の多かった人、少なかった人それぞれが楽しめた演奏会のようであった。私のように、最初+中間+最後と分散して出番のあった人は、客席に移って演奏を聴くことが出来なかったので、あとから今日の様子を撮影したDVDがいただけるようなので楽しみにしていよう。
ホテルに戻って立食の打ち上げパーティーが開かれたが、私はさすがに疲れて、途中で退散して、バタン・キューで寝てしまった。
<おまけ>
上海芸海劇院の向かい側は、このような商店街になっていた。これこそ私が思い描いていた中国のイメージに近い商店街で、懐かしさと趣きを感じるのだが、今回見た上海は何だかビルばっかりで、あまりこういう光景を見れなかったような気がする。本題と関係ないけど、せっかく気に入っている写真なんで載せときます。